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ティックリー・アドベンチャー 4-2

アイナ「どうぞっ!あがって下さい!」  港町クッスに到着した一行は、そのままアイナの家に招かれた。 ミツキ「すまない、失礼する。」 アカネ「お邪魔しまーっす!」 ライカ「失礼いたしますね。」  アイナの家にあがった3人。家に入るとすぐに3人はアイナの家が“どういう所”なのか理解する事が出来た。 ミツキ「アイナの家はアイテム屋だったのか。」 アイナ「正確には薬とか栄養剤の類しかありませんけどね!あっ、どうぞ奥で休んで下さい!私の自慢の回復薬もお出ししますねっ!」 ライカ「いえっ!流石にそこまでして頂かなくても…!」 アイナ「いやいや、助けて貰ったお礼はさせて下さいっ!!」 アカネ「んじゃあお言葉に甘えて!!」 ミツキ「お前は少し遠慮しろ。」  結局3人はアカネの厚意に甘え、回復薬を貰い奥の部屋で休ませてもらう事にした。 ライカ「すごいですね!普通の物とは魔力の回復量が桁違いです。」 アカネ「ホントホント!!まるでこの回復薬そのものに“魔力が注がれてる”ような感じ!!」 ミツキ(魔力が注がれている……か。) アイナ「それは良く分かりませんけど、私の自慢の回復薬ですからねっ!」 アカネ「能力者でもないのに、こんな薬が作れるなんて…!アイナって何者!?」 アイナ「ただの無能力者ですっ!!」 ミツキ「……そんな事より、店の方は閉めたままで大丈夫なのか?」 アイナ「はいっ!いつもあそこの聖水を汲んで来た後はここで調合する時間ですから!……あの、それより…。」 ミツキ「ん?あぁ、事の説明だったな。あの天使、まあアイナは姿を見ていない様だが…。天使のジエルは、今クスグの森の古城に住み着いた魔女、ティックラーが生み出した使い魔だ。」 アカネ「で…、えっと~…――」 (まず何から伝えれば…。) ライカ「そしてその使い魔であるジエルともう一体、悪魔のキュバスは私達をくすぐって笑いのエネルギーを集めているんです。」 アカネ「そ、それで…――」 (どう説明したもんか…。) ミツキ「私達はテイクル王国のコチヨ王女に魔女の討伐を依頼されて、古城を目指しながら奴ら使い魔と戦っているんだ。」 アカネ「うんうん。」 ライカ「その道中、先程グリ山を下りている最中、ジエルの魔力を感じたのでミツキに先に様子を見に行ってもらったら、どういう訳かアイナさんがくすぐられていたと言う訳です。」 アイナ「どういう訳か…って?」 アカネ「えっとね~…――」 (どういう訳か…、ん~どういう…?) ミツキ「高魔力を所持する者から吸収した方がエネルギーが多く溜まるという話しだったが、今回は何故か“無能力者”であるアイナをくすぐって来た、という訳だ。」 アカネ「……あの~?」 ライカ「どうしましたアカネ?」 アカネ「…私にも話させて?」 ミツキ「いや、お前はこういう説明は苦手だろう?」 アイナ(何か…、アカネさん可哀そう。でも…) 「レディナイツって、もっと怖い感じのイメージだったけど、面白くて良いチームですねっ!」 ライカ「面白い…ですか?」 アカネ「ミツキ、面白いって。」 ミツキ「お前がな?」 アカネ「うえぇっ!?」 アイナ「あっはは!!何か、羨ましいです…!私…、いつも一人だから…。」 アカネ「いつも一人?…そういえばアイナ、親御さんは…?」  笑顔の中にどこか寂しげな表情を浮かべるアイナ。そして、すこしの静寂の後、その口を開いた。 アイナ「私の両親は、ずっと前に魔物の被害にあって他界しました…。この町も私の出身地じゃないんで友達もいないんです…。」 ライカ「そんな…。」 ミツキ「嫌な事を思い出させてしまったな…。」 アカネ「ごっ、ごめん…!私、そうとは知らず――」 アイナ「あっ気にしないで下さい!別にあれはこの世界じゃよくある事故ですし、お店に買いに来てくれるお客さんにいつも良くしてもらってるし!もちろん忘れられない過去だけど、今はそれなりに幸せな生活を送ってるんですっ!!」 ミツキ「強いんだな…、君は…。」 