女騎士のくすぐり受難6
Added 2022-09-27 11:50:32 +0000 UTC6、実験2:最強魔法と我慢実験 セシア「おはよう、アレイスちゃん❤昨日はよく眠れた?」 最悪な目覚めだった。悪夢にうなされて起きた時よりも目覚めが悪い。こいつの言い方から察するに、どうやら私がここに連れて来られてから二日目の朝を向かえたらしい。どうも腋責めで気絶してそのまま眠ってしまったようだ。その証拠に拘束方法も変わっていない。それにしても、実際どれぐらい時間が経ったのかも分からないな。ここは外を眺める窓が無ければ時計も無い。時間が全く解らないというのは困りものだ。 セシア「疲れは取れたかしら?」 アレイス「取れる訳ないだろ。腋をくすぐられ続けて失神した挙句、両腕を上げたまま立たされてるんだぞ。」 セシア「それもそうね。でもだからって次の実験の手加減はしないわよ?」 解っている。私はこの身体が壊れるまで永遠とくすぐられるのだ。だが、それも全てカナとミナを守るためだ。 セシア「じゃあ次の実験だけど、今度は一気に二つの実験を行うわよ?」 二つ?結局はくすぐりなんだろうが、一体何をすると言うのだ? セシア「一つは私の魔法の実験台、もう一つはくすぐりの我慢実験よ。」 魔法の実験台?こいつの新魔法のサンドバッグになれという事か?撃たれ強さにも自信はあるが、流石に無抵抗は辛いぞ。そしてもう一つ。くすぐりの我慢実験とは何だ?昨日行った耐久実験とそう変わり無いような気もするが。耐久、つまりは忍耐、ならば我慢とは?どちらも結局は忍耐の問題なような気がするのだが…?その実験の内容はよく解らないが、一つだけ言える事がある。 アレイス「流石に魔法のサンドバッグとくすぐり責めは耐えられないのだが。」 セシア「大丈夫よ。」 アレイス「大丈夫なものか!私を過大評価しているようだが、流石に自分がくすぐりに滅法弱いという事は身に染みて解ってる。それで魔法のサンドバッグなど――」 セシア「人の話は最後まで聞きなさい。魔法はあなたを傷付けるものじゃないし、くすぐりも昨日より軽くするわ。」 いや、魔法がどんな効力なのかも解らんし、くすぐりが軽くなろうが大丈夫ではないからな? セシア「という訳で、すぐに始めるわよ。」 何が“という訳”なのかは解らないが、セシアは自らの足元に魔法陣を展開し魔力を開放していく。というか、かなりの魔力量だぞ!?一体どんな上級魔法を発動させる気だ!?そして両手を私の前に伸ばし、魔法名を宣言して発動する。 セシア「ティックラー!!」 セシアの両手から放たれた魔法球が眩い光を放ち、辺り一面を包み込む。“ティックラー”。そんな魔法名にはやはり聞き覚えが無かった。傷付くことは無いと言う話だが、私はどうなってしまうのだろうか。セシアの魔法による輝きが収まり、周りが見えるようになっていく。 セシア「っはあ、はあ、はあ…!ふぅ…、かなり魔力を消費する魔法ね。でも、魔力を消費したって事は一応成功したのかしらね?」 試したことも無い魔法を使ったのか。いや、それを私で試したという事か。 アレイス「一体私にどんな魔法を使ったんだ?」 セシア「昨日散々された事、もう覚えていないのかしら?」 昨日された事って…。 アレイス「おい、まさか…!」 セシア「魔法名ティックラー。その効力は、“対象者をくすぐる”能力よ!」 アレイス「なっ…!」 何て事だ。腋をくすぐったくするような魔法があったらなどと冗談交じりに恐れを抱いていたが、それが実際に存在していたとは…! セシア「この魔法は特殊でね?対象、つまりアレイスちゃんが魔法発動のキーワードを耳にした瞬間、アレイスちゃんの体内に潜む私の魔力がアレイスちゃんの腋をくすぐったくさせるの。それはキーワードを聞く度にどんどん刺激が蓄積されてくすぐったくなっていくわ。」 アレイス「つまり私の中のお前の魔力が尽きるまで永遠にくすぐられ続けるという事か…?」 セシア「その通りよ。そして別のキーワード、解除コードを言う事でくすぐったさが収まるわ。解除コードを一回言う度に、聞いたキーワード一回分が収まる仕組みよ?ちなみに解除コードの方は実際刺激を受けているアレイスちゃんが言う以外に効果は無いわ。」 