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【怪異】が紡ぐ黎の軌跡〜無様アルバイターアニエス・クローデル〜

いつもご支援ありがとうございます。書くだけ書いていっつも続編に手を出せてないね、な上位行きシリーズ物です。今回は定期的に……書けるといいなぁ。正直危うく頓挫仕掛けたぜ!な一作なのでとても不安。

今考えている設定と組み合わせるかもしれないので、序盤の方の描写は後で弄るかもしれません。まあドリームか改変かの違いでしかないですけどね!



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 名門アラミスの学生寮であるはずのそこは、明らかに異質極まりないであった。


 人が住むことなど考えられているとは思えない大きいだけの一室と、そこに並ぶ夥しい数のモニタ。アラミス中の男子生徒が、そのモニタを瞬きすらしない血走った目で見つめ、若さ故に盛んで衰えを知らないペニスを一心不乱に扱き続けている。


 卒業生の将来は約束されていると名高い名門校の男子生徒たちが、雑な一室に押し込められて勉学を忘れ淫行に耽っていり光景を異質と言わずして何と言うのか。


 そして異常であるのがモニタに映る導力ネットサイト。サイト内には、夥しいと称したモニタの数を鼻で笑って一蹴できるほどのAV、つまりは女性のアダルト映像が掲載されている。若い彼らは女性と直に淫行するより、その動画の方が興奮できると知っているのだ。


 何しろそのAVは男の夢と欲望そのものだ。言うなれば、現実と夢境の区別が付かない精巧でリアリティのある映像。破滅的で無様な目に遭う少女たちが、次の動画では何事もなく異なる無様を演じる。それが十本、二十本、百本、千本。一体どれだけの時間を引き伸ばしたら生まれるのかという数のAVが導力サイト上に流れ、彼らの目に留まる。そして、終わりのないオナニーが始まった。


 同級生しか女を知らない彼らからすれば、ゼムリア大陸全土の雌が無様を晒す様が保存された映像は些か刺激が強すぎたようだ。しかし中でも背徳感を煽るのが、その同級生たちの痴態だ。この怪奇現象は、女であればアラミスの学生ですら例外なく映し出す。




 彼らの一番人気を争っているのは生徒会長のレン・ブライト。短期留学生のナーディア・レイン。


 そして外すことのできない学園トップクラスのスタイルと美貌を持つアニエス・クローデルだ。彼女たちは学園中の男子生徒が欲望を向ける。それらは【リクエスト】という制度によって、既に幾つも叶えられているが、若い欲望は際限というものを知らない。


 ただの又聞き、噂話、果てはこうであれば良いという願望まで。その制度は叶えてくれる。見たい彼女たちの姿を見せてくれる。


 今日も一人の男子生徒が【リクエスト】を提出する。彼はアニエスのとある噂を知っていた。曰く、探し物のために危険な人間に接触している、という話だ。無論だが、そんなものは部外者だからこそ言えること。傍目から見れば危険であろうと、実のところは文句のつけようがない最良の相手だった。無関係の人間が立ち入る隙はない。


 だが、噂とはそういうものだ。怪異とはそういう生き物だ。人の身勝手な先入観、妄想、欲望で容易く変質し、新生するもの。普遍的な男であれば魅力的な女に抱く妄執。それが噂(怪異)とリクエスト(AV)を産み落とす。




【もしアニエス・クローデルが、情報を得るために危険なアルバイトをしていたら】




 欲望がまた一つ生まれて叶う。確定した現在への道筋を〝ほんの少し〟歪めた世界へ、少女の意識は引きずり込まれた。









 共和国首都イーディス。六区・リバーサイド。中心部から少し外れたその場所は、繁華街というには少しばかり足りない静けさがある。


 その静けさに乗じてか、繁華街では到底運営できない店がチラホラと見受けられる。学生の情報網ですら容易に手を出せてしまうほど杜撰で脆弱な秘匿である。あるいは、そういう学生の無謀な若さを彼らは求めているのかもしれない。




「うん、この建物で間違いないみたい」




 そのうちの一人となってしまうであろう少女、アニエス・クローデルは裡に秘めた覚悟を以て門を叩いた。


 彼女は無謀としか言えず、けれど彼女にしかできないことを為すために現れた。ほんの少しだけズレた過去。世界。存在。裏のアルバイトと、曽祖父の遺産を探し出すこと。この二点に違いがないのなら、アニエスの覚悟は揺るぎない。何故なら彼女は最後まで諦めない心の強い少女だからだ。