アカネ「よしっ!じゃあ今日から私達がアイナの友達になる!」 アイナ「えっ!?」 ライカ「そうですね!アイナさん、私達と友達になって頂けませんか?」 アイナ「い、良いんですか…?能力者の最高峰騎士団のレディナイツが、私の友達…?」 ミツキ「私達はそんな大それた者じゃないさ。見た所、私達と年齢もそう変わらないだろうし、友人になるのに立場や身分など関係ないだろう?」 アイナ「嬉しいですっ!ありがとうございますっ!!」 ミツキ「うん、私達もアイナと友人になれて嬉しいよ。アイナ、君も敬語など使わず普通に接してくれ。」 アカネ「友達だからね!」 アイナ「良い…の…?でもライカさんも敬語だし…。」 ライカ「私は元々こういう性格ですから、気にしないで下さい。」 アイナ「じゃあ、お言葉に甘えてっ!」 ミツキ「それよりアイナ、薬の調合はしなくて良いのか?」 アイナ「あっ、そうだった!!」 ライカ「折角ですし、何かお手伝いしましょうか!私達に出来る事があるか分かりませんが。」 アイナ「助かります!あ、じゃなかった…!ありがとっ!すっごい助かる!!」 ミツキ「ふふっ、まあ無理に直そうとしなくても良いさ。それより、何をしたら良い?」 アイナ「えっと、じゃあ…。」  ミツキ達はアイナの手助けをする為、調合や店の手伝いをした。日が暮れはじめるこの時間は、実は旅人が多く辿り着く時間帯でもあり、薬の調合が終わった時間に合わせるように、客足が増え始めた。中には常連客もいて、アイナの回復薬はいつも1日で完売する程人気だった。  アイナが店を閉めた時には辺りも真っ暗になっており、宿屋も空きがなくなる時間帯となってしまったが、アイナの厚意でミツキ達はそのまま家に泊めて貰える事になった。 ライカ「家にまで泊めて頂けるなんて、本当にありがとうございます!」 アカネ「何から何までお世話になっちゃってるね私達…。」 アイナ「気にしないでっ!私ももっと皆とおしゃべりしたいしっ!」 ミツキ「あぁ、何でも聞いてくれて構わないぞ?」 アイナ「あっ、じゃあ…。ミツキさんって、ワキが弱いの?」 ミツキ「なっ!?何故それを…!?」  突然の事に顔を真っ赤にして動揺したミツキは、自らを抱きしめる様に腕をキュッと閉め腋を閉じた。 アイナ「ジエルさんが言ってたの。私の弱点がワキだって知った時、ミツキちゃんと同じだーって。」 ミツキ「あいつ余計な事を…!」 ライカ「確かにミツキの弱点は腋で間違いありませんよ。」 ミツキ「さり気無く肯定するなっ!!」 アカネ「良いじゃん別に。弱点って言われるとちょっと恥ずかしいけど、腋なんて誰だってくすぐったいんだから。」 ライカ「それに何より、アイナさんも腋が弱点だと教えてくれたんですから。」 ミツキ「そういう問題では無い!」 アイナ「ねぇねぇ、ライカさんとアカネさんもワキが弱いの?」 ライカ「確かに腋もくすぐったいですけど、私が最も苦手な場所はお腹や脇腹と言った腹部、特に苦手なのがおへそです。アカネは足の裏でしたよね?」 アカネ「う、うん…。」 (確かに…、何か自分の弱点を暴露されると恥ずかしいかも…。) アイナ「ライカさん、お腹が弱点なのに丈短めの服ですよね?ちょっとエロい…!」 ライカ「し、仕方ないじゃないですかっ!まさかこの戦いでくすぐられる事になるなんて思ってもいませんでしたし…。」 ミツキ「私達の戦闘服には全てそれを選んでいる意味がある。動きやすさや、その服そのものに魔力の発動をサポートする能力があり、それを元に選んでいる。もちろん多少趣味も関わってはいるが。」  ミツキ達が着ている戦闘服は全てオーダーメイドである。ミツキの服は動きやすさを追求し、その上で氷の力を使っても自分の体温を保てる素材と形を選んでいる。アカネは最前線で戦う為、動きやすさを一番に追求し、さらに魔力を攻撃力に変換しやすい能力を持つ金属を使っている。ライカは魔力を集中し溜める能力を持つ素材を重視し、レディナイツの中で一番非力な為、軽い布の素材を使っている。 アイナ「へぇ~、服にも魔力に関係した能力が備わってるんだねぇ!…あっ、そうだっ!!