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美しき女スパイ、グレイス②

 裏組織トゥーチャー。その名の通り拷問を研究する組織なのだが、元々は違う組織名だったらしい。やっている事は変わらないが、拷問という名を伏せ、様々な実験を行う科学研究所と言う名目で表向きは活動していたらしいが、別のスパイが侵入した事で裏の顔が世間に晒され一時撤退。しかし、組織の名前を変えた上で裏組織として本格的に活動を始めた様だ。そしてその活動と共に、本格的に新たな拷問を研究する為に専用のラボまで作ったらしい。 グレイス 「さて、どこから入ろうかしら。」  そのラボに到着した私は、侵入経路を模索していた。スリルを味わいたいけど、別に強硬手段を取って追われながら任務を果たしたい訳じゃない。だから基本的にはしっかりと、確実なスパイ活動を行うのだが、正面の入口はかなりコードな電子ロックによるセキュリティで、バレずに解除するにはかなりの時間を費やすと推測される。窓も一切ない為確証は持てないが、推定でも5階建てぐらいの大きな建物である。内部も相当なセキュリティを施している可能性が高く、壁や天井を壊して入るという行為も危険だろう。  とりあえず、このラボで行っているのがその拷問の研究ならば、カメラや盗聴器を付けるだけで実態を掴めるかもしれない。そう考えた私は、ラボの屋根へと登り、辺りの様子を伺いながら侵入する手段を考えていた。  すると暫くして、研究員と思わしき二人の女性がラボの正面入口から出てきた。 女性1 「やっと完成目前ですね。」 女性2 「そうね。あの拷問マシンが完成して、その動作実験をクリア出来れば、ようやく販売。その生産はまた大変だけど、マシンが完成してしまえば、設計通りに作るだけだし、ようやく休みが取れそうね。」  どうやらその拷問に使用すると思わしきマシンを開発しているらしい。研究員は休みもロクに取らず仕事をしているらしく、二人の愚痴が止まらなかった。だけど肝心の拷問内容には触れていない。もう少し詳しい話をして欲しいものだけど。 女性1 「そう言えば、この“T”って、所長が実際にその拷問を受けて実用性の高さを実感したってホントですか?」  ん?“T(ティー)”…?初めて気になる単語が会話の中から出てきたけど、当然その意味は全く分からない。トゥーチャーのTという事なのか、拷問の方法の事なのか。でもさっきハッキリ“拷問”という言葉は使ってた訳だし、何よりここの所長が実際に受けた、と言う言葉を普通に考えたら、Tというのはやはり拷問の方法で間違いはないだろう。 女性2 「らしいわね。相当辛い拷問みたいね。だから専門ラボまで作ったんだもの。さ、そろそろ休憩は終わり。作業に戻るわよ。」  どうやら研究員の間でTという名称で会話されてる以上、盗聴器を仕掛けてもこれ以上の情報は手に入らなそうね。カメラを付けるにも、実際に実験を見るにも、結局建物の中に入らないと分からないみたいだし、潜入するしかなさそうね。  私は彼女達に気付かれないよう、後を追いかけ建物内へと侵入した。ピッキングが通用しない電子ロックに加え、その電子ロックをバレずに解除するにはやはり時間が掛かる。その最中に、さっきみたいに中から出てこられたら終わりだ。だから潜入方法に悩んでいたけど、この二人のお陰で難なく潜入する事が出来た。  中に入ると、扉や通路がいくつもあり、まるで迷路の様に入り組んでいた。だけど、今回の任務は拷問の実態、つまり方法を知るだけ。つまりどこかの部屋にでも忍び込んでその実験現場やデータを見るだけで良い。だから私はすぐ近くの扉の電子ロックの構造を確認した。すると、高度なセキュリティを有している筈のラボの部屋には何のロックも施されていなかった。 グレイス 「よっぽど入口のセキュリティに自信があったのか、中は随分疎かね。」  まあそっちの方が助かるけど。とりあえず、早いトコ任務を終わらせてしまおうかしら。  