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鷹取リュウゴ
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健魔性体 菌活ドリンク~不摂生リーマンが健康以上の肉体を手に入れるまで 11

11第三週目の始まりは~ドリンク十一本目~  出社すると藤枝が俺の所にやって来て暗い息を吐いた。 「最悪だ……、例の件で解雇される可能性が高くなっている」 「解雇? クビにされちまうってか!?」 「そう。文字通り俺の『首』と引き換えに菊川専務の怒りを鎮めようって肚づもりらしい」 我が社のお偉いさん達がいよいよ膠着状態に業を煮やした、と言う事か。 「土地の買収はもう終わってるし建設を請け負ってくれる複数の事業体にも話が付いている段階だ。もはや中止なんて選択肢は無いんだろう」 「それはそうかも知れないけど、藤枝を切れば万事解決するのか?」 「さぁな。そればかりは分からないが……」 「菊川くんの頑張りとやらに期待するとしても、猶予はあまり無いのか」 「だな。せっかく三島がお孫さんを見つけて話までしてくれたってのにな……」 暗いオーラを放つ藤枝を見送り自席のパソコンに向かう。 が、表示されている文字列を見ても一向に頭に入ってこない。 藤枝の問題に頭の中のリソースをほとんど取られてしまっている証拠だ。 諦めてふわふわとした思考を言語化してみる。 まず、藤枝を切ろうとする判断は上層部としては仕方がないのかも知れない。 実質プロジェクトの障害になっているのは無実とは言え藤枝によって起きているのだから。 だが、これで菊川専務を翻意させられるのか? 孫の菊川くんの話じゃ頭が固く正義感が強い古風な人だ、とのことだったが。 「……藤枝を切り捨てたら捨てたで、詰め腹を切らせる社の体質に不信感を持たれてしまうんじゃないか?」 なので藤枝をクビにしても事態が動きを見せなかった場合、次の手はあるのだろうか? 「代わりになるプランBも無いまま藤枝を排除しちまったら新プロジェクトの頓挫だけじゃない、我が社は社員を守らないブラックな会社だと騒がれかねないよな」 もしも藤枝が無実のまま解雇されたってのが世間に広まったら……。いや、SNSがこれだけ発達した今のご時世、騒ぎたいだけの奴らにとっては格好のターゲットになるだろう。  業務への集中を欠いたまま自宅に戻ると今週の『ボディモッド』を届けに来てくれた菊川くんと玄関前で鉢合わせた。 「やぁ、悪いね。ちょいと仕事が長引いちゃって」 「いえ、先ほどまでお隣りの袋井さんに一週目の『ボディモッド』をお渡しさせて頂いてましたので大丈夫です」 「ああ、そっか。袋井君は今週からスタートするんだ」 立ち話もなんだし取りあえず部屋に入ってもらう。相変わらず格好は寒そうだし。 そして、3週目になる『ボディモッド』を受け取り菊川くんの目の前で今日の一本をグイッと飲み干す。 「あれ? 先週のモノと若干味が違うね?」 「はい。3週目以降の『ボディモッド』には今までの効果を踏まえて新しい菌が含まれています」 「へぇ~、そいつも健康に役立つんだ?」 「もちろんです。健康だけじゃなくて色々な効果が期待できますよ!」 マッチョになり、チンポは平均よりデカくなり精力も絶倫になった。男としてこれ以上望むべくもない効果を得られているのだからきっとまた有用な効果を俺にもたらしてくれるはず。 詳細を聞けばきっとまた先入観を持たれるのでダメと言われそうなので聞かないでおこう。 「――それと、こちらが報奨金になります」 菊川くんから封筒を受け取り中身を覗く。諭吉が三枚、つまり3万円も入っているとは! 「こんなにも!? 凄いな……」 金額の大きさに感心していると菊川くんが伏し目がちになって話し始めた。 「……仕事中に話すのは公私混同だと思うんですが、昨日の件、俺からのお詫びも兼ねて名指しされている藤枝さんと言う担当の方と会うことはできませんか? やはりこう言うのって当事者同士が話すべきだと思いますし」 菊川くんからこんな申し出をもらえるなんて思ってもみなかったが、間に俺なんかが入るより直接意見を交わした方が何倍も良いに決まっている。 「いいのかい? もちろん俺は賛成だし藤枝にもちゃんと取り次ぐよ」 その場で俺は藤枝に電話を入れ菊川くんにも聞いて明日、火曜日の日中にも藤枝と菊川くんが対面するようセッティングした。 「俺も昨日の話は伝えたけどやっぱり本人の口からの方が正確さというか実感が違うからね。電話口で藤枝も『是非』って喜んでたよ」 「そう言ってもらえると俺としてもありがたいです。藤枝さんに迷惑をかけている原因はこちらなので」 ガタイの良い菊川くんが申し訳なさそうに縮こまる。 「菊川くんはむしろ被害者だろう? どちらかと言うと許嫁の婚約者さんとお爺さんが……っと、これ以上は口を慎まないとな。家庭の事情なんて他からは窺えないモノだし」   ◇    明けて火曜日。会社近くのカフェで菊川くんと落ち合った。 