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『新人への登竜門①』オスボク!Vol.4

 今回は昨年挿絵を担当させていただいた「オスボク!Vol.4」に収録されている『新人への登竜門』の前編を公開いたします。後半は9月3日に更新予定です。


 ミケ空さんが書かれた情熱伝わる小説と共に、イラストも楽しんでいただけると嬉しいです。







【新人への登竜門】

イラスト:梨猫

ストーリー:ミケ空


【第1章 生意気な後軰】


「っしゃあ!やるか!」

 最近、地下格闘技場に入ってきた一人の男がいた。銀髪の混じったツーブロックに無駄のない鍛え上げた体。赤いラインの入った黒地のトランクス、足に黒のサポーター。

「さあ、自信のあるやつはかかってきやがれ!」

 その男は新入りだというのに、トレーニングルームの上でプロさながらの格好をし、リングを占拠している。・・・そんな、新人ながらに 傲岸不遜な男の名前は火宮竜。年齢は17の高校生だ。・・・だが、先ほどのような 傲岸不遜な性格に勉強嫌い。群れるのは大嫌いという絵に描いたような一匹狼。さらに三度の飯より殴り合いが大好きという、まさに不良の塊のような性格の竜には、高校生活なぞ馴染めるわけもなく。次第に学校へ行くことをさぼるようになると、流れるように地下格闘技場へと足を踏み入れた。そして、

「さあ、誰かいねーのか?それとも・・・ここの奴らは全員腑抜けかよ!はっ!」

 入ったばかりの地下格闘技場でトレーニングルームのリングを占拠してでのこの発言である。三度の飯より殴り合い、何よりも闘争心を満たすことを楽しみとする火宮竜は、恐れるものなしにリングの上でにやりと笑みを浮かべながらひたすらに大口を叩いていくと、やがて、なんだなんだと多くの「先輩選手」が集まってくる。すると、

「さあ、誰でもいいからかかってこいや!新人にいい顔させるほど腑抜けの集まりかよ、ここはよお!」

 竜は彼らに向かってくいくいっと挑発をしてみせた。

「おい、なんだ?誰だあいつ」

「新人だってよ。来たばかりなのにイきってやがる」

(おーおー、集まってきた・・・!いいぜいいいぜえ・・・!)

 だんだんと集まってくる先輩選手たちに竜はにいっと口角を上げる。もうすぐ、自分の大好きな喧嘩の舞台が出来上がる。確かに、地下格闘技場である以上、ここの「先輩選手」もそれなりにつえーんだろう。だけど、オレもキックボクシングを3ヶ月はやった。ジムで皆と練習ってのは性に合わなかったが、それなりに筋がいいとも褒められた。ここいらの連中でも遅れはとらねーはずだ・・・!

 竜はそんなことを思いながら。

「おい、まさか本当に挑戦者はいねーのかよ!腰抜け野郎のへなチン共が!」

 挑発を繰り返していた、その時だった。

「ふん、ガキが」

 一人の先輩がリングへと上がり。

(っし!来た!)

 竜はにっと笑みを浮かべた。

「お、先輩!オレに挑戦っすか?・・・ここの奴ら、皆、腑抜けかと思ったんで安心したっす!」

「調子に乗ってんじゃねえぞ、ガキが」

「ガキってひでえっすねえ?オレには火宮竜、って名前があるんっすよ。・・・さ、どうしますか?ボクシングでもキックボクシングでも。・・・先輩に『合わせて』差し上げますよ」

 竜は皮肉たっぷりにそう言うと。

「テッメエ・・・!」

 先輩はプルプルと両の手に付けた青いグローブを震わせた!

