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美しき女スパイ、グレイス④

 これから私は、この女によってくすぐり拷問を受ける訳だが、ホントにただくすぐるだけで拷問になるのだろうか? クロエ 「さ〜て、あなたはどこが弱点なのかしらねぇ?」 グレイス 「弱点?」 クロエ 「誰にだってあるでしょ〜?特にくすぐったく感じる部位、つまり弱点。私の人差し指でそれをじっくりと探すの♥勿論、今教えてくれても良いけどね?」 グレイス 「教えるも何も、どこが弱点とか自分でも分かんないし。」  世間一般では、やっぱりさっき言った足の裏とか、お腹とか、腋とかがくすぐったい所ってイメージだけど、実際そこがくすぐったいかなんて、やられてみなきゃ分からないから教えようがない。 クロエ 「まあ、よっぽどくすぐりに対して苦手意識が無ければ分からないでしょうね。だから、時間をかけて、ゆっくりと調べてあげる♥」  つまり人差し指で刺激して、身体の反応でどこが弱点か判断するって事らしい。まあくすぐったいのぐらい、我慢するのは簡単だけど。 グレイス 「はいはい、何でも良いからテキトーにやって。」  少しでもスリリングな展開にならないと面白くないし、くすぐりじゃ拷問にならない事に気付いて、私の身体で実験する、みたいになれば少しは楽しめるかな? クロエ 「うっふふ…♥そんなにお望みなら、早速始めようかしら♥」  別にくすぐり拷問を求めてる訳じゃないんたけど。  私の足元に立っていたクロエはピンと立てた人差し指を、そのまま私の左足に近づけていく。どうやら足の裏をくすぐろうとしているらしい。そして、その人差し指が私の左の足の裏、土踏まずにそっと触れた瞬間── グレイス 「んっ……!」  ただ指がスッと足の裏に触れた感触が伝わっただけなのだが、その些細な刺激に反応してしまい、思わず息が漏れてしまった。 クロエ 「あらぁ?どうしたのかしら?まだ触っただけだけど?」 グレイス 「べ、別に…。何でもないわよ。」  そう、今のはただ触れただけ。普段他人に触られる事なんてない足の裏を、突然触られた事で少し動揺してだけ。だから私は、強がりではなく事実を口にした。 クロエ 「そう?じゃあ始めるわね♥」  そして私の足の裏に触れられていた人差し指が、ゆっくりと撫でる様に土踏まずを動いた。 グレイス 「んっ…!んふぅ…、ふっ…、ふふ…。」  拘束されて動かす事が出来ない足。その無防備な足の裏に襲いかかる刺激。こんな優しく撫でるだけの責めに屈する訳がない。人差し指による軽いくすぐり責め程度で、くすぐったいと感じる訳がない。そう思っていた私を地獄の底に突き落とすかの様に、私の足の裏に“くすぐったい”という明確な刺激が訪れた。  その刺激は無理矢理私から笑いを引き出そうとしてくる。何とかそれを堪らえようと口を塞ぐが、その笑いたいという衝動が治まらず、鼻から息が漏れてしまう。 クロエ 「うふふ…、何でもないんじゃなかったの?なんだか必死に我慢している様に見えるけど♥」 グレイス 「気の…、せいよ……。」  くすぐったいという感覚そのものも問題だけど、私を一番苦しめているのは拘束された状態である事だった。この“くすぐったい”という感覚は、身体が本能的に抵抗したくなるような刺激で、その感覚から逃げたい一心で身体が反応してしまう。だけど足首に装着させられた枷がその抵抗を許さない。どれだけ足をばたつかせようが、身を捩ろうが、私の足の裏は彼女の指から逃れる事が出来ない。無意識にその人差し指から逃れようと身体を暴れさせても、その枷が私の身体を無理矢理押さえ付け、この女の人差し指を受け入れてしまう。  身動き出来ない無力な自分と、勝手に身体が反応してしまう屈辱感、この優しくも抵抗してくなる刺激を受け続けなければならない状況を強いられるもどかしさ。これが私を苦しめている要因だった。 