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サトー
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『陰キャぼっち、バリバリの陽キャに変身する』(中)

「はい、完成」智貴さんはそう言って三面鏡を取り出し、僕の頭の後ろで開いた。男らしいベリーショート。サイドとバックはすっきりと刈り上げられ、トップには対照的にボリュームを残されている。サイドには一筋の剃り込みが入っており、それが引き締まった印象をぐっと引き上げていた。 「すッげェ……良い感じです」と僕は震える声で答えた。「すげェッス、すげェッス、マジで、最高ッス……」僕は馬鹿のひとつ覚えのように同じ言葉を繰り返す。鏡に映っている自分の目は、興奮のあまりに真っ赤に血走っていた。足元からぞくぞくと性的な快感が這い上がり、ギンギンに勃起したイチモツに先走りが滲むのが分かった。…… 「想矢は俺の弟だから、俺と同じ髪型にしたぜ?」智貴さんは僕の耳元でそう囁いた。これが優越感と呼ばれる感情だろうか? 僕は口の端をピエロのように吊り上げてほくそ笑んだ。「もうこれは必要ないだろ?」と智貴さんは言って、僕に膝に掛かっていたケープを取り払った。「あッ……」ジーンズの股間の盛り上がりが露わにされ、僕は激しい羞恥に襲われた。軽蔑されると思いきや、智貴さんはそれを見てどこか満足げな表情を浮かべた。 「想矢、聞け。サークルの連中なんか気にするな。お前は才能に溢れてるぜ? なぜならお前は俺が見込んだ男だから。自分で思っているよりも遥かに格好良いって、ちゃんと自覚できるようにしてやる。さあ、いっぱい汗を掻いて喉が渇いただろ? 俺がもう一回ジュースを飲ませてやるから、一滴残らず飲み干せよ?」  と智貴さんは捲し立てるように言った。「ッス」僕は俯きがちに頷いた。さっきのあの不味いジュースをもう一度飲むことになるのか……。いやむしろ、喜んで飲もうじゃないか、何杯だろうが智貴さんに気に入ってもらえるのなら――。  智貴さんはいったんカウンターに戻り、しばらくして真っ黒い毒々しい液体の入ったグラスを持って現れた。智貴さんはカットチェアの隣のスツールに腰掛け、「想矢のために、さっきよりかなり濃度を高くしてやったんだ。きっと、すげェ美味いぜ? 痺れるくらい……」と言い、自分で真っ黒い毒々しい液体を口に含んだ。ぐっと、智貴さんの男らしい格好良い顔が目前に迫り、唇と唇が触れた。  濃厚な接吻だった。「んッ、……ふッ、ゥ……」智貴さんの熱を帯びてざらざらした舌が、僕の歯の隙間に捻じ込まれる。同時に、口の中にはあの真っ黒い毒々しい液体がいっぱいに広がった。智貴さんが僕の舌を責め、僕もまた智貴さんの舌を責め、舌と舌がくちゅくちゅと絡み合い、唾液と唾液が混ざり合う――。まるで互いの唾液の甘酸っぱい味でもって互いの興奮を伝え合っているようだった。  智貴さんに接吻されたせいか、僕の味覚が変化したせいなのかは分からない。あの液体を最初に飲んだ時はあんなに不味かったのに、今は僕の脳髄の蕩けさせるような麻薬的な甘味に感じられる。旨かった、いや旨いなんてものじゃない、それは頭の奥でちかちかと光が瞬くような性的な刺激を伴った。「はァッ、ァ……ッ、」ズクッ、ズクッと脳味噌そのものが鼓動を打っているようだ。智貴さんの短く生え揃った顎髭がちくちくと触れる。濃厚なキスを終えると、互いの唾液が糸を引いて口元に落ちた。僕はその余韻に浸りながら、口の中に残った智貴さんの唾液とジュースをごくんと飲み込んだ。 「智ッ、貴さんッ、智貴ッ、さんッ、智貴さんッ、智貴さんッ……ッ!!」僕は何度も何度も名前を呼んだ。僕だけじゃない、智貴さんのスラックスの股間もまた激しく盛り上がっているのが見えた。スラックス越しにでも、智貴さんのイチモツの逞しさが見て取れた。実際のブツを想像するだけで情欲が掻き立てられ、僕はぶるッと肩を震わせた。  しゃぶりてェ――。  ほとんど反射的にそう考えている自分に気づき、ぞっとした。  確実に、自分の中の何かが変わっていた。 「はあッ、はあッ、はあッ、はあッ、」熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 大粒の汗がナメクジのように絶えず皮膚を這い、カットしてもらったばかりの髪の毛の先からぼたぼたと汗が滴り落ちる。汗、汗、汗、汗――口の中がしょっぱかった。「ゥッ、いッ、ッ、……アァッ、ガッ、」関節の節々がギシッギシッと軋みを上げ、僕は思わず目の前にいた智貴さんのシャツの裾を握った。