「この物語はフィクションであり、登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものであり、実在する団体、人物などとは一切関係ございません。」 いよいよマジック当日の日になった。 空は快晴で熱気球を飛ばすには最高の天気である。 屋外での公開録画という事もあり既に多くの観客たちが集まっていた。 司会者が舞の横に立ちインタビューを始めた。 「舞さん、この前の水槽からの脱出は見事でしたね。」 「ありがとうござます」 「それにしても、最後はどうなるかとハラハラしましたよ。」 「そうですね。あれだけ厳重に拘束されると流石の私も時間が掛かってしまって。」 「しかも針金1本だけで鍵を開けてしまうなんて凄いですね?」 「鍵の解除なんてそんなに難しくはありませんわ。」 「いや、それはマジシャンである舞さんだから言える言葉でしょ。」 舞は笑顔を浮かべながら「ありがとうございます」などと言っていたが心の中では別の事を思っていた。 (本当、皆単純で助かるわ。これは種も仕掛けも有るマジックショーなのよ・・・) 彼女は針金1本で鍵の解除をしていると言ったが、実は彼女自身鍵の解除などは出来ないのだ。 元々あの鍵には仕掛けが有り、鍵の側面に付いているボタンを押すと自動的にロックが解除されるようになっているのだ。 だから、本当は直ぐにでも脱出は出来るのだが、それでは見ている観客たちがハラハラしない・・・・。 なのでエンターテイメント性を上げるためにわざと時間を掛けてから時間ギリギリに脱出するようにしていただけなのだ。 しかも頭上の蓋は水槽に固定されていないので両手で持ち上げれば枠ごと簡単に持ち上げられるようになっている。 なので鍵の付いている扉も単なる飾りでしか無い。 彼女が水槽の中でおこなった行為は全て演技なのだ。 そんな事、舞は勿論この男に教えるつもりは無い。 その方が彼の実況中継がさらに真に迫った物になるからだ。