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煉瓦
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屋敷と独占欲と乳首の話

 最近になって中野聡司の雰囲気が変わった。

 その噂を耳にすることが数度あり、屋敷昴はため息をついた。噂は噂でしかない、などということはなく、それは事実だったからだ。自分に抱かれることで色気を醸し出すようになったのか、自分の親友だという設定を吹聴したために周囲の人間が話しかけ易くなった結果、元からあった聡司の魅力が多人数にバレてしまったのか、それは分からない。しかし実際に昴は何人か、邪な目で遠くから聡司を眺める生徒を目にしていた。


「聡司」


 しかし、昼休みに空き教室へ連れ込み、名前を呼ぶと腕の中で見上げる瞳に浮かぶ色は変わらない。自分を畏れ、逆らうことなど微塵も考えていない恋人に対し、昴は安堵を覚える。聡司が自分を裏切るなど、決してあり得ないと分かっている。しかし不快なものは不快だった。自分のものである恋人に対し、余計な感情を持つ者など必要無い。

 ゆっくりと唇を重ねると、聡司は自分から口を開いた。昴はそれが当然の権利のであるように彼の口内を蹂躙するが、聡司は拒絶することなく諾々とそれを受け入れた。

 腰を抱き寄せ、更に深く口付ける。それでも聡司は逃げなかった。逃げるどころか鼻にかかった声を出して体を震わせている。昴のシャツの胸元を掴む手には力が入り、目尻には涙が浮かんでいた。


「シャツ、脱げよ」

「っ……う、うん」


 命じると目を逸らしながらも従う彼のことが愛おしいと思う。こんな風にしてくれる恋人など、彼を逃せば一生見つからないだろう。中野聡司は屋敷昴にとって替えのきかない唯一無二の存在だった。

 昴は空き教室の壁にもたれ、聡司がシャツのボタンをひとつひとつ外していく様を眺める。窓にはカーテンが引かれ、外からは中の様子が伺えないようになっていた。その薄暗い教室の中でボタンを全て外した聡司は昴のためだけにシャツの前をはだけさせる。何も言わないのに、下に着ていたアンダーを両手で捲り上げたときには、昴の心は喜びで満たされた。


「ん……」


 何度も吸ってぷっくり育った乳首に舌を這わせる。先っぽを舐め、転がし、吸ってやると、聡司は甘い声をあげた。慌てて口を手で押さえようとするが、昴はそれを許さない。


「シャツから手、離すな」

「っ……う、ん」


 聡司はそう答えると、目を潤ませながら昴の命令に従った。両手でアンダーシャツを捲り上げ、胸を突き出す格好で昴の行為を受け入れる。可愛らしい乳首を甘噛みしてやると、ヒッと鋭い声をあげるのも愛おしい。


「痛かった?」

「う……ううん、大丈夫……」


 目尻を赤く染め、視線をこちらへ合わせないまま聡司はモゴモゴと呟いた。恋人だから嫌がることはしたくない、とまでは言わないが、考慮はしてやるつもりだった。昴は自分のしたいようにするつもりだが、大切な恋人である聡司の意見も少しだけなら取り入れてやっても良いと考えている。そんな自分の考えを、これまでの交際経験からは考えられないほど譲歩している、と昴は己の成長として捉え、感動していた。

 しかし、その譲歩も聡司が望まないのであれば必要無い。昴は薄く笑うと、甘噛みしてやったほうの乳首を指先で強くひねった。


「だよな♡ お前、痛いの好きだもんな」

「そんな、あっ」


 指で潰すように捏ねながら、反対の乳首を強く吸う。歯を立て、唾液を塗れさせ、わざと音を立てて吸った。

 一瞬、抗議の声をあげかけた聡司は、しかし口をつぐんで必死に耐え忍んでいる。時折、食いしばった歯の隙間から熱い息を漏らす以外は何も言葉を発しない。アンダーシャツを掴んだ手も、ブルブルと震えはしているものの、その責務を放棄してはいなかった。


「ちょっとデカくなった? お前の乳首」

「えっ?」

「俺が吸ってやってるからかな。……そうだ、ピアスでも付けるか」


 独り言のように呟いた言葉に、弾かれたように聡司が反応する。


「や、いやだっ……あ、その」

「嫌、なのか?」


 ゆっくりと言葉を区切るように聞いてやると、聡司は慌てて首を横に振った。


「俺がしたいのに?」

「嫌じゃない、嫌じゃ……」


 涙声で必死に訂正する姿が可愛いと思う。自分に嫌われないよう、従順に振る舞おうと努力する姿が昴はとても好きだった。自分の意思を曲げてまで昴の欲求を通そうとするなど、これはもう、聡司にとって昴が自分よりも大切な存在なのだと言っているのと同じだからだ。愛されている、と昴は思う。聡司を愛し、そして彼からこうして愛を返されるのはとても尊く嬉しいものだと実感した。