とんだ恐ろしい魔法だ。というかこれ、冗談抜きで最強の魔法なんじゃないのか…?複数人に同時にキーワードを言われ続けられれば、私が解除コードを言っても追いつけない事になる。そもそもキーワードと解除コードに文字数の差があった場合、一対一でも追いつけない可能性もある。 セシア「そしてその魔力はあなた自身の魔力と一緒で、休息すれば回復していくの。つまり、あなたは私が死ぬまでその魔法に支配され続けるのよ。」 アレイス「何だと…!?」 これはまるで呪いだ。セシアが死なない限り、私はその呪いにくすぐられ続けるというのか!? セシア「その代わり、その魔力は私の元へは二度と戻ってこないわ。つまりその魔力はアレイスちゃんの魔力になったって訳。でもその魔力はアレイスちゃんの魔力と一体化した訳では無いわ。アレイスちゃんが元々ある魔力を使い切った後に、私が送った魔力が使えるようになるって仕組みだから、私が送った分の魔力を先に使って、ティックラーの魔法効果を使えないようにする、といった事は出来ないわ。」 つまり、私はくすぐりの呪いを生み出す臨時の魔力バッテリーのような物を得たという事か。そのキーワードさえ聞かなければ、第二の魔力として使える便利なものだが、キーワードを聞いてしまうと、解除コードを言うか、元々ある魔力を使い切った上で、臨時バッテリーを使い切らない限りくすぐりの餌食になると。何とも使い勝手の悪い上に代償のデカいバッテリーだ。だが、この魔法はセシアにとってもかなりリスクのある魔法ではないか? アレイス「お前が今消費した魔力、相当な物だったはずだ。これじゃあお得意の転移魔法は使えないんじゃないのか?」 転移魔法は発動自体はあまり隙の無い魔法のようだが、上級魔法故にその消費魔力はかなりのものだろう。それこそ今のティックラーを超える程だろう。 セシア「そうね、転移魔法どころか、上級魔法はほぼ使えないでしょうね。」 こいつ、そうまでして私をくすぐりたいのか…?いや、くすぐるだけならここの設備だけで事足りるはずだ。自らの魔術師としての能力を捨ててまで行わなければならない実験だというのか? セシア「さて、じゃあ次の実験準備に取り掛かるわよ。」 そう言うと、何故か私の手首に取り付けられた枷を外していく。腕は自由になったが、くすぐりの実験で腕を自由にして何をしようと言うのか。そしてさらにセシアは次の行動に出る。そして手に持っていたリモコンを操作すると、天井からセシアの背後に二つのモニターが現れる。 セシア「これからアレイスちゃんには両腕を目一杯上げて、頭の後ろで組んでもらうわよ。あ、とりあえず今は良いわ。実験開始のタイミングでやってもらうから。」 結局腋を大きく晒すんじゃないか。というか、どんな実験をするのか全然想像できん。 セシア「さっきも言った通り、これから行うのは我慢実験。アレイスちゃんには、くすぐったさに耐えながらその腕を降ろさないように我慢して貰うわ。」 つまりくすぐられる事で防ぎたくなる腋を自らの意志で晒し続けなければならない訳だ。我慢とはそういう事か。 アレイス「言っておくが、1秒も耐えられないぞ?」 実験するまでもない。こんな状態で腋をくすぐられたって耐えられる訳がない。私がどれ程くすぐったがりなのか知ってるだろうが。 セシア「もちろん難しいでしょうね。でも、その分報酬があったり、自分が得をするような何かがあれば、少しは我慢できると思わない?」 アレイス「ただ我慢するより、私のモチベーションを上げる事でより我慢できるようになると?」 セシア「その通り❤まあそれは今現在だと可能性が高いってだけなんだけど、それを実験してどうなるのか調べようって訳。」 ここへ来て初めて実験らしい実験な気がしてきたな。確かに私もあいつらを守る為ならと、強い意志を持つ事で今まで何とかくすぐったさと闘ってこれたんだ。もしもあいつらが殺された挙句、私は一生くすぐられるという運命だったら、とっくに精神が崩壊していただろう。それを考えると、ある意味実験をせずとも答えは出ているような気もするが、これはちょっと興味深い実験だ。 アレイス「実験内容は解った。それで?私にどんな報酬があるんだ?」 