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【怪異】の軌跡・スレイヴドリーム〜ナーディア・レインの羞恥露出チャレンジ〜

いつもご支援ありがとうございます。大変お待たせいたしました。アンケートに応えてもらったのに書いたのは昨日思いついて今日書き上げた一作です。本当に何なのこいつって私が思っています。モチベの上下がイカれててすみません……。

その分ボリュームは保証できるものになりました。今日一日でよく書いたな、と久しぶりにハッスルしたと思うくらいには。

今回は怪異のドリームシリーズです。アルフィンとの間に最上位リクで書いているのですが、よく考えたら別に設定的にもナンバリングいらんなこれ、と取り外しました。

今回はナーディアちゃんの出番です。ドリームシリーズなので最終的にどうなるか見ものですね。私はいっそ夢が現実になってる方がマシだと思いますが、うふふふ。




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(うぅ、心臓が破裂しそう♥ な、なんでこんなことに……♥)


 左右で均等に結い上げたピンク色の髪を揺らしながら、その髪色に勝るほど真っ赤に顔を火照らせる。それはとても堂々と意図のある留学を行ってアラミスにやってきた凄腕の元暗殺者とは思えない恥じらいの姿だった。


 理由は至極単純明快だった。ナーディア・レインは一糸纏わぬ裸であった。得意の暗器や小細工が介在する余地のない足の裏まで素っ裸で学校の廊下を恐る恐る移動するという、女というより人として恥ずかしくて当然のことをしているのだ。

 急成長した豊満な胸からヒップラインまで明け透けに晒し、たとえ手で恥部を隠そうが見つかれば最後、人間としての尊厳が終わりを迎える。如何にナーディアが口達者で拷問上手と言えど、少女の麗しく美しい裸体を多感な青少年の記憶から完全に消し去ることは不可能である。

 ではどうしてナーディアが全裸で校舎内を彷徨いているのか。それは彼女が露出狂で破滅願望のあるマゾだから、というわけでは当然ない。


(ころすころすころすころすころすころす! 私をこんな目に合わせて、すーちゃんから引き離した変態は絶対に――――!!)


 ナーディアは脅されていた。脅されて言うことを聞く他なくなり、恥を忍んだ全裸行軍を強いられているのだ。




 彼女が義憤に駆られた原因を探るには、時を十数分前まで遡る必要がある。

 この軌跡においてナーディアが目を覚ましたのは、女子トイレの個室内であった。


『……あれぇ? なーちゃんってば、どうしてこんなところで…………っ、きゃああぁぁぁぁ!?』


 瞼を開いた時から既にナーディアは素っ裸。アラミスが清潔な学園とはいえ、トイレで素足を強いられるのは気分が良くない、などと細かなことを言っていられる余裕のないほど完全な裸だった。

 なぜ、どうしてこんなことに。初めは悲鳴を上げて恥ずかしがったナーディアだったが、数秒足らずで彼女の思考は冴え渡る。鍛え上げられた裏の人間として、さらに逃亡生活を余儀なくされた際に一秒足りとて気を抜くことをしなかった精神力が、全裸の羞恥を押さえ込んで彼女に観察という手段を取らせた。

 背後を見たナーディアは、蓋が閉じられたトイレの便座に戦術オーブメント《Xipha》が置き去られていることに気づいた。


『このザイファ、私のじゃない……』


 戦術の要であるシャード制御を担う最新型の導力端末であるそれは、ナーディアも共和国に入った時に調達した。しかし、デザインや細かな部分が自分が保有するザイファでないことは一目瞭然だった。

 そんなものがこれみよがしに置いてある。ナーディアは充分に警戒しつつザイファを手に取って立ち上げた。

 端末の画面に表示されたのは数枚の画像だった。それを見たナーディアは露骨に顔を顰め、不快感を露にした。


『誰だか知らないけど……やってくれるなー』


 一枚目に鏡で毎日見ている顔が瞼を閉じ、手足を広げて裸体を大胆に暴いた寝顔を激写したものが。二枚目にはその少女の下着が。三枚目にはナーディア以外は想像より毛深いと驚くだろうピンクの恥毛が生い茂った秘部が。四枚目は、言いたくもない菊門が。

 さらに追いかけていくとスミレ髪の少女と金髪の少女のものもある。彼女たちの豊満な乳房や陰毛、尻の穴まで暴き立てる画像からナーディアは目を逸らした。自分のものはともかく、友人とはいえ他人の裸体盗撮写真をまじまじと見るものではない。たとえそれが真相に繋がるものだとしても、最低限にしたいとほぼ反射的に判断を下した。


『レンちゃんとあーちゃんも、もしかして私と同じ……っ、メッセージ?』


 事態の把握に努めるナーディアの元に一通のメッセージが届いた。


【おはようございます、ナーディア・レイン。この度は羞恥快楽ゲームへのご参加ありがとうございます。

本ゲームのルールを説明いたします。指定された内容に従い、行動してください。ただし、以下の行為は禁止となります。


・衣服等を調達し裸体を隠すこと

・ゲームの存在を他言すること

・何らかの手段を用いて救援を求めること


これらの違法行為が発見された場合、先述の画像をあらゆる端末へ無差別にばら撒きます。なお、これは指定内容に反目、または時間内に到達できなかった場合にも適応されますのでご注意ください。


最初の指令は《廊下の真ん中で指定のポーズを取り、時間まで一歩も動かないこと》


ナーディア・レインに素晴らしい絶頂が訪れることをお約束いたします】


 ふざけているとしか思えない内容を目にして、ナーディアはザイファを壁に投げつけた。


『ころす!!』


 これが十数分前の出来事であり、ナーディアが全裸で校舎内を活動する羽目になった致し方ない理由であった。




(冷静になってザイファを調べてみたけど、メッセージの受信機能以外は徹底的にオミットされてた。あれを元手に解決しようとするのは私じゃ無理……ううん、レンちゃんでも無理だ)