グレイス 「んっく…!……んふふふ。」  でも私は耐え続ける。この程度の刺激で屈する訳がない。寧ろ少しスリリングな気分を味わえて楽しいぐらいだ。どうせならもっと強がって、この女を煽り、よりスリルを味わいたい。 グレイス 「ふっ……、んっふ、……ふふ。これが、拷問…?随分、っふふふ…、優しいのね。くっふふ、大した事…、ないじゃない。」  試しに、強気に挑発するような発言をしてみたが、どうしても我慢しきれず、ついつい笑い声が漏れてしまった。 クロエ 「大した事ない、ねぇ?その割には、我慢するのに必死って感じたけど?」 グレイス 「そんな訳…、っくぅ……ふふ、ないじゃない。んっふふふ…。」  これじゃあ強気じゃなくて強がりにしかなってない。誰もがそう思う程、私の口からは笑い声が溢れそうになり、鼻から息が漏れ続けている。もうちょっと余裕そうな素振りを見せないと、ただの恥ずかしい奴になってないかなぁ? クロエ 「じゃあ…、足の指にギュッと力を込める、その行動は一体何なのかしら?」 グレイス 「え…?」 クロエ 「まるで、“足の裏に襲いかかるくすぐったくて仕方がない刺激を、少しでも抑えたいと思って抵抗している仕草”に見えるのは…、気のせいかしら?」  この女にそう言われて、私が足の指をギュッと閉じて抵抗している事に、初めて気が付いた。無意識に抵抗していたらしい。やはりこれがくすぐりの恐ろしさだ。相変わらず私の意思に反して身体が抵抗してしまう。  こんな露骨に抵抗しておいて、私はこの刺激を「大した事ない」とか言ってたのね…。ここまで発言と行動に矛盾があったなんて。余りにも強がりでしかない発言をしていて、自分で恥ずかしくなってきた。とは言え、素直に負けを認めるのも面白くない。 グレイス 「だったら、力を抜けば…、んっふふふ、っくく、…良いんでしょ?」  だから私はもう一度、強気に挑発する方を選び、ギュッと握るようにしていた足の指の力を抜き、無抵抗な足の裏をこの女に差し出した。 クロエ 「じゃあ、そのまま耐えてみせなさい?」  無抵抗なまま曝け出された足の裏。その土踏まずをなぞる様に、ゆっくりと上下に往復する人差し指。それに反応した足の裏は再び私の意思に反して抵抗しようとする。それを意識的に止め、無抵抗な状態を無理矢理維持し続けた。 グレイス 「んっくく、ふふふふ…!」  これがまた辛くて堪らない。どうしても本能のままに抵抗したくなる様な独特な感覚。このくすぐったいという感覚そのものもそうだが、それを抑え込むのが辛くて堪らないのだ。くすぐりというのは、それだけ苦痛を与える拷問なのだと、理解せざるを得ない。 クロエ 「くすぐったさは特別変わっていない筈だけど、抵抗しないと余計にくすぐったく感じるでしょ?それに、そのくすぐったさから逃れようとする本能に抗うのも、辛いんじゃないのぉ?」  まるで私の思考回路を読み取れるかの様に、私が思っている事をそのまま伝えてくる。  この女の言うとおり、無抵抗な状態はさっきより明らかにくすぐったく感じてしまい、余計にこの抵抗したい衝動を抑えるのが辛い。  例えば、想像以上に熱い物を触ったら、人は思わず手を引っ込める。これは脊髄反射と呼ばれ脳が身体に指示を出す前に、脊髄が腕に命令を出し、即座に反応するものらしい。これと同じ現象かは分からないけど、そのくすぐったさに無意識に抵抗しようとするのは正にそれと同じで、それを意識して受け入れるのは本当に辛くて堪らない…!  だから私は、いつの間にか無意識の内に抵抗してしまっていた。 クロエ 「ほら、また足の指に力が入っちゃってるわよ?」 グレイス 「んぐっ…!…っふふふ、そんな事…、んっふふ…。」  くすぐられている最中、自ら無抵抗でい続けるというのがどれ程難しい事なのか、嫌という程実感してしまう。そしてそれと同時に、くすぐり拷問の実用性というものを少しずつ、思い知らされてしまう。 クロエ 「そろそろ認めちゃったら?