復讐前夜(中巻)11999文字
Added 2018-11-16 07:08:00 +0000 UTC(3) 翌日、目を覚ますと遥はベッドに寝転がっていた。 時計を見るとまだ早朝の五時だ。起き上がろうとして、なぜか身体のあちこちに筋肉痛と似た痛みが残っているのに気づいた。きっと悪夢にうなされたからに違いない。ひどく生々しい、それでいて残虐な悪夢だった。 「……ん?」 その時、遥は自分が夢精していたことに気づいた。朝勃ちしてテントを張っているパンツと陰毛は精液にまみれ、それが乾いてぱりぱりになっている。こんなのは久しぶりだった。遥はムラムラするのを我慢できず、パンツをずり下げてチンポを片手で握った。すぐにねっとりとした先走りが流れ、夢精して張り付いた精液と混ざり合い、クチャ、クチャと音を立てる。 俺もあんな身体になってみてえな。夢の中で見た魔人の姿を思い出すと、チンポはカチカチに硬くなった。あんなふうになれたら、いじめてくる奴らを見返してやることも簡単なのに、と。 「ふゥー……」 寝起きから一発抜いてしまった。いつもは一回で満足するのに、今日はまだもう一発は余裕で行けそうな気がした。遥はベッドから起き上がる。Tシャツを脱いで着替えようとした時、鏡に映った自分の身体に目を留めた。 「……あれ?」 何か、前より逞しくなってねェか? 遥は鏡の前で身体の向きを何度も変えて、まじまじと観察する。水球部で鍛えていたので、もともと多少なりは筋肉がついていたが、部の中では細身な方だった。それが、まず、横から見た時のシルエットが厚みを増している。申し訳程度にあった胸筋と腹筋は、はっきりとラインの陰影が現れ、肩幅もまた心なしか広くなり、部の中でもマッチョだと呼ばれる分類に入るだろう。 もしかしたら男性ホルモンでも増えたのかな? と遥は思った。もともと髭があまり伸びず、一週間に一回剃っているだけで十分だったのが、昨日剃ったばかりなのにもうチクチクと生え始めているのを見て、そんな疑念を覚えた。雄らしい肉体に近づいたのを喜んだが、まだまだいじめっ子たちのガタイの良さには負けている。 鏡の前で腕を上げた時、手首の内側に、黒く大きな三角形のホクロのようなものが浮かんでいるのが見えた。遥は、「えッ?!」と思わず声を上げた。それは、夢の中で見た、魔人の手首にある紋章とまるで同じだった。 「嘘だろ……」途中で記憶が途切れた挙句、気がつけばいつものように自分のベッドで寝ていたから、夢だとばかり思っていた。しかし、あれは、ほんとうに現実、だったのか……? 遥は、鏡の前でぽかんと口を開けて茫然とした。 何が起きた? 智は? あの後輩ふたりはどうなったんだ? 俺はどうやって家に帰って来た? 次々に遥の頭の中を疑問が去来する。魔人と化した智に取り込まれ、後輩を強引に犯して殺した生々しい感触がよみがえる。あれは夢じゃない、現実だったんだ。すると腋の下にうっすらと冷や汗が滲み、どくんどくんと心臓の音が大きく聞こえる。 つまり、俺は、俺の意志でなかったにせよ、後輩を犯して殺してしまったのか……? いや、そんなことが……。 がつんとハンマーで殴られたような衝撃に襲われた。何か後輩のことでメッセージが届いているかもしれないと思い、ぼうとした頭で二階の自室に戻ってスマホでLINEを開くと、いつの間にか知らないアカウントと電話番号が追加されているのに気づいた。 ――高山智 アイコンは、友人と思わしき男たちと肩を組んで笑っている智の写真。昨日見たあの禍々しい姿とは全く違う、身体を鍛えているスポーツ系の好青年に見える笑顔だった。 「はッ、何だよこれ……」 智と電話番号やLINEを交換した記憶などいっさいなかった。