女騎士のくすぐり受難1
Added 2022-09-27 11:47:46 +0000 UTC1、敗北 アレイス「ようやく追い詰めたぞ。さて、お前達が行なっているくだらない実験場所を教えてもらおうか。」 リン「くっ…!」 私の名はアレイス。王国に支える魔法騎士だ。数ケ月程前から、女性を拉致して人体実験を行っているという噂の闇の組織を壊滅させるため、その組織の一人である「リン」という魔術師を追い詰めていた。 カナ「先輩!さっさとこいつ王国に連れて行きましょうよ!」 この血気盛んな女はカナ。私の後輩で、まだ少しあどけなさの残る顔立ちだが、格闘家としての腕は王国でもかなりのものだ。まあ私が直々に戦いというものを昔から教えてきたから当然といえば当然だが。とはいえ、元々の戦闘センスがなければここまで強くはなれなかっただろう。 ミナ「気が早いですよカナ。まだ相手は戦闘体勢にあります。気絶させなければ拘束もできませんよ!」 こっちの落ち着いた口調の女はミナ。カナとは幼馴染みで、同じく私が昔から修行して育てた魔術師だ。魔法騎士の私はある程度だが魔法も使用できるため、カナの修行と共に昔から私が魔法の基礎を教えてきた。ミナは頭が良く、何事も自分で調べようとする勉強熱心な性格のおかげで、私も指導できない上級魔法を18歳という年齢で殆どマスターしている。 アレイス「ミナの言うとおりだ。奴は逃げ場を無くしただけだ。戦いはまだ終わっていない。」 リン「そうだよ~?あんまり本気出しちゃったらあんたらが可哀そうだから逃げ回ってたけど~、追い詰められちゃったらやるしかないよね~?」 アレイス「この状況で私達に勝てるとでも?」 人数の問題ではない。こいつが逃げるために使っていた魔法はどれも下級魔法。その上そのどれもが完成度の低い魔法だ。どう考えても演技や手加減とは思えない程必死に逃げ回っていたのも見ればわかる。何より私には人の“魔力”を感じ取ることが出来る。そしてこいつの魔力は底を尽きようとしている。魔力が無ければ魔法など使えない。 リン「仕方ないわね~、じゃあとっておきの上級魔法、発動しちゃうわよ~!!」 カナ「させるかっ!!」 アレイス「待てカナっ…!!」 上級魔法は発動に時間がかかる。こんな囲まれた状態でできるものじゃない。何よりこいつがそんな魔法を持っていた所で、それを発動させる魔力など無いはずだ。つまりは奴のハッタリだ。そして、すぐに行動するカナをハメるための罠だともわかった上で、私はカナを静止させようと声を出した。が、カナはそのままリンに飛び掛かって行ってしまった。そして―― ???「そこまでよ?」 突如カナとリンの間に魔法陣が現れ、私よりも少し年齢が上ぐらいの女が現れると、カナに不意打ちの魔法を放った。その魔法は当然カナに直撃する。 カナ「うあぁぁぁっ…!!」 アレイス「カナ…!」 私は魔法を食らったカナの元へ駆け寄ろうとしたが、不意に後ろからもう一つの魔力を感じ取り、慌てて後ろを振り向いた。 ???「残念ながらアウトです。」 ミナ「うっ…!」 ミナの背後の魔法陣により現れたもう一人の女は、手刀でミナの首を狙いそのままミナは気絶させられてしまった。 アレイス「くっ…、転移魔法か…!」 転移魔法とは、魔術師の中でも最高ランクの者しか使えないという強力な魔法らしい。らしい、と言うのも、私はもちろんミナを含め、王国に転移魔法を使える魔術師などおらず、話でしか聞いたことが無かったためだ。魔法の効果は単純明快で、ただ人を指定した場所に転移させるというもの。とはいえ私の魔力を感知する能力を持ってしても、転移される直前の魔法陣の出現のタイミングでなければわからない。完全に不意打ちを食らってしまった。 カナ「うぐっ…、すいません…先輩っ!私が勝手に突っ込んで…」 流石は格闘家、と言った所か。魔法が直撃してもまだ何とか意識はあるようだ。だが立てる程の余裕は無いらしい。地面に突っ伏したままのカナを女が強引に腕を掴んで立たせると、掌から魔法球を発生させ、それをカナの首元に押し付ける。 ???「さて、これで形勢逆転よ?こっちには人質が二人。流石にこうなってはあなたもどうしようも無いわよね~?」 リン「ふぅ~、セシアさ~ん!怖かったよ~!!」 セシア「悪かったわね。彼女達があまりにも強くてなかなかスキが無かったのよ。でも、とりあえず無事で良かったわ。」 このセシアという魔術師がどうやら連中のリーダーらしい。おそらくさっきの転移魔法もこいつの物だろう。人質を取られた上に、私と互角レベルの魔力の持ち主であろう魔術師を相手に勝ち目は無い…か。 