 ザイファの機能を一部分だけを残して完全に無力化する。言うは易しだが、単純な構造ではない最新型の導力機器に取り入れるのは実際にはかなり高度な技術を要する。ナーディアはまだしも、多方面の知識を持つ天才であるレンならば、多少改造したくらいでは誤魔化しにもならない。

 だが今回置いてあったザイファは、そういう次元の改造ではなかった。機能のほとんどを排除して、尚且つ必要な機能は正常に動かすことのできる状態。どう改造すればそうなるのか、できるのか。はっきり言って、ナーディアには理解することができなかった。

 高級品であるザイファを使い捨てるだけならまだしも、裏社会を知る少女たちですら理解し難い技術を持っている。ふざけているとしか思えないゲームを仕掛けられた時は、単なる愉快犯だと思ったものだが、人を誘拐し誰にも気づかれることなく母校へ運び込む組織力。最新鋭の機器をおちょくるためだけに使い捨てる資金力と技術力。


(本当に、ふざけてるとしか思えないのに――――――お化けがしてるっていう方が、自然なくらい)


 ナーディアの観察力を以てしても理解できない。いや、優れた観察眼だからこそ、この違和感だらけの状況に理解を示すことができないのだ。不合理で不条理で、時には人知を超えている。論理立てた理屈の一切が通用しないような、そんな感覚がナーディアの中にはあった――――――そう、まるで【怪異】にでも囚われたような、奇っ怪な感覚だ。


(……とりあえず、今は指示に従うしかない……終わったら絶対ころすけど)


 データを一欠片足りとも残さず消去して、犯人は死ぬ方が楽な拷問にかける。もう二度と《庭園》で培ったやり方など使うものかと思っていたが、ここまで人を馬鹿にして辱める行為を笑って見過ごすなどできるわけがない。

 相応の対価を支払わせてやると憤ったナーディアだが、その格好と絵はマヌケだ。廊下の曲がり角でしゃがんで様子を伺う姿は、全裸のせいでどうあっても変質者でしかないのだから。


(今は授業中。行くなら今しかない……目標は、アレか)


 廊下のど真ん中に置かれたザイファを見つけたナーディアは、両手で胸と股間を隠しながら一目散の勢いで駆け出した。もっとも望み通り豊満に育った胸は片手で隠し切れるものではないし、股間もピンクの恥毛がチラチラと零れている。ともあれ己の恥を気にする余裕もなく、ナーディアは最短距離で駆け抜けて新しいザイファを手に取った。

 指令では指定のポーズで時間まで待機すること、とだけ記されていて具体的な内容はなかった。恐らくはこのザイファに、再度内容が記されているはず。

 ナーディアの目には予想通りのものが映り込む。


【ガニ股で腋を見せるポーズを授業終了まで継続すること】

「う……うそでしょ……」


 だが内容は、ナーディアが考えていたより遥かに悪辣で最低なもので、外に出てから留めていた声が愕然と零れてしまう。

 後ろ手に脚を開け、などと言葉を濁すこともしない。ハッキリとガニ股になって腋を見せろと言ってのけるその品性の下劣さに加えて、もう一つ絶望的な条件が提示されたことでナーディアは思考の停止を余儀なくされた。

 しかし、従う以外にできることはない。ナーディアは両手を頭の後ろで組み、両脚をできる限り開いた。指定通りのガニ股腋見せポージングは、ナーディアの人生で一番恥ずかしく、顔から火が噴きそうなくらい屈辱的だった。

 緊張して汗が滴る腋の下を晒すのは、己が無力であると相手に宣言するような行為だ。さらには股を開き、尻の穴まで吹き晒す行いはとても乙女がしていい格好ではない。


「ふ〜っ♥ ふぅ〜っ♥」


 ナーディアの口と鼻から荒い息が零れているのは、羞恥ポーズによる羞恥心、というだけではない。冷静な少女の理知的な思考力は、この指令の本質を察して、全神経を集中させることを彼女に命じた。

 問題はポーズ自体にはない。恥ずかしいが、目撃者はいないのなら理屈の上では抑え込める。教室から廊下側への窓がないことが幸いし、音を立てることさえしなければナーディアが全裸ガニ股腋見せポーズを取っていることは誰にもバレない――――――授業の終わりと並行し、教室のドアが開かれなければ。


(一秒でも遅れたら終わり。絶対に聞き逃さない!)


 授業の終わりまでポーズを維持しなければいけない。けれど、そんなことをしていたら生徒が教室から出てきてしまう。今の自分が見つかってしまう。

 なら、授業の終了と同時に全力で駆け出し、身を隠すしか方法はないだろう。見つかれば人生の破滅が待っている。さながらスニーキングミッションだ。

 だがナーディアは今の時間を知らない。もし知る機会があったとしても、この極限下の中で時間を正確に測ることは不可能だ。それ故に毎秒、一瞬足りとも気を抜かずにいなければならない。もし一秒でも気を抜きスタートが遅れ、その結果訪れる未来を考えた時、恐怖でナーディアは目を見開いて鼻息を荒くすることしかできない。

 二十分後か十分後か数分後か、あるいは数秒後ということもある。ナーディアの精神は緊張と羞恥で震え上がる。集中力を限界まで引き出した顔は、目を細め鼻の穴を開いて唇を尖らせた見るに堪えないブサイクなものだったが、誰にも見られていないという確信がある極限下で気にする余裕はない。今だけは愛しい人に見せるナーディア・レインの美貌は失われ、羞恥と集中が綯い交ぜになったブサイク顔を余儀なくされる。

 全身から汗が噴き出すと、腋の下や背中を滴る雫にゾクゾクとした震えが止まらない。たっぷりと伸びた陰毛からぴちょんぴちょんと水が滴る音さえ無音の廊下に大きく響いて、ナーディアの心を震え上がらせた。ただの水音だと思われる確信があっても、絶対はないからだ。

 やがて呼吸すらも恐ろしくなり息が止まりそうになる。人生の破滅、その一歩手前でマヌケなポーズを取って踏み止まる――――――終鈴が鳴った。


「ッ!!」


 ナーディアの神経は終鈴の始まりを凄まじいまでの集中力で察知し、既に駆け出していた。

 脇目も振らず全力疾走。身を極限まで屈めて万が一ドアが開かれても一秒は稼ぐことのできる姿勢で、廊下を一気に駆け抜けた。


(はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく!!)