セシア「まあまあ、そう慌てないの❤まずはルールを説明するわ。」 そう言うと再びリモコンを使って、天井から現れたモニターを映し出す。それはデジタルの数字を映すタイマーのようで、私から見て左側のモニターが00,00,00と表示され、右側が01,00,00と表示されている。 セシア「こっちの01の方はアレイスちゃんが腕を上げて我慢しなければならない時間を表すタイマーで、その時間は一時間。アレイスちゃんにはこれが0になるまで我慢してもらうわ。」 一時間も我慢しろと言うのか。くすぐられていなくても腕を上げる事自体辛いと思うのだが? セシア「そして0の方のタイマーは、我慢できず腕を降ろしてしまった時間を計るタイマーよ?最終的に一時間我慢し終えた所で、タイマーの時間に応じてアレイスちゃんが貰える報酬を変えるわ。」 その時間が短ければ短いほど良いものを貰えるのか。 セシア「報酬は…そうねぇ、60分以内だったらあなた達を解放してあげるわ。90分以内だったら私が罰ゲーム。それ以降だったらアレイスちゃんに罰ゲームよ。罰ゲームは腕を降ろしていた時間だけ腋くすぐりの刑なんてどう?」 罰ゲーム云々はとりあえず置いておいて、60分以内なら解放か。まあセシアは不可能だと思っているからそんな事を言うのだろうが。まあ実際不可能なんだろうな。だが、その不可能を可能にしたのなら、意志の強さが想像以上に力を発揮するという結果になる。そして60分を過ぎてしまった場合、今度は腋くすぐりの刑を逃れるための闘いとなる。それと同時に、こいつに仕返しするチャンスでもある。解放されるのがやはり一番だが、こいつのくすぐられて笑い悶える姿も見てみたいものだ。 セシア「くすぐりは私の人差し指で行うわ。そして腕を降ろす度に一回キーワードを言って、ティックラーによるくすぐりを開始するわ。」 腕を降ろさずに耐える事ができればくすぐりは人差し指による軽い責めのまま。だが、一時間も腕を上げ続けるのはくすぐられていなくても無理だ。そして腕を休める為に降ろせば次はセシアの人差し指に加え魔法によるくすぐりも開始される事になる。 セシア「そして解除コード防止のために、アレイスちゃんにはしゃべらないでいてもらうわ。笑い声を出す分には構わないけどね?」 逆に言えば解除コードとは不可抗力で言えるような言葉という事か。 アレイス「不可抗力でしゃべってしまった場合はどうなる?一応努力するが、くすぐったさに負けてしゃべってしまう可能性もあるぞ。」 セシア「その場合はまたキーワードを言ってティックラーの段階を上げるわ。」 あくまで私の過失か。その偶然で解除コードを言ったとしても、結局は段階を上げられどんどん我慢できなくなるだけか。 アレイス「わかった。いいだろう。」 セシア「それじゃあ始めるわよ。腕を頭の後ろで組んで?」 私はセシアに従い、腕を高く上げ万歳のポーズを取り、肘から先を曲げて頭の後ろで交差するように組む。どういう仕組みかは解らんが、私の行動に合わせ60分を指すタイマーが動きだし、カウントダウンを始める。そしてそれと同時に、セシアによる人差し指くすぐりを開始する。 アレイス「んひぃいい…っはははははは、あっははははは!!」 決してくすぐりを侮っていた訳ではない。もちろん私の腋が絶望的に敏感だという事も忘れてなどいない。だが、人間の防衛本能とは本当にすごいものなのだと改めて気付かされた。私の意思とは裏腹に、腋に伝わるくすぐったさに腕がその体勢を維持できず、その腋を守る為に下に降ろしてしまったのだ。くすぐったくても耐えるしかないと思っていても、私の腕はそれを許してはくれなかったのだ。 セシア「いくらなんでも早すぎるわね❤じゃあ、さっそくティックラーの魔法でもくすぐるわよぉ?キーワードは……“こちょこちょ”!」 アレイス「んぁぁああっはははははは、やっ…ぁはははははははははは!!」 セシアが“こちょこちょ”と言った途端、腕を下げる事で閉じられた腋をグニグニとほじくる様にくすぐる人差し指の刺激と別に、優しく撫でられているような軽いくすぐったさが腋を攻撃する。触れられているのはセシアの人差し指だけなのに、それとは全く別の刺激。