NokiMo
icoicoikoi
icoicoikoi

fanbox


裏垢男の娘クリスマス小説

皆様のご支援のおかげで今度はクリスマス小説を作ってもらいました❗❗❗❗

重ね重ね再びこの場を借りて御礼申し上げます🙏✨

今度は文字数9000字オーバーの作品ですので楽しんでいただけたら幸いです😊✨




Novel. © 2022 夜空さくら 様

illus. © 2022 イコイコ憩







クリスマスのイルミネーションが目に眩しい。

 ちょうどクリスマスのその日、街中は幸せそうなカップルがやたらと目に付いた。

 男女のカップルがこれ見よがしに寄り添い、手と手を取り合い歩いていく。

 幸せだと全身で表現しているそんなカップルたち。

 そんなカップルが溢れている街中で、僕は一人、目立たないように隅を歩いていた。

「ふーっ、ふーっ、ふーっ……」

 少し荒くなりそうになる呼吸を必死に抑え込みつつ、僕は不自然にならない程度に顔を伏せながら歩いていた。

 僕の今の出で立ちは、傍から見るとダッフルコートを羽織るように肩にかけているように見えるだろう。

 そのコートの合わせ目から覗く体には、白いタイトなニットワンピースを着ているのがわかる。

 僕の性別が男性であることなどわからない周りの人からしてみれば、まあ不自然じゃない程度の服装だと思う。

 けれど、そのコートの下は、とても普通じゃない状態になっていた。

 袖に通していない僕の腕は後ろに回しており、親指同士が指錠によって拘束されている。

 親指だけと思うかもしれないけれど、指錠は非常に頑丈で強固な作りをしているので、僕は両腕の自由をほぼ失っているに等しかった。

 もし強い風が吹いてダッフルコートがずり落ちたら、それをもう一度着ることは出来ないくらいに。

 それは誰かにぶつかっても同じことだったので、僕は極力道の端を進んでいた。

 そしてそれ以外にも、僕の身体に施されている物はあった。

 一つは、乳首に張り付けられた乳首用のローター。白いニットワンピは体に張り付くので、胸を張ってしまうとそのローターの形を浮かび上がらせてしまう。かといって背中を丸めて歩くのも不自然なので、かなり気を使って歩かなければならなかった。

