古手川唯
Added 2024-01-05 12:30:00 +0000 UTC古手川唯は学校の廊下を歩いていた。先生から用事を頼まれてしまい職員室まで行かなくてはならないのだ。
その道すがら、唯は突然なにか黒い物にぶつかった。
「きゃっ!?」
思わず悲鳴を上げてしまう。よろけて転びそうになったが、すんでのところで堪えた。しかし、その黒い物が口の中に入ってしまって、意識せずに飲み込んでしまう。
「……あ?」
その瞬間、彼女の身体に変化が訪れた。
(あれ? 私……何してたのかしら?)
いきなり記憶が曖昧になる。自分がどこに向かっていたのかもわからなくなった。それになんだか頭がぼんやりとする。視界もぼやけて、焦点が定まらない。そして唯は倒れてしまう。
「古手川君!?」
後ろからやってきた教師が唯に声をかける。だが、今の唯にはそれが誰なのか認識できない。ただ、「自分を呼び止める声がするなぁ」と思うだけだった。そして完全に意識を手離した。……
気が付くと、唯は病院のベッドで寝ていた。一体なぜこんなことになっているのかわからない。そもそも自分はどうして病気のベッドにいるのかすら思い出せなかった。
「気が付きましたか?」
白衣を着た医者らしき男が尋ねてくる。唯はその男の顔を見て驚いた。なぜなら全く知らない顔だったからだ。するとその男は言う。
「えっと、古手川唯さんですよね? 自分のことがわかりますか?」
「はい……。古手川ですけど……」
男の質問に素直に答える。すると彼はホッとした表情になった。そんな彼女に医者は説明を始めた。
「実はあなたは学校で昨日倒れて、頭を打ってしまったんです。それで気絶してしまったようで……」
医者の説明を一端止めて
「落ち着いて聞いて下さいね。実は貴女は二人になりました」
「……はい?」
言っている意味がわからず、唯は首を傾げる。しかし医者は全く気にせず続けた。
「未だにわかっていませんが…古手川唯さんが二人に増えたのです。おそらく分裂とかそういった現象だと思いますが……」
「はあ……」
医者の言葉を聞いて、唯は気のない返事をする。まだ自分の身に起こっていることが信じられないのだ。
「現状、全て調べさせていただきましたが、全て同じ古手川唯さんのようですね。双子でもないみたいだし、貴女の両親にも確認しましたが同じことを聞かされました」
医者は淡々と説明する。どうやら本当らしいと思い始めた頃、そういえば、分裂したのならもう一人の自分はどこにいるんだろうと考えた。
「あの……私のもう一人の方はどこに?」
恐る恐る尋ねると、医者は少し困ったような顔をした。
「それが…どちらもパニックになってはいけないので隔離しています貴女ともう一人の貴女も…もう一人の貴女にも確認しますが、貴女はもう一人の自分と会いますか?」
医者の問いに唯は考える。確かに自分にそっくりな人間が近くにいたら混乱してしまうだろう。それを避けるために、彼女は一人で隔離されているようだ。会いたくない気持ちもある…
だが、同時に興味もあった。自分と同じ姿の存在とはどんなものなのか見てみたかった。
「はい。会いたいです」
唯は答えた。
数分後、病室に二人の古手川唯がいた。彼女はもう一人の自分をまじまじと見つめる。そして不思議そうな顔で呟く。
「本当に私……なのよね?」
それに対して彼女も不思議な気分になる。自分がもう一人いるというのは奇妙な感覚だった。
だが、そんな風に戸惑っている間も、もう一人の唯も戸惑っている。
「貴女も…私……なのよね?」
それに対して彼女も不思議な気分になる。自分がもう一人いるというのは奇妙な感覚だった。
だが、そんな風に戸惑っている間も、もう一人の唯も戸惑っている。
「貴女も…私……なのよね?」
「ええ」
二人はお互いに確認するように、最初は怖かったけど、話してみると意外と普通だったことに驚いてしまう。
「「ララさんの仕業でもないのに二人になるなんて…ね」」
そしてクスリと笑う。まるで鏡合わせのようにまったく同じことを言ったからだ。
「今後の事…話さないと…行け…ないわよね?多分」
「そ、そうね。でも、どこから話すべきかしら?」
二人して思案する。まだ気まずいのはお互い様だろう
「戸籍は同姓同名のがもう一つできるって先生が言っていたわよね…こういう時の特例措置だって……」
「そ、そうね。しばらくは学校休まないと行けないわね」
「そ、そうよね」
これからの生活を想像して不安になったりもしたが
(じ、自分と話すのってこんな感じなのね…考えていることを読み上げられているような…)
視線が合うと恥ずかしくなるので目を逸らす。相手の髪に目線が行けば慌ててそれをそらす。しかし、それでも見てしまう。
(私の髪って結構…艶もあって綺麗ね……触り心地も良さそうだし……)
つい自分の髪を触ってしまう。サラサラしていてとても指通りが良い。そのまま撫でていると相手も同じ動作をしていることに気が付いた。
「あっ……」
思わず声を出してしまい、ハッとする。そして自分の行動を思い出して、さらに頬を赤く染める。
(わ、私は何をしているのかしら!? 自分相手に何ドキドキしているのよ!)
