afterⅠ『それからの日常』
◇
数週間後。
無事ギルドハウスへと帰還したキャルたちは、ミツキの診療所で体の検査や胎内に残った魔物の子種の処置を終え、少しずつ元の生活に戻ろうとしていた。
はず、だったのだが……。
ギシッ! ギシッ! ギシッ! パン、パン、パン、パンッ……!
キャル
「んっ……、んんっ~~?」
朝日の光が窓に差し込み始めた頃。
掛け布団を抱きしめるように眠っていたキャルの耳が、天井の向こうから聞こえてくる物音にひくひくと反応する。
天井から響く木材の軋む音と、パンパンと何か柔らかいもの同士がぶつかり合うような乾いた音。キャルの部屋の真上にある『彼』の部屋から、それは聞こえてきた。
シズル
「あんっ! あんっ♡ あんっ♡ あはっ、弟くんの、今日も朝からスゴく硬くて大きいねっ♡ お姉ちゃんが今日も時間いっぱい弟くんのおちん〇ん、いっぱいっ、いーっぱい、かわいがってあげるからねっ♡」
エリコ
「ちょっ、シズルさん、いつまで独り占めする気なんですかっ……!いい加減代わってくださいっ……! あぁ、貴方さまっ……♡ この頭のイカれた女の言う事には耳を貸さず、どうか今日一番の子種はエリコの中にっ……! あぁっ……♡」
起きたばかりの『彼』の下半身に全裸で跨り、激しく腰を振りながら快楽を貪るシズルと、その上半身に身を重ね、同じく全裸でその豊かに実った胸の彼のほんのりと鍛えられた胸板の上で滑らせながら、『彼』と口づけを交わすエリコ。
そんな2人の下で彼は彼女たちの気持ちに応えようと、すぐにでも発射してしまいそうなほどの快感に必死に抗いながら常に腰を動かし続けていた。
キャル
「はぁあ~~~~っ……! ったく、朝からうっさいわねー」
ギシギシと下まで届く激しい物音に呆れながら、キャルはパジャマ姿であくびをしながら、二階からリビングへと階段をよたよたと降りていく。
コッコロ
「おはようございます、キャルさま。今日はお早いですね」
キッチンで朝食の準備をしながら愛想よく挨拶をするコッコロ。
キャルはおはよー、と軽く返事を返し
キャル
「はぁ、朝からギシギシギシギシあんあんあん、これじゃあちっとも寝れやしないわー。こっちも昨日は夜まで遅かったってのに……」
そう言ってキャルは自分の腰をスリスリと右手でさすりながら、天井を見上げ言葉を続ける。
キャル
「ていうかさー。シズルとエリコのやつ、一昨日も来てなかった? あの2人だけやたらと目にすること多い気するんだけど」
腰をさすったまま、上の階をジト目で睨むキャルが、一人でテキパキと朝食の準備を進めるコッコロに愚痴を吐くようにつぶやいた。
コッコロはキッチンで手際よく朝食の盛り付けをしながら、キャルの方を向き、
「いえ、シズルとエリコ……さまには、あれから主さまの看病やお薬の手配など、大変お世話になっておりましたから。
ペコリーヌさまがそのお礼にと、ご自分の番をお譲りになられたのでございます」
そう言いながらコッコロはペースを落とすことなく、テキパキと動いてテーブルに朝食を並べていく。
部屋に広がるコーヒーと、パンやベーコンの焼けた香ばしい香り。
キャルはそんな美味しそうな朝食に少し機嫌を取り戻し、いつもの自分の席に着いた。
キャル
「まぁペコリーヌも今は街の復興で大忙しだもんねー。
わざわざあいつに抱いてもらうためだけに戻ってなんてこれないか……」
パンにバターを塗りながら、ここ数週間、空席になったままのペコリーヌの椅子をキャルが見つめる。
コッコロもようやく準備を終え、キャルの向かいの席に座ると、新鮮な野菜と卵のサラダを小皿に取り分けながら会話を続けた。
コッコロ
「えぇ、それはもう、毎日大忙しだそうでございます。主さまもあれ以来、皆さまのベッドのお供に追われておりますし、早く落ち着いて、また全員で食卓を囲める日が来ると良いのですが……」
そう言いながらコッコロは少しの沈黙の後、腰をさするキャルの手の方へチラッと目をやったまま少し言い淀んだ口調で言葉を続けた。
コッコロ
「……しかし、それはそうとキャルさまも、昨晩は主さまとはお風呂場で何やらずいぶんと楽しまれていたご様子でしたが……。
順番はもう少し先、のはずでございますよね。あれは一体……」
悪戯をした子供を問い詰めるようなまなざしでキャルの方を見つめるコッコロ。そんな彼女の言葉に、キャルはギクリと肩を揺らした。
コッコロ
「それに昨晩は遅くまで、キャルさまのお部屋の方からもずいぶんと艶めかしいお声が……」
今度は背中ごとギクリと、肩を揺らすキャル。
彼女は咥えていたパンを慌ててアイスコーヒーで流し込み、
キャル
「う、うっさいわねー! いーじゃない、一緒に住んでるんだもんっ!