もちろん、昨日までも智のアカウントは表示されていなかった。遥はぎゅっと心臓を掴まれるような焦燥に駆られた。 智から届いていたメッセージを開くと、 《20時30分 ××駅西口》 その日、遥は体調が悪いと嘘をついて学校を休んだ。自分が後輩を殺してしまった? そんな激しい恐怖と罪悪感に駆られ、カーテンを閉め切った暗い寮の自室で、頭から布団を被りながらスマホでシャワールームでのことが事件になっていないか検索をし続けた。 夜になると誰にも気づかれないようにこっそりと寮を抜け出した。遥の暮らす寮は管理が甘かったため、門限を誤魔化すことは簡単だった。学校の連中にはあまり見られたくなかったため、普段は滅多にしない真っ黒いキャップを目深に被り、地味な色のTシャツとジーンズ姿で自転車を漕いで駅に向かう。暑かった。自転車を漕いでいるだけで汗が噴き出し、Tシャツが身体に張り付いて気持ちが悪い。 遥は駅の目の前のショッピングモールの駐輪場に自転車を停め、西口の前で智を待った。もう20時を過ぎていた。団扇の代わりにTシャツの胸もとをぱたぱたと引っ張りながら、きょろきょろと智の姿を探していると、 「おい」 と背後から聞き覚えのある声が聞こえ、振り返る。 オレンジのGT_Rの運転席の窓から顔を出した智と目が合った。学校でコーチをしている時とは全く雰囲気が違い、たったそれだけのことで頭が真っ白になる。 「あ……」 遥は何と言えばいいのか分からなかった。「お前は何だ、俺に何をした」と相手の胸倉を掴んで訊いてやる勢いでここまで来たというのに、いざ智を目の前にすると、昨日の突飛な出来事がほんとうに起きたことなのかか急に自信がなくなるのだった。それどころか、魔人と化した智に対する恐怖が思い出され、必要以上に委縮してしまっている自分がいた。 遥は智に言われるがままに助手席に座った。ムスクの芳香剤の強い匂いが鼻を突いた。車内は寒いくらいのエアコンの冷風が効いており、かろうじて聞こえる程度の小さな音でレッチリの有名な曲が流れていた。 「あれから、どうだよ?」 車を走らせながら智はニヤニヤした顔で言った。どこに向かっているかは言わなかった。駅前の通りを抜けると国道に出、車はそこから北に向かって走っていた。遥の家とは真逆の方向だった。 「先生は……何なんスか」 人殺しの化け物なんスか、とは言えなかった。 「お前、昨日見ただろ? あれが俺のホントウ。恰好良かっただろ?」 「じゃなくて――」 「魔人だよ。俺みたいなのは魔人っつーの」 「……本気なんですか」 遥が怪しげな視線を投げると、智はくつくつと大声を上げて笑った。 「最高だっただろ? 俺に取り込まれて。そんなラッキーな奴、滅多にいないんだぜ?」 「それで、川上はッ!」遥は声を荒げた。「あいつらは、あそこにいた後輩二人は……どうなったんスか」 「死んだが、死んでない」 「は?」 「お前が殺した後輩は、」 そう智が言い掛けると、遥は智の言葉を遮って、 「違うッ、お前が殺したんだ。俺の意志じゃない」 「でも事実はそうだろ? お前が犯して殺した後輩は、後でちゃんと俺が生き返らせてやったから」 「……は?」 話が、呑み込めなかった。 「あの尻尾、二股に分かれてただろ? あれ、片方は相手の動きを麻痺させる毒を相手を注入できて、もう片方は相手に自分のエネルギーを注ぐことができる優れものなんだ。だから、奪い取ったエネルギーと俺のエネルギーを少しだけ与えてやった。肉体くらい簡単に修復できるんだぜ?」 「そんな……」 そんな馬鹿な、と遥は思った。 「ただ、肉体を修復する時に精神にちょっと手を入れてやったがな。あいつらの頭からは昨日の記憶が抜けて、今日も何事もなかったように学校に来ている。