「この物語はフィクションであり、登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものであり、実在する団体、人物などとは一切関係ございません。」 すべての準備が整った事を確認するとスタッフが給水用のバルブを廻して水槽に水を注ぎ始める。 それと同時にタイマーのスイッチが入り時間の針が回り始める。 舞は早速背後の手錠を外しに取り掛かった。 全ての鍵を外すにはそれなりの時間が必要なので水槽から脱出する頃には水槽が水で満杯に満たされてしまう。 南京錠の解除に手間取った場合、最後は水中で息を止めての作業になる可能性も有る。 呼吸が出来る今のうちに少しでも多くの南京錠を外しておく必要が有るのだ。 水の勢いはユックリ・ユックリではあるが強化ガラス越しに水槽内の水面がジワリジワリと上昇しているのが見える。 舞は両腕を固定している手錠を弄ると鍵穴の位置を手探りで探した。 両腕を固定されているため方手だけで針金を使って鍵を解除する必要があり、また背面での作業であるため勘と経験が頼りだった。 両手の指先と針金を使い手錠の鍵を外そうと試みるが簡単な作業ではないようだ。 だが依然として彼女の表情に焦燥の色は無い、むしろ余裕さえ感じられる。 水槽内を満たしていた水位は徐々に上がり彼女の膝や尻を越すほどの高さまで上がり始めていた。 彼女が躰を捩るたびにガチャガチャと金属製の鎖が擦れる嫌な音だけが響く。 「舞さん大丈夫でしょうか?まだ手錠すら外せてないようですが」司会者の男が心配そうにスタッフの男に聞いた。 「大丈夫ですよ!彼女ならきっと脱出できるはずです」 「しかし時間が経つにつれて水槽の水かさが増えていますよね?このままだと彼女は溺れてしまうんじゃないですか?」 「まあ確かにそうかもしれませんね。でも彼女は此れまで何度も危険な状況から生還していますから」 「そっ、そうなんですか?」 「えぇ、だから今回も絶対に成功すると思いますよ!」 しかし、2人の会話の間も舞は懸命に手を動かし続けるていたが状況は一向に変わらずただ無情にも時間だけが流れていった。