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こーじ
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ティックリー・アドベンチャー 1-1

 この世界には今、とある危機が訪れていた。数週間前から、クスグの森と呼ばれる樹海の奥地に建てられていた古城に住み着いた魔女が、世界征服を企んでいるというものだ。それを阻止するべく、テイクル王国というこの世界の中心とも言える王国都市の王女、コチヨ王女はこの世界で最も名高い騎士団“レディナイツ”に魔女の討伐と世界征服阻止の依頼を出した。 ミツキ「古城の魔女の討伐…ですか。」  彼女はミツキ。レディナイツのリーダーで水と氷の属性を操ることができる槍使いだ。その属性に似合うクールさに加え、何者にも恐れない気の強い性格だ。そして仲間や国の人々を最優先にできる正義感の強い女性でもある。レディナイツはわずか女性3人というパーティーでありながら、数々の高難度依頼も完璧にこなしてきた優秀な騎士団のリーダーというだけあり、この世界でミツキの名を知らない者などいないという。 コチヨ王女「はい。残念ながらこの王国の騎士団を持ってしても魔女の討伐は愚か、そこへ辿り着く事さえ出来なかった騎士団もおります。この国ではもう戦える者がいないのです。どうか、あなた方レディナイツにこの世界の危機を救って頂きたいのです。」 ライカ「王国の騎士団でも太刀打ち出来なかったんですね…。」  彼女はライカ。レディナイツの魔術師で、風と雷の属性を操ることができる。しっかり者で頭も良く、仲間を思いやれる優しい性格の持ち主だ。 コチヨ王女「えぇ、どうやら魔女は“特殊なエネルギー”を使って魔力を増幅させているようなのです。その力の強大さに我々の騎士団も倒れていきました。」 アカネ「特殊なエネルギーって?」  彼女の名はアカネ。接近戦を得意とするレディナイツの格闘家で炎と大地の属性を操る。そのバトルスタイルはアカネの性格そのもので、腕っぷしが自慢なボーイッシュで活発な性格だ。 コチヨ王女「そのエネルギーの正体まではわかりませんが、魔女の“欲望”がエネルギー源のようで、そのエネルギーを集める事で自らの力を蓄えて世界を征服しようと企んでいるのだと思われます。そして今もエネルギーを集め魔力を増大させ続けてると聞きます。」 ミツキ「成る程…。もちろん依頼されれば引き受けますが、この国の騎士団全員が敗北したと言うのですか?我々も力には自信がありますが、この国の騎士団であれば更なる高みにいる者達もいると思うのですが…。」 コチヨ王女「それがですね、魔女はどうやら“女性にしか”姿を現さないようで、ここから遥々クスグの森にある古城まで向かった男性の騎士団員の方々は、その姿を捉える事が出来なかったと…。」 ライカ「女性しか襲わない…、という事でしょうか…?」 コチヨ王女「はい。いくらテイクル王国と言えど、女性騎士団員はそう多くありませんし、その殆どが未だ帰ってきておりません…。」 アカネ「そのエネルギーがどうとかって話は、その帰って来れた女性騎士団の話しなんですか?」 コチヨ王女「その通りです。チームメイトも囚われ、僅かな情報だけを持ち返って来たと言う訳なのです。」 ミツキ「囚われた女性達の安否が気になるが、魔女がまだエネルギーを集め続けているという事は、まだ世界征服は行われていないという事だ。となれば、まだ最悪の事態は防げる…。しかし逆に言えば一刻を争うという訳か…。コチヨ王女、早速出発し古城の魔女を討伐致してみせます。」 コチヨ王女「よろしくお願いします。必ずや魔女の企みを阻止してください。」  ミツキ達は出発の準備を整え王国を後にし、魔女の住む古城への旅に出た。テイクル王国から古城に行くには、多くの難所を乗り越えなければならないため長旅となる。遠征用の支度をして出発したミツキ達はテイクル王国のすぐ先にあるテイクル草原に来ていた。 ミツキ「まずはこの草原を抜けて、テイクル洞窟か。」 アカネ「こんな一面草原の先に洞窟があるの?」 ミツキ「しばらく進むと岩山がある。そしてその岩山に空いた大きな穴が入り口となっている地下洞窟を進むことが出来る。」 