優しいくすぐったさだとか言う問題ではない。くすぐられているというよりはただくすぐったいという不可思議な刺激に戸惑うも笑うしかできないのだ。それにしても、キーワードがこちょこちょって。ふざけているが、まさにくすぐる為の魔法だな。私はこの先こちょこちょ言われるだけで腋がくすぐったくなるのか。 アレイス「んあっははははは、きゃはははははははあ~っはははははははは!!」 セシア「早く腕上げないといつまでたってもこの実験が終わらないわよ?それにどんどんタイマーは進んでくんだから、このままじゃ罰ゲームになっちゃうわよ?」 上げられないんだよぉ!!くすぐったさに逆らって自ら腋を晒す事がこれ程辛いとは思わなかった。一度下げてしまったら最後、二度と上げられないんじゃないか? アレイス「んいぃぃいいっひひひひ、あっはははははは!!」 それでも必死に腕を上げようと試みるが、くすぐったさがそれを邪魔する。肘を胸元の高さぐらいまで上げるのが限界で、すぐにくすぐったさに負けて腕を降ろしてしまう。 セシア「ちなみに、所定の高さまで腕を上げなければ“腕を降ろしている”とみなされるから、その程度の高さまで上げた所で何の変りも無いわよ?」 わざわざ言わなくても、それぐらい解っている。だからこそ逆に言えば腕を下げたとみなされないのだろう?でなければお前は何度も“こちょこちょ”と言ってるはずだろう。それにこっちはくすぐったさの所為で腕を上げたくても上げられないんだ。 アレイス「んあっはははははははふはははははははは!!」 全然腕を上げられない。やはりくすぐったいのに自分から腋を広げるのは難しすぎる。この腕のわずかな上げ下げがより体力を消費してしまい、どんどん我慢が困難になってく。笑わされていてタイマーが見れないが、私はまだ59分腕を上げていなければならないのは確実だ。なにせ一瞬で下げてしまったからな。だがもっと怖いのはもう一つのタイマーだ。もう数分は経っているだろう。このままだと本当に罰ゲームを受ける事になってしまう。というか、腕が上げられない以上、このくすぐりが終わる気がしない。 セシア「別にアレイスちゃんが罰ゲームを受けたいって言うんならそれでも良いんだけどぉ――」 受けたい訳ないだろう!しゃべる事を禁止されている所為で言われるがままだ。 セシア「一応実験なんだしぃ、こっちは結構良い条件出したつもりなのよ~?もうちょっと頑張ってもらわないと実験にならないわよ~?それとも、モチベーションが上がろうが無理な物は無理って事かしら?」 実験?…そうだった。私が我慢すれば、あいつら二人と一緒にここから解放されるんだった。あの二人を救い出せるのはもちろん、私はもう二度とこんな辛い“くすぐり”を受ける事も無いのだ。 アレイス「んぃぃぃいいいっひひひひひ、んっふふふふふふ…!くひぃっくくくく…!」 ゆっくり上げてもくすぐったさに耐えなければならない時間が多くなるだけだ。私はまず笑い声を必死に抑え込み、腕を一気に上に上げ頭の後ろで組む。後は強い意志を持って耐えきる!我慢すれば、ここから解放される。あいつらを…、助けられるのだ…! セシア「挑発した甲斐があったわ。アレイスちゃん程のくすぐたがりが弱点をくすぐられて我慢出来るなんてねぇ。これは良い実験になりそうだわ!」 腕は何とか下げずにいられるものの、くすぐったさから必死に逃げようと上半身を激しく動かすが、セシアの指はしつこく私の腋を捉えてくる。そしてティックラーによるくすぐりは、どんなに暴れようが、ひたすらくすぐったさを与えてくる。 アレイス「んっくくくくくく、きひひひひひひ…!」 セシア「腕を降ろしてないのは確かだけど、そんなに暴れられるとくすぐり辛いわよ。」 動いて欲しくないのなら、いっそ拘束してくれ。こんな我慢を強いられるぐらいなら、拘束された状態で何時間もくすぐられた方がよっぽどマシだ。 アレイス「くふふふふふふ、ひぃっひひ…っくくくくくく…!」 腋の中でも特にくすぐりに弱い窪み部分、そこをセシアが人差し指で引っ掻くようにくすぐるのとティックラーによる優しいくすぐりが重なった瞬間、また防衛本能が働き腕を降ろしてしまいそうになるが、今度は私の強い意志が抑えてくれた。