前段として藤枝が我が社の新工場建設に当たっている事と怒れる菊川専務により着工の了承が貰えず建設が進められない状況、そして、菊川専務の怒りの原因は菊川くんの婚約者を寝取った男が「藤枝」となっている点についてもう一度俺から簡潔に説明。 「こっからは俺が口を挟むとややこしくなりそうだから二人で話してくれないか?」 藤枝がうなずき、菊川くんも神妙な面持ちで「分かりました」と返してくれた  「まず、すでに三島から聞いているかと思いますが、あなたの婚約者と関係を持ったなど事実無根です。私は婚約者様と会った事もありませんしお顔も存じ上げません」 「……すみません、藤枝さんが無実なのは知っています。だってアイツの嘘、狂言ですから」 「婚約者様の狂言?」 「そうです。俺は男しか愛せない人間だから結婚なんてできないって言ったらアイツはひどく憤慨して、爺さんにある事無い事まことしやかに告げた上に、藤枝さんにレイプされかけたとまで言いだして……」 ヒステリーか八つ当たりか。どっちにしても周囲への影響がデカ過ぎるぜ。 「そこで、どうして俺の名が出て来たんでしょうね?」 「それは俺もさっぱり分かりません」 「もしよろしければ婚約者様のお名前を伺っても?」 「はい。アイツは『富士宮 真理江(ふじのみや まりえ)』と言います」 藤枝がハッと顔を挙げた。 「もしかして、富士宮産業の社長のお嬢さんでは?」 「はい。その通りです。よくご存じで」 藤枝は小さく唸ってから顎に手を当て何かを考え込み始めちまった。 その無言に耐えかねた菊川くんが頭を下げひとまずこの場を締めくくろうとした。 「えっと、とにかく、俺の意志とは無関係に決まった婚約とは言え、藤枝さんに迷惑をかけてしまって本当にすみません……」 「……あ、いえ。菊川専務のお孫さんに恨まれていない事が知れてよかったです。ただ、この先なんですが――」 「真理恵さんと言う社長令嬢に『あれは自分の嘘でした』と真実を言わせることができるか、それとお嬢さんの自白を聞いて菊川専務が翻意するか、だな」 問題点の核の一端が菊川くんから婚約者のお嬢さんに移動しただけで状況的にはあまり変わった気がしない。 だけど藤枝の目に力が復活している、ように見えるのだが……なんでだ? オマケに、菊川くんや藤枝から香水とは違う良い匂いが漂って来て、俺は思わず鼻をクンクンとさせていた。 「んだよ三島。犬みたいなことしやがって」 「きっとドリンクの効果が出て来たんでしょう。他の男性フェロモンへの感覚が鋭くなってきたんじゃないですか?」 「男性フェロモン? それがこのニオイの正体なのか?」 ここで菊川くんが『ボディモッド』のエリア担当者兼配達スタッフであることを藤枝に紹介した。 「なるほど。そうだったんですね。実は俺も先日までは飲ませて頂いてたんですが、この件にかかりきりになってからは途切れてしまいまして……」 「ちなみに藤枝さんのお住まいはどちらでしょう?」 「〇△市です」 「再開をご希望でしたら〇△市の担当者に伝えておきますが」 「あ~、ちょっと今は厳しいですね。もう少しこの件について打開できてからでないと」 「ヤバイ……、急に二人とセックスしたくなってきた……」 二人から感じ取れるニオイがフェロモンだと知らされたせいで俺は激しくムラついていた。 欲望のスイッチが入ってエロモードに切り替わったかのように。 「あのなぁ、まだ真昼間だぞ? 少しは我慢しろっての」 たしなめる藤枝に対して菊川くんは腰を上げつつ乗り気で応じてくれた。 「俺は別に構わないですよ。『ボディモッド』の効果がきちんと出ている証拠ですし。えーと、この辺りじゃホテル『闇林檎』が近いんでそこでヤりましょう」 俺と菊川くんがさっと席を立って離れようとすると藤枝が慌てて追いかけてきた。 「待ってくれ。俺も混ぜてくれよ。三島は俺のフェロモンにも反応してんだろ?」 「お前も男とヤれるヤツだったのか」 「まぁな。まだ解決した訳じゃないが光明が見えたお陰で俺も溜まってたモノを吐き出したくなった」 そう言って勃起してモッコリしているスラックスを俺に見せつけた。 『ボディモッド』を飲む前の俺ならもっと驚いていただろう。そして藤枝に対して嫌悪感を抱いていたかも知れない。 だけど今の俺は少し驚きはするもののむしろ「好都合だ」と喜び、そしてますます藤枝を気に入っていた。 もともとこいつってばイケメンで体格も俺よりナイスバディ。『ボディモッド』の効果が切れて筋肉が多少落ちようが、仕事上の問題で暗い表情になろうがその点は少しも変わっちゃいない。 それに、今までの付き合いから把握しているが俺よりエロいことに目がないタイプでもある。 「俺の精液の味も楽しむよな? な? 三島」 精液の味と言われて咽喉がゴクリと鳴ってしまった。もう、本当に俺って精液好きになっちまったんだな。 「菊川くんは藤枝がセックスに参加しても大丈夫?」 「もちろんです! 藤枝さんも俺のタイプですし!」

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