アカネ「じゃあ、その洞窟を通って岩山の反対側に出るって事?」 ミツキ「あぁ。だが、その岩山の洞窟は大昔ロックワームと呼ばれる巨大魔物の巣だった。そしてそのロックワームが作り上げる巣は、中が迷路のように道が何本も枝分かれしていると聞く。」 ライカ「つまり迷宮洞窟ですね。」 アカネ「うげぇ、それじゃあ下手したらそこで日が暮れちゃったりするの?」 ミツキ「それどころか、二度と出れなくなる可能性もある。」 アカネ「そんな道を通るしか無いの!?岩山を登っていけないの?」 ライカ「高い崖になっているので、登るのは不可能ですね。」 アカネ「そっかー…。」  草原を歩きながらこれからの話しをしていると、ライカが突然足を止めた。それに気付いたミツキも足を止めた。 ライカ「…………?」 アカネ「ん?ライカ?」 ミツキ「……何だ?どうかしたのか?」 ライカ「…………!?何か、魔力が近づいて来ます…!」  ライカの発言の直後、遠くから光り輝く1つのリングが浮遊しながら、猛スピードで3人目掛けて向かって来たのだ。まるで機械の様に的確に自分達に向かってくるリングを対処するべく、ミツキは自分の身長程ある長い槍を構えた。 ミツキ「はぁっ!!」  そしてミツキは自身の持つ槍を縦に振り、いち早くその奇襲攻撃を払い除けた。そしてそれと同時に、ライカとアカネも戦闘体勢に入り身構えた。 アカネ「なっ、何なの今の!?」 ライカ「かなり大きな魔力を感じましたが…。」 アカネ「精霊か魔物…?」 ミツキ「可能性はあるな。だが、王国のすぐ近くにこんな魔力を持つ精霊や魔物がいるとは考えにくい…。」 (まさか…、早速古城の魔女が襲って来たか…?) ライカ「………また来ます!」  先程と同じ光り輝くリングが、今度は四方八方から数多く飛んで来る。3人はそれぞれ自分目掛けて飛んでくるリングを落としに掛かる。 ミツキ「はぁっ、はっ…!はぁあ…!!」  ミツキは槍を振り回し、近づくリングを一掃していく。 ライカ「トルネード…!」  ライカは自身の周りを竜巻の魔法で覆い、リングを飲み込むとそのまま竜巻の力で吹き飛ばしていった。 アカネ「うぉぉぉぉおおおおお!!」  アカネは炎を纏わせた拳で1つずつ殴り掛かりリングを破壊していく。その3人の攻撃により、無数にあったリングは全て無力と化したのだ。 アカネ「ふん!!何だか知らないけど、大した事無いね!」 ???「あれを全部壊すなんて、さっすがレディナイツだねー!!」 ミツキ「…!?誰だ…!?」  突如聞こえてきた声に、3人は辺りを見回し声の主を探した。 ???「こっこだよここー!」 ライカ「あっ…!ミツキ、あそこです!」 ミツキ「なっ…!?」 アカネ「ちょっと…!何なの、こいつ!?」  ライカは声の主の魔力をいち早く感知し、その場所を指差した。そしてその姿を見た3人は驚愕していた。ライカが指をさした場所、それは自分達の真上だったのだ。そしてその声の主は、背中から生えた白く大きな翼を使って空を飛んでいたのだ。上下共に露出度の高い白い服に白い翼。そして頭上に浮く黄色い光のリング。その者はまるで天使のような姿をしていたのだ。 アカネ「何あいつ…!まるで…、天使みたい…。」 ???「“みたい”じゃなくて、ホントに天使なんだってばー!」 ミツキ「本当の天使、だと…!?人間でも、魔物でも、精霊でもない。この世界では幻の存在と呼ばれている種族ではないか…!」  この世界には獣人などの人間の姿をした魔物や、羽の生えた妖精の様な見た目の精霊は存在しているが、天使は天国に住む幻の種族とされている都市伝説の様な存在なのだ。それを目の当たりにし、普段クールなミツキもかなり動揺していた。 アカネ「ちょっと待ってよ!?それって伝説とか、おとぎ話じゃないの!?」 ミツキ「その筈なのだが…。」 ????「余所見している暇があるのかしらぁ?」 ミツキ「…何!?」 ????「ダークレイ!」 ライカ「………!?」 アカネ「なっ…!?」 ミツキ「くっ…!!」  頭上の天使に目を奪われていると、突如別の場所から聞こえてきた声の主の方を向くと、ドス黒い光線が一直線に3人に向かって発射された。ミツキは長い槍を上から振り下し、自らの魔力を放った。 ミツキ「アイスニードル!」  