 そして、もう一つ。

 アナルにはプラグが挿し込まれていた。

 ちょっとお尻に意識を向けると、アナルをきゅっと窄めてしまい、そこに挿し込まれているその栓の存在をハッキリ感じ取ってしまう。

 ただでさえ存在感のあるものなのに、たまにそうして意識を向けてしまうと、アナルから生じた感覚に体が震えてしまう。

 何度反射的に背筋が伸びそうになって、慌てて背中を丸めたかわからない。

 そんなとても変態的な姿で、僕は街中を歩いていた。

 もちろん僕が自分からこんなことをやろうとしたわけじゃない。

 事の発端は、あのろくでもない男の、何気ない言葉だった。


「るりくんってさ。最近裏垢更新出来てないよね?」

 拘束露出プレイをしていた僕のことを写真に収め、事あるごとに脅迫して恥ずかしいことをさせてくる男はそう言った。

 裏垢、というのは元々は僕が一人で行っていた、露出とか拘束とかのプレイの様子をアップしていたアカウントのことだ。

 元々僕はそこで自分のプレイを公開することで、十分に充足感を得られていた。

 だけど男に見つかり、脅されてプレイをするようになってからは、そのアカウントの更新はほとんど行っていなかった。

 男に見つかったのも、そのアカウントにプレイの様子を乗せてしまっていたということがあり、正直それが原因だと思うと更新する気にもならなかった。

 それくらいのことは男だってわかっているだろうに、これ見よがしに指摘してくるなんて、本当にこの男は性格が悪い。

 僕が視線に不満を込めて睨みつけていることに気付いているのかいないのか、男は平然と話を進めた。

「ネタ作りって大変だもんねぇ。だから……僕が手伝ってあげるよ」

 ニヤニヤと笑みを浮かべている男が何を言い出すのか、僕は半ば理解出来ていた。

 きっとこの男は、また僕が破滅しかねない、悪意の塊のようなゲームを提案するのだろう、と。


 立ち止まって物思いに耽っていた僕の肩に、後ろから誰かがぶつかって来た。

 ダッフルコートがふわりと広がりそうになる。

「……っ!」

 僕は慌てて体を上手く倒し、ダッフルコートが肩からずれないようにする。

「あっ、ごめんなさーい」

 ぶつかって来たのは、女性の人だった。彼氏の人と一緒に来ているようで、イルミネーションを写真に収めようとカメラを構えながら後ろに下がって来たみたいだった。

「大丈夫?」

 こっちがたたらを踏んだのをどう感じたのか、心配そうに声をかけて来てくれる。

 普段ならありがたい話だったけれど、今の僕の状態が気付かれるんじゃないかと、気が気でなかった。

「だ、だだ、大丈夫です! ごめんなさい!」

 慌ててそう謝りつつ、急いでその場から離れる。

 またぶつかったら今度こそダッフルコートが脱げてしまうかもしれないし、そうでなくても僕の異常に気付かれてしまうかもしれない。

 僕は暫く歩いたところで、一つ息を吐いた。

(こんなところに来させるなんて……ほんと、最悪……)

 男に指示された内容は、いくつかあった。

 この姿や状態はもちろん男の指定だ。乳首に取り付けてあるローターと、アナルプラグも男が渡して来たものだった。

 明確には言われなかったけれど、十中八九遠隔で動かせるものだろう。

(そして……あそこか)

 僕は目的の場所に辿り着いて、息を吐く。

 そこは駅前の、イルミネーション広場だった。比較的大きな噴水もあって、待ち合わせの場所として指定されることも多いと聞く。

 その噴水の前には、ベンチが置かれていた。

 男に下された指示は『24日の午後8時までに、そのベンチに座っていること。一秒でも遅れたら罰ゲーム』というものだった。

 遅れたくもなかったが早くからそこにいるのも嫌だった僕は、七時五十分くらいにここに着いていた。

(……人は、座ってないか)

 今日みたいに人が多い時にはそこにも人が座っている可能性は十分あったけれど、幸いというべきか残念ながらというべきか、指定されたベンチには誰も座っていなかった。

 僕は複雑な思いでその指定されたベンチへと向かう。

 手に思わず力が入ってしまい、指錠で拘束されている現実をしっかり思い出してしまった。

(はぁ……ほんと、最悪……)

 格好といい、指錠やローターとかを仕込まれた状態といい、本当に非常識で不愉快極まりない状況だった。

 男の言いなりにならなきゃいけないということも屈辱的だし、許されるのであれば今すぐにでも家に帰ってしまいたい。

 それが出来ない現状に苛立ちを覚える。

(それなのに、なんでかな……)

 僕は苛立ちを覚えているはずなのに、自分の身体が確かに興奮していることにも気づいていた。

 こんな理不尽なことをさせられているのに興奮するなんて、自分の身体なのに自分の気持ちを裏切っている。

(違う、興奮してるんじゃない……これは、緊張。そう、バレるかもしれないってことに緊張してるだけ……)

 胸のドキドキする感覚は、興奮ではなく緊張だと僕は自分に言い聞かせる。

 そんな風に思いながら、ベンチまでたどり着いた。

(指示に従うなら……座っているべき……だけど……)

 男は『ベンチに座っていること』と明言していた。横に立っているだけじゃだめだということだろう。

 僕がベンチに座ることを躊躇する理由はただ一つ。

 アナルプラグがあるからだ。そんなに飛び出しているわけではないけれど、当然ベンチに座れば、その分アナルプラグは体の中に押し込まれることになる。

 その感覚を想像して、躊躇しない者がいるだろうか。いや、いるはずがない。

 当然僕もその感覚を想像してしまい、ベンチに座ることが出来なかった。

 いっそこのまま立っていてもいいんじゃないか――そう思った僕の耳に、Bluetoothイヤホンから声がかけられた。

「るりくん、何をぼーっとしてるの? 早く座りなよ」

 僕は咄嗟に周囲を見渡した。明らかにこっちを見ている。

(見当たらないけれど……間違いなく、どこかから見てる……!)

