前回記事: https://www.pixiv.net/fanbox/creator/4073735/post/114562 前回に引き続き、「異形のいる風景2」表紙イラストのメイキングを解説していきます。今回は人物より奥にある風景の着色などです。 ■人物レイヤーの作成 遠景を塗る前にレイヤーを2つ作成して、それぞれ人物の「線画」と「塗り」に割り当てることにします。まず下塗りをしたレイヤーの不透明度を下げる等して下塗りを薄く表示するようにしてから、人物の線画を描いていきます。詳細部分は塗りながら描き込むので、この時点ではアウトラインや重要な部分の線画のみを描きます。 線画ができたら、「塗り」レイヤーを人物の形に切っていきます。個人的にはアンチエイリアスの入った通常の丸ブラシで丁寧に塗りつぶしていくのが趣味です。わかりやすい色で作業するとはみ出しなどを管理しやすいです。 塗りつぶせたら、下塗りレイヤーをコピーして、「塗り」レイヤーにクリッピングマスクで重ねます。Photoshop以外のソフトの場合、「塗り」レイヤーの選択範囲を取ってコピーした下塗りレイヤーを切り抜くことで同じ状態になります。とにかく、下塗りの人物部分を「塗り」レイヤーの形に切り取れれば問題ありません。 切り取った後は、背景がはみ出している部分などを塗り足して人物の形を明確にします。これをやると「手が長すぎる」「顔が小さすぎる」等に気付きやすくなるので、気付いてしまったら嫌々修正します。見なかったことにしても構いませんが、ほぼ間違いなく後悔するので、あまりオススメできません。 ■遠景の着色 - 下塗りを整える 人物レイヤーを切り抜いたら、背景の着色を進めていきます。僕は遠くにあるものから仕上げます。理由は「アナログ風の厚塗りにするには、奥から塗り重ねていくと雰囲気が出やすい」からです。先に手前をレイヤー分けして塗ることもアリだと思います。好きなやり方を自分で選びましょう。 なお、今回は下塗りの上に状況に応じてレイヤーを増やしながら塗りましたが、これはPSDを公開したときに分かりやすくするのが目的で、普段はこのぐらいの背景ならば1枚のレイヤーで塗ってしまっています(PSDの配布はこのシリーズの第4回を予定しています)。 遠景に限らず、背景の基本は「下塗り → 輪郭を整える → 仕上げ」だと思います。今回は下塗りできちんと最終段階に近い色を置いてあるので、仕上げはほとんど単純作業です。今後の着色は、だいたい基本の丸ブラシの不透明度を50~70%にし、ブラシサイズを筆圧感知にして塗ります。 [#2-4] まず輪郭を整えるのですが、塗りたい色をスポイト → 上記ブラシで塗る、を繰り返すことで整えます。Photoshopやクリスタだと、スポイトはブラシツールを選んだ状態からAltキーを押しっぱなしにして、塗りたい色をクリックで可能です。 スポイトと塗りを繰り返して輪郭を整えつつ、細部の塗られていないパーツにも色を置いていきます。必要であれば新しく色を作りますが、作った色が不自然だと思ったら、アンドゥー(Ctrl+Z)をする前に塗った部分を一旦スポイトしてから、アンドゥーをしてもう一度塗ると、下の色と馴染みやすいです(不透明度を下げたブラシで塗っているため)。馴染みすぎたと思ったら何度か重ね塗りすれば元の色になるので、よくこうやって色を調整します。 輪郭を整えるのと同時に、無駄なムラをなじませます。ぼかしを最大にした丸ブラシ(不透明度40~50%、サイズのみ筆圧感知)で、先程と同様にスポイトと塗りを繰り返して馴染ませます。一部の塗りムラはテクスチャとして利用したりするので、どこを馴染ませるかは、基本的に目立つエッジが無い部分になります。今回はガラス部分や地面など、平坦な面を見せたい部分については一度馴染ませてあります。 ■遠景の着色 - 仕上げ 輪郭を整え終わったら、細部の描き込みをします。といっても奥の風景についてはあまり描き込みすぎると画面がクドくなるので、エッジを強調する程度にします。具体的には、光が当たっているエッジにハイライトを入れ、何かが接している部分を暗く塗る感じです。 手前のものほど描き込みの密度を高くすると、自然な遠近感が演出できます。一番細かく描き込むのは絵の主役で、今回は人物周辺の描き込みを増やしたいので、それ以外の部分については意識して描き込む密度をコントロールします。例えば柱の描き込みも、手前と奥では若干ですが変えています。 [#2-5] 塗っている最中も、何度か全体像を確認します。縮小画面を表示させても良いのですが、僕は、大きく表示しておいてディズプレイから離れて確認するようにしています。最初に想定したイメージから変わりすぎていないか、影の色が上手くコントロールできているかなど、意識してチェックすることはとても多いです。 一通り描き込めたら奥の背景は完成です。次回は引き続き手前の風景を描いていきます。 続きはこちら → https://www.pixiv.net/fanbox/creator/4073735/post/114580 新刊「異形のいる風景2」は以下のイベントで頒布予定です。 ・8/12(日) コミックマーケット94(3日目) 西1ホール れ-18a ・8/19(日) COMITIA125 東3ホール ま36a 通販など詳細は → https://www.pixiv.net/fanbox/creator/4073735/post/112418