ねぇねぇミツキさん、ちょっとワキ見せて?」 ライカ、アカネ「「………っ!?」」 ミツキ「なっ…!?と、突然どうした…?」 アイナ「良いからっ!」 ミツキ「……?まあ、別に構わんが…。」 アカネ(構わないんだっ!?) ミツキ「…これで良いか?」  ミツキはアイナの言動に疑問を感じながらも、自身の左側に座っていたアイナが良く見えるよう、左腕を上げて腋を見せた。 ライカ(堂々と見せるんですね…。) アカネ(私には絶対無理だわ…。) アイナ「ミツキさん、ワキ見せるのって恥ずかしい?」 ミツキ「ん?いや…、別に恥ずかしいという事は無いが、そうジロジロ見られると不思議な気分ではあるな…。」 アカネ「恥ずかしくないの!?」 アイナ「不思議な気分?って、どんな感じ?」 ミツキ「………何と言うか、…………ちょっと、くすぐったい……。」 アイナ「へぇ~。」 (ワキ見せてくすぐったがる素振りするミツキさん、かわいい……。) ライカ「…そう言えば、ミツキは普段からあまり恥ずかしがるような素振りを見せていませんでしたね…。」 ミツキ「お前達は恥ずかしいのか?」 ライカ、アカネ、アイナ「「「恥ずかしいですっ!!」」」 ミツキ「……そ、そうか…。」 アカネ「でも、ちょっと納得かも。」 ライカ「そうですね。私生活でミツキはノースリーブを着ているにも関わらず、腋を見せるような事を頻繁にしていましたからね。」 アイナ「ミツキさんはワキを見せつけてたんですねぇ?…でも、確かに見せつけるだけあって、すっごいキレイ…。」 (触りたいなぁ…。というか、くすぐりたい。ジエルさんの話しじゃ私より敏感だって話だけど…。) ミツキ「別に見せつけていたつもりは無いんだが…。」 アイナ「ねぇねぇ、古城の魔女が集めてる笑いのエネルギーってその人達の魔力が絡んでると溜まるんだよね?」 ライカ「そうですけど?」 アカネ「それがどうかしたの?」 アイナ「じゃあ、私がミツキさんをくすぐっても大丈夫って事だよね?」 ライカ「はい。問題ありません。」 ミツキ「問題あるだろ!!何故私がアイナにくすぐられなければならないんだ!?」 アカネ「あ、でも私もミツキのくすぐられてるとこ見たいかも!」 ライカ「私も興味ありますね。」 ミツキ「余計な事を言うな!というか、お前達は使い魔達との戦いで見ているだろ!」 アカネ「いやぁ、それが私もくすぐられててそれどころじゃ無かったと言うか、ミツキを気にしてる余裕が無かったと言うか…!」 ライカ「実際自分達がくすぐられている状態でミツキがくすぐられている所など、しっかりと見れる訳はありませんからね。」 ミツキ「だからと言って私がくすぐられなければならない理由にはならんぞ!?」  自分がくすぐられるという理不尽な展開に文句を付けるミツキだが、律儀にもアイナの為に左腕は今も上げており、その左腋はまるで「くすぐって欲しい」と望むかのように晒されている。それをまじまじと見ていたアイナは、そっとミツキの左腋に人差し指を移動させる。 ミツキ「だいたい、奴らと戦っていない所でもくすぐられるなんて私はっひぁあぁっ…!?」  アイナの人差し指がミツキの無防備な左腋に触れた途端、ミツキは可愛らしい悲鳴を上げ、その腕を降ろし腋をガードした。 ミツキ「こらぁあっアイナ!!」 アイナ「ミツキさん、ちょっと触れただけですごい反応…!」 アカネ「確かに!くすぐったがる反応私並みじゃない?ってか、腋に関しちゃ私以上だよ!?」 ミツキ「……………。」 ライカ「…ミツキ?どうしました…?」  アイナに腋を触られ恥ずかしい程の悲鳴を上げてから、ミツキは何かを考える様に無言のまま固まっていた。 ミツキ(アカネの言う通りだ…。いくら腋が弱点だと言っても、あれ程までに敏感だった筈がない。確かにくすぐられた時は笑い声を抑える事は出来なかったが、触られただけであれ程までに異常なくすぐったさを今まで感じていただろうか…?)  自分でも思いもよらないくすぐったさに戸惑いながらも疑問に抱いていた時、ミツキはグリ山での出来事を思い出した。 ミツキ(まさかあのハーピーの羽にくすぐられたからか…!?