「なめんなよ、新人風情が!てめーみてーなガキ、速攻でぶっ飛ばしてやる!」

「へえ?やれるもんならやってみろよ、ウスノロ包茎野郎。・・・ぶっ飛ばした後に皆の前で無様にオナホにしてやるよ」

「テメエ!」

「っと、何で勝負するくらいは決めてもらおうか?そのくらいのハンデはやるからよお?ひゃっはははは!」

「キックだ!テメエの腹にオレ様の膝をぶっこんでやる!」

「はーいはい、そーゆーのは、オレをぶっ飛ばしてから言ってくださいっすよ、先輩?・・・もし、オレに勝てたんなら「ナニ」してもいいんで?」

 竜は先輩を散々に煽りまくるとバンバンとグローブを胸の前で叩き合わせにいっと口角を上げる。・・・やっと来た殴り合いの相手だ。どの程度の実力かはわからないが・・・

「ワクワクする・・・ってね!んじゃ、先輩?キックボクシングといきましょうぜ!・・・後が使えてるんで、さっさとやりましょうや?」

「後なんかねえ!俺で最後だ!皆の前でぶっ飛ばした後に泣くまでオナホにしてやるわ!」

 竜の挑発に、先輩はそう吠えると。

 カーンツ!

 誰かがゴングを鳴らし、竜のキックボクシング、もとい、ケンカが始まった!




「っしゃあ!」

 竜はケンカで鎩え上げ、引き締まった体を赤いラインの入った黒いトランクスとレガース、そして真っ赤なグローブとを身にまとい、先輩選手とグローブタッチをする。

(ここまで啖呵切ってきやがったんだ・・・!相手もそれなりにやるはずだよなあ!)

 竜は強敵との戦いにワクワクと心を燃やすタイプ。それ故に散々に煽り、挑発し、怒りを自分へと向けさせた・・・のだが。開始1分。

「ッラア!」

 ドムゥゥゥゥゥッ!

「ごはああっ!」

 竜は先輩の腹に赤いグローブを思い切りめり込ませると。

「どうしたんっすかあ、先輩!?オレ、足使ってねえんっすけどねえ?!」

 スパァァァァンッ!

 その顎をアッパーカットで軽くすくい上げてやり。

「ぐ・・・はあっ!?」

 ドサァァァァァァァァッ!

「・・・うわー、あっけねー。口だけかよ・・・ちっ」

 竜はあっさりと。無傷のまま先輩を脳震温でノックダウンさせた。先輩は、試合前の勢いはどこへやら、その実力は街でオラついている不良に毛が生えた程度のそれであり、

「・・・つまんねー・・・」

 竜は思わず。その手応えの無さに飽きれ声をあげた。そして!

「おい、あいつ、つえーぞ!」

「なんだ、あの新人!?」

 そんな竜の姿に、トレーニングルームに集まった選手たちはざわざわと騒ぎ出すと。

「なら・・・次は俺とボクシングで相手してもらおうか!・・・できるんだよなあ?」

「はっ!上等!何でも来いや!」

 新たなる挑戦者が現れる。リングの上に上がってきた二人目、竜はその選手と今度はボクシングで相対すると。

 カーンツ!

「行くぜオラア!」

 先輩は開幕早々、グローブタッチもせずに竜に大振りの右ストレートを放ってくる。・・・だが!

「おっせえ!」

 バッキィィィッ!

「ぐああはあああっ!」

 強烈な一発。竜は相手の右ストレートが届くよりも早く、その顔面に渾身の右フックを叩きつけてやると。

 ドタァァァァァァァッ!

 まさに文字通りのワンパン。2人目の挑戦者も易々とノックダウンして見せた。

「うおおおおおっ!なんだあいつ!?」

「やっべえ、つえーぞ!」

 そんな先輩達2人をあっさりとのしてしまった竜の強さに、トレーニングルームのリングはさらに大きく盛り上がった!

 (へっ!どいつもこいつも敵じゃねえな!もっとつえーやつと当たってみたいところだが・・・このまま全抜きも悪くねえ!)

 竜はその様子にまんざらでもないと感じると。

「・・・次はオレだ!仇をとってやるぜ!」

「いや、オレにやらせろよ?最近疼いててよ?」

「ボクシングだ!拳だけなら負けやしねえ!」

 リング下の先輩たちは次々に声を上げた。思った以上の挑戦状の数に、竜はにやりと笑みを浮かべ、

「順番に来いよ、先輩方!全抜きしてやっからよ!・・・オレが負けたら好きにしてもいーぜ?」

 真っ赤なグローブでくいくいっと挑発をすると。

「なめんじゃねえぞ、新人!」

「オレにやらせろ!オレの鉄拳で這いつくばらせてやる!」

「いーや、俺だ!最近溜まってっからよお・・・ボコボコにした後にパコってやらあ!」

 リングの周りはさらにヒートアップをしていった!