ただ、潜在意識には俺やお前に対する忠誠心が刻まれている。だから生きる屍みたいなもんだ、ゾンビだ、魔人に殺されて生き返った者はみんな魔人の駒になるんだぜ?」 遥は話の内容こそ充分に理解できなかったが、智が他人の命を弄ぶことに一切の抵抗がないクズ野郎だということだけははっきりと理解できた。ふつふつと湧き上がる怒りに、黙り込む。 ――こいつは、俺が、何とかして止めねえと……。 胸の裡でそんな決意を持った時、 「はッ、どうやって俺を止めるって?」 と智があざ笑うような声を上げた。 心を、読まれている? 遥は動揺して助手席でもぞもぞと身体を動かし、窓の方を向いた。 「驚くなよ。一度ああやって身体を繋いだ仲だろ? 相手の胸の裡くらい分かって当然だろうが。お前の方だって意識すれば俺の心の声くらい聞こえるようになるぜ?」 「…………」 遥には到底理解のできない内容だった。 オレンジのGT_Rは、廃墟と化したラブホテルの前に停まった。建物の壁には灰色のビロードのような染みと汚れがいくつも浮かび上がり、窓のほとんどは蔓に覆われていた。心霊スポットと呼ばれていても違和感のない、不気味な気配が満ちていた。 「こっちに来い」 智にそう言われ、遥は警戒しながら後ろを歩いた。いつどのタイミングで逃げようかと思っていたが、「逃げたらお前の後輩ちゃんたちをマジで殺すからな?」と言われると、何もできなかった。 懐中電灯を持ち、迷いのない足取りで智はラブホテルの二階に上がった。ぎし、ぎし、と床板の上げる悲鳴に、遥は胸が押し潰されるようだった。廊下の奥に、ひと部屋だけ明かりの洩れているのが見えた。 「あッ、あッ、やめろッ、助けてッ、ああああッ、」 そんな男の泣き声が聞こえ、遥は足を止めた。 「来いよ」 「い、行きたくない……」 恐怖で足が竦んでしまった。智は遥の腕を強引に引っ張って廊下を進み、明かりの洩れている部屋の入り口に顔を出した。 「そいつが遥って奴か?」 「ああ、」と智は応える。「遥、この人は鹿野雄二、俺のセンパイで、お前の新しい仲間だ」 そこにいたのは新たな魔人だった。常人離れした背丈に、有無を言わせぬ逞しさを持った圧巻の肉体。魔人と化した智より更に身体がデカく、貫禄と威圧感があった。ぞっとする冷たい雰囲気を纏ったアーモンドのような焦茶の瞳が、怯えている遥を射抜くように見つめる。下半身が真っ黒い角皮に覆われているのは同じだが、雄二の上半身は智のそれよりも茶味を帯びた濁った紫色の皮膚をしていた。その魔人に組み伏せられて、ひとりの男が横たわっている。遥がやって来たにもお構いなしに、雄二こと魔人は禍々しい巨根を男のケツ穴にぶち込んだ。 「ぎゃ! ああああああッ! ああああああああああッ! ああああああああああッ!!!!!」 耳を劈く激しい悲鳴を上がる。雄二は陰のある笑みを浮かべながら、全身の体重を掛けるように限界までイチモツを押し込む。ぶちぶちぶち、と男のケツから筋の切れるような音が鳴った。男の身体から煙のように真っ黒いモヤが立ち昇った。魔人と一度融合したことで、遥にもそのモヤがはっきりと見えるようになっていた。男が激しい苦痛に泣き叫ぶほどモヤは多く吐き出され、それが片っ端から雄二と智の胸に咲いた紅い塊に吸収されていく様が分かった。 ――こいつらは、人間の苦痛を、喰らっている……? 遥の目にはそれが魔人の恐ろしい食事風景のように映った。 「さあ行くぜ?」 雄二がそう言うと、ぼこッと男の腹には大きなイチモツの膨らみがあらわれた。