 廊下がこんなにも長く感じる。終鈴が少しでも長く響く奇跡を切に願う。

 ナーディアは階段下にある隙間に転がり込んだ。ドアが開き始めたのは、そこから一秒となかった。


「ふーッ♥ ふーッ♥ ふーッ♥」


 全力疾走で上がった息をどうしても整えたがる自分の身体が煩わしくて、両手で口を塞ぎ続けた。

 鼓動が破裂しそうなくらい速くて煩いのに、行き交う人の声がしっかりと聞こえてくる。階段を渡る足音が身体中に響いていく。

 ミッションと己の身を守るスニーキングを見事同時に成立させたナーディアだったが、それでも想定外なことがあった。行き交う足音と話し声が、数分経っても収まらないのだ。


(も、もしかして……お昼、休み!?)


 嘘でしょ、と呟きたくなる気持ちをグッと押さえ込む。もし仮に物音を立てたら、僅かでも興味を引いてしまって階段下を覗き見られたら、裸で蹲っていることを咎められて引きずり出され、公衆の面前で痴女だと糾弾されでもしたら。


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ♥♥♥」


 ナーディアの裸体は放熱を始めた。恐怖から起きるストレスから逃れるように異様な熱を帯び、階段下に息苦しくなるような熱気をもたらす。絶望的な状況に、鋭すぎる被虐の感覚にストレス以外の何かを見出そうと必死になる。

 そうして十数分の時が流れる。肛門の皺を窄めて膣穴をクパクパと開き、口と目を閉じて時が過ぎ去る時間は、ナーディアの感覚では途方もない時間に思えた。


 本鈴が鳴り響くと、廊下に静けさが舞い戻った。少女の望んだ時がようやくやってきた。


「…………ぷはぁぁぁぁぁ♥」


 階段下から這いずるように飛び出したナーディアが、へたりこんで小さいながら深い吐息を吐き出す。呼吸の概念を取り戻したように息を吐いた姿は、それだけでナーディアが極限の緊張下にいた事実を語る。

 さらに言えば異様な熱気が立ち込める階段下には、ナーディアの体液で水溜まりが出来ているほどだ。脱水症状が起きていてもおかしくない残滓だが、ナーディアは脱力こそしているが動くことはできるらしい。

 先の緊張感に比べればもう大したことはない、とまでは言わないまでも動揺は薄れている。その適応力に自分でも驚きながら、ナーディアは握りしめていたザイファを開いた。


【ナーディア・レイン、指令クリアおめでとうございます!】


 そこには心にもない賞賛の言葉に――――――ガニ股腋見せポージングでブサイクな顔をしたナーディアの画像が添付されていた。


(うっわ、最悪……なーちゃん、こんなブッサイクな顔して……これはさすがに、死んじゃいたいかも)


 命あっての物種と言うが、尊厳を失った人間は果たして生きていると言えるのか。そう自問自答をしたくなるほどナーディアのガニ股羞恥顔はみっともないにもほどがあったが、まだ冗談めかした苦笑で済ませられる。本題はそこではないからだ。


(監視もされてるってことになると、細工は難しいよねぇ)


 隙を見て、と言える余裕がさっきまでのナーディアにあったとはいえないが、これでチャンスが巡ってこようとあまり意味がないと彼女に伝わった。

 真正面からピンボケもなく撮影された写真。どこで撮られたのかは明白だが、いつ撮られたのかは全く分からない。ナーディアが終鈴を聞き逃すまいとブサイク面を晒していた時、犯人は彼女を悠々と撮影する手段と余裕があった、という証拠なのだ。


「これで向こうのお遊びが終わってくれたらいいんだけど」

【では次の指令をお伝えします】

「――――ま、そんなわけないよね〜」


 もしナーディアが犯人の立場であれば、ここで止めるようなぬるいことはしない。安全安心の立ち位置で一方的な嗜虐の指示を下せるなど、誰がどう考えても止める理由がない。これは純然たる事実だ。犯人の思考をトレースした時、この環境は相手の倫理観の是非が重要となる。そう考えた時、止めるのはありえないと思った。

 少女にこのような非道を強いて楽しむ人間が、この程度の指令で満足するはずがない。もっとナーディアが品のない顔をして焦る様を、絶対に見たいと考える。最低な理論だが、状況総括の際に必ず成り立ってしまう理屈である。


「絶対、ころすから」


 ザイファを握り締めるナーディアは、届いた新たな指令を何度目かの殺意を滲ませながら睨みつけた。

 人生最大の恥を超えた後だ。何が来ようと速攻で終わらせてやる、とナーディアは意気込む。しかし、指令は少女の羞恥感性が鈍ることを決して許さなかった。


【第二の指令です――――《おしっこを我慢しながら使えるトイレを探してください》】

「…………は?」


 ナーディアは思考停止を通り越し、完全にフリーズした。言葉の上では理解できても、本能が拒んだ。それはともすれば人に裸を晒す以上に恥ずかしいこと。古来から最低限守られるべき尊厳として定められた生理現象を指していると、文字を見て脳で理解してもなお、理解し難いものだった。

