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ティックリー・アドベンチャー 1-3

キュバス「ミツキさん、まずはどこをこちょこちょして欲しい?」 ミツキ「どこでも構わん。好きにしろ。」 キュバス「だ、そうよ?」 ジエル「じゃあまずは~。」  最初にくすぐる場所を決めたジエルがバインドリングに魔力を込めると、突然ミツキの右足首を拘束するバインドリングが移動を始めた。 ミツキ「なっ、何だ…?」  バインドリングの移動に伴いミツキの右足も一緒に動かされ膝を曲げさせられた。それによってミツキの背後に立つジエルに足の裏を見せつけるような体勢となり、ミツキは片足立ちの状態で右足を後に持ち上げられる様な状態となった。 キュバス「バインドリングが支えてるからアンバランスな状態でも辛くないでしょ?さぁジエル、始めるわよ❤」 ジエル「りょ~っかい!!」  キュバスとジエルはそれぞれティックリーフェザーと呼ばれる羽根を1本ずつ持ち、キュバスは正面からミツキの右膝を、ジエルは背後から自身に向けられたミツキの足の裏を、羽根でサワサワとくすぐり始めた。 ミツキ「ん………。」  くすぐったさを感じた訳では無かったが、柔らかい羽毛がびっしりと生えた2本の羽根がそれぞれ別の場所を刺激し、僅かに感じたむず痒さの様な感覚に思わず声が漏れてしまったミツキ。しかし、その刺激を覚えてしまえばただ触られている感覚しか無く、ミツキはすぐに声を抑え込む事が出来た。 ミツキ「くすぐりとは、この程度か?…やはり所詮は子供のじゃれ合いに過ぎんな。」 ジエル「確かに、あんまりくすぐったく感じてないみたいだねぇ?」 キュバス「もうしばらく続けるわよ。どうせすぐに結果が出る物じゃないし、ミツキさんに“くすぐったい”と思わせるには長期戦をするしかないわ。一応くすぐりに強いって言うのは本当らしいし。」 ジエル「も~!これじゃあアカネちゃん達が来ちゃうよ~!!あんまり時間が無いって言うのにぃ!!」 キュバス「時間が無いのは確かだけど、だからこそ時間稼ぎを用意したんじゃない。」 ミツキ(時間稼ぎと言うのはトラップか何かを仕掛けたのか…。何にせよ今の発言からあいつらが無事なのは分かった。つまり私が今ここで焦ってリングを破壊せずとも、2人の助けを待っていれば良いと言う事か。それにしても、こいつら…さっきから何を言っているんだ?まるで時間さえ掛ければ私が笑い出すかのような言い分だが…。)  数秒の間ミツキは同じ場所を羽根でくすぐられ続けたが、くすぐりが効かないミツキでも“長時間同じ場所をくすぐられていれば刺激に慣れてくる”事に気が付いた。にも関わらず、「すぐに結果が出る物じゃない」「長期戦」「時間稼ぎ」などと、自らを笑わせようとする者の会話は矛盾が生じていた。  そんな事を考えながらミツキは2人に無言でくすぐられ続けていたが、しばらくしてようやくキュバスが口を開いた。 キュバス「くすぐりを開始してから10分。足の裏を含めて、脚全体はくすぐりが効が効かないのは間違い無いわね。」 ジエル「そろそろやめる?」 キュバス「そうね。ここまでやって何の反応も無いならこれ以上は時間の無駄ね。」 ジエル「じゃあ右足は元に戻すね~!」 ミツキ「フン…。くすぐり拷問とやらはこんなものか。やはり大したことは無かったな。」  2人が脚のくすぐりを終え、ミツキの右足は最初の位置に戻された。  その脚をくすぐっていた10分もの間、足の裏や膝以外の脚全体を羽根で撫でられたがミツキは声を出す事はもちろん無く、くすぐったいと感じる事すらなく、寧ろすぐにその刺激に慣れてむず痒さも感じなかった。それはまさに不毛な時間で、ただ立って羽根で触られるだけという無駄な行動に付き合わされ、ミツキは機嫌を悪くしていた。 ミツキ「おい、こんなに長い時間同じ場所をくすぐる意味があるのか?さっきから私はくすぐりなど効かないと言ってるだろ。こんな無駄な事は止めて、さっさと解放しろ。」 キュバス「だから脚全体は効かないって分かったわよ?