相手が同じように自分の髪に触れていることに気付き、唯は動揺する。向こうも同じようで顔を真っ赤にして自分の手を見ている。それは相手も同じようでチラチラとこちらを見ている。
((は、話しかけづらい……!))
それから一時間ほど経っただろうか? 結局、会話は無かった。相手の顔を客観的に見ていると鏡で見る自分の顔よりも魅力を感じる気がする。それに気づいたとき、心臓がドキリとした。それが何なのかわからないが、その鼓動に気付かないようにしながら、唯はひたすらに自分と見つめ合ったまま沈黙の時間を過ごした。その日はそれで終わった。
「古手川君、大丈夫かい?」
「はい……大丈夫です」
次の日、唯は退院した。医者には異常無しと診断された。だからもう病院には来なくていいのだ。家に帰ればもう一人の自分との生活が待っているのだが、不安で仕方がない。
とりあえず荷物を取りに行こうとすると、玄関先に人影があった。
「……」
そこにいたのは同じもう一人の唯だった。服装も全く一緒だ。
「ま、まだ家に帰っていなかったのね……」
「ええ……折角だから一緒に帰ろうと思って…」
もう一人の唯はどこか緊張した様子だった。唯は「まあ、そうね」と答えて、二人で並んで歩き出す。
「「……」」
だが、そこから会話は続かない。
(……本当に私が二人になったみたいなのね……)
歩きながら唯はもう一人の自分を横目に観察する。髪型も顔立ちも背丈も何もかもが同じだ。違う点すらないくらいに同じだ。唯一、服が違うなら見分けがつくが、だがそれもお揃いの服で見分けがつかない。
(本当にどうしてこうなったのかしら?)
考えても答えは出ない。そしてしばらく歩いていると、唯は何かに気付いた。
「ねえ、貴女。ちょっと良いかしら?」「えっ……何?」
「ここの公園……寄っていかない?」
そう言って唯はとある小さな公園に入っていく。もう一人の唯もその後を追った。
「ここで少し話さない?」
「そ、そうね」
そうしてベンチに座る。隣同士に。
「「……」」
またもや会話が止まる。しかし、しばらくしてもう一人の唯が口を開いた。
「「あの……私達……これからどうなるのかしら?」」
同時に言葉を発する。
「「……」」
だが、お互い黙ってしまった。
「えっと……私達、このままなのかしら?」
「うーん……わからないわね」
唯がそう答えると、もう一人の唯は悲しそうな表情になる。
「でも、どうしようもないじゃない。きっとこのままなんでしょうね」
「そうね……」
唯の言葉にもう一人の唯も同意する。すると唯は「ふぅ」とため息をつく。
「なんか不思議よね。自分がもう一人いるなんて」
「そうね……なんだか変な気分だけど…」
「うん……私も」
唯は素直な気持ちを告げた。二人の黒髪が風でサラサラと風に遊ばせる、もう一人の唯から髪の良い匂いが漂ってくる。
「貴女は私の事をどう思っているの?」
唯は尋ねた。もう一人の唯は少し考えると
「……わからないわ」
と答えた。「そう……」と呟くと唯は再び沈黙する。
もう一人の唯も
「貴女は私の事をどう思っているの?」
と尋ねてきた。唯は「……わからないわ」とだけ答えた。そして再びの沈黙。それを破ったのは二人の唯だった。
「「でも……貴女と一緒にいるのは嫌ではないわ」
「「……私もよ」」
二人は同時にそう言った。そして二人とも微笑んだ。それはお互いが自分自身に対して初めて見せた笑顔でもあった。そして家に帰り着く。玄関に同じ靴があるのを見て、まだ違和感があるが、実感してしまう自分が二人になったことを。二人は自分の部屋に入り、荷物を置くとベッドに腰掛ける。そしてポツリと
「「どうする?」」
と言った。自分の部屋に自分が二人もいる。その事実にまだ慣れないが、不思議と変な感じがしてたまらない。だが、不思議な事に二人とも同じことを感じていた。
翌日、学校での唯はいつも通りの態度でクラスメイトと接していた。
「古手川さんおはよう」
「ええ、おはよ……」
