美智流 「いっひひひひひ、んんっ…、くっくっくっくっくっくっくっ…!!」 美智流の弱点であるワキに狙いを定めたその“手”は、5本の指を巧みに使い美智流のワキを引っ掻くようにくすぐり始めた。 美智流 「くぅうぅぅうっふふふふふふふふふふ!いっひっひっひっひっひっひっひっ……!わっ、わきぃぃいぃ…、っひひひひひひひ!や……、あふふふふふ、んんっくっくっくっ!」 それは、今までとはまるで桁外れのくすぐったさだった。より強く口に力を入れ必死に歯を食いしばっても、それをこじ開けるかのように口から笑い声が溢れ出てしまいそうになる。 そのくすぐったさに、思わず「ワキはやめて」と訴えてしまいそうになったが、それを言ってしまったらワキがくすぐったいと認めるようなものだと気が付いた。それでは今まで強気に振舞っていた意味がないと、その言葉を口に出す手前でグッと飲み込んだ。 由羽 「ほらぁ、とってもくすぐったそうじゃない❤いい加減くすぐったいって認めたらどう?弱点のワキ、くすぐったくて堪らないんでしょぉ?」 美智流 「いぃぃいぃっひひひひひひひひ!こんなの……、くっくっくっくっくっくっ…、くすぐったくなんか、ないわよぉ!んんっふふふふふふふふふ…!!」 流石は自身も認める弱点と言ったところか。ワキを引っ掻くそれぞれの指がくすぐったくて堪らない。不幸中の幸いは、その“手”によるくすぐりがスーツのジャケットの上からワキをくすぐっていた事である。着丈が短いジャケットにも袖はある。その袖のお陰でワキと指の間に衣服の防壁が生まれ、くすぐったさを少しばかり軽減していたのだ。でなければ美智流は我慢できずに笑わされていただろう。 由羽 「うっふふ…❤よほどくすぐったいのねぇ。すごい必死に身体を捩って、ワキを守ろうとしているのが伝わってくるわぁ❤」 美智流 「そんな事……、ふいいぃぃいっひっひっひっひっひっひっ…!!んぐぅうっ、ふふふふふふふふ……、ないわよぉ…!」 刺激を軽減していると言っても、そのジャケットも決して厚手の生地で作られている訳ではない。寧ろ普通のスーツより薄手にすら感じる生地である。それに加えスーツの下に着ている腹チラするインナーはノースリーブである。衣服による防壁は、生地の薄いスーツのジャケットだけと考えると、美智流の敏感なワキには少々心もとない物かも知れない。 美智流 「んあっふ…、いっひひひひひひひひひひひひひ、きひひひひひひひひひひ……!」 (この女、わざと私がギリギリ我慢出来るようにわざとやってる……!私が必死なのを楽しんでいるんだわ……!) 美智流にワキが弱点だと認めさせ、そのくすぐりで笑わせたいのであれば、初めからジャケットを脱がせて拘束すれば済む。そうすればノースリーブのインナーにより、素肌のワキが露わとなり美智流を笑わせる事などより簡単に出来ただろう。となれば、こうしてジャケット越しにワキをくすぐっているのは“敢えて”と考えられる。つまり由羽は、敢えてジャケット越しにくすぐる事で、必死に我慢しながら悶える美智流の姿を楽しんでいるとしか思えない。 勿論、美智流を拘束した時点では、美智流の弱点がどこか、どこをくすぐればくすぐったいと感じるかなど、由羽は知りもしない。だが、大抵の人間はワキが敏感でありくすぐりに弱い。だから相手の弱点がどこであれ、由羽はこういうやり方で楽しむ事を前提に、美智流をスーツ姿のまま拘束したのだ。 美智流 「きひぃぃいっ、ひひひひひひひひ……、ぷふふふふふふふふふ……!!いっひっひっひっひっひっ!うぅっふふふふふふふふふふ……!!」 ジャケット越しのワキを激しくくすぐられ、指がワキを引っ掻く度にシャカシャカとスーツの生地が擦れる音が美智流の耳に響き渡る。その音もまたワキをくすぐられているのだと美智流に自覚させ、実際に感じるくすぐったさを増幅させている。 美智流 「ぷひゃぁあっは……、はうぅうう……!!んぐふふふふふふふふふ、くっくくくくくくく、いぃっひひひひひひ!!」 (ダメ、くすぐったい!!) 徐々に口が開けられ、笑い声に近い声が漏れ始める。顎が壊れそうな程 力を込めて歯を食いしばっているのに、そのくすぐったさに耐えきれず口が開いてしまいそうになる。それは美智流の限界を表していた。 負けたくないのに、くすぐったさに負けて笑わされてしまう。それに強い屈辱感を抱き、必死に自身のプライドを守ろうとするが、そのくすぐったさには勝てなかった。 美智流 「んひひひひひひ、わかったから……!あふふふふふ、ひあっ、はうぅ……!んっふっふっふっふっふっ!!認める……!ぷくぅ、っふふふふふ、いひひひひひひ!くすぐったい、からぁ……!あうっ、ふふふふふふ、ひひひひひひひひ!!」 笑わされるのだけは嫌だ。こんなふざけた拷問に屈し、無様に笑い出すのだけはプライドが許さない。そこだけは譲りたくなくて、ついに美智流はワキがくすぐったいと認めた。その言葉に満足気に笑みを浮かべた由羽は、リモコンを操作し美智流をくすぐりから解放した。 美智流 「っはぁ、っはぁ、っはぁ、っはぁ、っはぁ、っはぁ、っはぁ、っはぁ、っはぁ、っひぁ、っはぁ……!」 