やはり意志の強さで我慢できるようになるのだと改めて思う。だが問題はこれからだ。今のくすぐったさに慣れて腕を降ろさずに済んでも、いつかは疲れで腕を降ろしてしまうだろう。そうするとさらに強くなるくすぐりに、また腕を上げられなくなるかも知れない。 セシア「驚いたわ。モチベーションを上げるだけでここまで我慢できるなんてね。」 アレイス「んぐぅっくくくく、んっふふふ…!」 片目を開いてふとタイマーを見ると、まだ残り時間が55分もあった。これだけ必死に辛い時間を耐え続けてまだ5分という絶望的現実に、だんだん私の精神が崩れてきてしまった。このくすぐったささえ我慢すればここから解放される。だがあまりにも先が長い。くすぐったいのを必死に耐えるだけでなく、降ろしたい腕を無理矢理上げているのが原因か、私ともわろう者がたった5分で疲れてきている。このままでは数分も持たないかも知れない。 セシア「アレイスちゃん?少しずつ腕が下がって来てるわよぉ?これ以上降ろしたら、腕を降ろしたとみなしてあのキーワードを言っちゃうわよ?」 やはり我慢の疲労の限界が来ている。だが、こんな所で腕を降ろしてしまったら、確実に助からない。それどころか私への罰ゲームまで確定してしまう…!そう思い私はさらにに腕をぐっと上げた。 アレイス「んっふふ、くぅっ……っはははははははあっははははははは!!」 腕をさらに上げたことで、再び大きく開かれた腋にセシアの指が果敢に責め立てる。当然私の特に敏感な場所が、腋の窪んでいる所だというのも知っているのだろう。その腋の窪みを責められ我慢していた笑い声が溢れ出てしまった。だが、それでも私は腕を必死に上げ続けた。 セシア「正直こんなに耐えられるとは思わなかったわ…!まあアレイスちゃんだからって可能性もあるけど、これは間違いなく実験成功ね!」 アレイス「はっははははははははくぅっはははははははは、あっはははははははは!!」 そんな実験結果などもうどうでも良い。早く時間が経過してくれないと腕が持たない。その感情が原因で私は再びタイマーを見てしまった。そしてそのタイマーが示していた時間は52分。私がさっきタイマーを見てから3分しか経っていない。そこで見なければ良かったと後悔し、一気に集中力が切れてしまった。そう、私は腕を再び降ろしてしまったのだ。 セシア「もう疲れちゃったのかしらぁ?まあ敏感な腋を“こちょこちょ”されたらくすぐったいわよね❤」 アレイス「いやぁぁぁあああっははははははははあ~っははははははははは!!」 さりげなくキーワードを混ぜられティックラーのくすぐりの段階が上がった。優しいくすぐったさが、引っ掻くような激しいくすぐりに変わった。まだ二段階でもうこのくすぐったさなのか!?想像以上だ。すでに手遅れな気がするが、これ以上強くなったら本当に我慢所ではない。腕なんて上げられないぞ!? セシア「ほらほらぁ、腕を上げなくて良いのかしらぁ?」 くすぐったくてもまだ私の思考回路は機能している。ここで腕を上げても、疲れですぐに降ろす事になる。そうなってはもう終わりだ。ここは今動いてるタイマーの事は気にしない方が良い。とにかく腕を休める事を最優先する。まだこっちのタイマーもそう時間は経っていない筈だ。そう思い私達の解放か罰ゲームかを掛けるタイマーをふと見ると、私は驚愕した。10分も経っていないと思われたタイマーが20分を過ぎていたのだ。辛い時間程長く感じるものだが、同じくすぐりでも進んでほしくないタイマーの時は早く感じるらしい。それにしたって20分も経っていたとは思わなかった。 アレイス「んぁあっははははははははははははふっはははははははははははは!!」 だが、まだ腕を上げる訳にはいかない。腕を休めなければ我慢出来るものも出来なくなる。 アレイス「あっはははははははは、いやっははははははははははははきゃははははははははははは!!」 セシア「流石にくすぐりが強くなると腕を上げるのも難しいかしらぁ?」 アレイス「きゃはははははははははは、っはははははははははあぁぁああっはははははははははははははは!!」 30分近くくすぐられ続けているが、やはり私の腋は流石だな。全然くすぐったさに慣れない。