友達と話しながらも、唯はもう一人の自分に意識を向ける。二人は交互に学校に行くことにしたのだ。そして今日は唯が学校にいるのだが何故か落ち着かない。そして家に帰ると今日、やった所をもう一人の唯と復習する。チラチラと隣を見てしまう。
そして教科書を眺めているフリをしながらもう一人の唯を覗き見る。真面目な表情でノートをとっている姿は自分とは思えないほどに凛々しい。
(綺麗ね……)
唯はもう一人の自分に見惚れてしまう。長い髪がサラサラと流れる様はまるで絵画のようだ。しかし、そんな事を考えていたせいだろうか? ふと、視線に気が付いた彼女がこちらを見てくる。そして目が合うと、
(やっぱり可愛いわ……)
唯は彼女の仕草に見蕩れてしまった。すると彼女もこちらを見ているのに気が付いた。
(こ、これは恥ずかしいわね……)
自分相手に見つめ合っているというこの状況に唯はドキドキしていた。そして相手も同じなのか頬を染めている。唯は慌てて目を逸らすと、彼女は同じように慌てながら顔を背ける。
その日の夜、唯は、トイレで考えていた。
「自分と話すのってこんなに難しいことだったのね……」
だが、それは今までにない新鮮な感覚だった。鏡の前での自分とは違い、自分の声が聞こえるのだが、それだけではない。そこにいるのはもう一人の自分で、自分を客観的に見ているのとは違うのだ。
「……」
出しているとノックが聞こえて「入ってます」と言うと
「えっ!?」と驚いた声が返ってきた。
「ご、ごめんなさい!漏れそうなの!」
その謝罪の声を聞いて唯はハッとする。それは聞き覚えのある声で、もう一人の唯のものだとわかった。
「ちょ、ちょっと待って……」
唯はそう言うがもう一人の唯がトイレに入ってきて顔を真っ赤にした。
「ご、ごめんなさい……まさか貴女も入っているとは……」
「え、ええ……私も……」
お互いに謝り合い、それから無言になる。
((き、気まずい……!!))
だが、このまま黙っていても仕方がない。抱き合うようにして一緒に用をたす。
「あ、あの……ごめんね……」
「べ、別に気にしないで……」
唯はそう答えたが、自分同士でトイレに入るなんて恥ずかしすぎる。だが、こうしていれば二人で入ることもできるし効率が良い。それにもう一人の自分もそう思ったのか、何も言わずに二人で済ませた。そして終わったが、もう一人の唯が顔を恥ずかしそうに真っ赤に染めたまま退いてくれない。
「あ、あの……ど、どうしたの?」
尋ねると、彼女は申し訳なさそうに言った。
「ご、ごめんなさい……もう少しこのまま……」
「そ、そう……」
唯はそう答えると、そのままの状態でいた。自分の顔がすぐ間近に感じられる。甘い匂いのする息までもが鼻孔を刺激した。唯は心臓が高鳴るのを感じて胸を抑える。そしてもう一人の唯も同じく鼓動が早くなっているのを感じた。ハレンチなのに唯は本来嫌っているハレンチな行為をしてしまいそうになる無意識にもう一人の唯の腰を抱いて引き寄せる。
「「んぅ……」」
そこで正気になり二人は急いでトイレから出た。そして翌日はもう一人の唯が学校に行き、唯が家にいる番だった。本来なら学校に行く筈なのに行かなくとも良いなんて考えられなくて落ち着かない昨日のもう一人の唯も同じだったのだろうか。
「なんだか変な気分ね……」
もう一人の自分が学校に行っている間、何をしているのだろうと思うと少し不安になるがそれよりも不思議なのは自分が二人になったなんて誰も信じないだろう。
「はぁ……」
そうして、またため息をつく。だが、この状態を受け入れ始めている自分がいることも確かだ。だからといってずっとこうでは困るが……。
夕方になり、もう一人の唯が帰ってきた。
「ただいま」「おかえりなさい」
自分同士でこんなやり取りするなんて思わなかったけど、悪くはないわね。そう思いながら部屋へ戻ると昨日と同じく復習をしているともう一人の唯からの視線が熱いことに気が付く。チラチラとこちらを伺うように見ていて何か言いたいことがあるように見える。
しかし、なかなか話し掛けられないようだ。