 だが、ナーディアは理解せざるを得なくなった。その文字を見た瞬間から、ナーディアの膀胱は熱を増して暴れ始めたのだ。


「……っ゛!?♥」


 下腹部の鈍い重みに気づいたナーディアの顔色が一気に変わった。

 直前までなんてことはなく、意識して我慢など必要としなかったはずの感覚が、臨界まで膨れ上がる。まるで直前まで気づかれないよう押し留められていた大量の水が膀胱へ直にぶちまけられて、その上から利尿剤を流し込まれたような。とにかく、人生で初めて経験する耐え難い尿意がナーディアを襲った。


「ぅ゛お゛っ♥」

(や、やばい♥ これ♥ 一歩でも動きたくない♥ お……おしっこ、出ちゃうっっ♥♥)


 白磁の肌が異なる意味で朱色になり、ザイファを投げ捨てて、内股と両手で出口を必死に押さえ込む。そうでもしないと膀胱からとんでもない量の小便が漏れ出してしまいそうなくらい、パンパンに腫れ上がっていた。

 ザイファへの細工どころか、自分の身体にまで尿意を仕込まれていたとんでもない技術力に目を見張る時間もない。


「う゛ぅぅぅうぅ……お、おしっこ、もれ、ちゃうぅぅ♥♥」


 普段は爛漫な姿を周囲に振り撒くナーディアが、内股で股間を押さえたみっともないお漏らし我慢ポーズで半泣きになって尿意を口に出してしまう。

 いくらナーディアがあらゆる暗殺技術を修めたとは言っても、限界を迎えた尿意を我慢する術がその中にあるわけもなく、膀胱の括約筋を締める力も人並み以下に留まる。

 このままでは間違いなく決壊する。そうなれば人生の破滅が待っているのは第一指令と同じだ。けれどさっきより確実に余裕がない。

 ナーディアは心血を注いで膀胱括約筋を閉じながら歩き出した。もちろん内股でお漏らしに気を使いながらとなれば歩く速度は常人の三分の一以下。赤ちゃんのハイハイの方が速いのではないかと疑うくらいだ。


(歩く度に♥ おしっこがたぷたぷゆれて……ゆ、油断したら、出ちゃうッ♥)


 一歩一歩が重すぎる。膀胱を支えることがこんなにも辛い歩行は初めてだった。

 それでも何とか力を振り絞り、階段下のかくれんぼにも勝る汗を全身から滴らせてナーディアはトイレへ辿り着いた。


 だが――――――トイレは木の板を貼り付けられて入口が封鎖されていた。


「ひっ、うそ……なんで、さいあく……っ!」


 じょわっ……♥


「はぅ゛っ♥♥」


 念願のトイレが使えなかったショックからか、膀胱が一瞬開いた。大量の尿を蓄えた状態では、一秒に満たないとはいえ一滴も漏らさない、というわけにはいかなかった。

 僅かとはいえおしっこが手のひらと太ももに飛び散った。必死に押さえ込んだとはいえ、無傷ではいられない。


(や、ば……い……これ、ぜったい、お漏らししたら…………気持ちいいやつだ♥♥♥)


 その時、気づいてしまった。ここで何もかもを捨てて、お漏らしをする解放感に。尿意我慢という必然の感覚の果てにある絶対的な原初の解放感を察して、ナーディアは恍惚とした表情を浮かべた。


(だ、だめ♥ だめだめっ♥ お漏らし、お漏らしだけは♥ せめてトイレ、トイレでしないと♥)


 指令にも〝使えるトイレ〟でと記載があった。ここで解き放てば、ナーディアは今ある苦痛から解放される快感を得られるだろう。その代わりに全てを失う。余すことなく何もかもを無くしてしまう。

 大事な人の顔を浮かべ、僅かでも失禁の快感を求めたことを恥じたナーディアは断腸の思いで我慢を継続し、使えるトイレを探し始めた。

 一階が駄目なら二階へ上がるしかない。それでも駄目なら三階だ。一度零したからか隙間が生まれ、小走りが使えるようになった。もっともそれは、細かくおチビりをしてしまうという代償の上で成り立つことだが、ナーディアはもう無傷で終わらせられるとは考えていなかった。


 合計五回ほどのおチビりを繰り返し、もはや漏らしていると同義ではないかという様相を呈した末、四度目のトイレ訪問でようやく使えるトイレを見つけた。


「おトイレ……!!♥」


 内股小走りでトイレに飛び込む。そして、壁に立ち並ぶ小便器を見つけて愕然とした。

 ナーディアが思わず飛び込んでしまったのは男子トイレだった。男女に分かれたトイレを見極められないほど、ナーディアには余裕というものが存在しなかったのだ。


 びゅしゅっ、びゅしゅいいぃっ♥


「あぁんっ♥ と、といれぇ♥ はやくぅ♥」


 だが、引き返して女子トイレに入り直す時間が惜しかった。渇望し続けた白いものを前にしたナーディアの膀胱は、感涙に咽び泣くようにおチビりを繰り返す。あと三秒と耐えていられないと脳天に訴えかけた。

 ナーディアの思考は背後の関門を捨て去った。直近の男子小便器の前に立ち、出口を外側から押さえ込んでいた両脚を開き、秘部を押さえる両手までも離した。

 美少女が男子小便器の前で全裸ガニ股になる珍妙ながら背徳的な構図は、やがてとてつもない勢いの放水を始める。


 ぴゅっ、ちょろ、ぢょばばば!♥ ぶしゅいぃいいぃいぃいぃいぃいいぃいぃいいぃいぃいぃいぃいいぃいぃいいぃいいぃいぃいいぃいいぃいぃいいぃいぃいぃ!!♥♥♥♥


「んゅうぅぅぅ……ふっ、んんうぅぅ……♥♥♥♥」


 小指も入らない陰唇に秘められた尿道から、ホースの先を押し潰して放出する水の勢いにも勝る水流が迸った。

 凄まじい勢い、という言葉でも足らない。全裸という何物も比肩し得ない解放的な姿で、股をおっぴろげる解放的なポーズで、車が水溜まりに突っ込んで出来る水飛沫を彷彿とさせる解放的な水量で。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜ん♥♥♥♥」