次はお腹周りね❤」 ミツキ「実際にくすぐってみないと信用できないのは分かる。だからこそ好きにくすぐれと言った。しかし、10分もくすぐり続ける必要がどこにあるんだ言ってるんだ。」 キュバス「それがこっちの判断基準よ?くすぐらないにしても、どうせあなたは囚われの身じゃない。その間私達が何をしようが、あなたはどうする事も出来ないのよ?ならそこで大人しくしていなさい?」 ミツキ「ちっ…!」 (どうせならくすぐりに弱い方が暇にならなくて良かったな。いつまでこんな不毛な時間を過ごさなくてはいけないんだ。)  こんなに暇ならくすぐったいという刺激を感じた方がマシだったと思いつつ、結局無駄な時間を過ごさなくてはいけなくなったミツキは不機嫌なまま立ちつくし、2人はミツキの腹部をくすぐる準備に取り掛かる。ジエルは自分の持っていた羽根をキュバスに渡すと、背後からミツキの服を両手で捲り上げた。そして2本の羽根を持ったキュバスが正面からミツキのお腹をくすぐり始めた。 ミツキ「ふぅ…………。」 (どうせ服を捲るなら、始めから脱がせておけば良いじゃないか。……全く、こいつらは本当に何がしたいんだか……。)  最初の刺激を少し恐れつつくすぐりを受けたが、やはりくすぐったいという感覚にはならず、ミツキは身体の力を抜き息をそっと吐いた。また不毛な10分が始まるのかという憂鬱さから出た物であり、ミツキは目を閉じてその時間を過ごしながら心の中で悪態をついていた。 ミツキ(そもそも、何で笑い声がエネルギーなんだ?とても世界征服を企む魔女の欲するエネルギーとは思えんな。) キュバス「お腹もあんまり反応は無いわね。おへそとかどうかしら❤」  しばらくお腹をくすぐり続けていたキュバスは、脚同様反応が見られない為、縦長の可愛らしいへそに羽根を入れくすぐり始めた。 ミツキ「んっ…!……おい、変な所をくすぐるな。」  想像もしていなかった箇所をくすぐられ、ミツキはその動揺のあまり声を出してしまい、くすぐりを静止させようとした。 ジエル「おっ!もしかしてくすぐったいんじゃない??」 キュバス「可能性はあるわね!しばらくここをくすぐり続けてみましょうか❤」  実際にはくすぐったさを感じた訳では無いが、手ごたえを感じたキュバスはそこを重点的に責め始めた。 ミツキ「はぁ…………。」 (だからくすぐったくないと言っているだろ…。頼むからくすぐる時間を長引かせるなよ?) ジエル「じゃあ私は腰の辺りを同時に責めるよ!!」 キュバス「えぇ、お願い。」  服を捲り上げなくてもくすぐる事が出来るへそをキュバスが責める事で、ジエルもくすぐる側に参加した。丈の短い服からはへそと脇腹の下辺り、腰の部分も露出している為、キュバスに渡した1本の羽根を再び受け取り、右腰をくすぐり始める。 ミツキ(やっと同時に責めてくれたか。これなら腹部のくすぐりも早く終わるかも知れんな。)  そして、腹部周辺をくすぐられてからまた10分近く経った頃だった。使い魔達は気付かなかったが、初めてミツキ自身だけが気付ける小さな異変が起きたのだ。 ミツキ(そろそろ10分が経つのか?おかしいな。脚をくすぐられていた時はすぐに刺激に慣れて、変なむず痒さすら感じなくなったのだが、今回は慣れるのが遅い…?というより、最初のむず痒さのままだ。)  くすぐられて数分と経たずに刺激に慣れた脚と違い、腹部は刺激に慣れる事は無かったのだ。もちろん、むず痒いというのも触られている事の僅かな煩わしさの様な程度のもので、苦痛や嫌気がするようなレベルでは無いが、10分も同じ刺激を同じ場所に受けていたにも関わらず、全く変わらない感覚に違和感を覚えたのだ。 キュバス「やっぱりここも変化は無いわね…。ミツキさんの弱点はどこかしら?」 ミツキ(こいつらは気付いていないのか。ここが弱点なのかと少し思ったが、こいつらが気付かないレベルなら、やはりくすぐりなんてたかが知れてるな。) 「だから弱点など無いと言っただろ。」 ジエル「どうしようキュバスちゃん…。」 キュバス「まだ腋周辺をくすぐってないんだから、焦るのは早いわよ。