雄二が腰を動かすとチンポの膨らみがサメの尾鰭のように一緒に動き、腰の動きは容赦なく激しさを増していき、ぴたっと動くのをやめたかと思えば、雄二は「ふゥーッ」と天井を仰ぎながらビクビクッと膝を震わせ、 ブシュッ! ブシュウウウウウウウウウウウウウウウッッッ! ブシャアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!! チンポとケツ穴の隙間から受け止め切れなかったおびただしい精液が噴き出した。腹は異様なほどぱんぱんに膨らみ、男はいつから息絶えていたのか身体には一切の力が抜けていた。 「あー? こんなもんか?」雄二はまだ物足りないと言った表情で、挿入したまま男の身体を持ち上げ、背中の皮膚に腕が埋まるほど凄まじい力で抱き締めた。ボキッ、ゴキッ、と骨のへし折れる音が立て続けに響き、ある個所は鬱血し、またある個所は皮膚が裂けて赤っぽい肉が覗き、そこから水が漏れるようにおびただしい血が流れ落ちる。遥はあまりのグロテスクな光景に尻餅を突き、小便を漏らしそうな恐怖を感じた。 ――ここにいたら、殺される。 そう思っても膝が震えて立ち上がれない。 「あーあ、今回はちょっと殺すの早過ぎたな。次はもうちょっとじっくりやらねえと」 そう言って雄二は男の首筋の肉を食い千切り、勢いよく噴き上げる鮮血を浴びながらクチャクチャと咀嚼し、酒のつまみでも食べるかのような嬉しそうな顔でごくんと飲み込む。 「そうっスか? 充分メシは獲れたでしょう。でも、こんなに死体をグチャグチャにしちまったら後で修復すんの大変じゃないっスか?」 すっとぼけたような顔で智が答える。 「まあな。最近は、これくらいはヤらねーと満足できねえんだ」雄二が男のケツ穴からチンポを引き抜くと、男の腹で抱えきれなくなった血と精液が床にぼたぼたと滴り、赤と墨色の混ざった水溜まりが生まれた。「マンネリ化してきたから、もっと面白いやり方がないかなとは思ってるぜ」 汗の臭い、精液の臭い、男たちの体臭、内臓の生臭さの混ざった独特な臭いが遥の鼻を突く。返り血で赤く染まった雄二の禍々しく凶悪なイチモツは腹に反り返ったまま、射精してからしばらく経っているというのにビクビクと小さく震えては精液を吐き出していた。 「なあセンパイ、遥を混ぜて融合するって、面白そうじゃないっスか?」 智がある提案をした。部屋の奥には、ベッドの脚に繋がれた人間の男がまだ二人いた。 遥は自分の名前が呼ばれたことに歯ががちがちと震えた。これから俺はどうされるんだろうか。雄二はニイっと口が裂けそうな笑みを浮かべ、 「それは、まだやったことがなかったな」と言った。 (4) それから遥は親友の幸久を避けるようになった。部活が終わると慌てて家に帰り、顔を合わせても短い挨拶をしてすぐに逃げる。自分が近くにいれば、智の野郎が幸久にまで手を出すのではないか……そんな不安が絶えず遥の頭の片隅に浮かんでいた。しかし、今日は幸久を振り切ることができず、一緒に帰ることになってしまった。 「なあ、遥、最近急にガタイが良くなったよな? 何してんだよ?」 久しぶりに一緒に入ったファーストフード店の窓際の席で、ポテトを食べながら幸久は言った。 「何だろうな……」 そう言って遥はあいまいに笑う。なんと答えればいいのか分からなかった。 幸久は、自分が裂けられている理由については何も追及しなかった。相手に無用な気遣いをさせている気がして、遥の心は余計に痛んだ。 「でも良かったわ。何か、遥、前より強くなったように見えるから」 「はァ?」 「俺、ずっとお前が心配だったんだよな」 幸久はどことなく淋しそうな顔で言った。遥はコーラを飲みながら、幸久が何を言わんとしているのか考えた。そして、唐突にブルッと肩を震わせ、「ちょと、」と言って席を立った。 