 男に監視されていることは明らかだった。

 僕がさらに躊躇していると、男はさらに小馬鹿にするように声をかけてくる。

「まだ座らないの? もしかして、あんな簡単な指示も覚えられないお馬鹿さんなのかな?」

 笑いが籠った声に、僕は激しい怒りを感じる。

(こんな男に、いいように動かされるなんて……!)

 屈辱を堪えるため、拳を握り締める。

 でも微かに、男に命令を下されることに、怒りや屈辱以外の変な感情が燻っているのを感じた。

 慌ててその感情を否定しつつ、僕は改めてベンチを見つめる。

(これは、仕方ない……命令されて、仕方なくやってる、ことだから……っ!)

 このまま命令を利かないでいたら、男がどんな行動に出るかわからない。

 僕は意を決して、ベンチに腰掛ける体勢になった。

 ゆっくりと息を吐き、心を落ち着けつつ、腰を下ろしていく。

 傍から見ると、僕の様子はとてもおかしなものだっただろう。

 おっかなびっくり、ベンチに向かって腰を下ろしていく。

 ようやくベンチにお尻が接した時、最初に触れたのはよりによってアナルプラグの飛び出した部分だった。

「んぅっ!」

 プラグが挿入されているアナル全体にそのぶつかったときの衝撃が伝わってくる。

 じんじんと奇妙な感覚がアナルを中心に広がって、腰砕けになりそうになってしまった。

 でもそれで脱力してしまったら、一気にアナルプラグは僕の奥まで押し込まれることになる。

 僕はブルブルと足を震えさせながら、可能な限りゆっくりと体重をベンチにかけていった。

 ぐぐっ、ぐぐっ、とさらに強く押し込まれてくるアナルプラグ。

 体の奥まで杭が打ち込まれているかのように感じてしまいつつ、僕は何とかその感覚を耐え抜いた。

「フゥ……ッ! ンぅウッ……!」

 歯を食いしばって呻き声を押し殺し、お尻全体に体重がかかるようになるところまでいけた。

 額に脂汗が滲んでいることを自覚しつつ、僕はようやく顔をあげることが出来た。

「ふーっ……ンっ!?」

 背筋を伸ばしかけ、僕は予想外の感覚に身を震わせた。

 背筋を伸ばしたことにより、若干お尻のあたりにかかる体重が変わり、数ミリほどさらにアナルプラグが奥へと押し込まれたのだ。

 もう奥まで押し込まれていると思っていた僕には、完全に不意打ちの衝撃だった。

 目の前の景色がチカチカと明滅し、意識が真っ白になる。

 自分が周りからどんな風にみられているか、考える余裕もなく、僕はようやくベンチに座ることが出来たのだった。

「ふーっ、ふーっ、ふーっ……」

 腰を完全に下ろしたことで、ひとまず落ち着くことが出来た僕は、必死に呼吸を整えて気持ちを落ち着ける。

 そんな僕の耳に、男の笑いを堪えているような声が聞こえて来た。

「ちゃんと座れたね、おめでとう」

 白々しい言葉に怒りを覚える。

「でも……そんなに悶えながら座っちゃってよかったの? るりくんが可愛く悶える姿、周りの人に見られたんじゃないかなぁ?」

 頭に昇りかけた血が、ざっと下がるのを感じた。

 確かに、いまの僕の周りは人気が皆無なわけじゃない。こっちを見ている人がいてもおかしくない。

 慌てて周囲を見回す。

 けれど、見える範囲にいる人たちは、みんなカップルばかりで、お互いのことで精一杯な様子だった。

 少なくとも僕の方に視線を向けて来ている人は一人もいなかった。

 男に嘘で揶揄われたことに気付く、屈辱と怒りが再燃する。

(……なんでこんなことしてるんだろ)

 周りから見られなかったことに安堵はしたものの、カップルが幸せそうにイチャイチャしている場所で、こんなことをさせられている自分の惨めさを改めて感じる。

(クリスマスだってのに……ほんと、最悪……)

 その最悪なことをさせている男の声が、イヤホンから嫌でも聞こえてくる。

「それじゃあ、るりくん。ゲームを始めようか。るりくんはこの後、八時から十五分間、その場でじっと座っていること。そして――それだけだよ」

 簡単でしょ、と言わんばかりの男の言葉に、僕は耳を疑った。

(ここで座っているだけ……? 脱出とか、そういうのは……?)