お腹を優しくくすぐられた後に解放された時は、呼吸が少し荒くなりつつも強がる余裕があった。だが今回は全身の疲労感があまりにも大きく、息も上がってしまい呼吸を繰り返すので精一杯だった。 由羽 「うっふふふ、やっぱりくすぐったかったんじゃなぁい。敏感なのねぇ?あなたの……、ワ・キ❤」 美智流 「っはぁ、っはぁ、っはぁ、うるさい……、わよっ……!っはぁ、っはぁ、誰だって…、ワキはくすぐったいわよ……。っはぁ、っはぁ、っはぁ、っはぁ…、卑怯じゃない……。はぁ…、はぁ…、こんな状態で、ワキを…、っはぁ…、はぁ…、くすぐるなんて……。」 由羽 「くすぐったいって認めた瞬間にその口も急に素直になったわねぇ❤」 美智流 「うぐっ…!し、仕方ないじゃない……!く、くすぐったかったんだから……。それに……、いい歳してくすぐったいとか……、恥ずかしかったのよ……。」 由羽 「見事にくすぐり拷問に屈服してくれたみたいねぇ❤さて、それじゃあ早速教えて貰うわよ❤あなたの組織のトップについて、洗いざらい吐きなさい?」 美智流 「言う訳ないでしょ?確かに私はワキが弱点で、そのワキがくすぐったかったとは言ったわ。だけど、別にあなたのくすぐり拷問に屈した訳じゃないわ。」 確かにくすぐったさに負け、ワキが弱点だと認めた美智流。しかし、それを認めた上でも美智流はその拷問と戦う方を選んだのだ。確かにあれ以上続けられたら、美智流は笑い出してしまっただろう。そして、それはこの後も同じだろう。 ならば何故くすぐり拷問を受ける道を選んだのか。美智流は、くすぐりに負けて笑わされる覚悟をする時間が欲しかったのだ。あのまま笑い出して醜態を晒してはあまりにも無様だと感じていたが、ワキがくすぐったかったと認めた上で尚且つ、くすぐったがる事に羞恥心を抱いていたとわざと由羽に伝えた事で、くすぐりに負けて笑っても仕方がないという状況を自分で演出したのである。 そしてその言葉を口にする事で、どんなにくすぐったくて笑わされてしまっても、組織は絶対に売らないと覚悟を決める事が出来たのだ。 由羽 「ふぅん。それならもう私も容赦しなくて良いわよね?」 拷問に屈したと思われた美智流の反抗的で強気な態度に、静かな怒りを露わにした由羽は再びリモコンを操作する。すると美智流のワキのすぐ近くに待機していた2つの“手”が、また下降し美智流のお腹へと向かっていく。 美智流 「またお腹をくすぐるつもり?折角 私の弱点がワキだって教えてあげたのに、ワキをくすぐらないのね。」 由羽 「そんなにワキをくすぐって欲しかったのかしらぁ?大丈夫よぉ、ちゃんとワキをくすぐってあげるから❤」 開き直るように吹っ切れて強気な態度で由羽を挑発する美智流。しかし由羽は冷静に、かつ美智流をより苦しめる準備を進めており、美智流を心から屈服させようと再び笑みを浮かべた。 美智流 「一体何を……って、ちょっと……!」 (まさか……!) 美智流のお腹へ向かった“手”は、その器用な指使いで美智流のジャケットのボタンを外したのだ。その行動に驚くと同時に、美智流はこれから何をされるのか理解してしまった。そして、その“手”は美智流の予想通りの行動をすぐに開始する。 美智流のジャケットのボタンを外し終えると、またケーブルが巻き取られその“手”は美智流のワキの方へと上がっていく。そしてその“手”が開かれたジャケットの襟部分を掴むと、更にケーブルが巻かれる。 美智流 「くっ……!やっぱり、そういう事をするのね……!」 ケーブルが巻き取られると共に、美智流のジャケットを掴んだ“手”が、グッとジャケットを持ち上げる。それにより、ジャケットの袖によって今まで隠されていた美智流のワキが露わになってしまったのだ。 つまり、美智流の弱点であるワキの生肌を、今度は直接くすぐろうと企んでいたのだ。 由羽 「むふふ❤とってもキレイでくすぐり甲斐のありそうなワキね❤これは堪らないわぁ❤❤」 美智流 「くっ……!そんなにじろじろ見ないでよ……!」 他人に見せる事などまずあり得ない“ワキ”という部位。そのワキをまじまじと見られるのは強い羞恥心を感じてしまうものである。ただでさえ普段からノースリーブなど着ない美智流にとってワキを見られる機会など皆無であり、よりその羞恥心は強いだろう。 美智流はお腹を見られた時とは比べものにならない程、恥ずかしそうに顔を真っ赤にし声を荒らげる。 由羽 「恥ずかしがらなくても良いのよぉ?すごくキレイで自慢できる素敵なワキじゃなぁい❤」 美智流 「ちょっ……!んっく、やっ、やめて!!っふふふ……、そんなに、顔を近づけないで!っくふふふ、息が、当たってる……!んっふふふふふ!」 美智流のキレイなワキを間近で見つめ、わざと美智流の羞恥心を高める由羽。しかし美智流は、由羽が喋る度に出る息がワキにかかってくすぐったく感じてしまい、羞恥心どころではなくなっていた。 由羽 「あ〜、私の息がくすぐったいのね❤…………ふぅ〜❤」 美智流 「うひゃあぁ!!?んっふふ、くっふふ……!」 