その様子を見て唯はあまりの可愛さから気付かないフリをしていたのだが、
「ねぇ……貴女」
とうとう痺れを切らして彼女に声を掛けた。
「な、なに?」
彼女は驚きながらも応えた。
「私に何か用があるんじゃないかしら?」
「そ……」
やはりあるようだ。だが、それを中々切り出せずにいる。
「言ってみて……」
唯は優しく微笑みかける。もう一人の唯は恥ずかしいそうにしていたが
「もっと近くに行っても良いかしら?」
「ええ、もちろんよ」
唯は隣に座るように促す。
すると彼女もそれに従って隣に腰掛けた。頬が触れ合いそうなほどに近い距離に彼女の香りが漂う。唯はもう一人の自分にドキッとした。それから1ヶ月はずっと二人で過ごした。お風呂に入ると裸を見てしまうし、寝ていると寝息や寝返りで体が触れることもある。でも、お互いに嫌悪感はなく、むしろそれが当たり前に感じるようになっていた。そんなある日、もう一人の唯が。
「話したい事があるの……いいかしら?」
そう尋ねられ、唯は了承する。
「ええ、構わないわよ」
するともう一人の唯が部屋に入ってくる。
「どうかしたの?あらたまって……」
そう言うと彼女は
「…私最近…おかしいのよ……」
そう言いながらこちらに近付いてくる。そしてベッドに上がると唯を押し倒すようにして上に覆い被さってきた。二人の黒髪が混ざり合う。
「ちょ、ちょっと……何のつもり!?」「わからないのかしら?貴女と一緒に過ごしているうちに私はどんどん貴女の事が……」
そう言うと唯に抱きついてきた。突然の事に驚いた唯だったが、振り払うことはできなかった。
そう理解してしまうと唯は胸が高鳴り緊張してくる。
「貴女はどうなの?私に触れられるのは嫌?」
そんな風に言われたら答えは決まっている。
「私……嫌じゃないわよ……」
「一緒ね……」
「ん……」
唯はもう一人の唯を受け入れる。二人は初めての経験だが、すぐに慣れて互いに求め合った。だって唯も同じだったから唯ももう一人の唯と一緒に過ごしているうちにも唯はどんどんもう一人の唯の事を気にしてきていた。
だから、こういうことをしてはいけないと思うのにもう一人の唯が求めるのなら唯は受け入れてしまった。抱き締める同じ身体をもう一人の自分が抱いている。その事実が二人の感情を高めていく。
ただ抱き締め合っているだけなのに、もうそれだけでは満足できない。
「……私達……いけないことしているのよね……」
「ええ……わかっているわ……」
二人は罪悪感を抱きながらも行為を続ける。ただ抱きしめてお互いの匂いを感じる自分の匂いなのに良い匂いがして、それに酔いそうになる。互いの柔らかい身体を柔らかい身体で感じると、より気持ちがいい。そのまま二人は1日ずっと一緒に過ごした。そして寝る前二人は一緒に眠りにつく。それは幸せだけど同時に辛くもあった。もしこの関係がバレたら大変なことになるのは分かっていたが唯はそれすら受け入れるつもりでいた。もう一人の唯も同じなのかなと気になったが確かめることができない。そのせいもあって、ますます強くもう一人の自分を意識してしまった。唯はもう一人の唯に背を向けて寝ていると背中にもう一人の唯の体温を感じた。もう一人の唯に抱きしめられている。そう思うと胸が高鳴った。ドキドキする。もう一人の唯の鼓動が伝わるようで、それを聞いていると安心する。そして、もう一人の唯が寝返りをうった。背中を向けたのだろう、唯ももう一人の唯に抱きついた。その時、もう一人の唯の鼓動が早まった気がした。もしかして、もう一人の自分も自分と同じことを考えているのかもしれない。そんな事を考えながら唯は抱き締める力を強めた。
「好き……」
無意識に呟いていた。それを聞いていたのかもう一人の唯が反応する。
「ええ……私もよ……」
唯の手を握るもう一人の唯の手、唯はもう一人の唯の髪に顔を埋めた。良い匂いがする。
「ねえ……」
「なに?」
「明日は貴女が学校に行く番よね……」
「ええ、そうね……」
「そしたらまた帰って来るまで寂しいのかしら……」