それにもし腋もダメなら、その時はもう一度足の裏からティックリーフェザーで“感度”が上がるまでくすぐり続けるだけよ。そこまで時間が残されているかだけど…。」 ミツキ(感度を、上げる…?) ジエル「そうだねぇ…。でも、今の内に弱点ぐらいは見つけておかないと、今後の戦いが不利になっちゃうよ…!」 キュバス「分かってるわよ。すぐに腋周辺のくすぐりを始めるわよ!」 ミツキ「まだくすぐるのか。」 (さっきの感度を上げるとかいう話、こいつらに聞いてみるか。) キュバス「もちろんよ。さあ、始めるわよジエル。」 ジエル「オッケー!」  その合図と共に、キュバスは正面からミツキの左の二の腕を、ジエルは背後から右の二の腕をそれぞれ羽根を使ってくすぐり始めた。 ミツキ「…………。」 (やはり刺激は先程と変わらんな。)  相変わらずの刺激の小ささに、ミツキは強気に振る舞いながら、“羽根の秘密”を探りに掛かった。 ミツキ「また長い時間くすぐるのか。くすぐったくもないのに、時間の無駄だと思うぞ?」 キュバス「あなたがどれ程くすぐりに強い人でも、私達はあなたをくすぐり続けるわ。そして必ず弱点を見つけて、笑わせてみせるわ❤」 ミツキ(聞くなら今がチャンスかも知れないな。仕掛けてみるか…。) 「そんなに長い時間くすぐる理由は何だ?そんな“ただの羽根”でくすぐった所で、私がくすぐったいと感じているかどうかなんて一瞬で分かると思うが?」 キュバス「あらぁ?もしかして、これが“ただの羽根”だと思ってるの?」 ミツキ(掛かった…!) 「違うのか?どう見てもただの羽根だと思うが?」 キュバス「これはジエルが生み出した“魔法の羽根”なのよ?当然それには“能力”が備わっているの。」  ミツキはわざと挑発するような発言をしキュバスのプライドを傷付ける事で、その秘密を探ろうとしたのだ。そして、見事にキュバスは自分が信頼するジエルの羽根を侮辱され、その能力を説明し始めた。 キュバス「ティックリーフェザー。その名前の意味、分かるかしら?」 ミツキ「まあ、くすぐる為の羽根という事ぐらいは分かるが?」 キュバス「もちろんくすぐる為の羽根よ?この羽根でくすぐられると、その部位がどんどん敏感になっていくの。つまり、この羽根でくすぐられればくすぐられる程、くすぐったがりになるって訳❤」 ミツキ(それが長時間くすぐり続ける理由か…!) 「だが、それでも私はくすぐったいと感じなかったぞ?」 ジエル「そりゃそうだよね~!簡単な算数だよ!0にどんな数字を掛けても答えは0でしょぉ?この羽根は足し算じゃなくて掛け算だからね!」 ミツキ「つまり、くすぐりに効かない0という感度であれば、いくらくすぐっても0のままでくすぐったいとは感じないと言う事だな。」 (それならやはり、どこをくすぐられてもくすぐったくない私には何の問題も無いな。) キュバス「そういう事。でも、逆に言えば…、自分でも気付かない程僅かな感度の違いでも、0じゃなければ必ず結果が出るわ。それの判断基準を私達は10分としてるの。」 ミツキ「……………。」  自分でも気付かない僅かな感度の違い。それを聞いた時、ミツキは自分の中に起きたある違和感を思い出していた。 ミツキ(もしかしたら、さっき腹部をくすぐられていた時に刺激に慣れなかったのは、感度が上がっていたからか?もしも刺激になれる速度と感度を上げる速度、その変化する倍率も一緒だとしたら…、全く刺激に慣れずに最初と同じ感覚を受け続ける事になる。という事は、私は脚と違い腹部に僅かなくすぐったさを感じる感度があった事になる。つまり…、私はどこをくすぐられても全くくすぐったいと感じない身体では無い…?)  それは先程の腹部の時に感じたものだった。ミツキの仮説が正しければ、辻褄も合うし違和感の謎が見事に証明される。そして、それが事実だったとすれば、ミツキが気が付いた通り、ミツキの身体にはほんの僅かに感度の違いがある事になるのだ。 キュバス「二の腕もダメね…。後は腋だけね。腋と脇の下辺りを往復させながらくすぐるわよ!」 ジエル「うんっ!