全身の筋肉にギュッギュッを引っ張られるような激痛が走り、僕は獣じみた悲鳴を上げた。「イギッ、アッ、ガアアッ、アッ、ギィァッ、」 「まだ残ってるから、ちゃんと全部飲まないとな」智貴さんはグラスに残った真っ黒い毒々しい液体をふたたび口に含み、僕の口を無理やり抉じ開けてキスの続きをした。智貴さんのゴリッとした硬いイチモツがスラックス越しに僕の太腿に触れる。 「ァッ、はッ……はァッ、ァッ……、」口移しの度、僕は智貴さんを逃がすまいと熱っぽい舌を執拗に絡ませた。キモチイイッ、キモチイイッ、キモチイイッ――今まで味わったことのない独特な恍惚に、視界がぐにゃりと歪む。ディープキスってこんなに気持ちが良いものなのか?  理性が、ぶっ飛びそうだった。  その時、つんと精液の臭いが鼻を突いた。ジーンズとボクサーパンツの股間にどろっとした生温かいものを感じ、僕は射精したことに気づいた。僕は智貴さんのシャツにしがみつき、ビクッ、ビクビクッと腰を震わせながら繰り返しイッた。「イッ、イギッ、フッ、フウゥゥゥッ、」ドクドクッ!! ドクッ!! ドクドクッ!! それも一回では飽き足らず、何度も何度も――。 「【俺】ッ、智貴さんと交尾、してェッ!! 【俺】もッ、もっと智貴さんみてェなッ、いやッ、智貴さん以上に雄クッセェカラダになって、頭がおかしくなるほどヤりまくりてェッ!! そんで【俺】がッ、一番カッケェんだってッ、あの糞野郎どもに認めさせてやるんだ……ッ!! アア畜生ッ、殺してやるッ、殺してやるッ、殺してやるッ、殺してやるッ!!」  僕は、気が狂ったように叫んでいた。  ――あれ? これが、僕の口から飛び出した言葉なのか……?  ――僕は、どうして、こんなとんでもないことを口走っているんだ……?  気が狂ったように、じゃない、僕はほんとうに気が狂ってしまったのかもしれない。「ああ、俺もだよ」と智貴さんは言い、俺の顎をクイッと上げて接吻の続きをした。今の僕は、はっきりと智貴さんのカラダを欲し、無我無心になって熱い舌を絡めている。  もう接吻だけじゃ満足できない、交尾を「お預け」されている気分だった。今までゲイでも何でもなかった自分が、男相手に発情しまくっている現実に、何者かに本来の思考をジャックされているような恐怖を覚えた。しかし、そんな漠然とした恐怖は、背筋をびりびりと駆け巡る快感、関節痛と筋肉痛の荒々しい波に攫われ、すぐにどうでもよくなってしまう。 「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ、」全身を圧迫されるような息苦しさに次いで、射精というカタルシスが押し寄せる。【俺】は睾丸が爆発しそうなほど強烈な性欲に襲われ、精液を無尽蔵に放出し続けた。カットチェアに座っているのに膝ががくがくと笑う。ミシミシッ、ギシギシッと関節やら筋肉やらが悲鳴を上げる音が大きくなっていることに気づき、【俺】は薄目を開けて智貴さんを見つめた。シャツが、肌着が、下着が、ジーンズが、靴が、鬱陶しく感じられた。 「想矢、お前はやっぱり才能に溢れているよ」智貴さんはカットチェアの後ろに回り、ぽんと【俺】の肩を叩いた。「おい、自分の身体を見ろよ、こんな短時間で、もうここまで《進化》してるんだぜ? すげェーよ、お前」智貴さんにそう言われてカットチェアの前に据えられた鏡に視線を戻す。――と、そこに映ったのは自分らしからぬガタイの持ち主だった。「は……?」自分の身に起こっていることがあまりに非現実的で、俺は言葉を失った。  何だかシャツが苦しいなと思っていたら、筋肉がはっきりとパンプアップしていた。パンプアップなんてものじゃない、俺の肉体は一回りも二回りもデカくなっていた。首から肩にかけてはシャツの縫い目が千切れそうなほど盛り上がり、薄っぺらだった胸板にはずっしりと分厚い筋肉が迫り出し、背中には正面から見て取れるほど逆三角形に筋肉が大きく張り出し、腕もまたぶッ太くなって隆々とした筋肉の盛り上がりを魅せていた。ジーンズの太腿や脹脛もまたパンパンに膨らみ、硬い布地を食い破ろうと蠢いているようだった。  身長もまた桁違いに成長していた――大きめのサイズを着ていたはずのシャツは裾から臍がちらちら見えるほど小さく窮屈なものなっていたし、踝まであったはずのジーンズの裾は膝下の辺りまで位置が上がっていた。きゅうきゅうと音を立てて破れそうなスニーカーを脱ぎ捨てる。いつの間にか腰回りもデカくなっていたようで、ガチンッ、とベルトのバックルが壊れる音がした。