『悪魔のフィギュア』(中)
Added 2021-06-23 09:25:42 +0000 UTC宮本琢磨(26) 喜多川良哉(26) * どれだけの人が夢を覚えているだろう? 多くは目が覚めた直後から記憶が薄れ、会社に向かうための身支度をして家を出る頃には夢の内容などさっぱり忘れてしまっているものだ。俺の場合、どうにか夢を思い出そうとしても、まとまりのない断片的な映像が頭に浮かぶだけで終わる。 しかし、悪魔のフィギュアが行方不明になった夜に見たあの夢だけは違った。俺は、その夢の内容を何度も鮮明に思い出すことができた。トンネルを歩いている時の靴裏のアスファルトの感触、オデッセイの窓に映り込んだオレンジがかった蛍光灯の明かり、2メートルは優に超えるだろう背丈に分厚い筋肉の鎧を背負った男の姿……。 結局、あの夢から目を覚ました後は、昼の仕事の出勤時間ギリギリまでセンズリを扱いてしまった。性欲が旺盛になったことに比例して、体力までもが旺盛になっていた。いつもは眠い目を擦りながら嫌々出勤していたが、その日はギンギンに目が冴えたまま始業時間を迎えた。 俺は疲れ知らずになっていた。朝から夕方まで今までにない元気が続き、俺は、――あれ? こんなに楽勝だったっけ? と思いながら、昼のごみ収集の仕事を終えた。夜のパチンコ屋のバイトに向かいながら、俺は自分の身体に漲っているエネルギーを感じた。このぶんだと、夜のパチンコ屋のバイトが終わった後でも明け方まで筋トレに取り組めそうだった。 またジムでも契約するかなと考えながらパチンコ屋のホールを歩いていると、背後から怒号が飛んだ。「おいッ!! お前ッ!!」呼ばれて振り返ると、そこには顔を真っ赤にした作業着姿の若い男が立っており、ずんずんと俺に近づいてきて襟首を掴まれた。「何でとっとと来ねェんだよッ!! 玉詰まりしたせいで当たりが飛んじまったじゃねェーかッ!! ちゃんと補償してくれんだろうなァッ!!」 俺は襟首を掴んだ男の手を押さえながら「落ち着いてください、とりあえず――」と返事をしたが、男は聞く耳を持たず「はよ店長呼べやッ!! あッ?! 聞いてんのか、店長呼べつってんだよ耳ついてんのかテメェッ!!」と罵倒を続けた。ぱっと見20歳くらい、短く刈られた金髪の坊主スタイルで、いかにも田舎のヤンキーといった感じだ。俺より背が高く、見下ろされると威圧感がある。 「少々お待ちください」俺は何度も頭を下げ、インカムで店長に指示を仰いだ。パチンコ屋はお世辞にも客層が良いと言えない。面倒臭い客に当たるのは日常茶飯事だが、それにしてもタチの悪い客だった。普段の俺だったらクレームを受けるだけでオロオロしてしまっていたが、今日はなぜか激しい殺意を覚えた。年下の癖にイキりやがって、何で俺がこんなカスの相手をしないといけねェんだ――。 仕事が終わっても苛々は止まらなかった。帰り道、自転車を漕ぎながらハラワタの煮え繰り返る怒りに駆られる。「クソッ、」片手でハンドルをガンッと叩く。夢の中で俺とそっくりな男が死肉を貪っていた映像がちかちかと脳裏に閃き、俺は「ぶッ殺してェ……」という言葉を洩らした。くだらないクレームで騒ぎ立てるヤンキー男だけじゃない、社会全体に対する怒りが込み上げた。 「くだらねェ、ぶッ殺してェ、ぶッ殺してェ、ぶッ殺してェ、ぶッ殺してェ……」どうして俺がこんなくだらない生活を送らなければならないんだ? ドクンッ、ドクンッ、と心臓が大きく脈を打ち、鋭い頭痛が走った。俺は自転車を停め、頭を抱え込みながら地面にしゃがんだ。「はあッ、はあッ、はあッ、はあッ……」 頭痛はすぐに治まった。立ち上がろうとして、俺はなぜかチンポがギンギンに勃起していることに気づいた。