ゆっくりと警戒しながらその部屋の扉を開けると、そこは正面に窓が並んでいるだけの小さな部屋だった。ゆっくりと窓を覗くと、下の広いフロアを見渡す事が出来た。どうやらそこは先程の研究員達が話していた“拷問マシン”の開発現場だった様だ。 グレイス 「何あれ…?触手?」  一部そのマシンのパーツと思わしき物を開発している場所で何やら怪しげにウネウネと動く物を見つけた。 グレイス 「悪趣味なパーツねぇ。気色悪。」  何かエロい系の拷問なのかと思いつつ、他の場所を見てみると、今度は人の手を模した様なパーツを開発していた。 グレイス 「触手に手って、完全に目的がエロい方に向いてる気がするのは私だけ…?イカせる事が拷問なの?」  イカせる事が拷問になるの?そもそもその触手や手をエロい目的で使うのかもよく分からないし、拷問の実態は結局謎のまま。マシンを開発している現場を見ても、ここで行われている拷問の実態は掴めなさそうね。  仕方なく私はその部屋を後にし、別の部屋へと向かおうとした、その時だった。 警備員 「おい!そこで何をしている!?」 グレイス 「あらら、もうバレちゃった?」  まあ部屋の扉が何のロックもなくて少し油断してたのは事実。それに、警備員に見つかった所で焦る事は無い。寧ろこいつから拷問の実態を探るのも悪くないわね。 グレイス 「ねぇ、ちょ〜っとあなたに聞きたい事があるんだけどぉ?」 警備員 「ぐぅっ…!な、何をしようと無駄だ!」  私はスパイ活動を行う為のお決まりのコスチュームで胸の谷間をギュッとアピールし男に見せつける。案の定、警備員の男は顔を赤くするが、今までの男とは違いスキを見せはしなかった。それどころか怯む様子も見せず私を捕らえようと襲い掛かってきた。 グレイス 「そんな武器をレディーに振り回すなんて、随分容赦無いのね。」  折り畳み式の警棒を取り出して私に殴りかかるが、それを瞬時に察知した私はバックステップでヒラリと回避する。しかし、後ろはもう実験場を眺める窓に阻まれ、これ以上は下がれない。 警備員 「ふん!どうやら逃げ場を無くしたようだな!」 グレイス 「はぁ、仕方ないわねぇ。」  ホントは“この手”は使いたくなかったけど、胸の谷間やくびれのアピールが効かないみたいだし、やっぱり“普段は絶対に見る事の無い場所”を見せてあげた方が目を奪われるわよね?  私は再び襲い掛かる警備員に対し、抵抗する意思を無くした様な、両腕を頭上に上げ降参するポーズを見せる。 警備員 「今更降伏したって無駄──」  私の降参ポーズを見ても尚、警棒で殴りかかろうとした警備員だったが、目の前まで来て一瞬動きを止める。 警備員 「なっ…!?何だこれ!?」  すると今度は鼻から突然血を垂らし動揺する。そしてその男はそのまま倒れ込み失神してしまった。勿論私はこうなる事が分かっていたんだけど。 グレイス 「鼻血垂らして気絶するとか、漫画じゃないんだから…。はぁ、だから“この手”は使いたく無かったのよねぇ。これじゃあここの拷問の実態を聞き出せないじゃない。」  何故この男は失神してしまったのか、その答えは、男が“普段は絶対に見る事の無い場所”を、この私が見せたからだ。  肌の露出度が高いスパイスーツを着用した状態で、降参するポーズ、つまり両腕を頭上に上げると袖の無い服を着ていても普段は隠れているその場所が見える様になる。ノースリーブの服を着て腕を上げると見える場所、それは──── グレイス 「ふふっ…♥そんなに私の“腋”がエッチだったのね♥」  それは、ワキである。ノースリーブを着用していようが、腕を上げる仕草をしなければ見られる事など無い部位で、そこを晒す事に抵抗がある女性も多いらしく、裸と同等に恥じらいを感じる為、そういう仕草は余計にしないだろう。つまり、男が女性の腋を普段から見る事など絶対に無く、またその腋にエロスを感じる男が多いからこそ、私が切り札としているのが、この“禁断のワキ見せポーズ”である。特に私の腋は他の女性よりエロく見えるらしく、あまりの美しさとエロさに失神してしまうのだ。 