ティックリー・アドベンチャー 1-4
Added 2021-02-10 12:21:22 +0000 UTCアカネ「くっそー!キリが無いわね!」 ライカ「この草、明らかに再生しています。おそらく、地面に埋まっている根まで消さない限り、何度でも生えてくるのでしょう。」 時はミツキが使い魔達に囚われる前に遡る。ミツキが戦線を離脱し使い魔を追っていた頃、アカネとライカも突如襲い掛かって来た草々に苦戦を強いられていた。炎と雷の攻撃によって焼き払った筈の草は、時間が経つと元の長さまで一瞬にして成長し、再び襲い掛かってくる。倒しては再生され、またそれを倒しては再生される。そんな繰り返しにより、2人の魔力はどんどん消耗し体力も削られてしまっていたのだ。 アカネ「んっ、また!?フレイムウェイブ!!」 ライカ「サンダークラッシュ!」 再生には時間が掛かるものの、その間に別の草が襲い掛かって来るため、2人は休む間も無く技を使わせれ続けている。いくら高魔力所持者の2人が魔力消費の少ない技で戦おうが、それを休み無く何度も使い続ければ消費魔力も相当な量になる。 アカネ「フレイムウェイブ!っはあ…、はぁ…!もぉ…!!こうなったら一気に上級技で一層した方が良くない!?」 ライカ「そうですね。…サンダークラッシュ!…っはあ、はあ、魔力を温存して…、ミツキと合流したかったんですが、これでは合流すら出来ませんし。」 アカネ「おっしゃー!!全部焼き尽くして――っはひぃぃいいいい!?」 上級技を発動しようと魔力を込めたアカネだったが、突然気の抜けたような悲鳴を上げ、技の発動を中断させてしまった。 アカネ「くっ…!こいつっ!!フレイムウェイブ!!」 ライカ「サンダークラッシュ!…っはぁ、…アカネ?どうしました…?」 アカネ「何でも無い…!!」 ライカ「……?そうですか。……サンダークラッシュ!…っでは、上級技…、お願いします。」 アカネの先程の行動に疑問が残り続けていたが、ライカは再びアカネに上級技の発動を催促する。 魔法(魔術師が使う技)は、剣士や格闘家などが使う技と違い、発動に時間が掛かる物が多い。ライカの下級魔法サンダークラッシュは魔法の中でも発動時間が短く、技と殆ど変らない時間で発動できる。しかし、威力が高く攻撃範囲の広い上級魔法には、それなりに発動まで時間が掛かってしまうのだ。その分威力の高さは上級技を遥かに超える物だが、今回の様に敵が絶えず攻撃を仕掛けてくる場合には発動すら出来ないという大きなデメリットもある。 その為、今回のような状況ではアカネに上級技を発動して貰わなければならないのだ。 アカネ「おう!今度こそ――っくひぃぃぃいいいい!?」 ライカ「アカネ?さっきから一体どうしたんですか!?」 再びアカネに異変が起こり、ライカは思わずアカネの方を振り返ると、そこには草々に背筋をつぅ~っとなぞられて身悶えるアカネがいた。その不思議な光景に、思わずライカは何もできず立ち尽くしてしまっていた。そして、2人を襲う草々はライカのその隙を見逃さなかった。 ライカ「……な、何を…?……しまっ――」 隙を見せてしまった事で背後から襲い掛かる草々に気付かず、ライカは両手首を草々に絡め取られてしまったのだ。 アカネ「こんのぉおおお!!フレイムウェイブ!!……ライカ、今助ける!」 自らを襲う草々を焼き払うと、アカネはすぐにライカのピンチに気が付いた。慌てて草々の根本付近を攻撃しようとするが―― アカネ「うわぁ…!?」 今度は走り出そうとしたアカネの右足首にブーツごと草々が絡み付き、アカネは勢いよくその場に転倒してしまった。 アカネ「くっ…!仕方ない!!」 アカネは強引に右足をひっぱると、上手くブーツから足が抜け素足になってしまうも、何とか足を拘束する草々から解放された。しかし、草々はその行動を読んでいたかのように次の行動に出る。今度はその素足になった右足を絡め取り、地面に着いた両手、ブーツを履いている左足にも草を絡ませたのだ。