絶対このどっちかが弱点の筈っ!!」  必ずどこかに弱点がある、それを信じ2人は人がよりくすぐったさを感じる代名詞の最後である腋をくすぐり始めた。 ミツキ「んっ………………!」 (な、何だ…?)  脇の下と腋の窪みをくすぐられた瞬間、ミツキは今までとは少し違うむず痒さを感じた。今までと違うと言っても、やはり払い除けたい程辛い刺激でも無ければ、笑い出すような刺激でも無い。 ミツキ(気のせい…?……じゃないな。明らかにさっきまでとは感覚が違うぞ…?)  そう実感した時、ミツキは自分にも僅かに感度の違いがある事を改めて思い出す。 ミツキ(腹部をくすぐられていた時に感じ続けていた刺激よりも明らかに強い刺激。それは腹部よりも腋周辺が僅かに敏感だから…?)  一瞬声を漏らす程に感じたむず痒さ。足の裏をくすぐられた時は初めて受ける刺激だった為に、その驚きもあったが今は違う。むず痒さのレベルも知っている以上、同じ感度であれば知っている刺激なのだ。にも関わらず声が漏れてしまった。それは確実に腹部よりも敏感だという事を意味するのだ。事実ミツキは腹部の時の様に、未だに最初に感じたむず痒さを感じ続けていた。そしてそれを改めて実感してしまった事で、唐突にミツキの身体に異変が起きてしまった。 ミツキ「んっ………!……………。」 (間違いない…!ほんの少しだが、最初より明らかにむず痒い…!)  腋の窪みと脇の下を不規則に往復する2本の羽根。それが偶然ミツキの腋の窪みに同時に触れ、そこをサワサワと撫でられた時その刺激はさらに増大した。それによって思わず身体を反応させてしまいそうになるが、それをキュバスとジエルに悟られないよう必死に堪えた。 ミツキ「んんっ…!?んっ…………………!」 (特に腋の窪みの方か…!脇の下と比べて刺激が格段に強くなってる!?同時に責められるとかなりキツイ…!!)  ミツキは、今までの中で腋周辺、特に腋の窪みが1番敏感だった事、自分自身にも感度の違いがあった事、羽根によって腹部の感度が変化していた事、それらを改めて実感してしまった事で、急に腋をくすぐられている事を強く意識してしまい、如実に感度に違いが出ている事を思い知ってしまったのだ。腋をくすぐられ始めてまだ3分と経っていない。それにミツキは焦りを感じるが、それと同時にある疑問を抱いた。 ミツキ「……このリングは、私に与える魔力も、抑制するの…、だろう?私に、羽根の効果が…、あるのか…?」  その疑問とは、バインドリングによる魔力抑制の効力だった。自分に与える魔力を抑制するならば、羽根が与える魔力も抑制される。にも関わらず自分に影響を与えている羽根に疑問を抱いたのだ。 キュバス「それは問題ないわ。バインドリングが抑制する魔力量のラインっていうのがあるの。」 ミツキ「……ライン?」 ジエル「例えばね?バインドリングが抑制する魔力を数字で現した時、それが5だったとしたらバインドリングは5以上の魔力を抑制するの。普通の人の下級技が10だとすれば、人が使う技は全部抑制する事になるんだけど、その原理をしってる私は、ティックリーフェザーを4っていう数字で作り出しているの!だから、ティックリーフェザーの魔力は抑制されずにミツキちゃんに魔力の影響を与える事ができるのっ!」 キュバス「その代わり、魔力が小さすぎる所為で与える影響も小さくなってしまうのと、時間が掛かってしまうっていう難点があるんだけどね?」 ミツキ「それが、10分という…区切りの理由か…。」  羽根の魔力が問題なく自分に影響を与えると、いらない情報を知ってしまうと共に、ミツキは自分の中である事実を確信してしまう。 ミツキ(まずい…!痒いのとは違う刺激…、楽しくも無いのに笑い出してしまいそうになる感覚…、間違いない!これがくすぐったいという感覚だ。腋が…くすぐったい!)  時間と共に強い刺激が生まれ、つい口角が上がってしまう感覚、ミツキは生まれて初めて“くすぐったい”という感覚を知った。そして、それはつまり自分の弱点が腋であるという事を証明してしまったのだ。 ミツキ(ダメだ…!