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裏切りと反逆9

 エミリーは持っていた魔法石を使い、拘束されて動けないソフィアに強いショックを与えそのまま気絶させる。そして転移の魔法石を使用し気絶したソフィアだけを会場のステージへと飛ばした。  会場のステージは今幕が下りた状態で、会場内の観衆達が休憩時間が設けられていた。そんな中、幕の下りたステージでは次の拷問、“連縛くすぐり拷問ショー”を行う為の準備が行われていた。ステージに召喚された壁型の拘束用魔物、ホールドウォールには人を拘束する為に設けられた枷が備えられていた。そしてその枷によって、すでにシエラは両腕を頭上に上げた状態で、両足は肩幅に開かされ枷で拘束されていた。そこへ気を失ったソフィアが転送されると、マーラは手際よくソフィアをシエラの隣に拘束し始めた。 シエラ 「おいっ!ソフィアは魔法石の力を使えるようにする方法なんて知らないんだぞっ!拷問をするなら、私だけで良いではないか!」 マーラ 「どうせ彼女はお仕置きでくすぐられる運命だもの。ここで拷問としてくすぐられようが、一緒でしょ❤」 シエラ 「一緒なものか。私はいくらくすぐられようが、魔法石の事は話さない。それに、ソフィアはそもそも魔法石の事を話しようがない。余計な手間を掛けて、わざわざ観衆の前に連れてきてまでやる事では無いと言っているんだ。」 マーラ 「良いのよ、そっちの方が観衆が喜んでくれるし。これで拷問器具の販売促進にも繋がるもの❤」 シエラ 「相変わらず狂っているな。」 マーラ 「何とでも言いなさい。さて、これで拘束は完了ね❤ショーの休憩時間はまだあるから、今の内に心の準備をしていると良いわ。さっきまでのくすぐりとは、比べ物にならない程の地獄を味わわせてあげるから❤」 シエラ 「くっ…!」  そう言い残し、マーラはステージ裏へと言ってしまった。そして暫くすると、拘束されたソフィアがようやく目を覚ましたのだった。 ソフィア 「……ん、………あれ、…私、一体……?」 シエラ 「ソフィア、目が覚めたか。」 ソフィア 「ん……?……シエラ!?………って、何よこれ…!」 シエラ 「お前もあの後輩さんに聞いただろ?これから私達は連縛くすぐり拷問ショーとやらに参加させられるらしい。」 ソフィア 「そっか…、私、地下室で気絶させられて、ここまで運ばれてきたのね……。」 シエラ 「あぁ。しかし参ったな。私はくすぐったいのは苦手なのに、よりにもよってこんな拷問を受ける事になるとは…。」 ソフィア 「確かに、あなたのあのもがく姿は見てるだけで苦しそうだったわ。」 シエラ 「お前も僅かな時間だったが、くすぐったさをその身体に刻まれた訳だが…、辛かっただろう?」 ソフィア 「……そうね。………って、なんであなたがそんな事知ってるのよ。」 シエラ 「こっちの会場にもモニターが用意されていてな。お前が敏感にさせられた上でくすぐられている所を観衆の連中含め見ていたんだ。」 ソフィア 「あれを見られていたのね…。」 シエラ 「観衆に見られているという実感が無いだけマシだと思うがな。私はあの無数の視線に加え、王国や自分をここまで教育して下さった先輩の裏切り、そして全身を襲うくすぐりによって我を忘れ笑わされてしまったのだ。恥なんてものじゃなかった。お前も見ただろう?私の身体の感度、我ながら呆れる程のくすぐったがりが証明された瞬間だったな。」 ソフィア 「それを言ったら、私なんて魔法石の力で急にくすぐりに弱くなったのよ?それに、わきの感度96って、くすぐりに苦手意識を持ってるあなたより敏感じゃない。」 シエラ 「全身敏感な奴と、腋だけが異常に弱い奴…。似たようなものだが、確かに弱点だけ見れば数字が高い方が辛いのかもな。」 ソフィア 「まあ、私はわきだけが極端に高いだけだけどね。そう考えると、全身に強烈なくすぐったさを受けるあなたも相当辛いわよね。」 