これにより、アカネは四つん這いの体勢で四肢を拘束されてしまったのだ。 アカネ「ちょっ、これ…、動けない…!」 ライカ「アカネ…!」 そうこうしている間にも、ライカも両足を肩幅程開いた状態で草々によって拘束されてしまっていた。そして2人の拘束する草々が何重にも重なって絡み付く事で、引き千切る事も出来ない程になってしまい、2人は完全に身動きが取れなくなってしまったのだ。 アカネ「こんな草に追い詰められるなんて…!」 ライカ「落ち着いて下さい。魔力を集中させ、それを一気に爆発させれば周囲の草は何とか処理が出来る筈です!」 アカネ「確かにそれならまだ行ける!魔力の消費がハンパ無いのが欠点だけど…、もうそれしか無いか!」 この危機的状況を打開するべく、2人は魔力爆発を行う為に魔力を集中させ始めた。しかし、上級技の発動すらさせて貰えなかった事を2人共忘れていたのだ。そして、この拘束されている状況がどれ程辛いものかを思い知る事になるのだ。 アカネ「はぁぁぁああああああああああっひぃぃいいいい…!?」 最初にその妨害を受けたのはまたしてもアカネだった。四つん這いの状態で身動きの取れないアカネのお腹を下から草々がサワサワと撫で始めたのだ。 ライカ「アカネ?どうしました…!?」 (そういえばさっきも…。一体アカネに何が…?) アカネはお腹を刺激されている為に、立った状態で拘束されているライカにはその様子が目に入らず、アカネに直接聞くしか状況を確かめられないのだ。そして、その答えはアカネの答えを聞かずとも分かる事となった。 アカネ「くっふふふ…、さっきから……!っきひひひひ、や…やめろぉ!」 ライカ「アカネが苦しそうに……、笑ってる……?」 (何故こんな状況で笑っているんですか?……ん?アカネの身体の下の草々が蠢いている…?お腹に何かされて…、っまさか…!!) アカネ「くひひひひひ、やめろって…っはは、くすぐったいってばー!!」 そう。先程からアカネが草々から受けていたのは、“くすぐり”による妨害、つまり“くすぐったさ”によって妨害されていたのだ。 ライカ「やはりそうでしたか…!」 (お腹を刺激されて苦しそうに笑わされる。やはりくすぐられていたんですね…!……という事は…。) 今まで何度か行われてきたアカネへの妨害。それが全て同じ行動ならば、それがこの草々の攻撃方法なのだろうとライカも気が付き苦悶の表情を浮かべる。その理由は他でもない。自分もこれからその攻撃を受ける事になると分かっているからである。 そして早速ライカの周りの草々も行動に出た。ライカの両サイドから数本の草々が伸びてきて、ライカの半開きになっている腋をサワサワと優しく撫で始めた。 ライカ「んぐぅっくくく…!や、やめて…下さい…!」 腋を守ろうと必死に両腕を動かそうとするが、草々による拘束はびくともせず僅かに身体を捻る事ぐらいしか出来なかった。 アカネ「きっひひひひひひ、うふふふふふふ…!ダメっははは…集中できないぃぃぃぃいいいい!!」 お腹を撫で回されているアカネは、苦しみながらも必死に魔力の集中を試みるが、くすぐったさが邪魔をしすぐに魔力の集中が途切れてしまう。 アカネ「いひひひひひひひ何でっくすぐりぃ!?くっくくくくくくくく私…っはは、くすぐったいのダメぇぇええっへへへへ!!」 ライカ「無理、しないで下さい…!んっくく、私が…やります!」 まだくすぐったさに耐えられるライカは、元々くすぐったがりなアカネに代わり魔力の集中を行う。 ライカ「んっふふふふ、うっふふふふふ…!」 それでもやはり決してくすぐったくないという訳では無く、何とか集中出来ているもののその魔力は普段の半分以下のスピードでしか溜まっていかない。 ライカ「ふぅっふふふふふ、全然…、溜まりません…っくくくく…!」 アカネ「あっははは、いひひひひひひひ…!ライカっははは、頑張ってぇぇえっへへ!!」 