ワキに息がかかるだけでくすぐったそうに悶える美智流をもっと見たくなった由羽は、それこそイタズラをするように吐息をかける。まさかそんな事をされるとも思っていなければ、ただの吐息が想像以上のくすぐったさを生み、その2つの驚きに美智流は一際大きな悲鳴をあげてしまった。 由羽 「ふぅ〜❤」 美智流 「んひぃ…!くくっ……、ちょっ、やめなさいよ……!!」 その反応に愉悦を味わった由羽は、再び美智流のワキに息を吹きかける。一度感じたくすぐったさと嫌悪感だったが、どうしても悲鳴を上げてしまう刺激。思わず出てしまったその反応にも羞恥心を抱いた美智流は、それを誤魔化すように声を荒らげながら、目の前の由羽を蹴りつける。 由羽 「そんなにくすぐったかったのかしら❤」 美智流 「ワキに息を吹きかけるなんて、悪趣味なのよ……!」 脚は拘束されていないため、反射的に蹴りを入れられたが、腕がかなり高い位置に引っ張られ拘束されている為に、脚に踏ん張りが利かず強い抵抗にはならなかった。 由羽 「それにしても乱暴ねぇ。やっぱり脚も拘束しておくんだったかしら。でもそれじゃあくすぐったくて身体を捩って悶える姿が半減されるのよねぇ。」 美智流 「脚を動かして抵抗してる姿を拝みたかったって訳?ホント、どこまでの趣味が悪いのね……!」 由羽 「拷問って、そういうものじゃなぁい?まあイタズラはこの辺にして……と。」 美智流 「っ!!」 少し美智流から離れた位置でリモコンを向ける由羽。そしてそのボタンを押される事で、いよいよワキへのくすぐりが始まると察した美智流は、これから訪れるであろう刺激に怯えつつも、負けないように気を引き締める。 そして、ピッ、というリモコンのボタンが押される音が静寂の空間に響き、いよいよそれは始まった。 美智流 「いひぃぃい!!」 スーツのジャケットを掴み、美智流のワキを晒していた“手”は人差し指だけをピンと伸ばし、ワキを晒す状態を維持したままその地肌をくすぐり始めた。 美智流 「んっふふふふふふ、くひいぃいいぃ!!っひひひひひひひひ!!」 人差し指でワキの窪みを縦になぞるように引っ掻く動き。しかしそのくすぐったさはスーツ越しのくすぐりとは比べものにならず、美智流は想像以上のくすぐったさに襲われる。 美智流 「ひあっ!あふぅうぅっ、ふふふふふふふ、いっひっひっひっひっひっ!きひひひひひひひひひ!!」 くすぐり方だけで言えば、5本の指を激しく動かす方が体感としてはよりくすぐったいだろう。しかし、ジャケット越しか肌を直接くすぐられるかでは感じるくすぐったさがあまりにも違ったのだ。 美智流 「やめっ、んぐぅううぅっ!っひひひひひひひひひひくぅぅぅぅうっふっふっふっふっふっふっふっふっ!!んぎぃいぃぃいいっひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 その凄まじいくすぐったさに美智流は「やめて」と思わず懇願する。しかし、その言葉の途中で笑い出してしまいそうになり、すぐに歯を食いしばりその衝動を抑え込む。 由羽 「うんうん、やっぱりくすぐりは素肌に直接するのが一番ね❤とってもくすぐったそうじゃなぁい❤」 美智流 「いっひっひっひっひっひっひっひっひっひっ!くひゅぅぅっふふふふふふふふふふふふふ…、っくくくくくくくくくくく!!」 口を開いて「やめて」と訴えたり、由羽の言葉に強気な態度で返したりしたかったのだが、あまりのくすぐったさに美智流は口を開けなくなっていたのだ。少しでも何か喋ろうと口を開けば、そのまま笑い出してしまうのが容易に想像できる。歯を食いしばり口を閉じる事に全精力を注がないと、簡単にくすぐったさに負けてしまう。 美智流 「んぎいいいぃっひひひひひひひひひひひひひ、んんっふふふふふふふふふふふ!ふひぃいい!っはうぅっふっふっふっふっふっふっふっふっふっ!!」 それを理解してしまった美智流は、ただ必死に堪えながら少しでもくすぐったさを軽減させようと、身体を捩ったり、足を内股にして力を込めてみる。だが当然、そんな事をしてもワキをくすぐる“手”から逃れられる事など出来なければ、くすぐったさが軽減される事もない。 美智流 「くふふふふふ、ひぃっひっひっひっひっひっひっひっ!ぷふぅぅぅうぅぅっふふふふふふふふふふふふ!!」 由羽 「あっはは❤やっぱり脚を拘束しなかったのは正解ね❤くすぐったくて堪らないのがその動きでよく分かるわぁ❤」 美智流 「んぎぃいいぃっひひひひひひひひ!くううぅぅうっふっふっふっふっふっふっふっふっふっ!」 自分は些細なまともに抵抗も出来ず、それでも笑い出すまいと必死なのに、一方の由羽はその姿を眺め、喜びながら嘲笑う。美智流はそれが悔しくて堪らない。なのに、それを言葉にも出来ず睨みながらこの刺激と戦っていた。 美智流 「んっふふふふふふふふふ、くくっ!っひひひひひひひひひ、くっくっくっくっ!!」 由羽 「あらあら、そんなに睨んじゃって。私の事がそんなに憎いのかしらぁ?」 その鋭い目つきも、涙目になりながら笑いだしてしまいそうな顔をしていては、怖くもなんともない。寧ろ可愛くも見えてしまう。