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サトー
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『ふたりの秘密』(下)

「――ンッ――ンンッ――――ンッ――ンンッ――」  真っ黒いアンダーウェアとタイツは、ミチッ、ミチミチッ、と音を立てて、泰海の頭の天辺から足先までを覆い尽くした。  真っ黒いアンダーウェアとタイツに全身をすっぽりと覆われた泰海は、ごつごつと筋肉の隆起した巨大なマネキンを思わせた。全身に漲る圧倒的なチカラに興奮を押さえ切れず、泰海は「ハッ、ァッ、」とチンポの根元を両手で押さえた。睾丸が熱かった。射精の瞬間、ググッと膝の辺りに圧がかかるような衝撃を感じた。  ――ビュルッッッ!!!! ビュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッッッッ!!!!  凄まじい射精の勢いにチンポの竿がぶるぶると震え、うっすらと灰色がかった粘り気の強い精液が天井にまで噴き上がった。それからは、蛇口の栓がぶっ壊れたように止まらなくなった。  ――ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッッッ!!!!  射精を繰り返すうち、アンダーウェアとタイツと呼ぶべきかも分からない真っ黒い『ソレ』は、泰海の身体の内側まで浸蝕した。真っ黒い『ソレ』は、熱い液体となって目の縁や耳の穴や口やケツの穴からドクッドクッとあふれるほどだった。  真っ黒い『ソレ』は宿主である泰海の肉体をさらに進化させるため、泰海の精神を汚染した。  泰海は、ズクッ、ズクッ、と脳の疼くような感覚に襲われた。真っ黒い『ソレ』は泰海の中に燻っていた感情、虎太郎に対してかすかに抱いていたコンプレックスを増長させた。さっきまでの急激なバルクアップに伴う高揚感は消え、泰海は自分が虎太郎よりひどく劣った存在に思わされた。   「悔しいッ!! 悔しい悔しいぐやしいぐやしいぐやしいィッ!! 全然ッ!! 足りねェッ!! もっとッ!!」  泰海は頭を掻き毟りながら叫んだ。とっくに虎太郎を越えていたにもかかわらず、何もかもが足りないという渇望感に駆られた。  その時、小学生の頃にアニメで見た虎の獣人、その獰猛な肉食獣の特徴を有した雄のイメージが泰海の脳裏に閃いた。それこそが自分が求めてやまないモノに思え、その瞬間、全身がゾワッと総毛立つのを感じた。  真っ黒い『ソレ』は泰海の思い浮かべた欲望のイメージを取り込み、泰海の肉体に新たな特徴を付与しようとした。  ギシンッ、ギシシッ、ビキビキッ――。  泰海はジョイントマットの敷き詰められた床に四つん這いになり、ビクッビクッと腰を震わせながら背中を丸めた。「フウウウゥゥゥ――ッ、フウウウゥゥゥ――ッ」肩で息をする度に、泰海の常人離れした立派過ぎるガタイはさらに幅と厚みを増していくようだった。  真っ黒い『ソレ』と同化した皮膚から、深い橙色と黒色と白色の短い獣毛がざわざわと生える。深い橙色と黒色と白色の短い獣毛は胸から身体の末端へと広がっていき、獣毛に覆われた手足の先に鋭くなった黒い爪が覗いた。鼻が骨の軋む音を立てて前に伸びていき、その周囲から白っぽい長い髭がまばらに生える。両耳は頭皮を巻き込むように上へ上へと移動し、丸みを帯びた三角形に形を変え、柔らかい毛に覆われる。大きく開かれた口に人間の歯は既になく、肉食獣を思わせる牙が生え揃っている。真っ白い獣毛の股間からは赤黒く怒張したイチモツが反り返り、薄い橙色の獣毛に覆われた睾丸がひくひくと震えている。尾てい骨の辺り獣毛が盛り上がったかと思えば、ギュッギュギュッと音を立てて肉が盛り上がり、深い橙色に黒色の縞模様の入った尻尾が引っ張られるように伸びていく……。  泰海の身長は二八〇センチ、体重は二四〇キロに達していた。立ち上がると敷き詰められたジョイントマットの足元がズンと沈み、天井の高さが足りないせいで背中を丸めなければならなかった。  泰海は薄黄色の角膜に黒色の虹彩をした虎の目を細め、わずかに残っていた理性でもって現状を把握しようとしていた。しかし、獣人化による快楽によってわずかに残っていた理性をあっという間に押し流されてしまう。  ――アア……キモチガイイ……  ――コンナ感覚、ハジメテダ……  泰海は、口の端をニイッと釣り上げながら常人離れした規格外のチンポを扱いた。  ――ビュクビュクッ!! ビュルッ!!  ビュルビュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッッ!!!! ドクッ、ドクッ……  弓のように反り返った逞しいイチモツの先から、真っ黒く粘り気の強い『ソレ』が噴き上がる。精液のような、雄の体臭のような、グルマン系の甘ったるい香水のような、体操着や下着に滲みついた汗の臭いを何十倍にも凝縮させたような、強烈な臭気を放つ真っ黒く粘り気の強い『ソレ』が、尻餅を突いて啞然としている虎太郎の身体に降り注ぐ。 「アアッ、アアアアアアッ、アアアァ……ッ!!」  泰海は射精を繰り返す度に、《泰海》の名前を持つ人格が失われていくような奇妙な感覚に襲われた。真っ黒い『ソレ』は、獣性が剥き出しになった泰海の肉体に、暴力に快感を覚える残虐非道な人格をインストールした。  泰海は、自分が虎太郎より《虎太郎》という名前に相応しい男になっていくのを感じた。  ――俺ハ、《虎太郎》ナンダ……。  ――俺ハ、《虎太郎》ニ“成ッタ“ンダ……ッ!!  泰海――いや、《虎太郎》は、獰猛な虎の牙を覗かせ、人間だった頃とは違うざらざらとした野太い声で叫んだ。 「あ……? お前。誰だっけ……?」《虎太郎》は、尻餅を突いて啞然としている虎太郎を見下ろし、何か大事な記憶が抜け落ちているのを感じて思い出そうとしたが、すぐにどうでもよくなり、「ま、いっか、とりあえず喰っていいか?」と満面の笑みを浮かべた。 (完) あとがき: お待たせしました、小説の更新です! 今回は小説執筆のリハビリなので短めの作品ですが、これからまた少しずつ長い作品に取り組んでいけたらなと思います(変身シーンだけでなく、もっと色々な展開を考えていたんですが、なかなか小説としてまとめられず、ここで区切りをつけることにしました汗)。 今月はイラストの更新も予定しています。

Comments

コメントありがとうございます! 小説は小説で、絵では表現できないものが描けて、やっぱりいいなーと感じました。 獣人化の描写って絵だとうまく描けないので(画力が足りず汗)、こちらで欲望を発散したいと思いました笑

サトー

虎太郎へのわずかなコンプレックスがとんでもない形で表れてしまいましたね……280cm240kgはとんでもないでかさだ…… 最後、恋人である虎太郎のことも忘れて「喰っていいか?」と笑うの、本当に怪物になっちゃったように感じちゃいました……!!

ichiya


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