「絶対似合うと思うんだよなぁ」

「う、うん」

「それに浮気防止にもなるしさ」


 ピンと指先で乳首を弾くと聡司は甘い声をあげる。


「聡司は乳首だけで気持ちよくなれる淫乱だから心配なんだよな」


 そう言いながら昴は聡司の股間に手を伸ばした。先程から気付きながら放置していたのだが、そこは僅かに膨らみを見せている。ベルトを外し、無造作に下着をずり下ろしてやると、プルンと小振りなペニスが姿を現した。その先端からは粘着質な液体が染み出している。


「ほら。我慢汁出てんじゃん。こんなになって……彼氏としては、すげぇ心配だわ」

「ち、ちが、これは」

「違わねぇだろ? ん?」


 唇を自分のそれで塞ぎ、指先で粘液を鈴口に塗りつけた。唇を離すと聡司はフラつき、昴の体へと寄りかかる。


「乳首にピアス付けたらさ、浮気しかけても、誰かに触られるたび俺のこと思い出せんだろ? お前は俺のモノなんだって」


 聡司の両手はいまだ捲り上げたアンダーシャツを握ったままだった。それに気づいた昴は、彼の体を抱きしめながら喉の奥で笑い声を上げる。先走りに濡れた指で乳首をいじってやると、腕の中の可愛い存在もまた甘い声をあげた。


「なあ」

「……?」

「乳首いじられるのと中に挿れられるの、どっちが好き?」


 人差し指と親指で乳首を摘み、捻りながら昴は聞いてみた。昼休みの終了が近いこの時間、聡司がどう答えるかなど分かりきっている。それでも昴は笑顔を浮かべ、従順な恋人がどちらを選ぶのか、聞いてみたくなったのだ。


「…………き」

「ん?」

「挿れて、貰うのが、す、好き」


 答えを聞いて昴は満面の笑みを浮かべた。いや、浮かべざるを得ないだろう、こんなにも自分に媚びた答えを聞いてしまえば。


「挿れてほしいか?」


 抱きしめ、耳元で囁けば、聡司は戸惑い、恥ずかしそうに頬を染めながら僅かに頷く。


「じゃあ挿れてやるから自分で乳首いじれよ」


 笑い、蔑むような調子で言ってやる。聡司は逸らせていた目線を昴に向け、そしてすぐに俯いた。ポタリと涙が落ちたのを昴は見逃さない。虐めるのは楽しいが、あまりやり過ぎるのも良くない、と昴は自分に歯止めをかけた。こうしてやり過ぎそうになるのも、そして歯止めをかけるのも、聡司相手だからこそ出来るようになったことだった。


「嘘だって」


 安心させるようにそう告げた昴は、なるべく優しく聡司の手を取り、アンダーシャツを離させて下げさせる。そしてあまりきつくならないように抱きしめると額にキスをした。


「もう昼休み、終わるしさ」


 萎えてしまったペニスをポケットティッシュで拭いたあと下着に納め、スラックスを引き上げてベルトを締めてやる。


「う……うん」


 あからさまに安堵した顔を見せる聡司に対し、それはそれで気に入らない、と昴は感じた。我ながら自分勝手だと思う。しかし思うのだから仕方がない。そもそも、自分にこう思わせてしまう聡司が全て悪いのだ。

 だから昴は聡司の肩を抱き寄せ、囁いてやる。


「今日、俺、部活休むから、放課後になったらココでヤろうな♡」


 ビクリと体を震わせた聡司が昴を見上げて何かを言ったようだったが、丁度昼休みの終わりを告げるチャイムが流れて聞こえなかった。昴は聡司を解放し、空き教室の鍵を外して扉を開ける。振り返ると、聡司は両手を拳にして胸に当てたまま、まだ空き教室の中央に佇んでいた。


「じゃあまた、放課後」


 前を向き、昴はそれ以上振り返ることなく教室から廊下に出る。チャイムの音で聞こえなかった聡司の言葉を聞き返す必要などないと昴は思っていた。それがどういう返答であろうが、数時間後に昴が聡司とセックスをすることに変わりはないからだ。

 今さら聡司が嫌だと拒否することは考えられないが、たとえそうであっても関係ない。そうなればそうなったで久しぶりに聡司を力ずくで押さえつけ、無理矢理突っ込んでよがらせるのも良いかもな、と教室へと向かいながら昴は胸を弾ませた。

Comments

ありがとうございます

煉瓦

善き❤️ ごちそうさまでした✨


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