 これは、暴力的だ。白い小便器に収まりきらず弾け飛ぶ真っ黄色のおしっこ。濃厚な匂いと耳を覆っても聞こえる爆音が男子トイレの中に広がっていく。

 けれど、暴力的だ。暴力的なまでに、気持ちがいい。この世に、この解放感の上を行くものはない。そう感じてしまうくらい、身を委ねてしまいたいと心から思うほど本当に気持ちが良い。

 手を加えることをせず、ナーディアは尿道から飛び散るままにおしっこをぶちまけた。


 ぶしゃぶしゃばしゃばしゃばしゃばしゃっ!♥ ぶしょわああああああああああぶしゅびいいぃいぃいいぃいぃいぃいいぃいぃいいぃいぃいぃいぃぃいいぃッ!!♥♥♥♥


「ぜんぜん、とまんな……い……ぃ……あっ、あはぁ♥ やっと、だせた…………おしっこ、きもち、い、ぃ……♥♥♥♥♥」


 極限のエクスタシー。こんな状況でなければ感じることも許されない法悦に、瞳を蕩けさせて鼻の下を伸ばしたナーディアは純然たる本音を零した。


 ナーディアのその後もおしっこは止まることを知らず、五分以上続いた。今後の放尿感が間違いなく狂ってしまう長く気持ちの良い五分間だった。




【ナーディア・レイン、指令クリアおめでとうございます!】


 無感情な定期文に思わずザイファを握り潰しそうになるが、グッと堪えた。

 男子トイレでおしっこを最後の一滴まで残らず撒き散らしたナーディアは、屈辱的な処理を終えてトイレを退出した際、いつの間にか床に置き去られたザイファを見つけて手に取った。

 そこにはこの定期文と、正面からでなければ不可能なアングルの放尿激写画像が添付されていた。圧倒的な解放感で火照った頭に冷水をぶちまけられたナーディアは、画像をろくに確認せず文字列をスクロールする。そこに映る情けない顔が自分のモノなどと、事実であろうと考えたくもなかった。

 人生終了ものの露出制止に強制放尿プレイ。前者はともかく、後者はいきなり説明し難い力が働いたとしか思えない。身体を好き放題にされている現実にゾクリとしながら第三の指令を読み解く。


【第三の指令です。《特別教室でオナニーをして一回以上イクこと》】

「……呆れて言葉も出ないな〜」


 仕掛けの犯人がナーディアに痴態を強いているのは突然察していたし、いつかは来るかもしれないと思っていた。むしろ、放尿より早く来るべきだろう直球の指定だ。

 ただどのタイミングであれナーディアの辟易は避けられない。結局は呆れる他ない下卑た欲望である事実は何ら変わらないのだから。


 ナーディアは校舎二階の特別教室を訪れた。この時間にちょうど使われていない教室を見つけて中に入ると、端に設置されたロッカー近くの机の上で新しいザイファを発見した。このパターンは二度目だ。最初の指令と同じなら、具体的な内容が記載されているはず。

 嫌な予感がしたナーディアだが、確認しなければ指令をこなせない。姿を見せない犯人の言いなりになる不快感を覚えながらも、開かないという選択肢はありえない。


 予想通り、そこには自慰行為のやり方にすら口を出す指令が記載されていた。


【《オナニーはケツ穴だけで行うこと》】


 だが、予想しない方向の指定にナーディアは面食らってしまった。無難、という言い方もおかしいが普通の場所を想像していたナーディアは、何故か面映ゆい気持ちになって画面から視線を逸らす。


「お尻の穴って……無理、じゃない? ていうか無理だよね。ねぇ、見てるんでしょ。これはちょっと変態さん過ぎると思うよ〜。かわいいなーちゃんにはむりむり〜」


 あちこちにばら撒いたザイファに懇切丁寧な盗撮写真を送り付けるくらいだ。ナーディアの不満を聞いているはずだが、返事が来る気配ない。たとえ文字の上でも押し問答をする気はないらしい。


「……はぁ」


 ゲームマスター気取りの変態に向ける殺意をいつ解き放つことができるのか。鬱憤だけが溜まっていく中、ゲームをクリアして終わらせる以外に選択できないナーディアは、諦めたように顔を伏せた。

 机に上半身を置き、下半身に手を伸ばす。場所はもちろん、指定された尻の穴だ。


(っ……ムダ毛、あったんだ。うぅ、この前ちゃんと処理したはずなのに……♥)


 さわりと皺に触れようとするとチクチクとした感覚が指先に伝わってくる。十中八九未処理のケツ毛だ。二年の急成長は身体の凹凸のみならず、恥の毛にも関わっていた。たった二年で生えるどころか生えすぎたムダ毛は、ナーディアの熱心なケアを嘲笑うように伸びすぎるくらいに伸びて、気づけば尻の谷間で合流するほどもっさりとした剛毛になっていたのだ。

 秘部だけならまだ言い訳が聞くが、尻穴の毛を自覚すると恥ずかしさは抑えようがなくなる。こんなものを見られているのか、とまた新しい羞恥心が噴き出してくる。

 もっとも、同性だろうがこの状況で友人の裸体を眺めるのは良くないと目を逸らしたナーディアは知る由もないことだが、先輩の生徒会長も急成長で同じだ悩みを持ち、金髪の同級生に至っては豊満すぎる胸に負けじと毛が伸び生えて、処理を諦めるくらいの剛毛の極である。それを知っていれば、仲睦まじいムダ毛美少女の事実で羞恥も和らいでいただろう。