アレイス「確かに、こうなっては仕方ない…。私達の負けだ。」 カナ「先輩…!っぐう…!」 私の言動に前のめりになって抵抗しようとするカナの腕を引っ張るセシア。そして、魔法球をよりカナに近づけ、カナに「抵抗するな」と無言の圧力をかける。 セシア「負けだと思ったらまずは武器を捨てなさい。」 アレイス「……わかった。」 私は手に握っていた魔法剣を遠くへ投げ捨てた。これで私は完全に戦う術を失った訳だ。最も、人質を取られている以上、戦うつもりはなかったが。 セシア「リン、彼女が捨てた武器をこっちに持ってきなさい。」 リン「オッケー!!」 セシアに命じられたリンは、私の動きを注意深く監視しながらゆっくりと私の捨てた武器を取りに行く。にしても、こいつは全然戦闘知識がないのか?魔法騎士は魔法剣がなければ魔力を失うのと同様、何もできないのを知らないとはな。私はこんな無知の女を相手に警戒しながら追っていたのか…。屈辱的というよりむしろ悲しくなるな。さっきまでの自分を殴ってやりたい気分だ。 セシア「大丈夫よリン。彼女はその剣が無ければ何もできないただの女よ。」 戦いを知り尽くしているであろうセシアは、私の思いを理解したかのようにリンに伝えると、リンはホッとしたように警戒心を解いて、私の魔法剣をセシアの元へ持って行った。 セシア「これは分解してパーツを分ければ高く売れそうね。とりあえず研究所に送っておこうかしら。」 私の魔法剣を分解して売りさばくだと?だが、悔しいが今となってはそれを防ぐ術がない。それどころか、私達も身の安全が保障されていない状態だ。セシアは私の悔しがる顔を見ながら、転移魔法を発動させ私の魔法剣をどこかへ転移させた。どこかと言っても、奴らの研究所に送られているはずだが。 セシア「さてと、これからどうしようかしら、この娘達。」 カナ「うぅ…。」 私はともかく、カナとミナの命だけは守らねば。私は真っ先にその考えが過り、セシアに提案した。 アレイス「私ならどうなっても良い。二人の命だけは助けてくれ。」 カナ「先輩…。」 セシア「安心しなさい?最初から殺すつもりはないわ。知ってるんでしょ?私達が人体実験を行っている事。」 アレイス「あぁ。」 そうだった。こいつらは何故か女性だけを拉致して何かの実験を行っている。そして私達を殺す気が無いと言うなら、奴らが私達にしようとしている事はただ一つ。 アレイス「なら、私がお前達の実験台になってやる。だから二人を見逃してくれ。」 セシア「それで私達にメリットがあるのかしら?」 アレイス「なら、私が二人の分を含め、三人分の実験材料になる。どんな実験だろうが、私の身体を好きなだけ使ってくれて構わない。」 セシア「ふ~ん、良いわ。あなたの身体が耐えられれば、その約束は守ってあげるわ。」 そう言うとセシアは魔法陣を自らの足元に展開し、囚われたカナと地面に倒れ込むミナを、魔法の膜でできたような球体の中に吸収させる。 アレイス「あれは一体…?二人に何をした…!」 私は早速二人を襲う得体のしれない魔法をセシアに問い詰めた。約束すると言ったそばから手荒な真似はしないと思っていたが、所詮は人体実験などという狂った事をする連中のリーダーかと、怒りを覚えセシアをにらみつける。 セシア「大丈夫よ?この結界の中にいれば外からの魔力は全て遮断されるわ。その代わり、中からの魔力も遮断されるけど。」 アレイス「つまりお前がその魔法を解かなければ二人は安全だという訳か。」 セシア「そうなるわね。その代り、二人とも何も抵抗できなくなるけどね?」 なるほど、身を守ると同時に拘束する魔法か。これで奴があの結界とやらを解かない限り、二人の安全は一応保障されている。セシアは再び転移魔法を使い、結界に閉じ込められたカナとミナを転移させた。 セシア「このままあの娘達は研究所の部屋に隔離しておいてあげるわ。さて、これからあなたにはたっぷりと実験に協力してもらうわよ?」 アレイス「二人が無事ならな。」 ???「セシアさん、この人、拘束します?」 セシア「大丈夫よ。この娘は“腕力”はあっても魔力は使えないわ。抵抗された所で所詮は腕力によるものだし、下手に抵抗して仲間が危険な目に遭うような事をあなたはしないわよねぇ?」 この娘と言われる程お前と年齢の差はあまりないと思うのだが。お前はそんなに年寄だったのか? アレイス「あぁ。抵抗するつもりはない。」 セシア「じゃあ、第一実験室へ戻りましょうか。アレイスさんの“反応”が楽しみね。うっふふ…❤」 この時は、私は“反応”という言葉など大して気にはしていなかった。これから始まる、地獄のような実験を実際に行われるまでは――