 いままで男にさせられてきた、最悪なゲームの数々が頭の中に過る。

 それに比べれば、ただ時間までじっと耐えればいいだけなんて、楽勝にもほどがある。

 僕は男の悪辣さをすっかり忘れて、ほっと安堵してしまっていた。

 それが甘すぎる思考だったことを、僕はすぐに思い知らされることになった。

 八時になったことを、駅前の時計が告げる。

 それと同時に、いままで薄暗くなっていた僕の周囲が、突然明るくなった。

 噴水から水が噴き出し、それに合わせてライトアップが行われる。

 どうやら今日のクリスマスに合わせて、そんなショーが予定されていたようだ。

 目の前で展開される綺麗な噴水ショーに、状況も忘れて思わず見入ってしまう。

(うわ……こんなイベントやってたんだ……すごい……)

 能天気にそんなことを思ってしまった僕の周りに、人垣ができ始める。

 僕はその時ようやく、ショーが行われるのであれば、それに合わせて人が集まってくるのは当然だということに気付く。

 寒いはずなのに、僕は全身からぶわりと汗が滲み出すのがわかった。

 ドクンドクンと心臓の鼓動が激しく高鳴り始める。

(ヤバい、ヤバい、ヤバい……!)

 元々かなり人が集まっていた場所ではあったけれど、気付けば僕のすぐ傍にも人が立ち始めている。

 見渡す限り、人で埋め尽くされていく。

 僕はベンチに座っているから、余計に周りが人で溢れているように感じる。

 幸いなのは、皆ショーの方に夢中で、また立っている人が多いから僕のことには気付いていないことだろう。

 僕はその事実に微かに安堵する。

(これなら、じっと息を殺していれば注目を浴びずに済むかも……!)

 そんな僕の心を読んだとでもいうのだろうか。

「いやぁ、綺麗だねぇ。……それじゃあ、るりくんの方もショーを開始しようか」

 絶妙なタイミングで、男が声をかけて来た。

 それと同時に、僕の身体に取り付けられた二つの仕掛け――乳首ローターと、アナルバイブが動き出す。

「ん……ッ」

 突然の刺激に、僕は一瞬体をぴくりと動かしてしまう。

(く、ぅ……! だめ、だめ……! 意識したら……!)

 まだ震動は絞ってあるらしく、それほど大きなものではなく、じりじりとしたものだった。

 その震動音が周りに聞かれることはないだろうけど、僕自身が声をあげたら話は別だ。

 手を伸ばせば届くような位置にも人はいる。

 僕がうっかり声をあげれば、確実にその人たちに気付かれてしまう。

(耐えなきゃ……! 絶対……バレたく、ない……っ)

 必死に堪える僕を弄ぶように、噴水の動きに合わせて、ローターやバイブの動きも変わる。

「ショーには緩急が大事だよねぇ」

 そんなことを嘯きながら、男は僕を弄んでくる。

 あまりにも馬鹿にした行為に、僕は頭が沸騰しそうになるほどの憤りを感じたけれど、男に憤ってばかりもいられない。

 緩急をつけられた刺激に、僕の身体はびくびくと反応してしまっていたからだ。

 いまにも声をあげてしまいそうになりながらも、必死に堪える。

(く、ぅ……ッ! まだ、時間は……過ぎないの……っ!?)

 早く時間が過ぎて欲しいと、僕はそれだけを願う。

 いよいよ我慢が出来なくなりそうになって、僕は背筋を伸ばし、体勢を変えて堪えようとした。

 その瞬間だった。

 人混みの喧騒も貫く大きさで、携帯電話の着信音が響き渡ったのは。

――ピリりりりっ! ピリりりりりっ!

 その甲高い電子音は、僕の真下から響いていた。

 死角になる位置に、地面と同化する色合いのカバンが置かれていた。

 それから携帯電話の着信音が響き渡っている。

 そんなことになれば、どうなるか。


 周囲の人の目が、一斉に僕の方に向けられた。


 ひゅっ、と息が詰まる。

 無数の視線が、まるで物理的な針で突き刺して来ているように、僕の全身に向けられていた。

(あっ……!)