「大丈夫よ……」
「どうして?」
「私も寂しいから」
「そっか……」
そう言って唯は抱きつくのをやめるともう一人の唯が抱きついてくる。唯も抱きつき、額を重ねて見つめ合う。
「ずっとこうしていられたら良いのに……」
「ええ……そうね……」
そう言いながら唯達は眠りについた。翌朝起きると気まずくて何も言えない。だが、二人とも昨日のことは覚えていて夢ではないのだと自覚していた。自分同士であんなにも抱き合って……きっとこれから何度も繰り返すのだろう。自らが嫌ったハレンチな行為を…だけど…妄想してしまう自分同士でキスする想像を自分の唇はどんな感触なんだろうと自分の舌はどんな味がするんだろうと、そう思ってしまう。それを思うと恥ずかしくなるけど、気になってしまう。
「そろそろ……学校に行かないと……」
「そ、そうね……」
唯は名残惜しそうにしながら立ち上がる。
「行ってらっしゃい」
「ええ……貴女も」
そうして、お互いに別々の行動となり、その日の夜、風呂に入る時間となり
「今日も一緒に入る?」
唯が尋ねるともう一人の唯は
「うん、お願いするわね」
そう言い二人でお風呂に入った。何度見ても身体に一切の違いはなく均整のとれた美体に最近また大きくなった胸まで同じだ。洗いっこをして体を洗ってもらうと、今度は彼女が背中を流してくれる。そして互いに髪を絡めて洗う丁寧さも変わりない。
「気持ち良いわね」
「ええ、こうして洗うのも…もう何十回としているけど慣れないわね」
「ええ、そうね」
やはり同じ唯なのだから考えていることが一緒で面白いと思う。彼女は丁寧に唯の髪をとかすように洗ってくれる。そして、泡まみれになるとシャワーを出して、流してくれた。そうして、二人で入るとお湯が溢れるのも構わずに湯船に浸かるといつものように唯は浴槽に足を伸ばすように座り、交錯するようにもう一人の唯が座るようにして浸かっていた。
「ふう……」
湯船に肩まで使って気持ち良さそうにしている彼女を見て可愛いと思いながら抱き締めた。
「あ……あの……」
彼女は恥ずかしがりながら声を出す。そんな彼女を唯は優しく微笑みながら頭を撫でる。
「ちょっと……もう……」
嫌がるような素振りは見せるが振り払う様子はない。むしろ彼女の方からも手を伸ばして抱きついてきた。唯はそれを受け止める。二人の体が密着して、肌が触れ合い、柔らかさが伝わる。唯は彼女に囁くように尋ねた。
「どう?私の体?」
「柔らかいわ……」
そう言うと彼女は頬を赤らめる。
「それに温かい……」
「私もよ。貴女の身体も温かくて心地が良いわ……」
「私もよ……」
唯は彼女の胸に手を這わせる。指先が埋まるほど柔らかくて、弾力がある。そして彼女は胸を揉まれる感触を確かめていた。
「私達……本当に同じなのね……」
「ええ、同じよ。私も揉んで良いかしら?」
「ええ、もちろんよ……」
唯は遠慮なく胸を揉むと彼女は甘い吐息を漏らす。胸を押し合わせると気持ちが良くて、お互いを求め合う。
「んっ……」
二人はそのまま長い時間求め合った。
そして、肩を寄せ合い手を繋ぐ。頬を寄せ合い
「……のぼせちゃうわよ」
「…貴女の顔熱いわよ…先に上がったら?」
唯はもう一人の唯を見つめる。そして、もう一人の唯も唯を見た。二人は見つめ合うと自然に顔を近付けて唇を重ねそうになる。その瞬間、電流が流れるような感覚に襲われ二人はビクッと跳ねた。二人は共に赤面し急に恥ずかしくなり、そのまま浴室を出た。脱衣所でタオルを手に取り裸のまま抱き合うとお互いの濡れている肌が吸い付くようだった。唯は相手の鼓動を感じる。ドクンドクンと早くなっているのを感じて興奮する。もう一人の唯も鼓動は速くなっていた。無言で互いを見る。何を考えているのかわかるが、その行為をするには羞恥心を無視する必要があって、だけどしたいという欲望が膨れ上がる。だけどその行為は二人が嫌うハレンチな行為だ。
「ダメよ……」
「貴女も……」