 その未来が確定している以上は、この世界の未来も決まっている。もはや手を下すことも余計――――――軌跡(物語)は、アニエスが『』の扉をくぐり抜けたその時から、あらゆる男に見定められるものとなった。




『*店の名前とか。原作ではMONTMART(モンマルト)だった場面なので、あると雰囲気が出るかなとか』







「ふーん、ここで働きたい、ねぇ?」


「はい、是非お願いします」




 店主と思われる男の前で座ったアニエスは、緊張を孕みながらも確たる覚悟を秘めた蒼耀石(サファイア)の瞳で見つめ返す。




「その制服、アラミスの学生だろ。ここがどんな場所か知ってて言ってるのか? 冷やかしなら帰った方が身のためだぜ」


「冷やかしなんかじゃ、ないです――――――ここに来れば、どんな情報でも手に入れられると、聞きました」




 そのバーには、大陸中のありとあらゆる情報が内包されている。


 この店の噂は共和国ではそれなりに有名のようだ。本当に〝どんな情報でも手に入る〟とされているため、違法性があれど警察やCIDでもおいそれと手が出せず、中にはギルドの遊撃士すら懇意にしているという噂もあった。


 無論、どんな情報も、というのは耳にすれば命すら危ういものも含まれている。そのような場所に未成年で学生のアニエスが正規の手段で入ることは到底不可能だ。


 だから働きたい。アルバイトとしてならば、客から情報を自然に聞き出すことができる。曽祖父の遺した手記に記されていた遺産、それが《ゲネシス》と呼ばれる導力器であることまでは分かっているのだ。アニエスが知りたいのはその先、その行方、ある期間までにゲネシスを取り戻さなければ全てが終わる――――――祖母、母、そして自分と繋がってきたモノをここで終わらせたくはない。


 アニエスの強い意志が伝わったのか、店主は軽薄ながらも感心した様子で両手を上げて言葉を次いだ。




「……冷やかしじゃないことは分かった。が、ウチの情報はタダじゃ得られない。バイトだろうとそれは変わらない」


「何が必要なんでしょう?」




 ミラ(金)が必要だというのなら、それこそここで働いていくしかない。手持ちの五万ミラでは全ての情報を得ることは不可能だと、裏社会に無知なアニエスでも容易に想像できた。


 問いかけ返したアニエスに対して、店主は一転して目を丸くし、くつくつと愉しげな笑い声を上げた。




「いやはや、若さってのは恐ろしいな。何も知らずにここに来て働きたいなんて、そんな身体で言えるのが恐ろしくて叶わないぜ」




 鴨が葱を背負って来る、という遠方のことわざがある。今のアニエスはまさにそれだと、店主だけは気がついていた。


 どこかの貴族を彷彿とさせる艶やかな金色の髪。均整の取れた少女の美貌。学生服に包まれたスタイルはどこを取っても曲線美と呼べる減り張りがある。総じて、アニエスという少女は店からすれば喉から手が出るほど欲する逸材だ。


 しかし、身体が超一流というだけではできないことがある。アニエスの覚悟が本物でなければ、この店で働くことは難しいだろう。アルバイターであろうが、客との信頼関係が築けないのであれば採用する価値はない。


 アニエスを知る人間なら、彼女の誠実さがあればやっていけると安易に考えるだろうが、店主はそうではないし、仮に知っていたとしても安易な答えには走らなかった。


 特別な情報を知る顧客を満足させるためには、純朴な少女では駄目なのだと知っているからだ。




「あの……」


「押してやるよ。男はミラだ。そんで女は……こいつだ」




 困惑するアニエスに向かって手を伸ばした男は、目を引く緑色のブレザーの上からそれを鷲掴みにした。とどのつまり、アニエスの豊満な乳房を揉みしだいた。




「え……きゃあぁぁぁ!? な、何するんですか!」




 立ち上がり手を振り払う。若い少女が突如として乳房を揉まれた反応としては、標準的かつ正常なものであろう。




「不合格だ。君がもしここでバイトをしていたら、即刻クビだ」




 だがこの店で働く女の反応としては0点だった。如何なる美貌を持って極上のスタイルがあろうと、今の反応を顧客の指示ではなく自分からしたとなれば、アニエスを雇った店主は責任をもって彼女の処分を決定するだろう。