そんな美智流を、由羽はまたしても嘲笑い挑発する。 美智流 「んんっ!ぷふふふふふふふふふ、きっひひひひひひひひひ……!!ぐぅっ、くくくくくくくくくく!!」 わざと怯えるような発言をした癖に楽しそうに振る舞う由羽の姿に、怒りさえ覚える美智流。しかし、それでもくすぐったさは軽減されず、怒りの感情が笑いたい衝動に負け噴き出してしまいそうになる。 由羽 「私はあなたが無様に笑い悶える姿を見たいのだけど、未だにそんな目つきで対抗してくるのは気に食わないわねぇ。……まあでも、弱点を直接くすぐられても笑い出さないのは流石だと認めてあげるわぁ。」 どんなに笑いそうになっても、美智流は強い信念でその口は開かず堪え続けていた。由羽は美智流の態度に小さな怒りを覚えつつも、その我慢強さに敬意を表し、その“手”を止め美智流をくすぐり拷問から解放した。 美智流 「っはぁ!っはぁ!っはぁ!っはぁ!っはぁ!っはぁ!っはぁ!っはぁ…!っはぁ…!っはぁ…!っはぁ…!っはぁ……!っはぁ……!っはぁ……!っはぁ……!」 くすぐりから解放されて息を整えるのはこれで3度目だが、その荒く激しい呼吸で弱点であるワキの素肌を直接くすぐる責めの壮絶さがよく分かる。こんな責めに苦しむ自分が悔しくて、そんな自分を嘲笑う由羽が憎らしくて堪らないのに、由羽に強気な態度で言葉を放つ余裕もなく、疲れ果てた身体を休め呼吸を整えるのに必死だった。 由羽 「その疲れ方、やっぱりこれがあなたの限界ね。あんなに私に敵意を向けていた割に、随分と必死じゃない。」 美智流 「っはぁ……!っはぁ……!っはぁ……!っはぁ……!っはぁ……、っはぁ……、っはぁ……、っはぁ……、っはぁ……。」 由羽 「これで少しは自分の立場を理解したかしらぁ?別に私に怒りをぶつけようが、笑い出さないように必死に我慢しようが、そのプライドを守るために強がり続けようが、そんな事はどうでも良いんだけどぉ、あなたは一切抵抗も出来ず、私のこのリモコン操作1つでいつでも疲弊させられるし、その気になれば簡単に笑わせる事も出来る。だからいい加減、私のこの拷問に屈して楽になったらぁ?」 美智流 「っはぁ……、っはぁ……、こんな、拷問に……、屈服する訳…、ないじゃない…!っはぁ……、っはぁ……。」 由羽 「そう、何を言っても逆らう気なのねぇ。それなら、もう容赦はしないわ。こちらも本気であなたを責め抜いてあげるわ。」 美智流 「す、好きにすれば良いじゃない……!どれだけくすぐられようとも、どんなにくすぐったくても……、私は絶対に屈しないわよ!」 由羽 「無理に決まっているのにぃ。まあそれなら、お望み通り地獄を味わわせてあげるわ❤」 絶対に拷問には負けないと強く決心した美智流に対し、由羽も自らの拷問に絶対的な自信を持っているのか、再び不敵な笑みを浮かべ余裕を見せ、リモコンのボタンを押した。 美智流 「……!?」 また人差し指でワキをくすぐってくるのだろうと思っていた美智流は、想定外の事態に思わず顔を引きつらせてしまった。この拷問装置を格納していた天井。美智流を拘束する鎖と、2本の拷問装置である“手”がそこから現れ美智流を苦しめていたが、その天井から更に2本の“手”が現れたのである。 由羽 「その手が1セットだけなんて、一言も言ってないわよ❤」 美智流 「くぅ……、卑怯じゃない……!」 由羽 「別に卑怯な手なんて使ってないわよぉ?手の内は隠しておくものだし、これしか責めのパターンが無いと勝手に判断したのはあなたよ❤」 ウネウネとケーブルを動かしながらゆっくりと降りてくる新たな“手”。その指をわしゃわしゃと動かしながら徐々に美智流のワキへ近づいていく。 美智流 「んひゃぁああぁっ!!?」 その“手”の動きに目を向けこれから始まる拷問に緊張感を抱いていたが、そちらに注視し過ぎてしまっていた美智流は不意の攻撃に大きな悲鳴を上げてしまった。 美智流のジャケットを持ち上げていた最初の“手”が、また人差し指でのくすぐりを再開させたのだ。目の前の新たな“手”しか気にしていなかった美智流は、その刺激に思わず目線を自らのワキに向けてしまう。 だが、その瞬間を待っていたかのように、新たな“手”が勢いよく美智流に襲い掛かった。 美智流 「んぃぃいいぃゃああぁあっはははははははははははははははははははいやぁあぁぁああっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」 ちょっとした油断から始まった新たなワキ責めに美智流は1秒たりとも我慢できず、ついに笑わされてしまった。 美智流 「ずるい、ずるいいぃいいっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっ!あぁああぁっはははははははははははははははははははははははははははははは!!」 先程と同様に、ジャケットを捲りながら人差し指でくすぐる“手”に加え、新たに現れた“手”は親指で美智流の肩側から抱え込むように抑え、残りの4本の指でワキを覆うように、それぞれの指を激しく引っ掻くようにくすぐっていた。 