シエラ 「……どうして腋ってあんなにくすぐったいんだろうな。」 ソフィア 「し、知らないわよ…。それに、人によって感度は違うんだから、そもそもわきだろうが全く効かない人だっている訳じゃ無い。私もどちらかと言えばそうだった訳だし。」 シエラ 「私は、くすぐったがりな自分と、この敏感過ぎる腋が憎らしいぞ。その上こんな無防備なポーズで拘束されていると、くすぐられる事を嫌でも想像させられて、それだけで何だかくすぐったくなってしまう。」 ソフィア 「……ちょっと、そういう事言わないでくれる?あなたの所為で、私までくすぐられる事を余計に意識してくるじゃない。……うぅ、ちょっと私の髪がわきに触れるだけでくすぐったく感じるわ…。」 シエラ 「まだくすぐられてもいないのに、意識しただけでくすぐったさを感じてしまうレベルだ。やはり私達ではこの拷問は耐えられそうにないな。……どうする?」 ソフィア 「どうするって何よ?……どれだけ苦しい思いをしようが、私はあの女の言いなりになるつもりは無いわ。私にあるのはあの女への怒りと憎しみだけよ。」 シエラ 「つまり、このまま無様に笑わされながら、くすぐり殺される覚悟は出来ていると?」 ソフィア 「当り前じゃない。今更あの女の使用人に戻るつもりもないし、奴隷として地下で生きるつもりなんてもっと無いわ。勿論、可能なら死にたくはないけど。」 シエラ 「なら私と考えは同じだな。私も奴に魔法石の事を話すつもりはない。無様に笑い悶えようと、最後まで抗って見せてやろう。」 ソフィア 「助かる道を考えようとはしないのね。」 シエラ 「魔法石が無い以上、どんなエリート騎士だろうが、ただの女だ。それに、こうして磔にされてしまっている以上、私達には奴に好きな様にくすぐられる事しか出来んからな。」 ソフィア 「潔いのね。」 シエラ 「こうなる事も覚悟の上で、脱走を考えていたからな。」 ソフィア 「まあ私も裏切る前提でここに来た時から覚悟は出来ていたけど。」 シエラ 「少しでも強気でいよう。所詮はくすぐりなんて子供のお遊びだ。」 ソフィア 「そうね、たかがくすぐり。ただくすぐったいだけ。そう思うと意外に耐えられそうだわ。」  二人でそんな決心をしている所で、誰かがステージ上を歩く足音が聞こえた。そしてそれがマーラだと分かったのは、マイクを使って会場の観衆へアナウンスを始めたからである。 マーラ 「皆様、大変長らくお待たせ致しました!これより、連縛くすぐり拷問ショーを開始致します!」  そのアナウンスが会場に響き渡ると同時にステージの幕が上がり、壁に背中を付けた状態で拘束されている二人は、観衆に晒される事となった。しかし、その二人の前にレースクイーンの様な恰好をしていた使用人、カンナがバンザイのポーズを取ったまま立ち尽くしていた。 シエラ 「またこの女か。今度は一体何をする気だ?」 ソフィア 「わざわざ腋を見せるポーズをしてるって事は、またカンナさんでくすぐりの手法でも観衆に見せつけるつもりじゃないかしら?」 マーラ 「その通りよソフィアさん❤」 ソフィア 「くっ…!マーラ、……あんたはどこまでも悪趣味な女ね。わざわざ私達にそれを見せつけて、恐怖心でも植え付ける気?」 マーラ 「うっふふ…、どう感じるかはあなた達次第って事で❤……さて皆様、先程の映像でこの元使用人の女性、ソフィアさんがくすぐったがりになった姿はご覧頂けたと思います。勿論、先程は呪いの魔法石を使いましたが、私が持つ創造の魔法石、それが使える様になれば、呪いの力を持った模倣石の量産も可能になります。勿論、くすぐりに弱くする事しか出来ない劣化版ですが。それでも、くすぐりの力がこのショーにて証明されれば、それでも十分でしょう。こちらも販売予定ですので、是非ご検討下さいませ❤そして、これからショーを行う前に、今度はくすぐる側の商品をご紹介したいと思います。」 ソフィア 「……くすぐる側の商品?」 シエラ 「そういう事か。