「情報というのは時に命よりも重い。この店を使う客はね、それを対価により良いものを求めているんだ。自分の命を切り売りする人間に、身体しか差し出せないメスが逆らうなんてことはあってはならない。若い君には分からない話かもしれないがな」


「それは……いえ、分かり、ます」




 店主の凶行に驚愕を露にしていたアニエスだったが、彼の言葉に沈黙を余儀なくされた。


 クローデルと母方の性を使っているアニエスは、彼の言う情報は命よりも重いという価値観を十分に理解している。いや、理解しているつもりだった。


 女の対価はその身体。古来からあり、今や時代錯誤の概念である男尊女卑の理屈をこの店では用いているのだ。理屈は分かるが、理解は到底し難い概念だった。


 しかし、ここで働く女になるということは、その理解し難いものを心から受け入れなければならない。確かに、所詮は一学生でしかないアニエスが払えるものは殆どない。もし本気でゲネシスの情報を、各方面が目を付けているトップクラスの希少情報をたかが学生の少女が手に入れたいというのであれば、議論の余地などあるはずがない。




「ウチのやり方が理解できたなら帰った方がいい。確かに君が働いてくれるならこれ以上ない話だが、たかだか胸を揉まれたくらいで初心な反応をされたら、顧客相手に商売はさせられないからな」




 常識では真っ先にセクハラ扱いされる胸を〝たかがその程度〟と暗に言ってのける男が切り盛りする店。アニエスの脳が危険だと信号を鳴らしている。ここで働くということは、ありとあらゆる尊厳を捨てることになる、と。


 少なくとも今のアニエスでは想像もできない対価を支払って、やっと一つの情報を得ることができる。アルバイターであろうと、一切の権利は保証されない。欲する情報があるならば、雌として雄に媚びることで手に入れろ。ここはそういう場所なのだと言っている。




「……分かりました」


「そうかい。出口はあっち」


「ここで、働かせてください」




 さしもの店主も、アニエスの返答には驚いた様子だ。胸を揉まれただけで酷く動揺した生娘が、ここで働きたいと確固たる意志を示しているのだから、それは驚きもするだろう。




「……おいおい、俺の話を聞いてたか?」


「聞いていました。その上で、私は私を対価として支払うことをお約束します――――――どうしても、手に入れたいものがあるんです」




 家族の絆。そして手記に書かれていた世界の破滅を示す一文。それを〝女として恥ずべきことだから〟などという理由で、目を逸らしたくはなかった。


 本当に情報が手に入るかも分からないのに身体を売る。一見して愚かしい選択に思えるかもしれないが、彼女は決して間違ってなどいない。


 全ての情報が手に入る。彼女は必ず《ゲネシス》を手に入れる。これは因果だ。定め。あるいは確定した未来。その先が決まっている以上、アニエスの選択が愚かと断じられる謂れはない。




「なるほどな。なら、仮採用してやる」


「ありがとうございま……っ。仮採用、ですか?」


「ああ、そうだ。まずは君が使えるかを確かめさせてもらうぜ」




 店で働く意味を持ち合わせるアニエスが、自身の価値で生まれるものを本気で理解できているか、まずは測ってやらねばならない。




「君の素質をちゃんと見せることができたなら、こっちから制式採用を打診する……この条件でどうだ?」


「……はい! 是非やらせてください!」




 その〝素質〟が果たしてアニエスにあるのかどうか。店の雰囲気に圧倒されないだけの〝価値〟を示せるのかどうか。  少女の軌跡が紡がれる。あるべき未来に辿り着く、ほんの少しズレた歴史の中で――――――淫靡で無様な対価を払う日々が幕を開けた。









 アニエスがスタッフルームから出た途端、ホール内の視線が一度に彼女を舐め回した。


 メインホールは飲食店、酒場(バー)になっている。それにしては騒々しいBGMは、やり取りを騒音で掻き消すことで、他者に盗み聞かれないためのものなのだろう。


 ここに来る者は何かを求めてやってくる。それはアルバイターも例外ではない。何かを求める女が働きに出るということは、客はその身体を吟味する権利があるということだ。




(これは……想像以上かも、しれない)