不意打ちされた事に加え、弱点の素肌をこれ程までに激しく責められては、我慢など到底できる筈もない。 美智流 「あははははははははははははははははやだっ、あっははははははははははははははははこれダメぇっ!っはははははははははははははははははははははははははひぃぃいっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっ!!」 由羽 「ほらぁ、我慢できなかった❤随分あっさりと笑っちゃって、無様なものねぇ❤」 美智流 「ひゃはははははははははははははははははははははははははうるさいわよぉお!!んぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ、はぅうっ…、ぶはぁああっはははははははははははははははははははははは!!」 ようやく美智流の笑い悶える姿を拝めた由羽は、満足気な表情を浮かべながら再度 美智流を挑発する。 口では強気な態度で言い返し、それを態度で示そうと歯を食いしばる美智流。しかし、我慢できるレベルのくすぐったさを超えており、美智流はまたすぐに噴き出すように笑い出してしまった。 美智流 「ひゃははははははははははははははははははははこんなの無理ぃぃいっ、ひひひひひひひひひひひひんぁああぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」 くすぐりになど決して負けないと先程まで強い信念を持っていた美智流だが、その暴力的なくすぐったさの前では強い信念など何の役にも立たず、美智流は強気な態度もとれずに笑う事しか出来なかった。 美智流 「きゃああぁあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ、やめ、っんあははははははははははははははははははははははははははははははこれやめええぇええへへへへへへへへへ!!」 人差し指で引っ掻くようにくすぐられていた時以上に激しく暴れながら笑い悶える美智流。その姿は、日頃の冷静で強気な美智流からは想像もできない程 無様で滑稽な姿だった。 美智流 「そこくすぐったいいぃいぃ!!っひひひひひひひひひひひひあっははははははははははははははははははははくすぐったいくすぐったい!!ひやぁははははははははははははははははははははははははははははははくすぐったいってばあぁぁ!!」 凄まじいワキのくすぐったさに、身体を捩ったり左右に振りながら自由に動く足をばたつかせてみたりその場で地団太を踏み、どうにかくすぐったさを紛らわせようと必死にもがいていた。 いや、正確に言えばこれらの行動は、美智流がくすぐったさを紛らわせようと頭を使って考えた行動ではない。くすぐったくて堪らないワキを閉じる事も出来ず、ただじっとしていられなだけなのだ。 由羽 「くすぐったいんだぁ❤へぇ~、一体どこがそんなにくすぐったいのかしらぁ?」 美智流 「そんなのっ、ぷはははははははははははははははははははははははははわかってるでしょぉぉおお!?っあははははははははははははははははひはははははははははははははははははははははははは!!」 わざとらしくとぼけて煽る由羽に怒りを覚え怒鳴り声を上げる美智流だが、やはりそんな怒りの感情もくすぐり笑いの前にかき消されてしまう。 こんなに怒りに満ちていて、その感情を相手にぶつけたいのに、笑いながらではまるでその怒りが伝わらない。どれだけ怒りを露わにしても、口を大きく開けて笑っているとその怒りの感情に説得力がなくなってしまい、美智流自身も怒りの感情がこの笑いによって伝わらないもどかしさを感じていた。 由羽 「教えてくれなきゃわからないわよぉ❤ねぇ、あなたは今、どこがくすぐったいのぉ?」 美智流 「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっわきっ、わきいいぃいいひひひひひひひひあっはははははははははははははははははははははははははははははワキがくすぐったいのぉ!!ああぁあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」 由羽のわざとらしい質問に怒りを感じたなら、素直に答える必要など全くない。だが、あまりにもワキがくすぐった過ぎて、ついつい敵である由羽にも縋(すが)ってしまったのだ。 ワキがくすぐったいと素直に言えば、気を良くしてくすぐりの“手”を少し緩めてくれないだろうか。あるいは、この苦しさに同情して拷問から解放してくれないだろうか。と、そんなある筈もない淡い期待を抱かずにはいられなかったのだ。 由羽 「そっかぁ❤ワキがくすぐったいんだ〜❤」 美智流 「そうなのぉ!っうはははははははははははははははははははははははははははははははワキくすぐった、あははははははははははははははははははははワキくすぐっいのよぉおぉ!!これ止めてっ、ぁははははははははははははははははあぁああっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」 由羽 「そうよねぇ?