「アー、クソッ、我慢できねェッ、」俺は舌打ちし、神社の清潔とは言いがたい公衆トイレの個室に入った。天井の蛍光灯が今にも消えそうに点滅していた。 あの夢の中で見た男は、俺とそっくりな顔だった。男の血に濡れた満面の笑みを思い出すと、更に性欲が刺激される。ヒトを喰うのってキモチイイのかな? 俺は死体を貪っていた男の逞しい背中を思い出しながら、ボクサーパンツから熱く滾ったチンポを取り出した。 俺は汗と我慢汁とチンカスの臭いの混ざり合った臭いを纏ったチンポを片手で扱き、「あー……『アレ』になりてェ……」と呟いた。ビュクッ!! ビュクビュクビュクビュクビュクビュクビュクッ!! トイレットペーパーをがらがらと引っ張って精液を受け止めようとするが、トイレットペーパーと指の隙間を貫通し、黄味がかった白い精液がトイレの壁に散った。 * 翌日のごみ収集のバイト。とにかく身体を動かしたい、体力を発散したい。そんな衝動に駆られ、俺はパッカー車に相方(運転手のことだ)の分までごみを放り込み、次の集積場まで距離が短い時は全力疾走で追いかけた。「宮本くん、今日はやる気しかねェじゃん」と相方から笑われるほど、俺はキビキビと仕事を行った。 昼休憩。「宮本くん、何か身体がデカくなってねェーか?」会社の休憩室に水筒を取りに戻ると、弁当を食べていたリーダーが頭を上げて俺の全身をじろじろ見つめ、そう言った。「は? 何言ってんスか?」俺は笑って答えて休憩室を出て、残りのごみ集積所を回るために相方の運転するパッカー車に乗り込んだ。 ごみ集積所へと向かう途中だった。「あ、え?」俺は、パッカー車のサイドミラーに映った自分の姿に目を瞠った。リーダーの言葉通りだった。肩と胸の厚みが明らかに増していた。ゆとりがあったはずの制服の長袖のポロシャツはやや窮屈になっていた。「何か身体がデカくなってねェーか?」というリーダーの言葉がぐわんぐわんと頭の中でこだました。相方は俺に対する興味がないのか、まるで気づいていないようだったが……。それは見間違いで済まされる程度の変化ではなかった。 喜多川みたいだ、と俺は思った。今まで繰り返しオナニーのオカズにしていた喜多川の逞しい肉体に近づいた自分自身を見て、俺はパッカー車に乗っているにも関わらずゴリゴリに勃起してしまった。あーやっべ、どうしよ、収まりがつかねェよ、と考えていると、「俺が一回だけ見本を見せてやる」という男の声がどこからか聞こえた。 俺ははっと驚いて運転席に座っている相方を見る。が、相方は相変わらずラジオ音楽に合わせて鼻歌を歌っていた。今のは、誰だ? 幻聴か? とキョロキョロと周囲を見回していると、ふうっと視界から色彩が褪せていき、目に映るものすべてが白黒テレビのような世界に変わった。 「……?」なぜか思うように身体を動かせなくなっていた。誰かに自分の身体の制御を乗っ取られたような感覚だった。俺の身体は俺の意思とは無関係に相方をギロリと睨みつけ、「おい、早く人気のないところに車を停めろ」とドスの利いた声を上げた。は? 俺の方が新人なのに、何で先輩に命令なんかしてんだよ、とソワソワするが、身体を乗っ取られてしまった俺には何も出来ない。 相方は顔を顰め、「お前、今なんつった?」と声を荒げた。が、俺と目を合わせた途端、みるみる怯えた表情へと変わっていった。「すぐ、停めるんで」相方は急に従順な態度を見せ、パッカー車のスピードを上げた。意味が分からなかった。住宅街を抜けると田圃道を突っ切って山麓にパッカー車を停めると、不安げな顔でこちらを上目遣いに見ながら「ここでいいですか?」と言った。 そこはちょうど木陰の下だった。俺は――というより、俺の身体の制御を乗っ取っている声の主は「ああ、ここでいい」と答え、相方の制服のポロシャツを強引に脱がせた。