一階の隅にある、男女それぞれひとつずつある個室トイレに入って鍵を掛ける。ラブホテルの廃墟に連れられ、二週間が経った。あれから毎晩、遥は智と雄二の魔人の肉体と融合することを強制され、見ず知らずの人間の男を犯しては残虐な方法で殺していた。魔人の強大なエネルギーを直に受けているせいで、遥の素の肉体もまた日を追うごとに逞しくなっていった。 「ああ――」 真っ黒い粘液のようなものが皮膚を這う感触、 身体の外と内から熱の塊に侵食されていく感覚、 冷たい角皮に覆われるぞくぞくとした感触、 智や雄二と意識が交ざって頭の中を掻き回される感覚、 もがく相手をボロ切れのように犯しまくって捨てる瞬間、 胸の中心にある紅い塊に黒いモヤが吸収されていく感覚、 栓がなくなったようにとめどなく射精し続けることの快感…… 融合に際する記憶が一挙に押し寄せ、制服のスラックスの股間にギンギンに勃起したチンポがテントを張る。遥はシャツと肌着を脱ぎ、ズボンとボクサーパンツを下ろし、トイレの壁の全身鏡に映った、前より格段と逞しくなった自分の裸体を見つめてチンポを握った。魔人と融合するようになってから、男(そして自分自身の身体に対してさえも)興奮を覚えるようになってしまっていた。 幸久にガタイがデカくなったと指摘されたのがよほど嬉しかったらしい、遥は、ハアッ、ハアッ、と息を荒げ、「なあ、なかなかいい身体になって来ただろ」と呟きながら手を動かした。こんな姿、絶対に幸久には見せられれない……。そんな罪悪感を覚えつつも、快楽に抗うことはできなかった。遥は魔人と交わる度に性欲が旺盛になって、最近では一日のうちに暇を見つけては抜くようになっていた。 遥は、魔人のおかげで、水球部員でも上位を争う逞しい肉体を手に入れた。いじめっ子の亮太と互角かそれ以上の存在となり、皆からは一目置かれるようになり、自然といじめを受けることはなくなった。……そうは言っても、遥が夜な夜な手を染めている行為は、部活の先輩たちの行ういじめよりも残虐な行為だ。ただ、曲がりなりにも《修復》という形で被害者で身体を再生させているのと、また、智や雄二に操られているような形で「やらされているだけ」という気持ちから、「俺は、何も悪くない。悪いのは全て、智と雄二だ!」と思い込むようになった。 それに留まらず、自らの行為を正当化するようになっていた。魔人から力を受け取って肉体が変化するということは、当然のこととして精神もまた影響を受けることは避けられない。遥の精神には、それまでにない異変が起き始めていたのだ。 「ハアッ、ハアッ、ハアッ、」 ――ああ、幸久、どうしよう、俺、前の俺と違ってきてる…… 遥はトイレットペーパーに大量の精液を受け止めた後、間を置かずに精液で濡れた手でまたチンポを扱き始めた。 ――でも、だって、興奮しちまうんだから、しょうがねえだろ…… そろそろ戻らないと怪しまれるかもしれないという危機感を覚えつつも、自らを制することができなかった。強くなりたくて水球部に入った遥だった。人間を軽く凌駕する魔人の圧倒的なパワーを体感するうちに、魔人こそ自分の理想の姿なのではないかという考えに洗脳され始めていた。冷静に考えれば、人間を犯して殺して、そこで得られる苦痛のエネルギーを《食事》とする魔人たちが「理想の姿」な訳はないのだが…… (5) 「さあ、今日も始めるか」 智の言葉に、遥はごくりと唾を呑んだ。夜のラブホテルの廃墟で恒例となった《融合》の時間だった。始まる前から勃起してパンツが先走りで湿っていた。智も、雄二も、まだ人間の状態のままだった。人間の状態でも二メートル近い身長の男だったが。 「ああ、」 遥は言って、誰に言われたわけでもなく服と下着を脱いで全裸になった。