くすぐったいという事を意識しては余計にくすぐったく感じてしまう。この刺激を奴らとの会話で誤魔化すんだ…!)  急に焦りや不安が大きくなってしまったミツキは、気を紛らわせる為に正面に立っているキュバスに話しかける事にした。 ミツキ「魔女が集める、…エネルギー。……何故それが、笑い声なんだ…?………、笑い声で、何故…くすぐるんだ…?」  自分が他の事を考える事でくすぐったさから意識を遠ざける為、キュバスから魔女の情報を探り始めた。 キュバス「主の呼び名であるティックラーはくすぐり師、つまりティックラーは女性を“その魔力”でくすぐる事で生まれる笑い声を糧として生きているわ。」 ミツキ「“その魔力”…とは、…どういう、意味だ…?」 キュバス「ティックラーの魔力によるくすぐりって意味よ?だから街中で子供達がいくらくすぐり合っていたってエネルギーにはならないわ。」 ミツキ(つまりこいつら使い魔を含めて、魔女の魔力と同じ系統の魔力を持つ者がくすぐる事で生み出される女性の笑い声をエネルギーといている。ならばその吸収手段は実際にくすぐっている者に蓄積され、それを主である魔女に持ち帰る事で魔女がそれを吸収すると言った所か。) 「何故…、私達を、狙うんだ…?」 キュバス「随分詮索するのね?まあ良いけど❤笑い声のエネルギーは能力の無い人間より、能力者の方が大きいわ。もっと言えば、ミツキさんのように大きな魔力を持っている人なら尚更得られるエネルギーが多いのよ。それに、どうせあなた達がティックラーを討つ為に向かって来るなら、妨害がてらエネルギーを頂こうって訳よ❤」 ミツキ(最初に言っていた“強いに越した事は無い”とはそういう事だったのか…。) 「そ、そもそも…、何故私達が…、魔女を狙っている事を…知っているんだ…?」 (くそっ…!くすぐったさを紛らわす事が出来ない…!当然なのかも知れないが、寧ろくすぐったさが増していく…!)  ミツキは必死にくすぐったさを出さないように平然と振る舞いながら質問を続けた。 キュバス「それは私達の知る所じゃないわ。あなた達レディナイツが自分を狙っているからエネルギーを奪いながら妨害しろって命令を受けたから来ているだけよ。」 ミツキ(今日依頼を受けて出発した私達の目的を知る手段を持っているという事か…?) 「ならば何故…、魔女が自らエネルギーを溜めに、来ない…?」 キュバス「ティックラーは魔力を溜めて世界征服するまで動く事が出来ないみたいなの。だからこうして私達使い魔を生み出したんじゃないかしら?」 ミツキ「う、動けない…?」 (世界征服をする為のエネルギー、魔力を吸収する代償か?それとも、ただ怪我か何かで動けないか…。もしくは…、自らの正体を隠す為…?) キュバス「その理由は分からないけどね。……そろそろ10分経つわね。」  効果があったかは別として、一応ミツキは10分と言う時間を耐えきり、使い魔から魔女の情報を聞き出すのに成功した。キュバスは時間を確認すると共にミツキをくすぐる手を止めて、羽根をミツキの左腋から離す。それを見てジエルも羽根を右腋から離し、ミツキはくすぐりから解放された。 ミツキ(危なかった…。だが、何とか耐えきったぞ…!これであいつらはもう一度足の裏からくすぐり始める。次に腋をくすぐられるまでにアカネとライカが来てくれれば…!) ジエル「ミツキちゃん…、ホントにくすぐり効かないの…!?」 ミツキ「フ…、だからそう言ってるだろ?どうする?また足の裏からくすぐってみるか?まあ、無駄だろうがな。」 ジエル「くぅ~!!どうしようキュバスちゃ~ん!!」 キュバス「ミツキちゃんの言う通り、足の裏をくすぐっても無駄よ。」  さっきまで強気にくすぐり続けていたキュバスが突然諦めに近いような発言をした事に疑問を抱いたが、ミツキはようやく優位に立てたという喜びが生まれ、より一層強気に振る舞った。 ミツキ「何だ?あれだけ私を笑わせると豪語していたのに、諦めたのか?ならさっさとこのリングを消して私を解放しろ。これ以上私達に関わらないと誓うなら、このまま見逃してやっても良いが、どうする?」 