拘束するアイテムや感度を数値化するシステム、感度を変化させる力では無く、今度はくすぐりに使用する道具をプレゼンする訳か。」 ソフィア 「つまり私達の前でポーズを取っているカンナさんでその効力を見せつけて、私達で実践しようって訳ね。」  ソフィアとシエラの会話を聞きながら、マーラは敢えてそれには触れずに演説を続けた。 マーラ 「くすぐる側の商品、それはズバリ!私が作り上げた魔物の類です。この魔物は量産が可能な人造魔物ですので、複数の同時購入でお安くする事も考えております。しかし、まずはその力を見て頂かない事には購入も何もございませんよね?そこで、先程も感度数値化システムの実験に起用した私の使用人であるこの女性、カンナさんを使ってその効力をまずは見て頂きましょう❤」  魔法石をかざしたマーラはカンナの足元に魔法陣を展開する。すると足元から黒い縮れた糸のような物で出来た手の形を模した魔物2体がニョキニョキと生えて来たのだ。その手は人と同じ様に5本の指を持つが、人の手では出来ない動きをしており、不気味さを漂わせていた。 マーラ 「この魔物、今は私が“異形の手によるくすぐり”を見たくてこの様に手の様な形をさせていますが、そもそも手の形をした魔物ではありません。形を自在に形成できる“糸”の様な魔物なのです。この魔物、影を媒介として召喚しているため、逆に言えば影さえあればどこでも召喚する事ができます。所詮は自在に動く糸に過ぎませんので力はありませんが、くすぐったさを与える事に特化しておりますので、私はこの魔物を“シャドーティックラー”と命名致しました。正に、影を媒介にするくすぐり魔物です。実際に販売する際は、この形のままご提供いますが、お好みで指の数を増やしてみたり、その長さを変えたり、関節部を増やしたり、触手の様にして頂いても大丈夫です。」  そう言いながら、実際にシャドーティックラーと呼ばれた魔物の姿を、言葉に合わせ自在に変形させその能力を観衆に見せていた。 マーラ 「そしてこのくすぐりに特化された魔物、これがどれだけのくすぐったさを人に与える事が出来るのか。それを今からご覧頂きたいと思います。」  改めて最初の手の形に変形した魔物は、カンナの両腋のすぐ傍で蠢き、くすぐり開始の合図を待っていた。 マーラ 「先程カンナさんを私がくすぐった時、彼女はくすぐったがる反応を見せながらも笑い声を抑えながらバンザイのポーズを維持していました。ワキの感度が43ですから、それも可能でしょう。それでは、この魔物にくすぐられたカンナさんはどうなるでしょう?」  演説に使っていたマイクをカンナの口元に当てた後、指をパチンと鳴らすとシャドーティックラーが動き始め、カンナの両腋にその指を触れさせた。 カンナ 「きひぃいいっ…!!?」  くすぐりに比較的強いカンナが、ビクッと大きな反応を見せる。何とか腕を下ろさずに耐えているが肘が曲がり、腕を下ろしたくて堪らないと言った姿が見て取れた。そして、ついにその腋に触れた指が動きくすぐりが行われた。 カンナ 「んぁぁああっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!?」 シエラ 「なっ…!?」 ソフィア 「う、嘘……!?」  マーラの指でくすぐられた時は、口を紡ぎ笑い声を出さない様に堪える事が出来ていたカンナ。しかし、シャドーティックラーがくすぐり始めた瞬間、一瞬たりとも堪える事が出来なかったカンナは腕を下ろし腋をぎゅっと閉じて笑い出してしまったのだ。 カンナ 「ひゃははははははははははははははは、なっ何これっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはくすぐたいぃいい!くすぐったいぃぃいいいひひひひひひひひあははははははははははははははははは!!」  くすぐったさに耐えられなかったカンナは腋を閉じながらも、悶え苦しみ続けていた。