ライカ「は、はいぃ…!っふふふふふふふ、くっふふふふ…!」 ライカはくすぐったがりのアカネの為に、代わりに自分がやらなければという強い使命感だけで何とか魔力集中を続けていた。 ライカ「くっふふふふ、上手く…、集中出来な…っくくくく!」 ライカの焦りに対し、草々は更なる効果的な攻撃手段を探すためにくすぐる場所を変え始めた。二の腕や耳、首筋を責めていくがライカの反応にあまり違いは見られなかった。そんな中草々が次に攻撃対象に選んだのは脇腹だった。衣服によって僅かに覗かせたお腹の辺りから服の中に潜り込むと、脇腹を突っつくようにくすぐり始めた。 ライカ「ひぃいいっ!?そこは――」 他の場所に比べて異常に大きな反応を見せたライカ。草々はその反応こそが効果的だったと判断し、脇腹を撫でる様にくすぐり始めた。 ライカ「――っははははははははそこ無理ですっふふふふふふふ、あっはははははははははくすぐったぁい!!」 脇腹を本格的にくすぐられた途端、普段のライカからは想像も出来ないような笑い声が溢れ出した。そう、ライカは脇腹がくすぐりの弱点だったのだ。いくら普段穏やかなライカでも、弱点をくすぐられれば当然笑ってしまうのだ。 ライカ「あっははははははは無理無理、っははははは無理ですぅぅううう!!っはははははははくすぐったくて集中っははははははは出来ないですぅうう!!」 脇腹へのくすぐりで腹部に狙いを定めた草々は更なる動きに出る。辺りから数本の草を伸ばし、それを今度はライカの服から僅かに覗かせるお腹に狙いを定め、わしゃわしゃと乱雑にくすぐり始めた。 ライカ「うひひひひひひひひ、ひゃはははははははははははそれダメっはははははははははくすぐったいですぅ!!」 一見雑に触れているだけにも見えるのだが、腹部全体が弱点だったライカは、そんな雑な刺激にもより激しく身悶えた。それまで反応が薄かったライカがこれだけ激しく身悶えている様を見て気を良くした(ように見えた)草々はお腹をくすぐる草を更に激しく動かした。 ライカ「きゃっははははははははあっはははははははははもうやめてっはははははは下さぁぁぁああい…!!ひあはははははははははははははは――ひやぁぁぁああああああ!!?」 お腹を激しく弄っていた草々の1本がライカのへそに触れた瞬間、ライカは今までにない大きな反応を見せた。そしてそれは同時にライカの最大の弱点が発覚した瞬間でもあった。 ライカ(へ…、へそ…?) ライカは自分でも知らなかった脇腹を超える弱点に戸惑っていた。しかし、そんな感情は、笑いという衝動に一瞬にして消し去られるのだった。最大の弱点に気が付いたのは当事者のライカだけでは無い。草々もまた、偶然触れてしまっただけのへそが最大の弱点であるという事に気が付いたのだ。そして、偶然触れたその草1本をライカのへそをほじくる様に動かした。 ライカ「ひあぁぁあああああああああっははははははははははははははははははははははくすぐったぁぁあああああっははははははははははははくすぐったいくすぐったいっははははははははははははははは!!きゃははははははははははははそれくすぐったすぎますぅぅうううあはははははははははははははあぁぁぁあああっはははははははははははははは!!」 脇腹やお腹という敏感な場所を責められると同時に、最大の弱点であるへそをくすぐられたライカにいつもの無口で冷徹な姿など存在しなかった。そんな激しく暴れるライカが魔力集中など出来る訳が無いとアカネもすぐに理解出来ていた。 アカネ「きひひひ、ライカぁぁあああ!!あっく…、うっくくくくく…!」 (ダメだ…!もうライカに魔力集中は出来ない…!こうなったら何としても私が魔力集中をするしか…!) 笑い悶えるライカを見て代わりに自分がやるしかないと決意し、今度はアカネが魔力集中を試みる。くすぐったがりなアカネも、流石に同じ場所を同じくすぐり方で責められ続けていればその刺激に少しずつ慣れてくる。