そう言いながらも視線が重なる。二人とも期待している同じ唇を重ねることを口付けることをだけどそれをすると何かが崩れてしまうかもしれない。そう思い躊躇っていると
「ねえ……」
「なに?」
「お願いだから……」
「貴女からして……」
そう言って目を瞑る。それが意味することは分かっているから唯は自分の鼓動がさらに高鳴ったのを感じた。そうして、ゆっくりと顔を近づけていく。お互いの顔が近づくにつれて良い匂いも近づいてくる。そして唇が触れようとして兄の声が聞こえて二人は急いで離れると唯は先程の事を思い出す。顔を見ると赤くなっていて、ドキドキしていた。二人は自分の髪にドライヤーをかけ始めた。彼女の髪は長く綺麗で艶があって羨ましい同じ髪なのに綺麗に見えた。髪を乾かすと、もう一人の唯は唯に艶やかな黒髪を魅せるように手で後ろに流すと微笑んだ。唯はその姿を見て見惚れていた。だから唯ももう一人の唯に艶やかな黒髪を魅せるように後ろ髪を掻き上げると笑みを浮かべた。そうしてお互いに髪を魅せ合い誘惑し合っているといつの間にかベッドの上で重なり合っていた。
「ねぇ……」
「なに?」
「キス……しない?」
「え、ええ……」
唯はそのまま彼女とキスをした。初めて自分同士でキスをする。
「ん……」
唯のファーストキスは舌を絡ませる濃厚なものとなった。唯は自分同士の激しいキスに頭がクラクラした。舌を絡ませて唾液を交換しながらキスをして唇を離すと銀色の糸を引いた。もう一人の唯は潤んだ瞳で唯を見ていた。唯はもう一人と目を合わせると
無意識に唇を重ねて唇を貪るように激しく重ねた。もう一人の唯は受け入れて互いの唇を啄むようにしながら何度も重ね合わせた。互いの唇は瑞々し柔らかかった。唯は我慢できなくなって舌を入れて絡めた。もう一人の唯もそれに応えるように積極的に舌を伸ばして絡ませた。そして互いに舌で刺激を与え合いながら唾液の交換をし、唯は夢中になって彼女の舌を求めた。彼女も同じように唯を求める。そして、どちらの唾液かわからないが混ざり合ったものがこぼれ落ちていた。唯はもう一人の唯ともっと触れたいと思った。そう思うと手が勝手に動いてもう一人の唯の豊満な胸に触れていた。唯の手が彼女の胸を包むようにして優しく揉むともう一人の自分は嬉しそうに甘い声を上げた。柔らかい乳房を優しく撫で回すように揉みほぐす。彼女の乳首は固くなっていて摘まむと甘い声を出した。
「あんっ……」
「気持ち良い?」
「ええ……気持ち良いわ……」
彼女は息を上げながら答えた。そして唯は彼女の胸を口に含んで転がすようにすると彼女は身を捩らせた。
「ああっ……あぁ……」
「気持ち良い?」
「え、ええ……凄く……」
彼女の胸を愛撫する。彼女は甘い声を上げて体を跳ねせていた。胸は柔らかくて揉み心地が良い。唯は彼女を気持ち良くさせたくて彼女の胸を吸い上げ甘噛みして吸うと彼女は一段と大きな声を上げる。
「ああ……ああん……ひゃうっ」
そして、もう一人の唯の股間に触れると彼女の秘所は湿っていた。唯は彼女に囁く。
「感じてるのね……」
「え、ええ……」
「可愛いわ……」
「や、止めなさいよ……」
「嫌じゃないでしょ?」
そう言うと唯は彼女にまた口付けをして、舌を侵入させて口腔内を犯した。同時に手を這わせて陰核を刺激した。
「んっ……んんっ」
彼女は抵抗するように腰を揺らしたが、次第に力が抜けていき、そして
「んんっ!」
もう一人の唯の秘所から潮が溢れる。唯は唇を離す。
「気持ち良かった?」
「え、ええ……」
「貴女だけなんてズルいわ」
「じゃあ、次は貴女の番よ」
「ええ……」
唯はもう一人の唯に口付けると、もう一人の唯が唯を押し倒し覆い被さる形になった。そのまま口付けられて、舌が絡み合う。もう一人の唯は唯の胸を弄び、両手で掴まれて指先が沈み込む。
「ん……ちゅぷ……れろ……ぴちゃ……んぅ……」
舌と手の感触に唯は快楽を感じていると、彼女はそのまま唯の太腿に手を伸ばす。もう一人の唯の細い指先が太腿をなぞる。唯はその感覚にビクッと跳ねる。唯の唇から離れると、もう一人の唯は耳元で甘くささやく。