 僕は咄嗟に、絶頂しかけていた自分の体を必死に抑え込む。

 心臓が破裂しそうなほどに激しく高鳴り、バクバクという激しい鼓動によって全身が震える。

 抑え込むことが出来たのは奇跡に近かった。

 けれど、その代償に、僕のアナルには強く力が入ってしまった。

 咥え込まされているアナルバイブを、肛門で強く締め付けてしまう。

 アナルバイブの震動はよりにもよってかなり強い状態で、僕はバイブを締め付けた肛門自体が震えているような感覚に陥ってしまう。

(あ、あ、あ、あ……っ!)

 バイブを締め付けた肛門から甘い快感が全身へと広がっていく。

 頭の中が真っ白になり、体が一気に官能の熱を燃え上がらせる。

「んぃ……ッ」

 歯を食いしばって、目を見開く。

 背筋を伸ばしてしまっていたことで、胸を張るような姿勢になっていたのも良くなかった。

 乳首に取り付けられたローターが服によって体に抑えつけられ、その分、震動による刺激がさらに強いものとして乳首に与えられてしまっていた。

 ただでさえそれまでの刺激によって固く尖っていたであろう状態の乳首に、強くローターが押し当てられる。

 ビリビリとした快感が頭を貫き、僕の意識を薄れさせる。

(やば、い……! この、ままじゃ……ッ)

 僕はぐちゃぐちゃになった頭を必死に巡らせる。

 現状一番まずいのは、このままだと携帯電話の着信が鳴り響き続けるということだ。

 周辺に響き渡るような着信音が鳴り響き続いているのに、それを止めようともしない僕を、周りの人はどう思うだろうか。

 どういう意図であれ、僕に声をかけてくる人もいるかもしれない。

 一刻も早く携帯電話を止めなきゃいけない。

 だけど、僕はいまギリギリのところで踏みとどまっている状態だ。

 体を捩ったり、何かしたらそれだけで最後の箍が外れて、声を出して絶頂してしまいかねない。

 そもそもそれでなくとも、僕の両手は後ろ手に固定されているので、真下のバッグを探ろうにも、明らかに不自然な動きでしか漁れない。

 妙な動きをしていることに気付かれれば、僕の状態を知られてしまう。

 つまり、どう足掻いても、僕は絶体絶命だった。

 動いてもダメ、動かなくてもダメ。

――ピリりりりっ、ピリりりりっ

 響き渡る携帯の着信音が、僕を徐々に追い詰めていく。

 明らかに周囲の人の視線の質が変わり始めていた。

 携帯が鳴っているのに何もしようとしない僕を妙に思っているのだろう。

 それまで以上の、強い視線が全身に突き刺さる。

(う、うあ、ああああっ、あああああっ……!)

 もう、駄目だ。

 僕は絶望が迫ってくるのを感じながらも、必死に我慢するしかない。

(あ……もう、だ、め……っ)

 いよいよ追い詰められた僕の脳裏に、いままでの想い出が流れていく。

 学校で僕は、目立たないように生きて来た。

 なるべく注目を浴びないように、ひっそりと。

 それは女装アカウントから自分に辿り着く者がいないように、という目的があった。

 万が一有名になった時にも、自分とそれが結びつかないように。

 女装にばかりかまけて成績を落とさないように、勉強も頑張った。

 楽しみのためだと思えば、勉強も苦に感じなかったのを覚えている。

 それも全ては、ひっそりと暮らし、女装を存分に楽しむためだった。

(なのになんで――)

 こんなことになったのだろう。

 何が悪かったのだろう。

 女装したのが悪かったのか。

 自縛に嵌ってしまったのが悪かったのか。

 女装裏アカウントなんて作って、承認欲求を満たそうとしたのが悪かったのか。

 真っ白になっていく僕の脳裏に、両親の顔が浮かんだ。

 僕のことを優しく、時に厳しく育ててくれた、真っ当な両親二人。

 変質者として女装したまま逮捕される僕を、二人はどう思うだろうか。

 失望されてしまうだろうか。

 見放されてしまうだろうか。

 勘当され、家から追い出されるかもしれない。

 見捨てられなくても、もう普通に笑いかけてくれることはないかもしれない。

(変態で……ごめんなさい……)

 いくらこうなったことを後悔しても、もう遅い。

 もはや取り返しのつかないところに、僕は置かれているのから。

 どうやっても、どんなに足掻いても、破滅するしかない状況に僕はいる。

(もう……いっ、か……)

 ついに何もかもがどうでもよくなった僕は。

 我慢していたものを全て解放することにした。

(あ、あ、あ……っ!)