そして私も散々くすぐられ続けてきた事で体力がさらに着いたようだ。こんなにくすぐったくて、笑わされ続けて、呼吸が上手く出来なくて苦しいのに、身体が疲れを感じていない。失神するまでくすぐられ続ける時は辛いが、こういう時は鍛えていて良かったと思えるな。そんな事を考えながら腕の回復を待ちつつくすぐられ続けた結果、既にこちらのタイマーは30分になろうとしていた。相変わらずこういう時の時間は早い。そろそろ疲れも取れて来たし、これ以上腕を下げてもいられない。私は再び腕を一気に上げ、我慢の体勢を取った。 アレイス「んあっはははははははははんんっふふふふふふふ、んぐぅ…っくくくくくくく…!」 セシア「うっふふ、ここからどれぐらい我慢できるのかしらねぇ?」 アレイス「んふふふふふふ、きっひひひひひひひひっはははははははははは!!」 結局笑うのは我慢できなかった。まあこのくすぐったさで腕を上げていられるだけでも頑張っている方だろう。 セシア「うん、やっぱり笑ってる方が可愛いわよアレイスちゃん❤」 アレイス「くぅうん…っくく、っはははははははははあ~っははははははははははははは!!」 腕を上げて腋を晒す事で改めて気付く。やはり相当くすぐったい。腕は何とか上げていられるが、やはり身体を暴れさせてしまう。だがやはりどんなに身体を捻ってもセシアの人差し指は私の腋を捉え続けるし、ティックラーによるくすぐりは決して収まらない。それでも私は我慢し続けてやる。タイマーを見る事も止め、それだけを考えて必死に耐え続けた。 アレイス「きゃぁぁああははははははははははははあっはははははははははははははははは!!」 セシア「す、すごいわ…。こんな時間耐えられるとは思わなかったわ。」 どれだけの時間が経過したのだろうか。くすぐったさには一向に慣れない上に、また腕に疲れが溜まって来てしまっている。さっきの事を考えると、10分も経っていない可能性が高い。駄目だ…!まだ耐えなくては!これ以上くすぐったくなったら本当に腕が上げられなくなる!我慢できなくなる! アレイス「うあっはははははははははははくはははははははははははは、ぁぁああっはははははははははははは!!」 セシア「そろそろ腕を降ろしても良いのよ?これ以上我慢されたら、アレイスちゃん達を解放しなきゃいけないじゃなぁい!」 そんな罠には掛からないぞ。そうやって私に時間が進んでると思わせようとしても無駄だ。今の私はとにかく限界まで腕を上げ続けると決めたんだ。寧ろこのまま終了時間まで腕を上げ続けたいぐらいだ。 アレイス「ひははははははははははははくっふふ、っはははははははははははははあぁぁああっはははははははははははは!!」 セシア「…………。」 セシアが何も言わなくなってからまたしばらく耐え続けたが、流石にもう腕も限界だ。確かに強い意志を持つ事で我慢できるようにはなるが、疲労困憊の状況でくすぐられ続けると思考回路が停止してしまい、我慢する理由が解らなくなってしまう。そして私はついに腕を降ろしてしまった。そしてそれと同時にタイマーを見る。残り時間10分。やっと先が見えてきた。 セシア「…ようやく限界が来たみたいね。それじゃあ、こちょこちょ~!」 アレイス「んあっはははははははははははははははきゃ~っははははははははははははははあっははははははははははははははは!!」 当然だが、三回目の“こちょこちょ”はさらに激しいくすぐったさを生み出した。引っ掻くようなくすぐりにさらに撫でる刺激が同じ場所に襲い掛かって来たのだ。引っ掻かれている所が撫で回されるなど物理的に有り得ない刺激は予想外のくすぐったさを与えてくる。さらにそこにセシアの人差し指が襲ってくるのだ。予想は出来ていたが、やはり腕を上げられる気がしない。あと10分を死ぬ気で耐えなかった事を後悔している。 セシア「いくらアレイスちゃんでもここまでくすぐったくなると厳しいんじゃなぁい?」 アレイス「やははははははははははははいっひひひひひひ、っくははははははははははははあっははははははははははははは!!」 どうせ腕が疲れていてまともに我慢できるとは思っていなかったが、試しに少しだけ上げてみたが、腋が半開きになるだけでくすぐったさが増し、強烈な刺激を与えてくる。