「さあ、どいつでもいいからとっととこいよ!全員、ぶっ飛ばしてやらあ!」




 ・・・だが。

「・・・っらぁ!」

 ドシュウウゥゥゥッツ!

「ぐ・・・ああああ・・・」

 ドサァァァァァァッ!

「はあっ!はあっ!・・・っし!」

「なら、次はオレの相手しろや、新人。ボクシングだ」

「はあっ!はあっ!・・・おう、来いやあ!」

 ・・・もう何人倒しただろうか。竜は次々と現れる先輩たちを次々とノックダウンをしていった。最初のうちは、体力もパワーもあり余った竜はサクサクと相手をほぼワンパンでノックアウトしていくも。

「オラァッ!喰らいやがれ!」

 バスゥッ!

 先輩の左フックが竜の頬を叩き。

「ぐはっ!?・・・なめ・・・んじゃねえぞ!」

 ドスゥゥゥゥゥゥッ!

「ぐはあああああああっ!」

 竜は反撃とボディーブローで先輩に膝をつかせるも。

「はあっ・・・はあっ・・・ぐっ・・・」

 一向に減っていかない挑戦者たる先輩たちの数に次第に疲弊し、パンチを、あるいは蹴りを浴びるようになり。

「・・・へへっ、そろそろばててきたか?次は俺だぜ?」

 (く・・・キリがねぇ・・・!)

 いつの間にか、竜は全身にダメージを負い、肩で大きく息をするようになっていた。だが、

「はあっ、はあっ!まだばててなんかいねーぜ!・・・!っしゃああ!こいやあっ!」

 ギブアップなんざ死んでもごめん。もっともっと強いやつと殴り合いたい。竜は本能のままにそう答えると。

「そんな疲れた体で・・・俺の膝が避けられるかよ!」

 ドスゥゥゥゥッ!

「うぐっ!?・・・ラッァァァァァッ!」

 バキィィィィィッ!

「ごはっ!」

 絶対にギブアップはしない、と言わんばかりに先輩の側頭部にハイキックを叩き込み、相手をまた一人、リングへとノックダウンさせた。当初の予定としては、4, 5人も倒せば自分も満足、先輩方も飽きて帰っていく、だなんて軽く考えていたのだが・・・

「おい、まだオレの分も残しておけよ!」

「あいつぶっ飛ばして犯すのはオレだっつ一の!」

「へへっ!あんだけ疲れてんならラクショーだっつの!チンポが疼くぜ!」

 ここの地下格闘技場の先輩たちは、そんなもんで終わるほどの相手ではなかった。竜が一人、また一人と倒せば倒すほど、皆、目をギラギラと輝かせ。

「おい、何やってんだ?」

「おもしれーじゃん!俺も混ぜろよ!新人ならケツもバージンだろ?」

 それどころか、先輩たちはさらに集まってくる始末。もっと殴り合いたい、という自分の素直な気持ちも相まり、引くに引けなくなった竜は。

「はあっ!はあっ!・・・はあっ!ぐっ!?」

 気づけば、恐ろしいほどの数の連戦をこなし。その体に無数のダメージを受け。体はもう限界と叫び声を上げるまでに追い詰められていた。

 (く・・・そ・・・!・・・・・・きちい・・・!でも、まだだ・・・!負けられねえ・・・!)

タイマンなら負けはしない。だが、

「オラオラ、へばってんじゃねーぞ!」

 ドッボオォォォッ!

「ぐはっ!?」

 数で襲ってくる先輩たち。疲れはピークに達し、緩慢な動きとなった竜に先輩のケリが深々と腹に突き刺さる。・・・竜は自分の体に鞭を打つように、目をカッと見開くと、

「ッラアァァァァッ!」

 ドッボオォォォォォッ!

「ごはああああああっ!」

 先輩の顔面にストレートを叩き込み、ダウン数をまた一つ重ねた、その時だった!