腋を庇う様な体勢になっても、細い糸の様な指が閉じた状態の腋を捉えており、その僅かな隙間でこちょこちょと指を動かしくすぐっていたのだ。 ソフィア 「普段無表情なカンナさんが…、あんなに狂ったように笑わされてるなんて……!」 シエラ 「見ているだけでそのくすぐったさが想像出来る程の暴れようだな…。」  これからそのくすぐりを味わう事になるソフィアとシエラは勿論だが、観衆もカンナのその乱れっぷりに度肝を抜かされ、ざわついていた。「あんな魔物がそんなにくすぐったいなんて…!」「これは正に拷問だ」と驚く者もいれば、中には「あれは演技では?」と疑う者もいたが、それに対して周りの観衆が「演技であんな苦しそうな顔は出来ない」「あの暴れ方に偽りは無い」などと言って、疑いを持った人間も思わず納得してしまった。そして、そんな観衆の言葉を聞いたマーラは、更にこの力を証明しようと演説を再開する。 マーラ 「この悶えっぷり、演技で出来るものではありませんが、このモニターの数値がそれを証明しております。」  カンナの身体の感度が数値化されたモニター。その腋の感度を表した43という数字の隣に、90という赤く表示された数字が激しく点滅していた。 マーラ 「これは実際にカンナさんが今体感しているくすぐったさを表しています。つまり、今カンナさんはワキの感度が90の人が受けるくすぐったさと同じ感覚を受けている事になります。」 ソフィア 「感度が90の人と同じレベル…!?」 シエラ 「自分の感度の倍以上にくすぐったく感じているではないか…!」  そう、90という数字を見た瞬間、観衆の誰もが同じ事を思ったのだ。 マーラ 「皆様お気付きでしょうか。この90という数値、カンナさんの感度の倍以上です。単純に考えればどんな人でも倍はくすぐったく感じると捉えられますが、実はそうではありません!これはくすぐったがりな人ほどより大きな効果を生む、と言えば、その力がより拷問に効果的だとは思いませんか?」 シエラ 「まさか…!?」 ソフィア 「私達はそれ以上にくすぐったく感じるって言うの…!?」 マーラ 「人並み以下のカンナさんで約倍、彼女達の様な敏感な女性だったら、私の予想では250前後にはなると思っています。そんな数値を出したら…、もはやどれだけ笑い狂うか想像も出来ませんね❤」 ソフィア 「250…!?」 シエラ 「くっ…!お、落ち着けソフィア…!これは奴の予測に過ぎん…!」 ソフィア 「…えぇ、確かに250なんて数字は推測ね。実際は倍ではなく数値が50程プラスされるという効果かも知れない。だけど…、少なくとも最大値だと思われた100を超えてしまうのは事実よ。」 シエラ 「うぐっ…!い、いや、まだ100以上になるとは限らない…!」 ソフィア 「人の感度に限界なんてあると思う…?」 シエラ 「そ、それは…。」 マーラ 「ふふ…❤何やら後ろですでに恐怖を感じているようなので、そろそろデモンストレーションは終わりにして、拷問ショーを再開致しましょう❤」  そう言って指を鳴らし合図をすると、カンナをくすぐっていたシャドーティックラーはようやく動きを止め、カンナはくすぐりから解放された。 カンナ 「っはあ、っはあ、っはあ、っはあ、っはあ…。」 マーラ 「ご苦労様❤初めてのシャドーティックラーはどうだったかしら?」 カンナ 「っはあ、っはあ、想像…以上でした。っはあ、っはあ、っはあ、これなら、っはあ、っはあ、どんな拷問よりも、効果的かと…。」 マーラ 「くすぐりで笑った事なんてなかったカンナさんがあれ程までに悶える程の力。当然これに耐えられる人なんていないでしょう。」  そして再び指を鳴らし合図すると、今度はソフィアとシエラの足元に魔法陣が展開される。 ソフィア 「ひっ…!!?」 シエラ 「くっ…!」 マーラ 「さて、大変長らくお待たせ致しました。これより、連縛くすぐり拷問ショーを開始します❤」


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