そんなにワキがくすぐったいのに腕が下ろせないんだもの。止めて欲しいわよねぇ❤」 美智流 「きゃあぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっそう、言ってるじゃない!いぃはははははははははははははははははははははワキはもう、っははははははははははははははははやめてぇえぇぇっへへへへへへへへ!!」 由羽 「っふふ……、そんなのダメよぉ❤」 美智流 「えひゃははははははははははははははははははははははははははははははははは何でっ、ひははははははははははははははははははははああぁぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ何でよぉお!?」 必死になって由羽とやり取りをする程、美智流は解放して貰えるとより強い期待を抱いてしまった。だが、あっさりと見放されてしまい一気に絶望感が増してしまう。 由羽 「だってあなたがこうなる事を望んだのでしょう?折角 私がチャンスをあげたのに、あなたは自らの意思でくすぐられる事を選んだ。そうでしょぉ?」 美智流 「そんなっははははははははははははははははははははひぃいいぃっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっ!!んあっはははははははははは嫌、ひゃはははははははははははははははははははははははは嫌ぁあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」 自らが生んだ結果とは言え、その現実を受け入れられない美智流は、それまでの強い決意を見せていた人間とはまるで別人のように情けなく懇願する。 しかし、ずっと反抗的な態度で振る舞われた由羽からしてみれば、ようやく自分が願った状況になったのだ。それを、急に懇願してきた相手の願いなど聞き入れる理由がない。 由羽 「ワガママねぇ。これは拷問だって言ったでしょぉ?そのくすぐりから解放して欲しければ、あなたの組織の情報を吐きなさい?」 美智流 「ひゃはははははははははははははははははははははははははははははははやぁぁああぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ言いたくないぃぃいいっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっ!!んぁあっははははははははははははははははははははははははは言いたくないぃぃいぃぃいいい!!それだけはぁあぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」 「言わない」と、由羽の申し出にきっぱりと断れば、まだくすぐり拷問を受ける覚悟があるという事。だが、「言いたくない」という言葉は、どうしてもこのくすぐったさから解放されたいが、それと同じぐらい仲間は売りたくないと、自分と仲間を天秤に掛けている状態だと判断できる。 そう考えた由羽は、今の美智流 相手なら屈服させられると確信した。 由羽 「あっそう❤それならここでずっとくすぐられ続けていれば良いわぁ❤こう見えても私は忙しい身だからぁ、いつまでも強情なあなたには付き合っていられないのよねぇ。」 そう言い残し、由羽はおもむろにこの部屋から立ち去ろうとする。その言動で、美智流は想像してしまう。このまま由羽が部屋からいなくなったら、どれだけ懇願しようとも誰も自分を助けてくれない。どれだけ叫んでも誰にも届かない。果てしなく長い時間、いつ終わるのかも分からないまま永遠にくすぐられ続ける絶望感。その恐怖が、2つの思いで揺れる美智流の心にとどめを刺したのだ。 美智流 「わかった、いやぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!言うっ、何でも言うからぁぁああぁっはははははははははははははははははははははははははははははは!!きゃははははははははははははははははははははははこれ止めてぇええぇ、んぁあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」 見事に作戦通りに屈服した美智流の言葉に、悪魔のような笑みを浮かべた由羽は、次々に美智流から情報を聞き出した。 自身の名前が月城 美智流という事。警察と裏で繋がっている組織に所属している事と、その組織の拠点となる場所。麻薬使用の容疑で逮捕した男と、このタチカワに繋がりがあったと調べがついている事。そんなタチカワに疑いを持ち、組織の指示で潜入捜査をした事。そして、美智流にそれを指示した組織のトップが、沖野 円香であると言う事を……。 勿論、その間も美智流はくすぐられ続けている。くすぐったさに負けてあれこれ考える余裕がなければ、その分 嘘をつく余裕や考えも巡らない。