「貴女も感じる?私の身体……」
「ええ……」
「そう……私もよ……」
そう言って彼女は唯の唇を奪った。それと同時に彼女の手は唯の足の付け根に伸びて唯の性器に触れた。
「んっ!んん……」
「ふふっ、こんなに濡れているのね……」
「恥ずかしいから言わないで……」
「貴女も人のこと言えないでしょ?」
「それは……」
「良いのよ。私が貴女に同じことをしたんだから、だから貴女も遠慮なくして良いのよ」
そう言ってもう一人の唯はゆっくりと顔を近づけて舌を伸ばして唯の首筋を舐めた。ゾクゾクとした快感が押し寄せてくる。もう一人の唯は唯の反応を見て楽しんでいる。
「良い反応ね」
そう言ってもう一人の唯は唯の胸をしゃぶった。生暖かい舌が乳首を転がして、その感覚に悶える。もう一人の唯は唯の乳首を強く吸った。
「あっ……!」
強い刺激に声が出てしまう。もう一人の唯は口を離すと、今度は胸に顔を埋めて強く抱きしめてきた。柔らかい胸の感触に唯は興奮していた。そうして二人は抱き合ってお互いの豊満な胸を押し付け合っていた。二人の胸は柔らかく潰れて乳首が擦れる。
「あんっ……」
「ああっ……」
唯は胸の柔らかい感触と熱い吐息を感じるとさらに胸の鼓動が速くなり、秘所はさらに熱を帯びて潤んできた。もう一人の唯も同じようで、唯は彼女の顔を見ると頬を紅潮させていた。
「ねぇ……」
「なに?」
「もっとキスして欲しいの……」
「ええ……」
「貴女としたいの……」
「ええ……」
唯はもう一人の唯に唇を重ねた。舌を絡ませて唾液を交換しながら唇を吸い合い、舌で刺激を与えながら唾液の交換をする。
「はぁ……んっ……はぁ……ちゅっ……はぁ……んっ」
「んっ……んっ……はぁ……はぁ……んっ」
唯は夢中になってもう一人の自分とキスをし続けた。もう一人の唯は息を荒げながら激しく求めてきた。互いの唾液が混じり合い溢れていた。唯たちは何度も唇を重ねて貪るように求めたった。乳首がコリコリと擦れて感じた。唾液を交換しながら互いの舌で刺激を与え合い、舌を絡ませ合った。
「はぁ……んっ……はぁ……はむ……んっ……んっ……」
「はぁ……んっ……はぁ……はぁ……んっ……はぁ……」唯は彼女の胸を揉みしだきながら乳房を口に含んで転がすようにすると彼女は声を上げた。
「あん……ああっ……ひゃう……あん……あっ……ああっ……」
「はぁ……ああっ……あん……あっ……ああっ……」
唯は彼女の乳房を口に含んで吸い上げると彼女は一段と大きな声を上げた。
「あああっ!」
そして、彼女の秘所に指を入れると彼女の膣内は湿っていて柔らかくなっていた。彼女の膣内を探るように指を動かすと彼女の身体が跳ねた。
「ああんっ!ああっ……」
「気持ち良い?」
「ええ……」
もう一人の唯は甘い声で答える。唯は彼女を快楽へと導くため指を動かした。もう一人の唯は体を反らして悦んでいる。
「ああ……いい……凄く……感じるわ……」
「私もよ……」
「一緒に気持ち良くなりましょう……」
「ええ……」
そう言うと唯は指を増やして動かして彼女を責め立てる。
「あああっ!ああっ!」
「んん……ああっ!」
唯は自分の性器を広げて見せつけた。もう一人の唯はそれを見て興奮しているようだ。
「貴女のここ、凄く濡れてるわよ」
「貴女だって……」
「貴女のせいよ」
「貴女のせいね」
そう言い合うと、お互いに近づいて性器同士を触れ合わせる。
「私達のここにも……」
「そうね……」
「重ねるわよ」
「ええ」
そう言うと唯はもう一人の自分の性器に挿入して腰を落とした。二人の性器が重なり合うようにして合わさる。貝合わせだ。
「あっ……」
「はあ……」
二人は同時に声を上げる。腰を揺らすと性器同士がこすれ合って刺激を与える。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
