ティックリー・アドベンチャー 3-2
Added 2021-04-08 12:12:00 +0000 UTCアカネ「ファイアナックル!!」 3人はグリ山に現れた魔物と戦っては先を進み、また現れた魔物と戦っては先を進む、という行動を繰り返していた。現れた魔物は今の所全て小物魔物で苦戦するような事は無かったが、その数が多ければ当然疲労する。体力、魔力消費を最小限に抑えながら戦っていた3人だったが、その中で1番動いていたのはやはりアカネだった。自分の苦手とするくすぐりを使う敵がいない事でいつもの調子を取り戻し、次から次へと襲い掛かる魔物を倒していったのだ。 そして今も、山に生息する下級魔物、ウルフと戦っている真っ最中だった。 アカネ「ロックニードル!!」 地面から岩の槍を突出し、群れで襲ってきたウルフの最後の一体を倒したアカネ。ここまで殆どの魔物を倒してきたが、アカネは疲れを見せる事は無かった。 とはいえ、魔力、体力共にを多く消費しているアカネを、2人は心配していた。 ミツキ「お前の力が必要だとは言ったが、あまり飛ばし過ぎるなよ?まだ先は長いんだ。」 ライカ「そうですよアカネ。回復薬は魔力を回復させる為の物に過ぎませんし、私のヒールカームでも回復させられる体力に限度があります。あまり無理はしないで下さい!」 アカネ「これくらい大丈夫!………っん!?」 ミツキ「何か茂みから物音が…。」 ライカ「……魔力を感じます。」 戦闘を終え再び歩いていた所に、突然茂みから何かが動く音が聞こえてきた。3人が警戒する中、その茂みから現れたのは山にのみ生息する、1つの胴体に3つの頭を持つ獣型の魔物ケルベロスだった。茂みから一気に飛び出したケルベロスは、そのままアカネに襲い掛かった。 アカネ「ファイアボール!!」 アカネの拳から放たれた火の玉が一時的にケルベロスを怯ませる事が出来た。が、しかしすぐにケルベロスはアカネに突進攻撃を仕掛けてくる。 ミツキ「アイシクル!」 ケルベロスの足を凍らせて動きを封じたミツキ。その間にライカが魔法を発動する。 ライカ「スパーク…!」 ケルベロスに電撃を浴びせるが、下級魔法では大したダメージを与える事が出来なかった。それを見たアカネは果敢に攻め立てる。 アカネ「バーニングフィストぉぉおおお!!」 炎を纏った拳でケルベロスを攻撃するアカネ。ケルベロスはその力強い一撃で一気に後方まで吹き飛ばされた。だがしかし、ケルベロスは未だ倒れず戦闘態勢を取っていた。 先程まで襲ってきた小物の魔物とは違い、ケルベロスはパワー型の大型魔物。いくらレディナイツと言えど、疲労の中ではそれなりに苦戦を強いられる。それでも魔力を最小限に抑えようと戦っていたミツキとライカだったが、アカネだけは一切気を緩める事も無く全力で魔力を使っていた。かなり無茶な戦い方でもあるが、それが効果的に働き、ケルベロスは最初よりかなり動きが鈍くなっていた。 そんな戦い方をしているのは、自分が今まで足を引っ張ってきたという負い目はもちろん、チームメイトに頼られたからだった。どんなに励まされても、今回の旅で足を引っ張ってしまった事は事実。そう思っていたアカネは、くすぐりを行ってこない敵だけでも率先して倒さなければならないと、責任を感じての行動だったのだ。 アカネ「っ…!!」 ライカ「アカネっ、危ない!」 アカネの攻撃を受けても尚倒れないケルベロスは、一気に間合いを詰めてその3つの頭の大きな口を開けアカネに食いつこうと飛び掛かった。それに危険を感じたライカが声を掛けるが、その前にアカネはケルベロスの動きに対応していた。 