硬く大きくなったイチモツが、ぴたりと腹に反り返る。 「変わったもんだな。初めはあんなに怖がってたのに」 窓際のボロボロにベッドに腰掛けた雄二が言った。遥は口をへの字に結んで答えなかった。雄二の足許には、ガムテープで口を塞がれ、ロープで腕と脚を縛られた二十代の男二人が倒れていた。 「お前、そろそろアッチもいい感じに改造されて来てんじゃねえか?」 雄二は遥を片手で手招きした。 「……?」 何の話をされているのか分からないまま近づくと、雄二はぐっと遥の肩を掴んで自分の方に抱き寄せる。そして互いの鼻先と鼻先を合わせたかと思えば、雄二は遥の唇を舌で抉じ開け、全く息ができないほどの長くねっとりとした接吻をした。唾液が胸もとに糸を引いた。 「んッ……あッ、はあッ、はあッ、」 舌が離れると遥はげほげほと咳き込んだ。ただ舌を絡ませているだけなのに眩暈がしそうに気持ち良かった。すぐにまた雄二は遥の頭を押さえて舌を捻じ込む。 「ほら、もっと、俺の唾液を呑め」 何を言ってるんだ? 遥はそう思ったが、雄二は大真面目な顔だった。疑問の声を挟む間もなく雄二は濃厚な接吻を続け、遥は気持ち良さを感じつつも涙目になりながら口に広がる雄二の甘い唾液を呑み込んだ。ふと尻の穴に違和感を覚え、顔の離れた瞬間に目を落とすと、ギチギチに勃起して血管の浮き出た雄二の立派なイチモツが押し当てられていた。濁った鼠色の先走りが溢れ、雄二はその先端を少しずつ遥のアナルに挿れようとしていた。 「よそ見してんじゃねーぞ、お前のためなんだからよ」 雄二の目はうっすらと濡れて血走り、アーモンドの焦茶の瞳の奥底に欲情の炎を灯していた。いくら雄二が人間の状態と言えども、それでもこんな太っとくてデカいチンポを挿れられたら……。遥はぞっとして逃れようとするがガッチリと腰を押さえられて動けない。今まで女にしか興味のなかった遥は、もちろん尻の穴になど指一本すら挿れたことがない。 「やめろッ――」 そう声を上げたと同時に、雄二の逞しいチンポは遥のケツ穴をゆっくりと抉じ開け、少しずつ時間を掛けて肉壁の奥へ奥へと埋もれていった。遥は「あッ、うァッ、」と短い悲鳴を上げ、びくびくと肩を震わせた。メリメリと音を立てて、やがて雄二の立派過ぎるチンポは根元まですっぽり遥のケツ穴に収まった。 「ああッ……あああッ……」 全部、入っちまった……。予想よりもずっと簡単にケツ穴にチンポが入ったこと、思ったような痛みはほとんどなく、むしろ突き抜けるような快感が走ったことに遥は驚き、ぽかんと口を開けた。その表情を察したように、 「当たり前だろう? 俺らと融合するうちに、お前の身体はどんどん魔人仕様になっていく。雄と交尾するのに適した身体に変化していくってことでもあんだよ」 そう雄二はしたり顔で言い、チンポを挿入したまま遥をベッドに押し倒して激しく腰を振り始めた。肉壁の奥を突かれる度に、脳をガツンとやられるような強い刺激が突き抜け、 「行くぜ?」 という声がした直後、おびただしい量の精液が遥の体内で爆ぜた。熱の塊が腹の奥底から湧き上がるような恍惚感とそれは似ていた。 ビュクビュクッ! ビュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!!!! それからはもう何発ブチ込まれたかわからない。遥は雄二から精液を注がれる度に、洪水のような凄まじいエネルギーの塊が流れ込んでくるのを感じ、ドクドクと全身が熱を帯びる感覚とともに射精してしまうのだった。熱さのあまり全身から汗が噴き出し、髪の毛は濡れて肌に張り付く。雄二が腰を突くたびに肉と肉がぶつかり合って汗が弾け、だがそれさえもだんだんと気持ちよく感じられる自分がいた。 