しかし、あまりにも敏感になり過ぎていないか…?) 「アイナ、もう一度私をくすぐってくれ…!」 アイナ「うえぇ…!?」  ミツキは自分の腋の今の状態を確かめる為、自ら両腕を頭の後ろに組み、アイナに無防備な腋を晒してくすぐりを催促する。 アカネ「ミツキがついに狂った!?」 ライカ「それは無いと思いますが、急にどうしたんですか!?」 アイナ「そうだよっ!あんなに嫌がってたのに、何で…?」 ミツキ「良いから頼む!」 (不意を突かれ急にくすぐられたからあんな反応をしてしまっただけなら良いが、もし本当に私の腋がそれ程までに敏感になってしまっていたとしたら…。) アイナ「まあ、ミツキさんが良いって言うなら…。」  両腕を上げて自ら無防備をアピールするミツキの腋に、アイナはそっと両手の人差し指を近づけていく。 ミツキ(く、来る……!)  自ら催促したものの、やはり無防備な腋をくすぐられる恐怖心は抑えられなかった。しかし、自分がくすぐられるという自覚を持ってくすぐられなければこの検証は成立しない。ミツキはその恐怖心を必死に抑え、自分の腋をくすぐろうと動くアイナの指を見つめていた。そして、いよいよ自分の両腋にアイナの人差し指が触れた瞬間―― ミツキ「うひゃぁあっはは…!!」  ある程度の刺激は想像していたミツキだったが、それを更に超えるくすぐったさにミツキは先程以上に反応し腋を閉じた。 ミツキ「っはあ…、っはあ…。何てことだ…。」 ライカ「ミツキ…?どうしました…?」 ミツキ「………どうやら私の腋は相当敏感になってしまったらしい…。」 アカネ「でもどうして急に…!?」 ミツキ「…そういえば、グリ山での事をまだちゃんと話していなかったな。アイナ、少しお前には無縁の話になってしまうが構わないか?」 アイナ「私の事は気にしないでっ!それに、皆の話しもっと聞いていたいし!!」 ミツキ「すまないな。あまりにも分からない話になると思うが…。……まずは、ライカにあの時の状況を説明しなければな。」  ライカが気を失っている間にミツキがアカネから聞いた、アカネが崖の下で機械魔物にくすぐられていた事、その後アカネが起こした大爆発と上級技を遥かに超える魔力の放出の事を説明した。そしてアカネには地上でケルベロスとハーピーがくすぐりに特化した魔物へと姿を変えた事を伝えた。 ライカ「だからあの辺りが更地になっていたんですね。しかし、体内で膨れ上がった高魔力による大爆発…、ですか…。」 アカネ「それに、ケルベロスとハーピーがくすぐり攻撃を仕掛けてくるなんて…。」 ミツキ「その事だが…、これはあくまで私の仮説に過ぎないのだが、アカネを襲った機械魔物、私とライカを襲った魔物、奴らは魔女によって操られてくすぐりの力を得ていた筈だ。つまり、最初に起きたハーピーの異変から連中が関与していたという事だ。」 ライカ「それは解ります。実際くすぐりを仕掛けてくる時点でティックラーが絡んでいる可能性は高いでしょうし…。」 アカネ「でも、それだったらあいつらの魔力が魔物にも注がれる訳だから、あいつらの魔力も感じる筈でしょ!?」 ミツキ「こればかりは連中が“そういう能力”を持ったと納得するしかない…。そもそも魔女が笑いのエネルギーを集めて力を得ている、という所から私達には理解しがたい事が起こっている訳だからな。私達の常識から外れた事が起きても不思議じゃないという事さ。」 ライカ「なるほど…。確かにそう納得するしか無いと言われてしまえばそうですが…。」 ミツキ「ライカは私と同じで理論が無いと納得出来ないタイプだからな。腑に落ちないのも無理は無いが、実際奴らの仕業だという証拠もある。」 アカネ「ホント!?」 ライカ「その証拠というのは…?ミツキの腋に関係しているんですか…?」 ミツキ「あぁ。私は元々くすぐりには強かったが、ジエルが生み出したティックリーフェザーの事は前に話したな?グリ山で私をくすぐってきたハーピーの羽。あれがティックリーフェザーと同じ能力を持っていたようだ。」 アカネ「じゃあ、敏感にされた腋を更に敏感にされたって事?」 ライカ「だからあんなに大きな反応を…。」 