地面に振り下ろされた槍から放たれた魔力は氷を形成し、地面から先端が尖った氷柱が無数に出現した。そしてその氷柱が盾となりドス黒い光線を何とか相殺する事に成功した。 ????「まさか私の技まで瞬時に対処出来るなんてね。こっちも少しあなた達を過小評価していたみたいねぇ。」  ドス黒い光線を放った者。その者は先程の天使とは別の形状の、紫色の翼を生やしていた。その翼を使って遠くから空を飛んで、ミツキ達3人の前に現れたのだ。その者は黒い服に紫色の翼、さらに頭には2本の黒く禍々しい角と尻部から紫色の尻尾が生えていたのだ。つまり天使とは真逆の、悪魔の様な姿をしていたのだ。 ミツキ「天使の次は悪魔か…!」 ????「正確に言うと、サキュバスね❤」 ???「キュバスちゃ~ん!この人達、やっぱり強すぎるよ~!!」 キュバス「そうみたいねぇ。でもねジエル、私達はこの娘達と別に真っ向勝負をする訳じゃないわ。寧ろ強すぎるって言うのは“嬉しい誤算”とも言えるわ。」 ジエル「そっか!強いに越した事は無いんだもんね!!」  天使のジエル、サキュバスのキュバスと呼び合っていた2人は、わざとミツキ達に聞こえる様に意味深な会話を繰り広げていた。当然それを聞いていたミツキ達は彼女達を問い詰めるのだった。 ミツキ(強いに越した事は無い…?戦う相手が強い方が良い理由なんて何がある…?) 「貴様らは一体何者だ。一方的に攻撃を仕掛けてきておいて、真っ向勝負をする気が無いとは?嬉しい誤算とはどういう意味だ!」 キュバス「うっふふ❤やっぱり気になっちゃうわよねぇ?そんなに知りたければ――」  わざとらしく挑発するキュバスは言葉を途中で止め、「チャーム」と魔法を唱え指をパチンと鳴らし何かの合図をした。 キュバス「私達に勝つ事ね❤」  そして指を鳴らすと同時に、草原に広がる草々が蠢きだし、まるでそれぞれが動物のように独立して動き始めたのだ。 ミツキ「何だ…?一体何が…!?」 アカネ「周りの草が動いて…!?」 ライカ「草原が、魔力で操られています…!」 キュバス「私達を倒したいなら、まずはその草を倒した上で私達を追って来る事ね❤」 ジエル「じゃあそーゆー事で、ばいば~い!!」  ジエルとキュバスは天高く舞い上がると、そのまま空を飛びながら遠くへ移動する。そして独りでに動き出した草々は自身の身体と言うのであろうか、その草を伸ばしそれぞれが3人に襲いかかって来たのだ。 アカネ「くっそー!何だか分かんないけど、所詮は“草”でしょぉ!!はぁぁあああああああああ!!」  無数に寄ってくる草々に対し、アカネは拳に魔力を込めて応戦する。魔力の込められた拳を正面に勢いよく突出し、そのまま魔力を一気に解放する。 アカネ「フレイムウェイブ…!!」  拳から突き出された炎は一瞬にして広がり、アカネの正面側で動く草々を一気に焼き払った。 ライカ「サンダークラッシュ!」  ライカは右手に持った杖を正面にかざし魔法を発動する。すると、杖の先端に取り付けられた煌びやかに輝く球体が激しく発光し、電撃が発生した。その電撃は蜘蛛の巣の様に放射状に広がると、その広範囲にいた草々を次々と貫いていく。その光景を見たミツキは安心した表情を浮かべた後、何かを決意するかの様にキリッと目付きを変えた。 ミツキ「よし…。2人共、ここは任せたぞ。」 アカネ「ミツキ?まさかっ、1人であいつらを追う気!?」 ミツキ「奴ら、テイクル王国の方向へ飛んで行った。王国の騎士達が魔女によって負傷しているのなら、今の王国に奴らを退ける力は無いだろう。急いで向かわなければ王国の民が危ない…!」 ライカ「ですが、ミツキ1人でも流石に…。」  ミツキは危険を承知で1人で天使とサキュバスを追うと言い張る。2人はミツキを心配し静止を促すが、そうこうしている間にも、次々と草々は襲い掛かってくる。2人もそれを相手にするのが精一杯なのも事実だった。 ミツキ「もちろん私1人であの未知の敵と戦えるか分からない。しかし、だからと言って、ここにお前達のどちらか1人だけ残す訳にもいかない。」 アカネ「確かにこのままじゃ、誰かが1人になっちゃうけど…!」 ライカ「……わかりました。ミツキ、あの2人をお願いします。」  ミツキの堅い意志に、ライカはミツキを信じる道を選びエールを送った。 