アカネ「サンドランス!!」 右手に砂嵐を纏い、それが右手を覆うランスの様な形状に姿を変えると、ドリルの様に回転し始める。アカネは襲い掛かるケルベロスの懐に入り込むと、下から突き上げる様にその砂のドリルで攻撃する。先の尖ったドリル状に回転する砂嵐はケルベロスの体を突き破り、見事にケルベロスを討伐した。 ミツキ「アカネ…。相当悔しい思いをしていたんだな。」 普段から頼りになるチームメイトだと感じていたミツキだったが、その姿には更なるたくましさを感じたのだった。 ライカ「そうですね。また破壊力が上がっています。それに、動きもより素早くなりましたね。」 ミツキ「元々の戦闘センスは誰よりも上だからな。」 アカネ「よし!まだまだいけるよー!!」 ミツキ「なら次も頼むぞ。早速新たな魔物が現れたからな。」 ライカ「!?…あれは、ハーピーですね。」 次に3人の前に現れたのは、見た目は女性の姿をしているが、腕部には大きな翼、脚部は猛禽類のような鋭く大きな爪の生えた足を持つ、鳥と女性が融合したような姿をしている飛行系魔物、ハーピーの群れだった。単体では中の下レベルの魔物だが、それが群れで現れれば話は別である。特にハーピーは結束力が強く、群れると厄介な魔物なのだ。そのハーピーが一気に10を超える群れで現れたのである。 アカネ「何が来ようが、全部倒す!!…フレイムバースト!!」 アカネの拳から勢いよく炎が放たれ、爆発しながらハーピーに向かって燃え盛る。しかし、空を飛んでいるハーピー達はそれを軽々と避け、一気に群れを成して反撃に出る。ハーピーの群れはかぎ爪の様な鋭い爪をアカネに向けて猛スピードで突っ込んで来た。その猛攻は、足場の狭い山道で回避するのは困難だった。 アカネ「くぅっ!!クレイシールド!!」 避けられないのならと、粘土質の盾で防御態勢に入るアカネ。1体目の攻撃を見事に防いだが、それを見ていた10を超えるハーピーの群れが、全員同じ方向から攻めてくる訳が無い。攻撃が盾によって防がれると分かったハーピー達は、四方八方に飛び散り、一斉にまた飛び掛かって来た。多方向から迫りくるハーピー相手では、正面しか守れない盾では当然防ぎきれない。それどころか、迎撃するにしても数が多すぎて、アカネには防ぐ術がなかった。 アカネ「くそぉっ!!」 ライカ「エレキシールド!」 当然ミツキとライカもハーピー達と対峙するアカネを黙って見ている訳が無い。連携攻撃が得意なハーピーに対し、レディナイツもチームワークで対抗する。後衛のライカが防御術を放つと、アカネの周りに電撃で作られたバリアが出現した。そのバリアは勢いよくアカネに突っ込んで行ったハーピー達の攻撃を食い止めただけでなく、弾かれたハーピー達に電撃を与え痺れさせる。動きが鈍くなったハーピーに対し、アカネはすぐに攻撃を仕掛ける。 アカネ「フレイムバースト!!」 再び放たれた大きな炎がハーピー達を包むと、大きな爆発を起こしながら燃え上がった。しかし、連携攻撃を得意とするハーピーも数で応戦する。電撃で痺れていないハーピー達がその特徴的な大きな羽を目一杯羽ばたかせたのだ。その大きさに加え数が集まる事で大きな突風を起こし、アカネの炎が吹き消されてしまったのだ。 アカネ「そんなっ!?」 ミツキ(おかしい…。数が集まれば本来よりも何倍もの力を発揮できるとはいえ、アカネのフレイムバーストを一瞬にして消し去る程の風を起こす事など出来るとは思えない…。それに、連携攻撃が得意なハーピーと言えど、あれ程までに息の合ったチームプレイが可能だろうか…?) 「くっ…、……アシッドレイン!!」 