ジーンズのボタンが外れてチャックが下がり、そこからボクサーパンツを限界まで押し上げながら逞しいイチモツが現れる。ボクサーパンツからは熱気がうっすらと立ち昇り、強烈なイカ臭さが充満する。ボクサーパンツは精液でぐちゃぐちゃに濡れ、薄い灰色の生地にイチモツのやや黒ずんだ肌色が透けていた。 「は……は、は……」ボクサーパンツ越しでも、長さと太さが増しているのが分かった。俺は俺の記憶にあるものより随分とデカくなったチンポを見ただけで軽くイッてしまった。薄い灰色の生地を貫通し、やや黄味がかった白濁した精液がシャツの胸に飛び散る。 「あー……予定変更だ。お前を見てたら、俺も我慢できなくなっちまったじゃねェか」智貴さんはそう言って、背中と膝に腕を入れて俺の身体を持ち上げた。智貴さんは美容室の入口近くの真っ黒い革張りのソファに俺を下ろした後、心なしかさっきよりパツパツにはち切れそうになっているシャツとタンクトップを脱ぎ捨てた。  そこには俺の理想のすべてが表現されていた。自信に満ち溢れた雄の端正な顔、分厚い筋肉の鎧にがっちりと覆われたメリハリのある逆三角形のシルエット――。  俺は智貴さんの逞しい上半身に惚れ惚れし、半ば無意識的にボクサーパンツの上からチンポを握った。なぜだか分からないが、自分もまもなく智貴さんの「領域」にまで追いつけるだろうという予感がした。そんなあやふやな予感が走っただけで、俺は口の端から涎の糸が落ちるほどひどく興奮してしまっていた。「ァ……」さっきあのジュースを飲んだばかりなのに、喉がからからに渇いていた。 「おいほら、お前のせいで俺のここもぐちゃぐちゃだ。クソッ、仕事着が汚れちまった」智貴さんは言葉とは裏腹にニイッと歪んだ笑みを浮かべ、ビクッビクッと小刻みに震えるチンポをスラックスの上から片手で押さえた。真っ黒い生地を貫通し、真っ黒いタイル床に精液らしきものが飛び散った。  精液らしきもの、と思ったのは、それが普通の人間では考えられないほど真っ黒い毒々しい色をしていたからだ。智貴さんがスラックスを脱ぎ捨てると、逞しいイチモツがボクサーパンツの前開きを抉じ開けて臍に反り立った。――バチンッ、と下腹部を弾く音が響く。「全然、収まり切れねェーんだよな」智貴さんは言った。やや黒みがかって太い血管の絡み合った竿は、どくどくと脈打って先走りを滴らせている。  智貴さんは靴と肌着の一切を脱ぎ捨てて裸になり、俺の隣に腰を下ろした。「俺のが、欲しいんだろ?」むっと雄のフェロモンの香りが迫り、俺は智貴さんの目を見つめたまま硬直してしまう。智貴さんはそんな俺を再びひょいと抱き上げ、自らの膝の上に乗せた。ボクサーパンツ越し、俺のちょうど肛門の辺りに智貴さんのゴリゴリと硬いものが押しつけられる。首筋に熱い吐息が触れた。「はッ、あァァッ、」俺は肩を震わせながらイッた。その俺の耳元で、智貴さんは「まだ挿れてやらねェよ。まずは、お前の人間としての精液をすべて絞り出してからだ」と囁いた。  ぐちゅッ、ぐちゅッ、ぐちゅッ、ぐちゅッ――。智貴さんは俺を背後から抱き寄せ、俺のガチガチに勃起したチンポをボクサーパンツ越しに片手で扱き始めた。智貴さんは俺のシャツにもう片方の手で無理やり忍ばせ、ぽっつりと小さな乳首に触れた。ごつごつと節くれ立った男の手によってチンポと乳首を蹂躙され、俺は声を出すこともままならずピクンッピクンッと打ち震えた。 ブシュッ!! ブシュッ!! ブシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァ――ッッ!!!  全身の毛穴から精液が噴き出しているような強烈な快感に、俺はチンポの先からかつてない大量の精液を噴き上げた。 「アッ、ガッ、アアッ、ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァ――ッ!!!」  俺は汗と精液をを飛び散らせながら絶叫した。イッた直後、ビリビリと皮膚のひりつく感覚とともに、新たなエネルギーが頭の天辺から手足の爪先まで満ち、すぐさまチンポと睾丸にずんと精液が補填されて重みを増すのを感じた。 「おう、随分とイイ感じに‟改造”されてきたじゃねェーか」と智貴さんは笑った。智貴さんは俺のチンポをボクサーパンツ越しに扱くのを止めてしまい、代わりにペニスリングよろしく竿の根元をぐっと指の輪っかで押さえ込んだ。パンパンに赤黒く充血しながらも射精を寸止めされた状態が続き、俺はビクンッビクンッと空打ちを繰り返した。 続く


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