足の裏がくすぐったいですって♥」 グレイス 「んふぅ…、っくく、別に…、くすぐったくなんて…、ないわよぉ…?こんな事、ふふふふ…、どれだけ続けたって、っくくく、無駄よ…!」  これぞ完全なる強がり。我慢するのは確かに辛いけど、まだ気丈な言葉を発する事は出来るし、精神的にも余裕はある。だからまだ私は“くすぐったい”とは認めない。 クロエ 「そう。ならその身体にくすぐりの恐ろしさを刻み込むしかないようね♥」  そう言うとクロエは突然、左手で私の左足の指を反らす様に押さえ込んだ。それによって私の足の裏がピンと張る様に固定されてしまう。ただでさえ動けないのに、足指を反らされる事で、足の裏がより無防備になってしまった。  そんな足の裏の、反らされた土踏まず。そこにクロエの人差し指が触れたかと思うと、今まで以上に素早く、カリカリと引っ掻く様な激しいくすぐりが始まった。 グレイス 「んふぅっふふふふ…!んっ、…くくくく、ぷふふふふふ…!!」  今までの責めが拷問にもならない、軽いものだったのだと思い知らされた。全く動けない様に固定された上に、よりくすぐったさを感じやすくなる様に反らされた足の裏。そこに激しく指を動かすくすぐりは、とても子供のじゃれ合いだとは思えない程の苦痛を伴った。 グレイス 「んひひひ、ぷくぅぅううっふふふふふふふふふ…!」  足の裏がくすぐったい、くすぐったくて堪らない…!私がどんなに歯を食い縛っても、笑いを強制する、この“くすぐったい”という刺激が苦痛で堪らない!何故こんなに笑い声を出させようとしてくるのか。何故こんなにくすぐったいという感覚は耐え難いのか。何故こんなに、我を忘れて暴れてしまうのか。  悔しいけどその答えもハッキリした。くすぐりが実用性の高い拷問だからだ。 クロエ 「うっふふ…♥これでもまだくすぐったくないと言うのかしら?」  こんな刺激がくすぐったくない訳が無い。もうくすぐったくないなんて、言ってられない。 グレイス 「わかった、んひひひひひ…!くすぐったい…、くすぐったいからぁ…!っくふふふふふふ、足の裏がくすぐったいって、ぷふふふふふふふ、認めるから…!!」  だから私はくすぐったいと認めてしまった。仕方無いじゃん!だってくすぐったいんだもん。こんなくすぐったいなんて思ってなかったんだから、しょうがないでしょ? クロエ 「やっと認めてくれたのね♥ご褒美に、ちょっとだけ休憩させてあげるわ♥」  私がくすぐったいと認めた事に気を良くしたクロエは、私をくすぐりから一時的に開放した。  ようやく我慢しなくて済んだ私は、身体の力を抜き、必死に深呼吸を繰り返した。まさかくすぐられただけでこんなに疲弊するとは思わなかった。身体がぐったりして、息も上がって、頭が回らない。これがくすぐり拷問の恐ろしさかと、つくづく身に沁みてしまった。 クロエ 「ね?くすぐり拷問って、想像以上に辛いでしょ?」 グレイス 「そ、そうね…。はぁ、はぁ、はぁ…、身動き出来ない状態で、くすぐられるのが…、こんなにキツイなんて、思わなかったわ…。」 クロエ 「随分正直になったものね♥」 グレイス 「ふん。…確かにくすぐったかったけど、私はこんな拷問には屈しないし、あんたを喜ばせる為に笑ったりなんかしない。くすぐったかったのは認めるけど、だからって私があんたの思い通りになるなんて、思わない事ね…!」 クロエ 「ふ〜ん。まあ、そうでなきゃ私も楽しくないわ♥…っふふ、その凛々しくて強気な姿を、くすぐりに笑い悶える無様な姿に変えてあげるわ♥」

Comments

次回はいよいよ弱点が発覚してしまいます。僕の作品ですから、皆様はその弱点もお分かりかと思いますが。

こーじ

最新話の更新ありがとうございました! 今回もとても素晴らしいです!

オッカ


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