ハーピーの動きに疑問を抱きつつも、集中していた魔力を解放し全体攻撃を仕掛ける。ミツキ達のいるエリア一帯に雨雲が発生し、強い浄化能力を持つ雨を降らせる。雨に打たれたハーピー達は徐々に魔力を消耗していく。そして動きが鈍くなった瞬間アカネが一気に攻撃を仕掛けた。 アカネ「うぉぉぉぉおおおおおおおお、エクスプロードぉぉおおおおおおおお!!!!」 アカネはついに上級技を発動した。両腕を天に掲げると、自身の何十倍もあるメラメラと燃える大きな炎の球体が爆発音を立てながら現れる。そして両腕を振り下ろすと、その動きに合わせ巨大な炎が上からものすごいスピードで急降下を始める。そして地面にぶつかった巨大な炎は一気に爆発し辺り一面を燃え上がらせる。 ミツキ「ハーピー相手にやり過ぎな気もするが、これで一気にあの群れは全滅しただろう。」 ライカ「アカネの技で最も威力の高い技ですからね。」 アカネの魔力を心配しつつも、ほっと一息をつくミツキとライカ。しかし、その爆発する炎の中から1体のハーピーが抜け出し上空へと飛び上がり、アカネの技を見事に回避したのだ。他のハーピー達がその1体を守る様に集まり、爆発が落ち着いた一瞬の隙に脱出したのだ。 ミツキ「馬鹿なっ…!どんな状況であれ、あの一撃をハーピー程度の魔物が掻い潜れる訳が無い…!」 アカネ「大丈夫だよミツキ!私ならまだまだ戦える!」 ライカ「それに、たった1体ではハーピーの連携はありません。すぐに倒しましょう!」 ミツキ(さっきの突風と言い、何か嫌な予感がするが…。) 実際群れで行動するハーピーにとって、たった1体残された所で、大した攻撃など出来ない。連携攻撃が出来ない単体のハーピーに、もはや勝機など無い……筈だったが、ミツキの嫌な予感が的中してしまうのである。 ミツキ「なっ、何だ…!?」 アカネ「ハーピーがっ…!?」 ライカ「これは…一体…?」 3人が目を丸くして驚くのも無理は無い。残された1体のハーピーが、突然詠唱を始め魔法を唱え始めたのだ。肉弾戦に特化した魔物であるハーピーが魔法を唱える事などあり得ない事で、その異様な姿に3人はすぐに行動に移せずその姿にただただ目を奪われてしまっていた。 アカネ「ハーピーが詠唱なんてする筈は…!?」 ミツキ「……っアカネ!すぐに詠唱を止めろ…!!」 アカネ「う、うんっ!!ファイアボール!!」 ミツキに言われ慌てて詠唱中のハーピーに攻撃を仕掛けるアカネだったが、それはもうすでに遅かった。ハーピーが詠唱した魔法は転移魔法だった。ハーピーのいる足元に展開された魔法陣から、分厚い鉄のプレートのような巨大な壁が現れると、アカネのファイアボールを簡単に弾いてしまった。 ライカ「壁の…、魔物…!?」 アカネ「私の攻撃が弾かれたっ!?」 一見ただ攻撃を防ぐ為の壁の様な魔物。そしてその魔物が魔力を解放すると、突然地面が揺れ始めたのだ。 ミツキ「これは…っ地震…!?これが奴の攻撃かっ!?」 ライカ「大地の属性の魔物には見えませんが…、あっアカネ…!!足元っ!!」 グリ山全体が揺れるような大きな地震。その中で、アカネと壁の魔物がいる所に起きた異変に逸早く気が付き、アカネに呼びかけた。 アカネ「なっ…!地割れ…!?っうあぁぁああ!!」 ミツキ「アカネぇぇぇええええ!!」 壁の魔物が地震により、アカネと鉄の魔物の足元が地割れを起こしていたのだ。ライカの呼びかけでアカネもその事態に気付いたが、アカネがその場を離れる前に、地面が割れてしまったのだ。足元が崩れた事により、アカネと壁の魔物は崩れた足場と共に落下してしまったのだ。