それに、解放されたい一心の人間が嘘をついたとバレれば、これ以上辛い目に遭うかも知れないという恐怖が常に付き纏い、本当の事を喋らせやすくなるのだ。 由羽 (裏の組織を動かした、という事は、まだ私達の証拠は押さえられていないという事ね。ならやっぱり予定通り、その沖野 円香さんを屈服させようかしら❤) 「…………あ、もしもし、坂崎さん?〇〇県警と裏で繋がっている組織の沖野 円香さんという女性を捕らえてちょうだい?場所は──」 美智流の笑い声が響く中、部下であろう“坂崎”という人間と電話で話す由羽。その内容は、上司である円香を捕らえ拘束しろという指示であった。つまり、自分が拷問に屈服し情報を吐いた事がキッカケで、これから上司が捕まり同じ目に遭わされるのだと、美智流は間接的に聞かされたのだった。 美智流 「やっはははははははははははははははははははははははははははははは言った、ぁははははははははははははははははははははははははは全部言ったからあぁあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!これ止めてえぇええっへっへっへっへっへっへっへっへっ、くすぐったいからぁああぁっはははははははははははははははははははははは!!」 (円香さん、申し訳ございません……。でも、こんなの人間が耐えられるものじゃありません。) 組織の情報を吐き、仲間を売ってしまった事への罪悪感に苛まれつつも、このくすぐりから解放される事が何よりの願いだった美智流は、必死に解放して貰えるよう電話を終えた由羽に訴える。 自分のせいで円香も同じ目に遭う事になってしまうが、これだけ辛い拷問を受ければ、自分が耐えられなかった事も円香に分かって貰えるかも知れない。そんな事を思いながら、心の中で円香へ謝罪をしていた。 由羽 「さてと。あなたのせいで組織の上司が同じ目に遭うなんて可哀想よねぇ?だから、せめてもの罪滅ぼしとしてこのまま笑い悶えていて貰おうかしら❤」 美智流 「な、あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは何でっ!?ひはははははははははははははははははははははははは話が違う、んぁあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」 由羽 「こんな無様に苦しむあなたの姿を見せてあげれば、上司もきっと許してくれるわよぉ?だからそれまでそのままくすぐられていなさい❤」 美智流 「嫌ああぁあぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!待ってえええぇへへへへへへへへへへへへ、そんなの無理いいぃいひひひひひひひひひひひ、あっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは助けてぇ!くすぐったいの嫌ぁぁっははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」 笑い悶える自分に手を振り、この部屋を立ち去る由羽。それを見て美智流は堪らず叫び続けた。この拷問から解放されたくて仲間を売ったのに、結局解放もして貰えない。その上、自分が最も恐れていたくすぐり地獄が始まろうとしており、美智流はとにかく必死に訴えた。 だが、始めからこうするつもりだったのか、由羽は何の躊躇いもなく美智流をその場に一人残し部屋を後にした。 美智流 「ひぎゃああああぁああっはははははははははははははははははははははははははははは誰がぁぁあああぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ助げでぇぇええぇっへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!ワキ、わぎぃぃいいいっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっ、ゎぁああぁっははははははははははははははははははワキくすぐっだいぃぃいいいっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっくすぐっだいってぇぇええぇええへへへへへへへへへへへひははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 どれ程の時間が経ったのだろうか。そこに誰もいないと分かっていても、もしかしたらこの様子を監視している人がいて、その人に声が届いているかも知れないと、僅かな希望を信じ懇願し続けた美智流。だが、どれだけ笑い悶えながら叫んでもその部屋には自分の無様な笑い声が響くだけで、誰も何も答えてはくれない。こんなに苦しんでいるのに、誰も自分の様子を見に来る者すらいない。 それでも、笑いながら必死に助けを求め続けるのだった。 