 ホールに出た瞬間から白磁の肌に突き刺さる熱の視線がアニエスの覚悟を確かめようとしてくる。誰も彼もが遠慮などない。配慮もない。あるのは雌の価値を確かめようとする欲望のみ。文明が築いてきた女の尊厳を守る法律は、ここでは一切通用しない。許容させることもない。


 ゴクリと息を飲んだアニエスは、コツコツとヒールを鳴らしながら歩き始めた。大概の生娘はここで脱落し逃げ帰る。この女は強い意志でホールに立っていると証明したことで、男たちの視線が吟味から執着へと変わった。




「見ない顔だな、新人かい? 可愛いバニーガールだ」


「は、はいっ。アニエス・クローデル、です。本日から、働かせていただいています」




 覚悟はあるが緊張もある。バーカウンターに座る男に声をかけられたアニエスは、上擦った声で丁寧なお辞儀を繰り出した。結果としてだが、八割は露になっている爆乳が『ぶるんっ♥』と揺れた。




「っ……し、失礼しました」




 白いうさ耳のカチューシャをつけた金の髪を揺らし、少女は恥ずかしげに顔を伏せる。見れば見るほど初心で、ここにいるのに適していない。しかし、そのバニーガールを染め上げるのは誰になるのかと競い合う価値を少女は示した。




 腰まで届く金色の髪を結ぶことなくストレートに下ろした普段と異なる様相に、エナメル革の白いバニースーツと白いタイツ、白いヒールと煌びやかな清純性を纏ったバニーガール姿のアニエスは、ホールを巡りながら不安を内包した吐息を零した。




(うぅ、胸が……見えてない、よね?)




 支給されたバニースーツの胸元は、着ているアニエスが一番不安を抱く切れ込みの深さだ。八割が露になっているというのは、谷間だけでなく上乳がほぼ丸々露になり、下手をすれば乳輪が見えかねない瀬戸際で爆乳を支える頼りにならないスーツの胸元を顕著にした数字だ。


 もっともバニースーツを象徴する股部も負けず劣らずの具合であり、切れ目が際どく攻めたハイレグ状で、白いタイツの濃さで誤魔化されてこそいるが鼠径部が殆ど見えてしまっている。デカ尻などもちろんくい込んでムチムチっぷりを雄の目へ如実に語っている始末だった。




 これほど際どいバニースーツでも、仮採用の点を十分に考慮したモノであるという。本採用でどのようなモノを着せられてしまうのか、今から戦々恐々してしまいそうだ。




(ううん。今はとにかく、採用してもらうことを考えないと)




 後に自分が着ることになるモノを今考えても仕方がない。もっとも、周囲を見渡せば答えは明白に映っている。彼女以外にも多くの女がホール内で働いている。


 彼女たちはアニエスが赤面し目を逸らしてしまうモノを着て、男の相手をしている。ある者はウェイター。ある者は注文の品を運び。またある者はソファーで客の話し相手になる。結局、どこを見渡しても男の相手をしていることに変わりはなかった。


 それを見て働いているな、などと呑気なことを言ってはいられない。アニエスは新人で、客は彼女を品定めしているのだ。そしてここにはアニエスが欲する情報を持つ人間が、必ずやってくる。




 アニエスはぎこちない笑みで愛想を振り撒きながら、その男を探した。何をされても文句は言えない。何を言われても笑顔で受け入れる。ホールにおける女の取り決めをしっかりと守る。


 たとえ男の言葉に嫌悪感を覚えようと、外ではセクハラに当たる言葉を幾つ投げかけられようと、表には出してはならない。相手は欲する情報を持っているかもしれない客なのだ、ということを常に頭で考える。




(そうじゃないと、逃げたくなる。この視線から……男の人って、どうしてこうなんだろう)




 アニエスは十六歳になる。育ちが良すぎる女の身体が異性からどういった目で見られているかは分かっているつもりだった。または、ここで改めて理解することになった、か。


 露出の激しいバニースーツを着ていると、その視線が尚更分かりやすくなる。まして、ここは情報さえあれば女に〝何を強いても良い〟場所だ。相手の求める情報を持っていなくても、そのおこぼれぐらいはと男なら誰もが考える。