その為かアカネには少しの余裕も生まれ、魔力集中も少しずつだが何とか出来ていた。 アカネ「んっくくく、ふふふふふ…!あ、諦め…っふふ、ないぃ…!!」 (くすぐったいけど、これなら頑張れる…!!) 時間さえ掛ければ魔力集中が行なえる、そう感じアカネが決意した瞬間だった。アカネの背後の草々が数本動き出すと、一度目の拘束を回避する為に素肌を晒す羽目になった右足。そして四つん這いの体勢で拘束されている為に向けられた、足の裏の踵の部分を草々が優しくくすぐり始めた。 アカネ「んっくくぅうううあっはははははははははは!!ちょっ、っはははははははあっはははははははは待って待ってぇぇぇえええっへへへへへへへへへへへ!!」 くすぐったがりなアカネがお腹をくすぐられても笑う事を必死に我慢していたが、踵を優しく撫でられただけでそれは一瞬にして崩壊してしまった。 アカネ「きゃははははははははは足の裏っははははははははダメぇぇえええ!!あっははははははははははそこ弱いぃぃいいっひひひひひひ!!」 ライカ同様、アカネにも当然くすぐりに対する弱点は存在していた。その弱点である足の裏を、特にくすぐりに弱いアカネが受ければ我慢など出来る訳がない。 アカネ「うぁぁああっはははははははははははは何でっははははははははははははははははそこばっかぁぁっははははははははははははくすぐったいぃぃいいいっひひひひひひひひひひひひ!!」 ライカの時と同様、アカネが足の裏に対してくすぐりに弱いと判断した草々は、アカネの足の裏にある更なる弱点を探る行動に出た。 アカネ「きゃははははははははちょっと、っははははははははは何やって――」 手始めに草々はアカネの動き回る足の裏を完全に拘束する為、指を1本ずつ草で絡ませて5本全ての指を動かないように拘束した。そしてその指を5本の草々が1本ずつくすぐり始める。 アカネ「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!それやめっははははははははははくすぐったい、くすぐったいからぁぁあああっはははははははははははははは!!」 指へのくすぐりに対する反応を覚えた草々は、今度は指の間や付け根をチロチロと細かく動かす様にくすぐり始める。 アカネ「きゃっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!そんな変なとこっははははははははははくすぐるなぁぁぁあああ!!」 足の裏のどこをくすぐっても敏感に反応するアカネに、草々は一気に猛攻を仕掛ける。先程くすぐっていた指はもちろん、指の付け根や母指球の膨らんだ部分、土踏まずに踵と、まさに足の裏全体を激しくくすぐり始めたのだ。 アカネ「ひぎゃぁぁぁあああっははははははははははははははははははくすぐったすぎぃぃぃいいいっひひひひひひひひひあっははははははははははははははははははは!!あひゃぁぁああ!?そこダメ!!っはははははははははきゃははははははははは土踏まずダメぇぇええええっへへへへへへへへへへ!!」 アカネにとっての最大の弱点、それは土踏まずだった。ライカに続き、アカネまで完全に魔力集中など出来る状態では無くなってしまい、これにより2人共くすぐりに対抗する術を失い、いよいよ絶体絶命のピンチに陥ってしまったのだ。 言ってしまえばたかがくすぐり。しかし、その妨害力は想像を遥かに超える程高く、身動きが取れない状態で魔力の使用まで制限されてしまえば、もはやただの若い女性と変わらない。そんな女性が拘束された状態から脱出する事など出来る訳が無いのだ。 ライカ「あっはははははははははそこやめてぇぇええっへへへへへへ、きゃははははははははははくすぐったいですぅぅううっふふふふふふ!!」 アカネ「いやぁぁぁああああっはははははははははは助けてぇえ、助けて助けてぇぇぇええええっへへへへへへへくすぐったぁぁぁああああっはははははははは!!」 