いよいよ本格的に厳しくなってきた。タイマーを見ている余裕も無い程だ。 セシア「さあ、どんどんタイマーが進んで行くわよぉ?」 私の辛そうな態度を見て余裕を取り戻したのか、饒舌に話し出したセシアによって急かされ余計に苦しくなる。腕を上げたい気持ちもあるが、ある程度休めないと我慢できない。だが、そんな事をしているとどんどんタイマーは進んでしまうし、何よりこのレベルのくすぐったさになると早くくすぐりから解放されたいという気持ちが先行してしまう。そんないろんな感情が“ここから解放されたい”という一つの強い意志を邪魔してしまう。そんな感情と戦いながら、時間だけがどんどん過ぎて行った。 セシア「ふふ、タイマーを見ている余裕も無いみたいだし、教えてあげる。今動いてるタイマー、もう55分よ?」 アレイス「なぁぁあっははははははははははははははくっはははははははははははははあははははははははははは!!」 そんなに経っていたのか…!もう腕の疲れとか言ってる場合じゃない。あと10分耐えて、あいつら二人と一緒にここを出るんだ。その気持ちを再び取り戻し私は腕を上げた。 アレイス「くひぃぃいいっはははははははははははあぁぁぁあああああっははははははははははははは!!」 腕の疲れなど問題では無かった。くすぐったすぎて我慢できず、わずか1秒で腕をすぐに降ろしてしまったのだ。 セシア「ここがアレイスちゃんの限界だったみたいね❤という訳で、もう一回…こちょこちょぉ!」 アレイス「ひぎぃぃいいいっはははははははあははははははははははきゃはははははははははははは!!」 さっきまでのくすぐったさが自分の限界なのは解っていたのに、腋を全開にしたことで想像を上回った事で耐えきれなかったのか。最悪だ。これじゃあもう腕を上げる事ができない。閉じていても絶望的なくすぐったさが襲い掛かってくる。いや、それでもタイマーがどんどん進んでいる為もう腕を下げてはいられない。私は何振り構わず腕を上げた。 アレイス「ふぅぅうっははははははははあっはははははははははははや、やめっはははははははははははあぁぁぁあああっはははははははははは!!」 セシア「はい、こちょこちょ!!」 アレイス「ひやぁぁぁああああああっはははははははははははははあっははははははははははははははは!!」 当然さらに強いくすぐったさに耐える事などできず、また腕を降ろしてしまった。そしてまた一段階ティックラーが激しくなる。まさに悪循環だ。完全にどつぼに嵌まってしまった。こうなったらもう終わりだ。残り約10分、つまり600秒をクリアするには、1秒間しか上げられない腕を600回上げる以外に方法はない。だがそれはこのくすぐったさが後600回上がる事になる。 アレイス「きゃははははははははは、っはははははははははは!!ひぃぃいいいっははははははあはははははははははは!!」 私にはもうくすぐりから解放されたいという感情しかなかった。そしてもう一度腕を上げ、その感情のみで耐える事にした。だがそれも数秒しか持たず、またくすぐりが激しくなる。そしてその一連の動作を無感情で繰り返していった。そして―― セシア「60分経過したわ。アレイスちゃん、お疲れ様!」 アレイス「ひぎゃぁぁぁあああああっははははははこれ、っははははははははははは止めでぇぇぇぇぇぇええええ、っははははははははははあぁぁぁぁぁぁあああああっはははははははははは!!」 達成感など無く、今の私にはくすぐりを止めて欲しいという感情しか湧いてこなかった。まあ無理もない。その一心でここまで苦しんで来たのだから。 セシア「解除コードは“くすぐったい”よ。最初に言った通り、これは自分が言うしか効果が無いわ。くすぐりから解放されたいんなら、ひたすら言い続けるのね。」 アレイス「きゃははははははははくすぐったいくすぐったいっははははははははははくすぐったいくすぐったいくすぐったいぃぃいいいいっはははははははははははくすぐったぁぁぁあい!!」 何回言ってもくすぐったさから解放されず、絶望感を味わいながらひたすら“くすぐったい”と笑いながら、私は叫び続けたのだった。