 そんな見え透いた欲望の中から、アニエスは丹念に聞き込みを続けた。来客があれば率先して対応し、探し物があると問いかけた。




「ゲネシス、ねぇ……あぁ、こいつなら見たことがあるよ」


「……っ!? ほ、本当ですか!」




 そして接客を初めてから一時間ほどが経った頃、アニエスは求める情報を持っている客と巡り会うことができた。


 若い男はアニエスが提示したゲネシスの写真を見ると、見覚えがあると言う。思わず顔を上げて喜びを露にしたアニエスだったが、歓喜に揺れる胸を見下ろす視線にハッとなる。




「まあ待て。まずはゆっくり思い出させてくれるかな。あの辺が空いてそうだ」


(そうだ、情報を得るためには……)




 男はアニエスを連れて、テーブル付きの座席へと向かった。


 女を隣に侍らせて座る様はさながらキャバクラだ。もっとも、キャバクラと違って男は対価を求める側だ。アニエスは緊張で強張りじっとりと汗ばんだ身体を、ソッとソファーに下ろした。




「さぁて、どこで見たんだったかなぁ」




 彼は白々しくそう口にしながらアニエスの肩を抱き、胸元のエナメル革に指を差し込み、引き下げた。




 どっっったぷんっっっっ♥




「っっ!♥」




 つまりスーツが支えることを止めた爆乳の圧倒的な質量が、その場で解き放たれて宙を舞うように踊ったということだ。


 たぷんっと揺れる音が鼓膜を震わせる凄まじい重量。かいた汗が滴り落ちるまで数分を要する絶大な体積。アニエス・クローデルという少女を語る上で決して外すことのできない発育の現れ。


 新人バニーガールの生おっぱいがお披露目され、ホール内から再び熱量のある視線がアニエスへ向かって飛んだ。


 胸を露に、晒し者にされた。アニエスは一瞬だけ腰を浮かしかけて、ギリギリで踏み留まる。




(これが、対価ならっ♥)




 ここの客は交渉する方が稀だ。望むものを持っているという確信で行動する。アニエスは、己が求める情報にこれだけの価値が必要なのだと一方的に告げられ、それをひたすら受け入れる、あるいは求められたことを演じるだけだ。


 衆人環視の前で爆乳を曝け出す羞恥心と、男が生肌に手で触れてくる嫌悪感を押し殺した真っ赤な顔でアニエスは堪えた。


 それを見た男が揺れの収まらない乳房を鷲掴みにして、捏ねるように揉みしだいた。




「はぁっ♥ あぁんっ♥ ん、ふぅ……はァ♥」


(いや♥ この人の手……上手い♥)