ライカ「くははははははははははゴホッ、ゴホッっはははははははははははひはははははははははは苦しっははははははははは苦しいぃぃぃいいっひひひひひひひひひひひひひひ!!」 アカネ「ぎゃははははははははははははははもうやめてっはははははははははははキツイ、キツイぃぃぃいいいいっひひひひひひひ、んぁぁああっははははははははははははははははくすぐったいってばぁぁぁああああ!!」 このくすぐり地獄に対抗する手段どころか、笑いすぎによる呼吸困難で命の危険すら感じ絶望を味わっていた2人だったが、突如その絶望は終わりを迎える。 ライカ「きゃっははははははははははははあっははははははははは……っはあ、っはあ、はあ、はあ…、はぁ…!」 アカネ「うぁああっはははははははははははははこれ止めてぇぇぇえええっへへへへへへぁあっ…はぁ、はぁ、はぁ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ…!!」 突然草々はくすぐりを止めたのだ。それどころか、2人を動けないようにしていた草々までその拘束を解き、気付けば草原一帯が元の状態に戻っていたのだ。 ライカ「はあっはあ、はあ、何とか…っはあ、助かった…みたい、ですね…。」 アカネ「一体…、っはあ、っはあ、はあ、何だったの…?」 ライカ「どうやら、はあ…、はあ、キュバスの魔力が通わなくなったようですね…。草原はキュバスの…、“チャーム”という魔法で、操られていた訳ですから…。」 ライカは魔力を感知する才能に長けていて、一度覚えた魔力ならばある程度の距離までなら感知することが出来るのだ。つまり、草原に掛けられたキュバスの魔力を感じなくなった事で、自分達が解放された事を理解したのだ。 アカネ「それって、ミツキがあいつらを倒したって事?」 ライカ「いえ、疲れていて上手く感知出来ないのですが、そのミツキの魔力も…、感じません…。」 アカネ「そんなぁ!?一体どうして…!?」 ライカ「可能性があるとすれば…、ミツキが囚われてしまい…、どこかへ連れて行かれた、としか…。」 アカネ「そんな…。」 ライカの予想は的中していた。ミツキが拘束され、キュバスとジエルはその魔法によりこの草原から姿を消した為に、キュバスの魔力が通わなくなったのだ。もちろん、今の彼女達はその真相を知らないが、他に考えられる理由も無く、2人はそれを前提にミツキの安否を確認し、救出する事を考えた。 アカネ「ライカのエアサーチならミツキの居場所分かるよね?」 ライカの風属性下級魔法のエアサーチは、魔力で生み出された風によってその風に触れた者の居場所を特定する事が出来る、いわば索敵の魔法なのだ。 ライカ「もちろんその距離にもよります。ですが、流石に今の疲労感では魔法も上手く使えません。ミツキが心配ですが、ここはまずは体力の回復を優先させるべきです。」 アカネ「まあ仮にこんな状態でミツキの所に行けたとしても、あいつらと戦えそうに無いしね…。」 ライカ「その通りです。仮にミツキが捕まっているとして、そのミツキがどう敗北したかにもよりますが、一筋縄で敵う相手ではないでしょう。」 アカネ「だね…。……それにしても、ライカがあんなに取り乱して笑ってるとこ、初めて見たよ。」 ライカ「仕方無いじゃないですかぁ…!!誰だってくすぐられたら笑ってしまいます…!」 普段は絶対に見せない哀れな姿で悶え苦しんでいた事を指摘され、ライカはその恥ずかしさに思わず声を荒げた。 アカネ「まあ私は元々くすぐったがりだけど、ライカもくすぐりは苦手なんだね。」 ライカ「当たり前です!……しかし、何故あの草は私達をくすぐって来たのでしょう?」 アカネ「攻撃手段にしては随分馬鹿らしいよねぇ。ま、それが思った以上に辛かったんだけど…。」 ライカ「あれが偶然の攻撃とは思えません。ただの妨害目的の攻撃ならば、あんな弱点を調べて徹底的に狙う様な行動をするとは…。」 