「んッ♥」


 セピア色のケツ穴をびっしり覆うピンク髪を恥じらいながら、ナーディアは肛門に指を立てた。穴ではなく周囲の皺を恐る恐る押す。

 そこは排泄の穴であって、触れて快楽を得る場所ではない。常識的な倫理観を持っていれば知っていて当たり前で、それは裏社会に通じていようが例外ではない。

 ナーディアも、己が尻穴で感じるなど考えもしていなかった。尻穴の表面を指で擦る、その瞬間までは。


「あっ、ふぅんっ♥♥」


 電流が流れたように脳が痺れた。スリスリと穴の表面を擦ると、ねっとりとした糸が指に絡まった。ぬちゅりぬちゅりとより絡めるように擦ると、尻肉が堪らないと跳ね上がった。


「はうぅん♥♥」

(……え?♥ あれ?♥ もしかして私…………お尻で、感じてる?♥)


 そんなことがあるわけがない。排便の穴で性的快感を得るなど、まるで変態だ。もし仮に不浄の穴を弄られて反応しようものなら、尊厳を冒涜されたと恥辱を覚えるはずなのだ。


「んふっ、はっ♥ んん、おっ♥ お♥ おぉ?♥」


 けどこれは、〝気持ちがいい〟という感覚ではないだろうか。絶大な解放感の際に到達した感覚へ限りなく近づく、性的な嗜好の体現ではないのか。

 ナーディアの指はそれを確かめたいと言わんばかりに、尻穴に人差し指を挿入た。

 通常、尻穴はそう簡単には開かない。強い抵抗感、拒絶の意志を肛門が示すものだ。アナルセックスはその抵抗感を好む男が強いるものだが。


 ぬぷぷっ♥


「ほォッ♥♥♥」


 指とはいえ、ナーディアの肛門は些か柔らかすぎる反応を示していた。挿入の異物感はあるというのに、その異物を阻害することを知らない。排泄物をひり出す圧迫感に似た感覚が、細いとはいえ指先から伝わり、ナーディアは素っ頓狂な嬌声を響かせた。

 ナーディア・レインは生涯目覚めることのない性癖の持ち主だった。生粋にして敏感な尻穴。つまりはクソ雑魚アナルの適性を持っていた――――――大陸中の雌を食い物にする欲望が好まぬわけがない適性の開花は、アラミス生徒の中で最も速いものだった。


「んッ、ふぅ♥♥ お♥ お♥ お♥」


 ずぽ、ぬぽ、ずりゅりゅ、ずぼぼっ♥♥


 窄む尻穴に指が吸い付くくらい反応が良い。アナルが気持ちいいと気づいたナーディアは、半ば無我夢中になって指をだし入れし始めていた。


(こ、これなら、本当にイケちゃうかも♥)


 攻略のためには仕方のないこと。アナル弄りの正当性を初めから持っていたナーディアは、敏感雑魚のケツ穴を思う存分穿り倒す。

 絶頂は時間の問題だ。第三指令にして、一番簡単で気持ちいい指示が来た。ケツイキ間近で頭が蕩けたナーディアは、机にトロ顔を突っ伏しながらそう考えていた――――――この時までは。




「ふッ、ぐ♥ う゛ぅ゛う゛、お゛ッ♥♥ お゛ぉぅ゛ぅ゛……ッッ♥♥」


 ナーディアが特別教室を訪れて十分後、彼女は未だアナルを指で穿り回していた。指の数は三本になり、入れやすいようにもう片方の手で大きな尻臀を開きながら、露になった赤みのある茶色いケツ穴を掻き回し、呻き声を上げる。その度にマンコの先端から伸びた恥毛から大量の愛液が滴って落ちていく。

 そう、それだけ感じているのに。


(駄目♥ 駄目ダメだめ♥ イケない……切ないよぉ♥ 気持ちいいのに、物足りない♥ お尻の穴をどんどん掻き回したくなってる♥ 敏感になってる♥ なのに、一回もイケないッ♥♥ なんで、なんでぇぇぇ♥♥♥)


 ナーディアは、一度足りともイケていなかった。一度は必ずイケという指令を、これだけ貪り尽くしていながら全く成功させられていなかった。

 無様なガニ股足ピンの態勢で全力ケツ穴オナニー。セルフアナル手マン。とてもついさっきアナルを初めて経験したとは思えない滑らかで豪快な指遣い。けれど、絶頂にだけは至らない。通り過ぎて、切なさが膨れ上がり、そのせいで指の動きが激しくなる。それでもイケない。

 ムチッとした尻肉を気付けば振って揺らし、哀願するように波打たせる。それでもイクことができず、ナーディアは快楽で悶絶するという奇妙な感覚に唸り声を上げ続けた。


(イキたいイキたいイキたいイキたいイキたいイキたいイキたいイキたいいぃぃぃいぃいぃ♥♥)


 気持ちいいのに無意味に時が過ぎる。普段はおちゃらけているように見せて回り続けている聡明な頭が、この時ばかりは〝ケツ穴でイク 〟こと以外を忘却した。殺意さえ忘れ去って一心不乱にケツ穴を穿くり回すアナル少女の鼓膜は、ようやく唸り声と水音以外で震えた。


 授業の終了を告げる終鈴だ。


「――――ッ!♥」


 さしもの蕩けた脳も我に返った。放尿で時間を費やしたのもあるが、オナニーに夢中で時間を忘れていたことは否定できない。終鈴を察知しようとしていた時と違い、時計を見れる場所で余裕もあったはずなのに。


(ど、どうしようっ♥)


 どうしようもない、というのが現実だ。終鈴への反応が遅れた時点で、この場を離れるのはほぼ不可能。さらに言えば、ここを離れた時点で指令を無視したも同義。ナーディアの人生はここで終わりを迎える。

 冷えた頭は常人の数倍上を行く思考速度で、刹那の熟考を実現する。だが答えはない。


(あぁ♥ 指も止まんな、いぃっ♥ た、助けて、だれかたすけてぇ♥)