キュバス「……誰が、諦めるなんて言ったかしら?」 ジエル「キュバスちゃん?」 ミツキ「何を……?自分でくすぐっても無駄だと言っていたじゃないか。」 キュバス「えぇ、言ったわよ?……「“足の裏”をくすぐるのは無駄だ」ってね?」  ミツキはその言葉の意味がよく分からず、何も声を出せず唖然としていた。しかし、その意味はすぐに分かる事になる。 ジエル「キュバスちゃんっ!?それって…もしかして!!」 キュバス「腋――」 ミツキ「!?」  突然キュバスの口から発せられた「腋」という単語に、ミツキは思わずドキッと身体を僅かにビクつかせてしまった。急に自分の弱点の部位を言葉に出されては驚くのも無理はない。しかし、まだ弱点だと見抜かれた訳では無い。そう思い込み少しでもその動揺を見せないよう、ミツキは平静を装う事に努めた。 ミツキ「……腋が、どうした?あまりにも綺麗な腋で、見惚れてしまったか?」 (まさか…、気が付いたのか…!?) キュバス「ま、まあ…確かに綺麗な腋で見惚れたのは確かだけど…、そんな事じゃないわよ?腋をくすぐっていて、ジエルは何か感じた?」 ミツキ「…………。」 (この感じは…、まだ確実に気付いてはいない…、と言った所か…?)  そのキュバスの言葉で、ミツキは少しだけ緊張が解けたが、決して油断せずに今の状態で振る舞い続けた。 ジエル「えっ…?腋…?やっぱり効いてないのかなって感じたけど…。」 キュバス「…念のためもう一度腋をくすぐってみましょう?さっきミツキちゃんと話すのに夢中であんまり反応を見ていなかったの❤」  不敵な笑みを浮かべながら目を細め、ミツキを挑発するようなしゃべり方をするキュバス。それを見たミツキは自分の不安が確信に代わり、ドキドキと心臓が激しく鼓動する。 ミツキ(いや、こいつ…!確実に私の弱点に気が付いている…!?)  キュバスの行動は間違いなく挑発行為だった。ミツキは、キュバスに自分の弱点がバレてしまった事に気が付き、焦りと恐怖でいっぱいになっていたのだ。 ミツキ(一体何故気が付いた!?口角も上げないよう振る舞っていたし、笑い声も上げていない。我慢している表情も見せず、出来るだけ平静を装った。なのに何故…!?) ジエル「そっか~!まあまだどこが弱点か分からないし、どこを延長しても一緒だしね!」 ミツキ(ジエルは天然なのか、馬鹿なのか、気付いてはいないようだ。しかし、ジエルはキュバスに頼り切って従っている感じだ。となれば結局キュバスに気付かれてしまった時点で絶望的状況に代わりは無いか…!) キュバス「えぇ、だからもう一度ミツキさんの腋、特に窪みの部分を集中してくすぐりましょう?」 ジエル「わかった!」 キュバス「ミツキさんも…、別に構わないわよね?どうせくすぐり効かないんだし❤」 ミツキ(こいつ…、明らかに挑発している…!だが、ここで弱気になる訳にもいかない。それこそ拒否なんてすれば、相手のペースに引きずり込まれてしまう…!) 「あぁ。…別に構わん。……腋をくすぐりたいのなら、好きなだけくすぐれば良い…。」 キュバス「ホントぉ?じゃあ、た~っぷりと、重点的にぃ…、こちょこちょ~ってくすぐって…、あ・げ・る❤」 ミツキ「…フン、…それは楽しみだ。」  ミツキが強気な発言で返すと、キュバスは挑発的な目を向けたままそっとミツキの耳元で囁いた。 キュバス「いつまで…そう言ってられるかしら…ね❤」 ミツキ「くっ…!」  その行動で、キュバスが確実に自分の弱点に気が付いていると確信したミツキ。強がるつもりが自分の首を絞める形となってしまったが、もう後の祭り。くすぐられる度に敏感になる羽根によって弱点をくすぐられ続ける状況を我慢しなければならないという、勝ち目のない勝負をミツキは引き受けてしまったのだ。だがしかし、ミツキのその強がりと勝負へのこだわり、プライドの高さが原因で地獄を見る事になるとは、この時のミツキは気付いていなかった。


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