ミツキ「始めは羽によるじれったい感触がそうさせただけだと思っていたが…、さっきアイナにくすぐられた事で確信に変わったよ。お陰で私の腋はアカネ以上にくすぐりに弱くなってしまった。」 アカネ「それは辛そうだね…。」 ライカ「しかし、そうだとしたら…、最初に私達と戦った時と比べて明らかに強い力を使えている事になりませんか?」 アカネ「どーゆー事?」 ライカ「始めは草原の草を操ったり、その場にいたワームを操るといった攻撃が、いよいよ遠隔で操って来た上に特化能力を持った道具の力を魔物に付与するだなんて…。」 ミツキ「考えられる事は2つ。ティックラー本人が得た力で攻めて来たのか、あるいは私達高能力者によるエネルギーが想像以上に力になって使い魔達が急成長をしているのか、といった所だろう。私の予想ではティックラーが仕掛けてきた、という方が可能性が高いがな。いくら使い魔が急成長していたとしても、実際奴らは私達の攻撃で魔力を限界まで消費して強制転移いていったんだ。その直後にそんな事が出来る訳が無い。」 ライカ「つまり、ティックラーが得た力を実践し始めた、という事ですね。」 アカネ「実践?」 ミツキ「今まで私達への攻撃を使い魔に任せ、自分は使い魔を遠くから転移させるというサポートに徹していたのが、直接攻撃するまでに力を得た事で仕掛け始めた、という事だ。まあこれが使い魔の仕業にしろ、分かっている事はただ一つ。」 ライカ「相当な力を付けてきている、という事ですね…。」 アカネ「そんな…!」 ミツキ「何度も連中を退けては来たが、毎回笑わされている時点で常に私達は敗北しているようなものだ。」 アカネ「でもくすぐられて笑うなって言う方が無理だよ…。」 ライカ「力を付けているのであれば尚更くすぐりの能力も強くなっている筈ですしね…。」 ミツキ「あぁ。だから、私達は少しでもくすぐりに耐性をつけておく必要がある。」 ライカ「それはつまり、くすぐられても笑い声を抑えられるよう訓練する、という事ですか…?」 ミツキ「その通りだ。」 アカネ「いぃっ!?わ、私は嫌だよっ!だいたい、私はくすぐられる事自体嫌なのに、特訓だなんて…!」 ミツキ「分かっている。だから、私だけやるつもりだ。実際今や私が一番のターゲットと言っても過言ではないからな。その私が何も我慢出来なければ奴らの思うツボだ。」 ライカ「大丈夫ですか…?アカネも、私も我慢なんて出来ません。その私達より更にくすぐりに弱くなってしまったミツキに我慢できるとは…。」 ミツキ「我慢強さには自信がある。後は自分の腋の感度を理解し、その刺激の強さに慣れる事だ。そうすれば多少は我慢できるようになるはずだ。」 アカネ「まあミツキがやるってんなら止めないけど…、もう時間も遅いし今日はもう寝ない?」 ライカ「そうですね。いくら回復薬を頂いたからと言って、疲労が回復した訳ではありませんから。」 アカネ「それに、最初はミツキをくすぐるってのがちょっと楽しそうとも思ってたけど、私はそれ以上にミツキが心配になっちゃったよ。私よりくすぐったがりになっちゃったら絶対苦しいに決まってるし。」 ライカ「はい、私も何だか気が引けてしまいます。自分以上に苦しい思いをしていると知ってしまったら、それをするなんて出来ません。」 ミツキ「おい、そうしたら誰が私の鍛錬に付き合うと…。」 アイナ「はいは~い!!私がミツキさんくすぐりた~い!!」  3人の長い会話を無言で聞き続けていたアイナがようやく口を開くと、ミツキの特訓の協力を買って出た。もっとも、アイナにとってはミツキをくすぐって笑わせたいという好奇心からかも知れないが、ミツキはその厚意を快く受け取った。 ミツキ「やってくれるか!そういえば、私をくすぐりたいと言っていたな。是非頼むぞ!」 アイナ「うんっ!頑張ろうねミツキさんっ!!」  こうして、ミツキは自身の危機を乗り越える為、そしてティックラーに対抗するべくアイナとくすぐり特訓を開始するのだった。


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