「・・・次はオレにやらせてもらおうか?」

「ってめえは・・・!」

 リングの上に、一人の選手が上がってくる。それは、いつの間に目を覚ましたのだろうか。竜が今日の試合、一番に始めにノックアウトした先輩だった。

「さっきは・・・ずいぶんとやってくれたな?」

 先輩のその腹には、竜のボディーブローでつけられた赤みが一つ、残っている。

「へっ!てめーが弱いからだろ?・・・はあっ・・・はあっ・・・!もう一度!その腹にボディーブロー決めてやるよ!」

 竜は先輩をそう挑発するも。・・・同じ手は食わない、とでも言わんばかりに、先輩は竜の挑発をニヤリと笑みを浮かべながら流すと。

「さっきは手加減してやったんだよ、バカが。・・・次はただじゃ済まさねえ」

「はっ!手加減・・・して・・・!負けたとか・・・!マジだせえ・・・な・・・!はあっ・・・はあっ・・・!」

「ふん、次はテメーの番だっての、新人。・・・いや、竜だっけ?」

 先輩はそう言うと、胸の前でバンバンと青いグローブを叩き合わせてみせる。

「テメエの得意なキックボクシングで片をつけてやる。覚悟しろや、リベンジマッチだ!」

「覚悟すんのは・・・テメエ・・・だ!はあっ・・・はあっ・・・!」

 竜は突きつけられたリベンジマッチを、当然のごとく息を荒げながら設けると。・・・すうっと大きく深呼吸をし、乱れた呼吸を落ち着かせようとする。・・・そして、

「行くぜ、先輩!何度でもぶっ飛ばしてやらあ!」

「はっ!無様に叩きのめしてやるよ!」

 カーンツ!

 2人の言葉と同時に誰かがゴングを鳴らし。

「うおおおおおおおっ!」

 疲労にあえぐ竜と雪辱に燃える先輩とのリベンジマッチが火蓋を切ったのだった。

 竜の戦い方は、一撃を重視するスタイル、インファイターの中でもスラッガー、と呼ばれる戦い方だった。一撃のパンチの重さを重視し、一発でも当てれば相手をダウンできるほどのパンチを放つ。そしてその一発で相手をノックアウトする、というわかりやすい姿勢だ。竜の深え上げた体と、何よりも前のめりに攻めたがるその性格は、スラッガーにぴったりとマッチし、このリングでも多くの先輩を一撃のパンチやキックで葬り去ってきた。そして、先輩とのリベンジマッチもその戦い方の通り。

「・・・っらあッ!」

 真正面から近づくと、大振りのパンチを繰り出し、竜は仕留めようとするも!

「おおっと!」

「っ!?」

「おっせえおっせえ!当たんねーな!竜!」

 先ほどまで当たっていた竜のパンチはひらり、と避けられた。

「くっ・・・!まだだ・・・!」

 たまたまに違いない。そう考えた竜は変わらず、前へと出てると、

「シィッ!」

 ブオッ!

 勢い良く、ミドルキックを繰り出すも。

「ははっ!テメエの攻撃はもう見切ったんだよ!先輩なめんじゃねえ!」

 先輩はそれをガードすることもなく、タンッとバックステップを踏み、空ぶらせると!

「今度は・・・俺の番だオラァッ!」

 バッキィィィィィッ!

「ぐうっ!?」

 竜のがら空きの脇腹にミドルキックを叩き込んだ。竜はその衝撃に顔をしかめたその時だった!

「オラ、どうした?もうへばったのか?ははっ!大したことねえ新人だなあ、おい!」

「て・・・めえッ!」

 安い安い挑発だった。だが。元々の沸点が低い竜は、先輩のその安い挑発にあっさりと乗ると。

「潰してやるッ・・・!!喰らい・・・やがれッ!」

 ビュオオッ!

 距離を詰め一撃必殺の、大振りのハイキックを繰り出した!・・・が!

「見切った、つってんだろお?」

 先輩はスッと、スウェーバックで竜のハイキックを避けきるとーーー

「ボディーが・・・ガラ空きだぜ!」

 ドッボオオオオオッォォォォォォォォッ!

「ご・・・はあああああああっ!?」

 がら空きになった竜の腹にボディーブローを叩き込み、竜は唾を吐き散らした!