お風呂入るついでだったし、ちょっとくらいズルしたってバチ当たんないわよ!」
コッコロ
「はぁ……」
苦しい言い訳をするキャルを、やや呆れた目で見つめるコッコロ。
キャルはそんな彼女から必死に目をそらしながら、ズズズッとコーヒーを飲み干し言葉を続ける。
キャル
「っていうかさ、コロ助の方こそ律儀に順番なんか守ってて大丈夫なワケ?
あたしなんかもう3日間空いただけで全身キツくってさー。やっと助かったと思ったらコレだもん、ホント勘弁してほしわー」
机に肘をついた手のひらで頬を支えながら、キャルがはぁと溜息をもらす。
あの魔物の洞窟の中で何度も体に浴びせられたオスたちの体液。
その作用によって、脱出した今も彼女たちの体は敏感なまま、常に快楽への欲求に悩まされ続けていた。ラビリスタの話ではアバター情報の一部が複雑に書き換えられてしまっており、現時点で完治させるのはかなり難しいとのことだった。
そのため『彼』と繋がりのあった少女たちは順番を取り決め、『彼』の所で定期的に欲求の発散を行うようになったのだが、なにせ女性の知り合いが多い『彼』である。
全員を相手するには当然それなりに日数が必要で、彼と一番近い位置にいる美食殿の彼女たちですら、数日待ちという状況だ。
コッコロはキャルの質問に、主と布団の中で愛し合った時の事を思い出したのか、股をキュッと閉じながら顔を赤らめ、モジモジとしながら応えた。
コッコロ
「いえ、私はその……、主さまには2日前にたくさん可愛がって頂きましたし。 ……その、辛くないかと言われれば、噓になってしまうのですが、あと5日の辛抱でございますから」
キャル
「はぁ、あんたってホントマジメねー。 少しは楽も覚えてかないと辛いわよ~?」
顔を赤らめたまま少し俯いた表情のコッコロに、キャルはしばらくうーんと考えながら、上から聞こえてくるエリコとシズル、2人の声を聞いて何か思いついたのか、ピンと耳を動かした。
キャル
「そーだ、良いコト考えたわ♪ 次からコロ助もあたしの番の時一緒に来なさい、今度は『あいつ』と3人でしましょ? で、あんたの番の時はあたしもいくから。そうすれば回数も倍だしお得でしょ? あ、そーだ、後でシェフィにも相談して……」
勝手に話を進めるキャルにコッコロは少し動揺し
コッコロ
「で、ですが、それでは主さまのお体に負担が……!」
キャル
「大丈夫だってそんなの、ヤリたい盛りの年頃だもん。それにこんなかわいい美女たちをまとめて抱けるんだからあいつだって悪い気しないって♪ ほら、前に4人でした時だって次の日ピンピンしてたしさ。はい、決まり!」
コッコロ
「はぁ……」
キャルの急な提案に少し困惑しながらも、主と触れ合える機会が増えるならと、自分との気持ちの間で揺らぐコッコロ。そんな中。
パンッ! パンッ! パンッ!
ミシッ! ミシッ!
天井から尚も響く、部屋の軋む音。
音の感覚から先ほどよりもかなりヒートアップしている様子が見て取れた。
キャル
「あ~っ、もう! ホントに朝っぱらから激しいわねあいつら、床が傷むってえの、まったく~!」
そう言いながらも、上から微かに聞こえてくる艶めかしい声に当てられたのか、キャルは足をもぞもぞとこすり合わせるように小さく動かす。
そうこうする内。もう我慢できない、と言った様子で、彼女は椅子から勢いよく立ち上がった。
キャル
「あーもーっ限界! あたしちょっと上で注意してくるわ! 人ん家のギルドハウスを何だと思ってっ……!」
シェフィ
「ふぁ……。おはようキャル。今日も朝からみんな元気ね」
キャルが椅子から立ち上がると同時。
階段を下りて来たパジャマ姿のシェフィが、寝ぼけ眼の目をこすりながら二人に挨拶をする。すると、キャルは彼女の方を振り返り、
キャル
「ちょーど良かったわシェフィ! アンタも一緒に文句言いに行くわよ! たまにはあいつらにガツンと言ってやらないと!」
シェフィ
「え、え? なに、ちょっとキャルっ……!?」
ほら行くわよとキャルがシェフィの腕を掴んで階段を強く登り始める。
そんな彼女の様子を見て、コッコロも慌てて立ち上がった。
コッコロ
「お、お待ちくださいまし2人とも……! それなら私もご一緒にっ……!」
そうこうしながら『彼』の部屋を目指し、勢いよく階段を登っていく3人。
彼女たちがリビングに戻ってくるのは、それから何時間も後のことだった。
◇
肉壁ダンジョンafterⅡに続く
りょー
2024-06-04 15:59:49 +0000 UTCマッキー
2024-06-03 16:26:22 +0000 UTCレイル
2024-06-03 16:09:22 +0000 UTC