相方は鍛えているのか、腹筋がくっきり浮き上がった引き締まった身体をしていた。声の主は相方の肩に口を近づけ、ぐっと歯を立てた。「あッ、ああッ、」相方が短い悲鳴を上げ、声の主が口を離すと肩に赤い歯型が残っていた。 すると、相方に変化が現れた。相方は全身をぶるぶると震わせた後、涙ぐんだトロンとした目で、頬を紅潮させ、声の主(つまり俺)の身体を隈なく舐めるようにじろじろと見つめた。どうやら俺の身体に欲情しているようだった。 「ほら、これが舐めてェんだろ?」そう言って声の主が制服のスラックスを下ろしてボクサーパンツから怒張したチンポを取り出すと、相方は無我夢中でそれをしゃぶり始めた。心なしかチンポも以前よりデカくなっている気がした。相方は陰毛に顔を埋めながらチンポの根元に大量のキスを浴びせ、パンパンに充血した亀頭を飲み込んで舌でカリを刺激した。 何が起こっているんだ? 身体の制御を奪われながらも、相方にフェラされる強烈な快感は絶え間なく押し寄せる。ドクドクッ!! ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッ!! 「あ~、いいぜェ? 最高ダッ!!」俺は、いや声の主は満足げな声を上げながら、相方の口の中におびただしい精液を放出した。ゴクゴクとそれを嬉しそうに飲み込んでいく相方の姿を見て、俺は困惑した。 「さあ、後はお前次第だ――」頭の中に誰かも分からない男の声が響き、視界にふたたび色彩が戻った。白黒テレビの世界から脱した俺は、自分の身体の制御が一気に戻るのを感じた。金縛りから解放されたように手足がピクッと震えた。 「はッ、はッ、はッ、はッ、」俺は胸を押さえながら俯いた。心臓がバクバクして、軽い眩暈に襲われた。頭を上げると、サイドミラーに映った自分と目が合った。「え?」俺の目は、瞳孔は、ぎらぎらと赤く光り輝いていた。有無を言わせぬ眼光の鋭さに、俺はごくりと唾液を飲んだ。 上半身裸の相方はフェラを中断し、「宮本くんのココ、スッゲェ立派じゃん」とうっとりとした顔で俺のチンポに見入りながら言った。それを見て、自分の中で何かがぶっ飛ぶのを感じた。「おい、外に出ろ」俺は相方のスラックスと下着をひん剥き、パッカー車の側面に両手を置いてケツを出すように指示をした。俺も全裸になってパッカー車の助手席を降りた。 「なあ、先輩、俺のコレが欲しくて仕方ねェんだろ?」と俺は相方の耳元で囁き、片手で自分のチンポを扱いてケツの穴に精液をぶっかけた。俺はこんな台詞を口にするタイプではなかったのに、さっきの声の主が乗り移ったように挑発的な言葉がすらすらと出た。声の主から影響を受けているだけなのか、それとも自分がひた隠しにしていた欲望が噴出しているのか――。 俺は相方のケツ穴にぶっかけた精液を潤滑油のように指で馴染ませた後、ゆっくりと息を吐きながらガチガチに勃起したチンポを挿入した。相方はぶるりと肩を震わせ、食い縛った歯の隙間から「ふッ、くッ、」と押し殺した声を上げた。「先輩の情けねェメスの声、もっと聞きてェな」と俺は囁き、相方の乳首に手を回して指先で弄り回した。 「ゥッ、アアッ、アッ、ハアッ、アッ、」俺は相方が感じている声を聞いてゾクゾクしながら、相方の奥に熱い精液を注ぎ込んだ。俺は腰の動きをいっさい休めることなく、激しく相方を責め続けた。木洩れ日の光が相方の汗まみれの背中をゆらゆらと泳いでいた。「あー、オラッ、オラッ、ハハッ、ハハハハッ、ハハッ、」俺は、自分が、口の端が裂けそうな不敵な笑みを浮かべていることに気づいた。 ――ヤッベェヤッベェ俺マジで何やってんだろ、こんなん誰かに見られたら人生終わりじゃねェーか、つか午後の仕事まで残ってんのによ、早く仕事に戻らねェと面倒臭ェことになるじゃねェーか、ああ、でも、でも、でも、でも、でも―― 「こんなん気持ち良過ぎて止めれねェーよ……」俺は相方を犯しながらボソッと呟いた。その時、パッカー車のダッシュボードに置かれたままの相方のスマホの着信音が流れた。俺は舌打ちをして車に戻った。リーダーからの電話だった。「おい、宮本くんか? さっきからインカム繋がらねェけど、何してんだ?」 俺は一瞬考えてから、「あ、先輩の体調が急に悪くなってちょっとだけ休んでたんスよ。いつの間にかインカム切れてたみたいでスンマセン。もう大丈夫そうなんで残りの集積所を回りますねー」と答えた。「という訳で、仕事に戻りますか、先輩」俺は運転席の窓から全裸のまま地面にしゃがんでいる相方を見下ろし、笑顔で言った。 まだ俺のチンポは昂ったままだった。身体のあちこちに飛び散った精液をティッシュで拭ってから、見事に反り返ったままのそれをボクサーパンツに無理やり仕舞い込む。ふたたび制服を着た時、俺はさっきよりポロシャツがキツくなっていることに気づいた。 会社の車庫に戻ると、俺の姿を見た同僚が次々と驚きの声を上げた。「えッ、ほんとに宮本くんか!?」「はッ!? デケェッ!! お前、朝そんなんじゃなかったよね?」「急にどうしたんすか?」「おーい、皆! 何か宮本くんがマッチョになってンぞ!」あっという間に、俺は注目の的となった。どうしてそうなったのかと理由を聞かれても、俺自身にも答えられない。 リーダーは洗車をしていた手を止めて俺を見、「昼から会社を出た時よりもデカくなってんじゃねェーの? 宮本くん……」と呆然とした顔で言った。どうやら俺は、声の主に唆されて相方を犯しまくっているうちに更に身体がデカくなっていたようだった。 「ははッ、やべェッスよね。どうしちまったンすかね、俺は――」と他人事のように答えながら、俺はポロシャツの胸元にきつく食い込んだボタンを外した。制服の規定ではすべてのボタンを留めていなければならないことになっていたが、自分で外さなければ勝手に弾け飛んでしまいそうだった。 * 俺は可燃ごみ収集のバイトを終えた後、自分のアパートに相方を誘った。いや、誘った、というより、俺の部屋に入るように命令した。相方はもうすっかり俺の奴隷のようになっていた。 「これ、もう、喜多川を超えてるよな」俺は寝室の全身鏡に映った自分の肉体を見つめながら、ぽつりと呟く。背も高くなっている……? 骨格それ自体も大きくなっているのか、手首まで覆っていたポロシャツの袖は7分丈に仕立て直されたように短くなっていた。 ポロシャツの生地は上半身の筋肉のラインに沿ってパツパツに張り、肩と胸と腕の辺りは今にもはち切れそうだった。ひと回り、いやふた回り以上もぶッ太くなった腕を動かすと、腕の内側の筋肉と分厚く張り出した背筋とがもぞもぞとぶつかりあう感触がした。 「あーエロ過ぎンだろ、このカラダ……」そう、俺の肉体はもう喜多川の肉体を優に超えていた。強引にポロシャツを脱ごうとすると、背中からビリッと生地の裂ける音がした。俺は上半身裸になって改めて逞しくなった自分の肉体を観察した。興奮し過ぎて、スラックスの下で勃起したチンポがヒクヒクと震えているのが分かった。 (続く)
Comments
コメントありがとうございます! 執筆中ですので、具体的に何日とまでは答えられませんが、今月の中旬〜遅くて下旬に公開予定です☺️ いましばらくお待ちいただければ幸いです🙏
サトー
2021-07-11 12:11:54 +0000 UTC次はいつですか??!!
muse1325
2021-07-11 07:51:25 +0000 UTC