 さらに言えば我に返り損なった指先は、破滅の前に少しでも快楽を貪ろうと浅ましく動き続けていた。このままでは、アラミス生徒がケツ穴を穿くり回す後ろ姿を入室と同時に目撃し、ナーディアの立ち位置はたちまちアラミス創設以来の変態痴女生徒に堕ちるだろう。

 その時間はあと三十秒もなかった。勤勉なアラミス生徒たちは速やかに特別教室へと移動してきて――――――ナーディアの裸体は忽然と姿を消していた。


 何事もなく本鈴が鳴り響くと、アラミス生たちは生真面目に勉学へと励む。


(あっ……ぶな、かったぁ♥)


 その背後で、己の性癖を開示しかけた怪しい危機感に心臓をバクバクと揺らす全裸の少女がいるなど、露ほども考えていない真面目な後ろ姿にナーディアは安堵の息を零した。


(入れそうなロッカーがあって、助かったよぉ〜♥)


 人生の終わりを迎えかけたナーディアが咄嗟に転がり込んだのは、教室の後方に置かれていたロッカーの中だった。ザイファが置かれていたすぐ近くに配置されていたことを思い出したナーディアは、ダメ元で飛び込んだ。

 ロッカーの扉を内側から閉じると同時に教室のドアが開いた時は頭が真っ白になったが、彼らは気づくことなく席に着いた。ナーディアが残した痕跡も〝不自然なくらい〟スルーしている。

 とはいえ、清掃道具が入っているロッカーは人が入れるサイズはしていない。小柄だが出るところは出ているナーディアは、お尻と胸が壁と扉に張り付くほどギリギリだった。


(っ……駄目♥ ダメだめ、駄目だってば♥ お、お尻の穴で、オナニーするの……と、止めなきゃいけないのにぃ♥)


 だから、お尻と壁に挟まれた手を引き抜くことができないままだ。それをいいことにナーディアの指は懲りずにアナルを穿り回していた。

 片手で口を押さえながらもう片方の手でアナルを穿る。授業をサボりロッカーの中で素っ裸になり異常な淫行に耽るナーディアの目には、隙間から勤勉なアラミス生の後ろ姿が見えている。


(みんな♥ 真面目に授業してるのに♥ なーちゃんは♥ オナニー♥ お尻の穴をほじほじして♥ でも仕方ないじゃん♥ イカないと♥ イカないとゲームが終わらないっ♥ おケツの穴で♥ ちゃんとイカないといけないから♥ 指でほじほじするの、とまんな……っ♥♥♥)


 ビクビクッと爪先立ちで痙攣する。外側から振動が伝わりそうな激しい反応だが、生徒たちは気づくことなく勉学に励む。


(はぁ♥ ふ、振り向いちゃ駄目だよ♥ 絶対、振り向かないでね♥ 今振り向かれたら……なーちゃんが裸でケツ穴オナニーしてるの、バレちゃうかもだから♥)


 まるで振り向いて欲しいと言わんばかりに願うナーディアの尻穴は、きゅんきゅんと啼いて疼いた。指が呼応するように一段と深く入り込む。


「ォッホ♥♥♥」


 口を押える指の隙間から吐息が零れるほど気持ちよかった。

 見られるかもしれないという危機感が強くなればなるほど、さっきまでの頂点に届かない切なさばかり感じていた快感が変化しているのをナーディアは自覚した。


(あ♥ これイケる♥ さっきまで触りたくなる癖に全然イケなかったのに♥ 今……だ、誰かに見られるかもしれないって考えたら、ケツ穴でイケるようになっちゃう♥ ヤバい♥ 駄目♥ なーちゃん変態に♥ 変態みたいに♥ 無理やりやらされてるだけなのに♥ 見られたくなってる♥ 恥ずかしい思いしてやっとイキたくなる変態さんになっちゃって……♥♥)


 少女は異常性を冷静に認識していた。理屈ではない感覚の理論を組み立て、イケなかった理由とイケる理由を分析していた。ナーディア・レインは、頭の中では冷静なのだ。ただ、アナルを穿る指を止められず顔は寄り目で鼻の下を伸ばしたケツイキ手前のブサイク面を晒した約立たずの冷静さではあるが。


(こんな狭い場所で♥ ロッカーの中でケツ穴穿る変態マゾでごめんなさ〜い♥ でも我慢できない♥ 指がぜんっぜん止まらないよ〜♥ あ♥ お♥ おケツやばい♥ もうイク♥ これ絶対イク♥ 今イッたらバレちゃう♥ イカない計算でこの中に入ったのに♥ なーちゃんが変態すぎて計算が狂っちゃった♥ なーちゃんのケツ穴が貧弱すぎて♥ 解析した傍からどんどん敏感になっちゃって♥ 駄目ダメだめ、今イッちゃだめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ♥♥♥)


 イッたらバレる。ケツ穴オナニーをキメる変態少女ナーディアが真面目な生徒たちの目に晒される。その絶望的な最後を、侮蔑の視線を想像して、ナーディアの尻穴に溜まった熱は許容量を容易く超えた。


(今イッたら――――――気持ちよすぎて絶対声出ちゃうやつだからぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♥♥♥♥)


 心の雄叫びとは裏腹に、指はアナルの一番感覚が鋭い部分を押した。子宮のほぼ裏側。性感帯と性感帯を繋げる壁を突く。

 憚ることなく言うなれば、クソ雑魚アナルの最も貧弱な場所に指が突き立てられたのだ。


「ん゛お゛ッ♥♥♥♥ お゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ゛ッ゛♥♥♥♥♥♥」


 ぶしゅっ♥ ぶぢゅぶちゅぶびびぶぼっび♥ ぶびぃぃぃぃぃぃぃっ♥♥♥♥


 実質的な寸止め状態を危機感で、露出マゾの快感で抜け出したナーディアの尻穴は火を噴くように腸液を噴射した。秘部から飛び散るイキ潮に勝るとも劣らないそれは、指を差しっぱなしのアナルと擦れて放屁と聞き紛う下品な音を響かせた。