グレイス 「さて、別の部屋に侵入するか、警備員を捕まえて吐かせるか。」  そもそも警備員がここの実験の内容を知っているのか、という問題もある。研究員の会話を聞いていたとしても、Tという言葉で伏せられてるみたいだし、警備員は拷問の実態を知らないと考えるべきね。なら別の部屋に忍び込むのが無難ね。 グレイス 「そうと決まれば、これ以上警備員が増えない内に──」  と、扉に手を掛けたその時だった。 グレイス 「きゃぁ…!?」  バチバチッ!と、強い電流が体中を流れた様な感覚を受け、私は思わず悲鳴を上げてしまった。入る時には仕掛けられていなかったトラップ。しかも、私の指先まで覆うロンググローブは電気的な罠を遮断出来る筈なのに、この痺れる感覚は一体何!? ??? 「引っかかった様ね。」  身体の力が抜け、その場に倒れ込んだ私を見下ろす一人の女性。その口振りからして、どうやら彼女が仕掛けた罠らしい。 グレイス 「もしかして私、ピンチってヤツ?」  普通の電流とは違うのか、意識はハッキリしてるのに、手足に力が入らず身動きが取れない。これじゃあ流石の私も無力って感じね。……正直、これはこれで今までに無い程のスリルを感じて、不安や恐怖より楽しみという感情の方が勝ってる。 ??? 「そうじゃないかしら?その割には随分冷静だけど。さ、彼女を運んでちょうだい。」  その女性が指示を出したのは警備ロボ。警備ロボはその指示に従い、動けない私を持ち上げる。運べと言う指示だけで私を持ち上げ移動するこの警備ロボは、恐らく私の様なスパイを捉える為のロボなんだろう。となれば、捉えたスパイを運ぶ場所なんて分かりきっている。 グレイス 「ちょっとー、私をどこに連れてく気?」  それでも一応聞いてみる。でも本当にそうだったら…、相当スリリングな展開ね! ??? 「そんなの決まってるじゃない。拷問部屋よ♥」 グレイス 「……!!」  その言葉を聞き思わず心臓の鼓動が早くやる。これから自分が拷問されるなんて、この上無い程のスリルじゃない…!まあ、Mではないから責められる事に興奮はしないけど。だからこのピンチをどう潜り抜け脱出するか、それを模索出来るこの状況がスリリングで堪らない。 グレイス 「くっ…!この…!!」  拷問部屋に連れて行かれる前にどうにか出来ないかと、身体に力を入れてもがいてみる。先程より身体に力が入り、僅かだが身を捩る事は出来たものの、やはり動いて抵抗するまでには至らなかった。 ??? 「あら、思ったより痺れの効果が薄いわね…。」  仕方ない、と女は警備ロボによって運ばれている私の脚を突然掴んだ。 グレイス 「ちょっ!何すんのよ!」  突然脚を掴まれたかと思うと、私のロングブーツを脱がし始めたのだから、流石の私も少し動揺し声を荒らげてしまう。何故なら私のブーツに仕込んでいる装備が使えなくなってしまうからだ。その中には当然、逃走に使用する道具もあり、それを奪われると脱出も困難になる。しかし、この不自由な身体じゃそれを妨害する事は出来ず、脱がされたロングブーツはその場に捨てられてしまった。  そして、両脚のブーツを脱がされた所で、厳重そうなセキュリティが施された扉のロックを解除し、その部屋の中まで運ばれる。 ??? 「さ、着いたわよ。」  エレベーターで地下まで移動し、長い廊下の最奥の部屋、つまりここが拷問部屋である。しかし、部屋の中は思っていたものとは少し違った。拷問部屋のイメージと言えば、様々な拘束具や枷と言った身動きを封じる物、ムチや針、蝋燭と言った痛めつける物などが用意された牢屋の様なのを想像していたが、ここは金属製のベッドの様な大きな板が部屋の中央に置いてあるだけの、殺風景な部屋だった。  一体、私はここでどんな拷問を受けるのだろうか…?

Comments

全部が未完成で申し訳ありません

こーじ

まさか新作を書いていただけるとは思いませんでした! ありがとうございました!

オッカ


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