「うあァッ、あッ! あッ! あッ!」 もしかしたら相手が魔人だからかもしれない。遥は男同士でヤるのがこんなに気持ちイイとは思いもよらなかったので、このままだと自分がどうにかなりそうな心地がした。自分の中に雄二の精液がぶっ放されると、喜んでそれを受け入れるように腹や腰が勝手にヒクヒクと動くのを感じ、それが波紋となってトクン、トクンと熱っぽい何かが全身に行き渡っていくのだった。ケツだけじゃない、口でも雄二のでっけェチンポを咥えて精液を思う存分呑み込みたい、そんな欲求が自然と沸き起こり、だが最後のプライドで歯止めがかかって、それを提言するのは憚れた。 「いいか?」腰を振りながら雄二は声を低めて言う。「これからお前はどんどん魔人になっていくんだ。さあ、言ってみろ。お前は何者だ?」 「お、お、れは……」 「お前は魔人にもっとも近い存在。ますます最強の存在に近づいていく」 「おれ、は、魔人……。どんどん魔人に、近づいていく……」 遥は快楽でぼーっとした頭で、言われるがままに雄二の言葉を反芻する。不思議なことにその言葉を反芻すると指先にまで力が漲り、身体の奥底で自分の知らない何者か(それは新しい自分と呼んだ方がいいのかもしれない)が目覚めるようだった。 「さあ、お前は、何者だ?」 雄二は何度も質問しながら、ぐっと遥の奥底にまでチンポを強く押し当て、ドクドクドクッとさっきと劣らない凄まじい量の精液を注ぎ込む。肉壁の奥へ奥へと全てが沁み込んでいき、気持ち良さのあまりに膝ががくがくと震え、遥は自分の心身が雄二の禍々しいエネルギーに染められていくのを感じた。 「あッ、ぐッ、ああッ、あああッ、」 「さあ、お前は何者だ?」 「おッ、俺は、魔人ッ……魔人ッ、にッ、近づく、存在ッ……」 「そうだ」そう言ってさらに雄二は容赦なく遥の体内に精液を限界まで注ぎ込む。「――ふッ、ふゥッ、」ビュルルルルルルルル!!! ビュルルル! ビュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルゥゥゥゥゥゥ――ッ!!!!! これだけ大量に射精されれば腹がパンパンに膨らんでもおかしくはないが、魔人の影響を受けた遥の身体は、その精液を自らの糧として吸収していく。本人の望む望まないに関係なく、知らない間に身体が魔人のエネルギーを存分に受け入れるように造り替えられていた。すると智や雄二、魔人の姿が、雄として理想の姿、とてもカッコイイ理想像に思えてくるのだった。 「お前は史上最強の魔人だ。何をしたっていいんだ。だろう? お前のヤりたいように、ヤればいい」 「俺は、最強の、魔人……何をしたって、いい……俺の、ヤりたいように、ヤれば……いい……」 俺は魔人に近づいているんだ。遥は、そう考えると、今まで味わったことのない背徳的な興奮に身震いした。 「じゃあ、いつもの始めるか」 雄二はニイっと笑い、遥との本格的な融合を始めた。雄二の身体はどろりと液状化していき、黒々とした熱っぽい組織が遥の身体をあっという間に包み込んでいく。もちろんその間も、雄二は何度も「お前は、魔人だ」「何をしていい最強の存在だ」と遥の潜在意識を上書きするように繰り返し耳元で囁きながら……。すると遥は無意識のうちに今まであった魔人に対する抵抗感が緩んでいき、心の奥底に、魔人とは素晴らしい存在で、俺は最強なのだという万能感がひっそりと芽生えていくのだった。 融合を終え、遥はラブホテルの浴室の全身鏡の前に立った。そこには、「雄としての理想」「最強の存在」の魔人としての逞しく雄臭い自分が映っている。ああ、カッケェな、メチャクチャにカッケェ。