 一部分を揉むだけで、全体の柔らかさを主張するように波を打つ。極上も極上の爆乳を肩を抱いた腕の先で堪能する男は、顎に指を置いて白々しい演技を重ねる。




「うぅ〜ん。どうだったかなぁ。何か切っ掛けがあったら、思い出せそうなんだけどなぁ〜」


「うっ♥ ふぅーっ♥ はぁー……っ♥ な、何があれば、思い出せそう、ですかっ♥」




 指先が『カリカリッ♥』と乳輪の周囲を爪で掻き、アニエスの脳髄を焦らすように痺れさせる。


 ニヤリと笑った若い男は、深刻な顔を真っ赤にした奇妙な表情のアニエスが発した問いかけに言葉を返す。




「そうだな……この大きなおっぱいのことをもっと詳しく教えてくれたら、思い出せるかもしれないなぁー」


「ッ♥」




 わざとホール内に響くように若い男は条件を声にした。聞き逃さないようにしろ、と忠告を出したのだ。


 こんな状況で言いたくはないが、言わなければ延々と乳房を弄られるだけで終わりそうだ。ここまできて、骨折り損で終わらせるわけにはいかない。




「…………108センチの、Lカップ、ですッ♥」




 とても十代の学生とは思えないサイズが美少女の口からホールに響いて、喝采のような声も上がった。


 Lカップもあるなら、若い男の手で掴みきれないのも納得というものだろう。驚嘆の顔付きで彼はLカップのデカチチを揉んで摘んで撫で回す。




「へぇ、凄いねぇ。そりゃあ乳輪もデカいし乳首も太いわ。十六歳だっけ? 将来有望だねぇこりゃ」


「ンふッ♥ んッ、はぁ♥ あ、あの、これで、思い出してくれ、ましたかっ?♥」


「んー、まあね。ゲネシスだっけ? こいつは確か――――――」




 古物商が取り扱う商品だったが、どこからか依頼を受けた半グレ集団によって強奪された。その後、半グレと何者かの取り引き中にいざこざが起きた。


 彼の言葉はゲネシスの行方を詳細に語っていた。知っていなければ語れない言葉の数々に、アニエスは本物であると確信した。




「そ、それで、ゲネシスは今どこに?」




 アニエスが興奮した様子で問いかける。自分が生乳を曝け出してそれを揉みしだかれているのも忘れるほどの興奮だ。


 しかし、それほど重要なものなのだと態度で示してしまった以上、彼女の対価はバストサイズを自ら告白した程度では済まなかった。




「慌てるなって。今思い出してるところだ」


「え……んッぎ♥♥」




 アニエスが目を剥き、全身の筋肉を硬直させる。脳天が摘まれたような感覚に爪先が反り返る。否、摘まれたのは乳首だ。私はここが弱いですと公然と周知するデカ太勃起乳首を摘まれたアニエスは、男が〝思い出す〟までその弱点を懇切丁寧に刺激される。




「さてさて、どこへ持っていかれたっけなぁ。ちょっと難しい場所だったから、思い出すのに時間がかかっちまいそうだ」


「ほォっ♥ そん……な……っ♥ あっあっ♥ あんっ♥ はぁんっ♥♥」




 乳首を弄られる度に可憐な声に甘さが増す。アニエスはその表情を見られてしまわないよう顔を伏せ、唇を噛み締めて喘ぎ声を抑えようとするが、男とは経験値が違いすぎる。


 育ちのよすぎる敏感な胸の一番弱い場所を手馴れた指が弄る。結果など透けて見えている。


 男は演技を止めて両手を使い、アニエスの乳首を両方同時に指で挟んで抓り上げた。100センチ超えの乳房が、乳首に全てを負荷を預けながら引っ張り上げられる。




「ん゛お゛ォ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥」




 伸びる爆乳に首が仰け反り、晒された蕩け顔から野太いケダモノのイキ声をアニエスは轟かせた。両脚は『カパァ♥』とみっともなく開き、白いタイツにジワジワと染み込みが滲み出す。


 長々と伸びる爆乳のデカ乳首がビクビクと痙攣し、絶頂を表している。男の指はその先端を『カリカリッ♥』と引っ掻いた。




「ま゛っ、オ゛ッホ♥♥ んホォオオオン゛ッ♥♥♥♥」




 さらに指の平たい部分で撫で上げてトドメを刺す。摘まれ抓られ引っ掻かれ撫でられた乳首は、アニエスの想像を絶する深イキを味わわせる。エナメルの生地裏からブシュブシュと水飛沫が飛び散る。


 腰が浮き、両手の五指がワキワキと行き場をなくして卑猥に蠢き、開かれた唇から言葉にならない声が溢れ出る。




「ほォおーーーーー♥♥♥♥ ほォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ♥♥♥♥♥ イぅう゛う゛ぅぅぅうう゛ぅう゛うぅううっっ!!♥♥♥♥♥」




 乳首を余すことなく徹底的に刺激されたアニエス。新人は比類なき雑魚おっぱいですと知らしめる無様なオホ声を響き渡らせた。








「――――そういうわけで、そのゲネシスってやつは持ち逃げした情報屋の隠れ家に置いてあるだが……聞いてる?」


「あ♥ へぁ……ぉ、ぉ……ぅオ♥♥ お……っっ♥♥♥」




 およそ二時間ほど対価を支払い続けたアニエスは、ソファーに身を預け、乳首が真っ赤に充血した爆乳を出しっぱなしで白目を剥きかけたアヘ顔を晒していた。


 欲しいものは手に入れた。その代わりにアニエスは、有望な才覚を客に見せつけてしまった――――――彼女は戻れぬ軌跡を選択してしまったのだ。






【序章 デカチチ美少女の対価(イキ顔)】








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