美智流 「んぎぃぃああぁあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ死ぬっ、死んじゃうぅううっふふふふふふふふふふふふふひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ…!んがぁああっ、はははははははははははははははははははははははははひゃあぁぁあぁぁあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!んぁああっ、っはぁ!っはぁ!っはぁ!っはぁ!っはぁ!っはぁ!っはぁ!っはぁ!っはぁ…!っはぁ…!っはぁ…!っはぁ…!っはぁ…!っはぁ…!」 ようやく願いが届いたのか、美智流のジャケットを持ち上げながらくすぐっていた“手”とワキを激しくくすぐっていた“手”が、プツンと電源が切れたかのように、その場でパタリと動きを止め天井からぶらぶらと垂れ下がる。 未だ拘束されたままの状態ではあるが、この如何にも行動が停止した“手”を見て、美智流はようやく拷問から解放されたのだと安堵しながら、深呼吸を繰り返していた。 しばらくすると、美智流の目の前の扉が開き女性が部屋の中へと入ってきた。その女性は、美智流がここへ潜入した時に由羽と共に社長室から現れた秘書だったのだ。 ??? 「初めまして。私は坂崎。よろしくね?」 美智流は笑い悶えていてよく覚えてはいなかったが、あの時 由羽が円香を捕らえるように命令していた相手が、この坂崎と名乗る秘書の女性だったのである。しかし、その社長秘書が突然現れた事に、美智流は疲労もあり頭が追いつかなかった。 坂崎 「月城さん、だったわね?あなたがこの拷問に屈服してくれたお陰で、立川 由羽を捕まえる事が出来たわ。」 美智流 「はぁ……、はぁ……、はぁ……、な、何を……、言っているんですか……?はぁ……、はぁ……、はぁ……。」 益々言っている意味が理解出来ず、美智流は頭を悩ませ混乱していた。そんな美智流の拘束を解き、坂崎はこれまでに起きた事を全て聞かせたのだった。 美智流が組織に入る前から、この坂崎という女性は円香の組織で潜入捜査を行なっていた。そんな坂崎は3年前に円香の指示でこの企業に潜入しており、長い年月をかけて立川 由羽の秘書という地位を獲得し、ようやく悪事の証拠も掴む事が出来たのだ。 しかし、秘書という立場上 常に由羽と行動を共にしており、由羽がいない時に1人社長室に残れば怪しまれてしまい、今までに得た信頼が失われ怪しまれてしまう。だから警察への密告が困難だったのだ。そして何より、外部との連絡を一切絶たざるを得なくさせられた坂崎は、円香とも連絡が出来なかったのだ。 全く坂崎から連絡が無い事で、円香はタチカワという企業が黒だと判断し、その事実を敢えて伏せた状態で美智流を潜入させた。優秀な美智流なら必ずその証拠を見つけ出せると信じて。そして証拠を突き止めた代わりに囚われの身となってしまった美智流が組織と円香の情報を吐いた事で、ようやく坂崎は円香の元へと行く事が出来たのだ。 後は由羽の確保までスムーズに事が進んだ。組織のトップである円香を捕らえたと言って由羽の元へ行き、捕まった振りをしていた円香が由羽を取り押さえる。その瞬間に坂崎が外で待機していた警察に合図を送る事で、由羽の身柄確保と証拠を押収する。警察と円香が証拠の確認や社長室を捜査しているこの時、坂崎は拷問装置の電源を切り、美智流を助け出したのだ。 つまりこれが、坂崎が言っていた“美智流が拷問に屈したお陰”による由羽 逮捕の流れであった。それを聞かされた美智流は、安心し胸を下ろしつつも、知っていればもっと早く屈服したのに……と、それまで必死に受けていた苦痛を嘆くのだった。だが、円香曰く、「簡単に屈したら逆に怪しまれる」と言う判断で、敢えて坂崎の事を伏せたのだと言う。 円香 「お手柄だったね美智流。今回も無事に解決してくれて、私も鼻が高いよ。」 美智流 「私は納得してませんけどね……。」 円香 「そう言わないの。坂崎も無事で何よりだし。」 坂崎 「えぇ、今回の潜入はかなりハードだったわ。でも、美智流さんのお陰で私も助かったわ。ありがとう。」 美智流 「い、いえ。坂崎さんもお疲れ様でした。」 円香 「これにて一件落着、と言いたいけど、美智流?」 美智流 「はい?」 円香 「私を売ったのね?」 美智流 「えっ!?いや、それは……、でも結果そうしなければ解決は──」 円香 「それはそれとして、覚悟は良いかしら?」 ニンマリと悪い笑顔を作りながら、円香は両手をワキワキと動かしながら美智流を追い詰めていく。その手の動きで円香が何をしたいのか察してしまった美智流は恐怖し顔が青ざめる。 美智流 「ちょっ、待って下さい……!」 坂崎 「円香先輩、程々にして下さいよ〜?」 円香 「気が向いたらね。」 美智流 「いや、だから待って!い、嫌ぁぁあぁあ──」 潜入捜査は無事完了し、裏で罪を犯していた立川 由羽を逮捕する事が出来た。結果として、美智流がくすぐり拷問に屈した事で犯人逮捕まで至った訳だが、売られた当の本人である円香からは拷問訓練と言う名のお仕置きを受けたのは言うまでもなく、美智流の苦痛はまだまだ続くのだった。