思わずそう呟きそうになるくらい、チンポが反応してギチギチに硬く勃っていた。 頭の中で、遥の体内に共存している雄二がそっと囁く。 『鏡に映っているのは、誰だ……?』 「……魔人……だ」 『俺の言葉を繰り返せ。これが、俺、俺のあるべき本来の姿だと』 「――これが俺の、あるべき本来の姿……」 遥はもう、雄二の言葉を繰り返すことに躊躇がなくなっていた。 『俺は何も悪くない。このままでいいんだ。こうあるべきなんだ、と』 「――俺は、悪くない……このままで……こうあるべき、なんだ……」 雄二の誘導に引っ張られて同じ言葉を唱えているうちに、遥は快楽でぼーっとした頭に、自分のあるべき方向を示された気がした。あやふやだった遥の視線は、目の前の鏡に映った自身の姿へとはっきりと焦点が結ばれる。 ――やっぱり、これが、ホントウの、《俺》なんだ―― そう思った瞬間、遥は自分の意識がひとつに束ねられたような喜びを覚え、禍々しい特大マラの根元を押さえたままビクビクッと勢いよく射精した。自身の姿の映った鏡に鼠色に濁った大量の精液が飛び散り、そのままチンポを扱き続けてもう一度、今度は自分の方に向けて精液を放出した。光沢のある深い紫色をした分厚い胸板に降りかかり、腹直筋の溝に沿ってねっとりと白濁した液体が流れた。 「はッ、出ちまったなァ……」 遥はそう呟き、ベッドの近くに倒れている男二人を振り返った。いつもなら融合した智や雄二に身体を操縦されて動いているところだ。しかし今回、雄二は何もしなかった。遥は誰かに操縦されているわけでもなく、明確に自分の意識を保った状態で、男二人のもとへ近づいていく。 ――あァ、すっげェ最高の気分だ。本当に、これが、俺の本来の姿なのかもしれない…… 遥は黒々とした逞しいイチモツを最高潮に勃起させ、その顔には自分が破格の存在になったという自信、そして自分より格下の存在を蹂躙する喜びと嗜虐心に満ちた冷酷な笑みが滲んでいた。二十代後半くらいの自分よりひと回りほど年上の男の目の前に立ち、男を縛っているロープをいとも簡単に手で引き千切った。年上のはずの男が、自分よりもずっと子供のように小さく見えた。 「おっと、」逃げようとした男に、遥は尻から生えている尻尾の先端をぶっ刺した。尻尾から身体の動きを麻痺させる毒を注がれた男は、駆け出した直後に床に倒れ、胸元に手を当てて「はッ、はッ、」と犬のような短い呼吸を繰り返した。 「おーい、誰が逃げていいっつったよ」 そう言って男の着衣をびりびりに破り、相手の身体に覆い被さる。男の首元に鋭く発達した犬歯の覗いた口を近づけ、尻の穴には勃起しててらてらと光る棘の生えた逞しいイチモツを近づける。 「行くぜ?」 かつて雄二に言われた台詞がそっくりそのまま口から出ていた。 そして―― ガムテープで口を塞がれていたせいで悲鳴は聞こえなかった。ばたばたと大暴れする男の身体から黒っぽい血が勢いよく噴き上げ、遥はその血をうっとりした顔で全身に浴びながら、がくがくと膝を震わせて溢れんばかりの精液を注ぎ込んだ。 「さすがだな、センパイは……」 一方で、一連の様子を傍から見ていた智は、雄二の鮮やかな洗脳術に感嘆の声を洩らした。 魔人の力に魂を取り込まれ、他人を養分として蹂躙する快楽に目覚めた遥は、心身ともに最終局面の変化を迎えようとしていた――。
Comments
ありがとうございます😊 強姦補食は自分の中で必須要素になりつつあります笑
サトー
2018-11-20 23:47:04 +0000 UTC雄二センパイの強姦捕食シーン、もう何回読んでもヤヴァいレベルで抜けます💕 こんな素晴らしいエロ小説ありがとうございます!!
てシ
2018-11-20 10:32:44 +0000 UTC