 それまで堪えていた感覚を、解き放つ。

 ぎゅっとアナルを締め付けて、バイブの震動を意識して感じる。

 胸を反らし、より強く乳首ローターを押し付ける。

 全身を快感が駆け抜けていく。

 そして――全てを解放した。

(~~~~~~ッッ!!)

 視界も思考も、何もかもを白く染めながら、絶頂する僕。

 周囲の視線も状況も何もわからなくなった。

 いままで感じたことのない絶頂の余韻に震えた。

(おわっ、た……)

 そんな風に、全てを諦めていた。

 気づいたら――目の前に男が立っていた。

「いやー、ごめんごめん! 遅れちゃったね!」

 男は僕を周りから隠すようにして立っていた。

 その手にはスマホが握られていて、男はいかにも「電話をかけていたのを止めた」ような仕草をする。

 それと同時に、鳴り響いていた携帯電話の音が消えた。

「遅刻してごめんねー。電話に出てくれなかったのは……拗ねちゃった? 怒った?」

 そんな風に、いかにも説明口調で嘯いている。

 いままでのことを『待ちぼうけを喰らった彼女』と、『待たせてしまった彼氏』のやりとりだったと判断したのか、周囲の興味と視線が離れていっていた。

 男は一芝居打って、絶体絶命の境地から僕を逃して見せたのだ。

 そこに突き落としたのも、この男だったけれど。

「……ッ」

 僕は背中を丸めて身を屈め、イった余韻に体を震わせてしまう。

 そんな僕の隣に腰掛けて来た男は、僕に手を回して肩を抱いて来た。

「……ふふふ。楽しんでくれたかい? るりくん」

 周囲に聞こえないようにしつつ、挑発的にそう囁いてくる男。

 僕にそれに応える余裕なんてなかった。

 頭の中がぼんやりして、まともに考えることも出来ない。

「ちゃんとるりくんがイク前に周りの視線は遮ってあげたから、安心していいよ。エロいるりくんの顔を見せるわけにはいかないからねぇ」

 楽し気に笑いながら、男が僕を促してベンチから立たせる。

 立ち上がろうとした際に、一瞬アナルバイブが体に深く食い込んで、痺れるような快感がそこから生じた。

 足元がふらついた僕を、男は肩を抱いた手で支えていた。

「ここじゃ寒くて風邪をひくし……場所を移そうか」

 そう囁きながら、男は僕を誘導して歩き始める。

 どこに連れていこうとしているのか。

 何をしようとしているのか。

 普段の僕なら、これから起きることを考えていただろう。

 だけど人の多く集まる公共の場で、盛大に絶頂してしまった僕には、それを考える余裕すら残っていなかった。

 ただ男の誘導に従い、素直に歩いていくことしか出来ない。

 股間に感じる妙な冷たい感触が、気持ち悪かった。


 僕が歩かされる街には、陽気なクリスマスの音楽が流れていた。


おわり

裏垢男の娘クリスマス小説 裏垢男の娘クリスマス小説 裏垢男の娘クリスマス小説

Comments

I can understand this with google translate and I love it but I takes a while for me lol but sexy beautiful work

zeno

ヤバイヤバイ!語彙力がなくなるくらいヤバイ! いいね!!やってみたい! るりくん、だんだん可愛くなっていっちゃう!ついに乳首の開発が始まったのか!楽しみ! と、言うことは、電車ゲームもクリアーしたんだね!楽しみがまた1つ増えた! 昨日はガチの男の娘も見れたし、写真も取ったし、クリスマスは男の娘もおおいのかな?ワクワクが止まらない! 毎回、更新するの楽しみにしてます。ありがとうございます。

キョウ


Related Creators