「あ・・・・ぐつ・・・・」

「へっ・・・!いい感触だなあ?竜?」

「くっ・・・てめ・・・!」

 まさにクリティカルヒット、とも言えるべき一撃だった。先輩のボディーブローは竜の腹筋を貫き、その腹に致命的なダメージを与えると、

「くうっ!」

 竜は慌てて距離をとり、吐き出したつばをグローブで拭った。・・・が!

「オラ、ぼさっとしてんじゃねーぜ!」

 その一瞬の隙だった。先輩はダンッ!とリングを蹴り上げるとーーー!

 バッキィィィィィィィッ!

「うぐあっ!?」

 跳び膝蹴りを竜の顔面へと叩きつけ、

 ブシュウッ!

「ぐっ・・・つ!?」

 その額からは血が噴き出した!

「く・・・そ・・・つ!」

 もはやダメージと疲労で避けることもガードもできない竜は、飛び膝蹴りの直撃に後へとバランスを崩したその時!

 ぐいっ!

 (ロー・・・プ・・・?く・・・やべっ・・・!)

 竜の背中にロープが当たった。背にロープ、ということはもう逃げ場はない、ということであり。

 ガシィッ!

「へへ・・・捕まえたぜ?」

「っ!しまった・・・っ!」

 その瞬間。追い詰められた竜は先輩に頭を抱え込むように、首相撲の体制へもっていかれると、その瞬間ッ!

「オラ・・・死にやがれッ!」

 ドッスゥゥゥゥゥゥゥゥッ!

 先輩の膝が、竜の買かれた腹筋に勢い良くめり込んだ!

「ぐ、ああああああああああああっ!?」

 その衝撃に、竜は体をくの字に曲げ、ごはっ!と唾を吐き散らした!だが!

「オラオラ!一発ですむと思ってんじゃねーだろうなあ!」

 ドスゥッ!ドスゥッ!ドッスゥゥゥゥゥゥッ!

「がはああああああああっ!」

 先輩は先ほどのお返し、と言わんばかりに何度も、何度も竜の腹へと膝を叩き込む!そして、

「オラァァァッ!」

 ドッスゥゥゥゥゥッ!

「ぐ・・・あ・・・・」

 竜が先輩の膝の連打に限界を迎え、徐々に、徐々に体の力が抜けていったその瞬間!

「オラアッ!止めだ、竜ッ!」

 ドッムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!

「ぐ・・・あっ・・・・・・!」

 先輩の膝が大きく、深く。竜の腹へと突き刺さると。

「・・・がはっ!」

 竜は、唾と一緒にマウスピースを吐きだし。それがころころとリングへ転がると同時に、ついに、倒れるように膝をついた。・・・が!

「おいおい、何膝ついてんだよ?・・・もっと相手しろよ、ああ?」

 ぐいっ!

「あうっ!?」

 先輩はダウンした竜の髪をつかみ、無理やりに起き上がらせるとーーー

「オッラァァァァァァ!」

 バッキィィィィィィィィッ!

「ぶはあっ!」

 竜の顔面にフックをたたき込みーーー再度、ロープへと背を預けるように竜が吹き飛ばされると、その瞬間!

「これで・・・死にやがれぇぇぇぇッ!」

 ドッムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!

 竜の腹に、何度目かのボディーブローがめり込んだ!竜の腹筋は、もう完全に壊れ、そのボディーブローを防ぐことなんかできるはずもなく・・

「へっ!どうだ、俺のボディーはよお?・・・気持ちいいだろ?」

 グリッ・・・グリッ・・・!

「う、ぐ・・・が、ああああああああっ・・・!」

 先輩はぐりぐりとグローブをねじ込むように、竜の腹をえぐった!竜がその痛みに、再び、膝の力が抜けたその時!

「これで・・・終わりにしてやんよ!」

 バッキイィィィィィィィィィィッ!

 崩れ落ちる竜を突き上げるかのように、先輩はアッパーカットを竜の顎にたたき込んだ!

「ごっ・・・・・・が・・・・・・あ・・・・・・っ!」

 竜は顎を跳ね上げられ、唾と一緒に血を吐き出すと。ゆっくり、ゆっくりと体のバランスを前へと倒し、

 ドサァァァァァァァァァッ!

 竜はついに、先輩に敗れると。・・・キャンバスへ、その体を投げ出した。


【続く】



『オスボク!Vol.4』販売ページ

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