唯達は快楽を求め合う。二人の喘ぎ声と吐息が部屋に響く。二人は快楽に溺れてひたすら求め合う。唯がもう一人の自分に覆い被さる体勢になり、二人は互いに抱きついて肌と肌を合わせる。そして、胸を押し付け合って唇を重ねる。唇を重ねながら二人は性器を擦り合わせた。二人の性器はもうすっかり濡れていて、動かす度に水音が響いた。
「はぁ……はぁ……んっ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ」
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ」
「はぁ……んっ……んっ……はぁ……はぁ……んんっ」
「はぁ……んっ……んんっ」
二人は見つめ合うとまたキスをし始めた。お互いの舌が絡み合う。唾液を交換しながら互いに抱きしめ合った。お互いの性器は熱く湿っていて互いの感触を確かめ合っていた。その刺激によって唯たちは感じていた。
「んん……んんん!!」
もう一人の唯はビクッと跳ね上がるように反応すると、絶頂を迎えた。大量の愛液が流れ出て二人はさらにヌルヌルになる。そして、膣がぎゅっと強く締まって唯の指を締め付ける(私も……イきたい……)
そう思った瞬間だった、彼女は自分同士の繋がりを求めてしまう。彼女の乱れる姿に興奮した自分の秘所を指で掻き回してさらに快楽を求めるがそれでも足りなかった。彼女はもう一人の自分ともっと深く繋がって感じたかったのだ。
自分の息さえも相手の息のように思えて
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ」
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ」
唯の股間は熱を帯びて潤んできた。
「はぁ……はぁ……そろそろイキそうなの……」
「はぁ……はぁ……うん……私も……」
「ねぇ、このままイカせて……」
「ええ、良いわ……」
そう言って二人は激しく動いた。性器が擦れ合って二人は同時に達してしまった。
「ああっ!」
「ああっ!」
二人は絶頂を迎えてぐったりとしていた。二人の秘所からは愛液が溢れ出していた。
「はぁ……はぁ……」
無言で二人は抱き締め合って唇を重ねた。舌と舌を絡ませて唾液を交換する。しばらく抱き合っていると、二人は落ち着いてきた。二人は互いに頭を撫で合っていた。サラサラな黒髪の手触りに唯は心地良さを感じていた。やがて、落ち着いたところで
「んっ……ふぅ……はぁ……」
「ちゅ……んむ……ん……」
二人は夢中で唇を重ねる。もう止まらない。止められない。そして行為を終えてから
「はぁ……はぁ……ねえ……私……明日からもこんなこと続けていきたいの……だめ……かしら…?」
もう一人の唯は息を荒げながらそう言った。
「ええ、私もよ……」
「じゃあ……また…………」
「ええ……」
こうして二人だけの秘密の関係が始まった。それはずっと続いていく……。今度は優しく抱き締めて額に軽くキスをした。そうしてまた何度も唇を重ねた。そうして、二人はお互いを求め合うようにして抱き合いながら眠った。
翌朝、唯が目を覚ますとそこには昨日と同じ光景が広がっていた。ベッドには自分ともう一人寝ていた。唯はもう一人の自分を起こして部屋を出る。そしてまた夜になり、二人は激しく求め合った。そんな日々が一週間ほど続いた。だが、そんなある日のこと。唯はもう一人の自分とキスをしていた。すると、もう一人の唯が
「ねぇ、学校も一緒に行かないかしら…貴女がいないと寂しいの……」
そう言うと唯は笑顔を浮かべた。
「そうね、貴女とは離れたくないもの……」
そう言うと唯はもう一人の自分に近づいて抱きしめた。そして、それからというもの唯達は二人で居ることがほとんどになった。お互いがいない時間というのは寂しくて耐えられなかったのだ。だが、学校に行けば二人は驚愕した。何と西連寺春菜や数人の女子生徒まで二人になっていたのだ。唯ともう一人の唯は驚いたが、お互いに受け入れた。
「私達以外にもこうなっていたなんてね……」
「ええ……」
そうして、二人での日々が始まる。