アカネ「あの草がそういう攻撃しか出来なかっただけなんじゃないの?」 ライカ「そうです。“そういう攻撃しか出来なかった”、という事はつまり、彼女が魔法で操るものが“そういう攻撃しか出来なかった”のだとしたら、考え方が変わりませんか?」 アカネ「どーゆー事??」 ライカ「つまり、キュバスの魔力に操られた物が“くすぐり”を攻撃手段としているのだとしたら、私達は今後あのくすぐりと戦っていかなければならない、と言う事になりませんか?」 ライカの推理はこうだ。キュバスが魔力を草原に与えた事で、その草原は“くすぐり攻撃を仕掛けてくる魔物”のようになった。キュバスがそういう力を得意としているならば、キュバスに操られた物全てがくすぐりを駆使し、自分達を攻撃してくると言う事だ。 あの天使とサキュバスが何者かはまだ2人には分からない事だが、自分達を知っているような発言からして、今後も戦いを挑んでくる可能性は高く、それが全てくすぐり攻撃を得意としていると推理しているのだ。 アカネ「マジで!?私くすぐり苦手なのに…。」 ライカ「あくまで可能性の話しですけどね。ですが、キュバスは“操る”能力を持っていて、それがくすぐり攻撃を仕掛けて来るという可能性は大です。ジエルの能力はまだ分かりませんが、あのミツキを捉えたという事は“拘束”の能力があるのだと思われます。どちらにしろ、彼女達が何者なのか、何故くすぐりを仕掛けてくるのか、そういう事も考えておかなくてはなりません。」 アカネ「はぁ…。これは先が思いやられるなぁ…。あっ…。」 ライカ「どうしました?」 アカネ「もし本当にあいつらが私達を攻撃する手段がくすぐりだったとしたら、今頃ミツキもくすぐられてるって事…?」 ライカ「可能性は十分にあります。もっとも、ミツキが囚われているという前提の話しならですが…。しかし、そうだったとしたら急いで救出しなければ…!」 アカネ「あっ、そっちの話しか。まあ確かに急がないとね。」 ライカ「…?他に何の話しがあるんですか?」 アカネ「ミツキがくすぐられてるんでしょ?ミツキの微笑んでる所ぐらいは見た事あるけどさ、ライカ以上に大声で笑ってる姿って何か想像出来なくてさ。何よりクールでカッコイイってイメージが強いし!」 ライカ「確かにミツキがくすぐられて笑うなんて姿、想像出来ませんね…。」 アカネ「ちょっと見たくない??」 ライカ「不謹慎です。……さぁ、そろそろミツキを探しに行きましょう。」 アカネ「見たいでしょぉ??」 ライカ「……………確かに…。」 しばらくこれからの事を話し合いながら身体を休めた2人は、ミツキを探すために動き始めた。ライカがエアサーチを発動し、ミツキの魔力を探し始めると、それは思いの外早くその魔力を感知した。 ライカ「ミツキの魔力を見つけました。これでとりあえず、生きているのは間違い無いようですが…。」 アカネ「ですが?」 ライカ「やはりキュバスとジエルの魔力も同じ場所に感じます…。」 アカネ「やっぱり、捕まってるんだ…!場所はどこ!?」 ライカ「この先の洞窟ですね。私達が丁度向かっていた所です。」 アカネ「あれ?でもあいつら、テイクル王国の方に逃げてったよねぇ??」 ライカ「移動魔法を使えるのかも知れません。洞窟はここからそう時間は掛かりませんが、あんな一瞬で辿り着けるような所でもありませんし、何より洞窟とは真逆の王国方面へ逃げて行ったのは事実ですからね。」 アカネ「まあ、ここから近いんなら、一応不幸中の幸いって訳か…。」 ライカ「はい。とりあえず急いで洞窟へ向かいましょう。ミツキが心配です。」 アカネ「くすぐられてる所も見たいしねぇ?」 ライカ「…………ミツキを助けに行きましょう…!!」 アカネ(誤魔化したな…。) 「もちろん!無事でいてね、ミツキ…!」 2人はミツキを救出する為、無事を祈りつつほんの少しミツキの笑う姿を楽しみに、草原の先にある洞窟へ急いで向かっていった。