アカネ「ライカまで…!もぉ…、分かったよ!ミツキ、テイクル王国をお願い…!」  ライカの決断に負けたアカネも、この場に残りミツキを行かせる事を決意した。 ミツキ「あぁ…!そっちも決して油断はするなよ…!」 アカネ「もちろん!私らもこっち片付けてすぐ行くからね…!!」 ライカ「頼みましたよ、ミツキ…!」  ミツキは2人の身を案じながらも、アカネの言葉を信じ敵を追う為に走り出した。  草原を走りながら寄ってくる草々を斬り付け、敵を追い続けるミツキ。そしてそのまましばらく進み続け、敵の2人を遠くに捉えられる距離まで追いついていた。 ミツキ「この辺りの草はもう奴の能力を受けていない様だな。キュバスとやらは植物を操る能力があるのだろうか。」  敵を追い続けながらキュバスの能力を分析するミツキ。不明な点は多いものの、草々はキュバスの能力によって動いていたと言うのは間違いない。そう考え、ミツキは走りながら戦闘方法をイメージしていたのだ。 ミツキ「ジエルの光のリングはおそらく拘束能力だろう。となれば先に討つのは天使の方、ジエルだな。」  敵の飛ぶスピードが遅いのか、徐々に距離を詰めていたミツキは、槍に魔力を込めて攻撃準備に入った。 ミツキ「アイスニードル!」  先程キュバスの光線を止めた技、アイスニードル。今度は槍を勢いよく横に振る事で、尖った氷の針を矢の様に上空目掛けて撃ち放った。そして放たれた氷の矢は、猛スピードで敵との距離を詰めていき、見事にジエルを背後から攻撃する事に成功した。 ジエル「きゃぁぁぁぁあああああ!!」  ジエルの羽に刺さった氷の矢はそのまま貫通しさらに先まで飛んで行った。そして羽に穴を空けられたジエルは悲鳴を上げると共に地上へ落下していったのだ。 キュバス「嘘…!?あんな距離から狙えるのぉ!?」 ジエル「うあぁああああ!!」  上空から落下したジエルは地面に叩きつけられる形となり、その場で仰向けに倒れ動けずにいた。そして、その場に到着したミツキはジエルの胸元に槍を向ける。 ミツキ「さあ、追い詰めたぞ。」 ジエル「うぐぅ~!!」 キュバス「さ、流石はレディナイツのリーダーね…!でも、私達の計算に狂いは無かったようね❤」 ミツキ「何…!?」 ジエル「バインドリング…!」 ミツキ「くっ…!」  追い詰められていた筈のジエルが突如魔法を発動すると、ジエルを中心に魔法陣が展開された。そしてその魔法陣は、ジエルのすぐそばにいたミツキの足元にも展開されていた。それに気付いたミツキは慌てて魔法陣の外に出ようとするが、魔法陣から現れた光のリングによってそれぞれの足首にはめられた。そのリングは最初にミツキが迎撃したもの同じリングで、捕えられた両足は肩幅に広げられたまま動かす事が出来なかった。このリングは、言わば拘束用のリングだったのだ。 ミツキ「しまった…!」  それに怯み僅かに隙を見せてしまうミツキ。ジエルはその瞬間を見逃さず、別のリングでミツキの両腕も拘束してしまった。 ジエル「捕まえたよ~!」 ミツキ「くそっ…!」 (思ったより拘束能力が高い…!魔力を爆発させるように解放すれば解けそうだが、残った魔力でこいつらを相手にするのは分が悪いか…!) キュバス「作戦通りね。早速例の場所に連れて行くわよぉ❤」 ジエル「おっけ~!フラッシュワープ…!」  再び魔法を発動するジエル。発動された眩い光が、今度はジエルと拘束されたミツキ、さらには近くを浮遊していたキュバスをも取り込んだ。 ミツキ「今度は何を…!?」  光りが自身を包み始めた直後、両手足を拘束していたリングが消滅し、身体が動かせるようになった。その隙をついて攻撃しようとした直後だった。 キュバス「ダークレイ!」 ミツキ「ぐあぁぁああ!!」  背後から至近距離でキュバスの攻撃を受けてしまい、ミツキはその場で怯んでしまった。 キュバス「大丈夫❤これはただの転移魔法よ。そしてこれからあなたには、た~っぷりと苦しんで貰うわ…❤」 ミツキ「くっ…、うぅ…!!」  キュバスの言葉を最後に、眩い光は輝きを増し光の中にいる3人は魔法の力によって別の場所へ転移してしまった。


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