制服のネクタイはこんな風に使うためにあるんじゃない。
そんな風に思ったけれど、僕にはどうすることもできなかった。自分のネクタイで両手首を一纏めに縛られ、尻を天井に向けてアナルを犯されている僕には。
いつものように、物置と化している空き教室で屋敷にキスをされ、押し倒された。その際に少し抵抗してしまったから、僕は今こんな目に遭っている。抵抗しなければ指を挿れられるだけで終わったのかもしれない。午後の授業に出られたかもしれない。
「あー……、すっげ、気持ちいいッ♡」
成す術なく蹂躙される僕の体の上で腰を振りながら屋敷が言った。そのニヤついた顔は、教師や他のクラスメイトには決して見せないものだ。虐げられている僕だけが知っている、知りたくもなかったというのに無理矢理見せられてしまった僕だけの知る、優等生の裏の顔だ。
そしてそれは屋敷も同じだった。嫌いな男に犯されているのにペニスから先走りを滴らせ、挿入されたペニスをキュウキュウと締め付けながら頬を染めてとろけそうな顔をしている僕の姿を知っているのは彼だけなのだ。
「……ッ、ふ……ぅ……ッ」
せめてもの意地で声を出さないように耐えてやる。奥を突かれても歯を食いしばり、快楽の波を何とかやり過ごした。
「チッ」
面白くなかったのか、屋敷が舌打ちをする。
「なに我慢してんだよ? いつもならココまで挿れてやったらさ、アンアン喘いでるだろ」
馬鹿にした物言いだった。
腹が立ったけれど、それに言い返すような勇気は持ち合わせていない。僕にできることと言ったら、せいぜい目線をそらせることぐらいだった。
「何だよ……そっか、ハハ、もっと奥まで欲しいってことか」
「ちがっ、あっ」
まるで見当違いの答えを導き出した屋敷は腰を大きく引くと、次の瞬間、一気に奥まで貫いてきた。
「あっ、あああっ」
「オラッ、どうだっ?」
「ああっ、ああっ」
「気持ちいいだろッ」
もう少しで結腸に入ってしまいそうな場所まで挿入される。屋敷の腿が僕の尻に打ちつけられ、パチュパチュと濡れた音が鳴った。
あまりの激しさに翻弄され、息をするために開けた僕の喉からは押し出されるように声が発せられる。感じてるんじゃない、苦しみから出さざるを得ない声だった。
「……すげー喘ぎ声っ」
なのに屋敷は嬉しそうにそう呟き、僕の膝の裏に掌を置くと、上から押しつぶすように律動を始めた。
「ああっ、ああっ、ああッ」
勝手に涙が流れる。苦しいのかいたいのか、それとも屋敷の言う通り、気持ちが良いのか分からない。声は勝手に僕の口から外に出て、それは屋敷を笑ませた。
「お前のイイとこ、当ててやってっから」
いいところ?
そんなところなんて無い。
僕はセックスなんて好きじゃない。こんなのは屋敷に犯されているだけで、目が潤んでしまうのも、頬が染まるのも、アナルがペニスを締め付けてしまうのも、ただの生理現象でしかない。
「あ、あっ、あっ、あっ」
「メスイキ、しろよッ」
宙に浮いたままの足がガクガクと震え、腹がうねるのが自分でも分かる。けれどこれもそう、ただの生理現象だ。こんなことをされれば誰だってそうなる。僕のせいじゃない。僕が淫乱なわけじゃない。屋敷に犯され、腹の奥までペニスを挿入されたら誰だって……。
「あ、ん、んんんーー〜〜ッ」
「……ハッ、すげ、持ってかれそ……っ」
精液なんて出ていないのに、それと同等か、それ以上の快感が僕を襲う。その波に逆らうのは無理だ。攫われ、身を任せるしかない。腹の中を犯す屋敷のペニスをギュウッと締め付け、アナルへ射精されるのを感じながら頭の中が真っ白に染まっていくのをただ受け入れるしかなかった。