 無論、口を押えている意味が全くない人生初のケツアクメに呼応したオホ声絶叫の大きさには及ばないけれど。


(バレた♥ これ絶対バレた♥ バレてる♥ バレちゃったってばぁ♥ なーちゃんがケツ穴でアクメするド変態の露出魔だってこと♥ なーちゃんのせいじゃないのに♥ なーちゃんの人生おわっちゃうぅぅぅぅぅぅ♥♥♥)


 白目を剥きかけて首を仰け反らせたナーディアは、外の光景を観測することができない。絶頂して彼らがどんな反応をしたのかを想像しかできない。


「ん゛ほお゛ォ゛お゛ッ゛♥♥♥♥」

(うそ♥ なーちゃん、こんな汚い声♥ 出せるんだぁ♥ おケツの穴を穿ると、バカみたいな声出て♥ 違う♥ そうじゃない♥ そうじゃないでしょ♥ 普通に考えて♥ 肛門アクメしたら♥ 指を止めないと♥ 止めないといけないのに♥ …………おっほ♥♥♥♥)


 だからか、人生の破滅を迎えたのならと。自暴自棄になった指は、死なば諸共と絶頂中で何倍も敏感になっているアナルを愛撫し続けた。




 終鈴が鳴る。生徒たちは背中でガタガタと耳障りな音を立てるロッカーには目もくれずに特別教室から出ていった。次の授業は誰も使わないのか、後続の生徒はやってこない。

 しばらくすると、ロッカーのドアが開いてナーディアが倒れ込むように飛び出した。


「……おっ♥ ふぅ♥ だ、誰もいない……やだ♥ これじゃあイケない♥ 次♥ 次のお題♥ 探さなきゃ♥ なーちゃんもっと、おけつまんこでイキたいよ〜♥ えへ、えへへ♥ うおっほ♥ ケツの穴♥ 気持ちいい〜♥」


 指をグリグリと挿入てアナルを穿くり回し、股間から湯水のように愛液を垂れ流す。知性という知性を投げ出したみっともないアヘ顔を晒した少女を映し出したザイファの画面が文字を刻む。


【ナーディア・レイン、五十七回のケツアクメで第三指令クリアおめでとうございます! 今回のチャレンジ〝も〟成功いたしました――――――極上のマゾ羞恥を味わわせたい時は、ナーディア・レインへの欲望と希望を是非お送りください!】




「うぅ〜ん……気のせいかなぁ? 変な感じがするんだけど……」


 早朝、ナーディアは服も着ず髪も解いたまま自室で鏡に背を向け、二年で二回りは大きくなったデカ尻の谷間を開いて小首を傾げていた。

 彼女が疑問に感じたのは尻の穴だった。目を覚ますと強い尿意を覚えた割には放尿に勢いがなかったのも気になったが、何よりも尻穴の違和感が気にかかってしまい、尻臀を開いて自分の目で確かめていた。

 だが、正面から見ても斜めから見てもいつもと変わらない。いつも通り見慣れたお尻の穴だ。


 使い込まれたセピア色のアナルは未処理のピンク剛毛が外側まで広がらんとする汚らしい光景を見せつけて、夢の影響など欠片も必要としていない。どれだけの夢を見ようと、現実に持ち込む意味がないというのなら、それは違和感や気のせいで終わるのだ。


『ナーディアちゃん、起きてますか? もうすぐ登校の時間ですよ』


 成人男性も顔負けの汚ケツ穴に感じた違和感の招待を掴めぬまま、ナーディアはノックと自身を呼びかける声に耳を傾ける。

 ここは裏解決事務所の貸部屋ではなくアラミスの学生寮だ。今やナーディアが自堕落な態度を取ろうものなら、アニエスにすぐ嗅ぎつけられてしまう。もしかしたらすーちゃんより厳しいかもなぁ、と離れることをあれだけ拒絶していた少年のことを数ヶ月ぶりに思い出しながら、ナーディアはノックされたドアを開けた。


「起きてるよ〜。おはよー、あーちゃん!」

「おはようございま……きゃあ!? な、ナーディアちゃん! 服、服を着てください!」

「え? ……あ、いっけないんだ〜♥ あーちゃんのえっち〜♥」


 いくら女性しかいない寮とはいえ、一糸纏わぬ格好で扉を開くのはマズかったのかアニエスが驚いている。女の子同士ならそこまで気にしなくても、とナーディアはアニエスを茶化す。

 まあ清純を地で行くアニエスには、少々刺激が強すぎるハプニングだったかもしれない。少年と離れたことで羞恥が薄れたナーディアと違って、アニエスは制服をきっちりと着込んでいる。


 ブレザーとシャツの胸の部分が切り抜かれLカップのデカチチが曝け出され、スカートを履かずに下着もマンコからアナルまで見えるように穴が空き、臍の上まで伸びた金の陰毛が轟々とした様を露にした〝校則を忠実に再現した制服姿〟だ。

 その露出制服は、全裸の方がマシに見えたとしても正しく見える。まさに規則正しい模範的なアラミス学園生徒の姿であった。


「あはは、ごめんってば〜。ちょっと寝過ごしてなーちゃんも焦ってたんだよー? すぐ着替えるから待ってて」

「……今日も授業がたくさんあるんですから、あんまり気を抜いたら駄目ですよ」

「はいはい分かってま〜す。アニエスママやレンちゃんせんぱいに置いていかれないよう頑張る頑張る〜」

「もう、真面目に言ってるんですよ?」







「怪異様に捧げる雌の身体を粗末したらイけないんですから♥」

「はいは〜い♥ 頭の上からおケツの穴まで♥ なーちゃんたちは怪異様のモ・ノ♥ だもんね〜♥」






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