敗球!!セカンドシーズン15
Added 2022-03-09 09:00:00 +0000 UTC敗球!!セカンドシーズンの続きです。 ジュンはそれから何度も彩乃たち女子チームに挑んだが一度も勝つ事ができないでいた。むしろ女子チームはますます結束力を強めていき、初日の対決よりジュンたちを苦しめていく。特に女子ソフト部の松田澪の上達ぶりは凄まじく、小柄ながら持ち前のジャンプ力と運動センスで葵に次ぐ攻撃力を示し始めた。 ジュンはボロボロにされながらも必死で葵に食らい付いていたが、そんな彼を嘲笑うかのように、澪が後方から強烈な攻撃を男子のコートに叩き込んだのだ。 ビシッという音と共にボールはジュンの横を通り過ぎていく。 ジュンはその光景に呆然と立ち尽くしていた。 彩乃「澪、凄〜い!バックアタックみたい。」他のコートの女子たちも盛り上がる。 澪「コート小さいからバックアタックとは呼べないかもしれないけど」 謙遜する澪であったが、経験者でも難しいことを平気でこなしてくる。 女子「男子相手にあんな攻撃できるなんてすごいね。」 女子2「ほんと。もう男子より強くない?」 (なんで素人があんなアタックを打てるんだよ…) なんとか葵に食らい付いて活路を見出そうとしていたジュンは澪の「黒豹」ぶりをまざまざと見せつけられて戦意を喪失させる。 そんなジュンの表情を見て彩乃がニヤリとする。 彩乃「ジュン、あんた本当に男バレ?澪の方が上手いじゃん…。ってか男は女より強いんじゃなかったっけ?」 ジュン「うるさい……」 澪「北山君、そんな事言ってたんだ…。」 彩乃「そうそう。こいつ弱いくせに一丁前に女見下してんの。女性差別だよね。」 ジュン「違う!!」 彩乃「何が違うわけ?私に男子の方が強いって言ってたじゃん。なのにうちらに負けっぱなしだし。」 女子「確かに。北山君は弱すぎ。」 女子2「いくら弱小の男バレでも初心者の女子に負けるのはキツいわー。」 女子たちが口々にジュンを非難する。 このように彩乃のつくりあげた「女子対男子」、「女子を見下す男子への懲罰」という構図にまんまとはめられたジュンは、まるで処刑台に登らされ、じっくりと女たちにいたぶられていく。 彩乃「ほらほら、さっきから点取れてないよ?少しは反撃してくれないと。」 彩乃の言葉に発奮したジュンは諦めずにスパイクを打ち込んでいく。しかしまたしても葵のブロックに叩き落とされる。 女子3「北山くん、頑張れ!」 女子4「負けるな〜w」 女子たちはすっかりジュンを嘲笑し、応援するようになっていた。 ジュンたち男子チームは、彩乃たちに負けると、一度Bコートに落ちて、そこで勝利し再びAコートの彼女たちに挑戦するということを繰り返していた。 彩乃「またうちらの圧勝ね。出直しておいで。男子君たち。」 彩乃「また女の子に負けにきた?懲りないね。ゾンビみたいw」 その度に、ジュンは彩乃に馬鹿にされ屈辱感に苛まれる。 しかし、悔しいことに、ジュンたちがどんなに頑張っても彼女たちには勝てなかった。 ジュンたち男子チームの前田涼太もレシーブやトスが上達し、3番手以下のチームとの差は広がったが、彩乃や澪の上達はそれ以上で彼女たちとの差は開く一方だ。 結局、ジュンと彩乃のチームはそれ以外のチームと比べると頭一つ抜けた存在となっていった。しかしその事で両チームがAコート専属となった。これは彩乃が体育教師の菅原祐美に提案したからだ。 祐美は部活でこそ女子バレー部を徹底的にしごいているが、体育の時は比較的生徒の意見をしっかり聞こうとする。 また彼女は今回の授業では運動の苦手な生徒たちにバレーの楽しさを伝えたいと思っていたから、主にEコートから抜け出せないチームにバレーを教えていた。 そのため彩乃の提案をすんなり受け入れた。 しかし男子バレー部であるジュンにも、一応確認を取ろうとする。 祐美「北山君たちもずっとAコートで構わない?だいぶ彼女たちに手こずってるみたいだけど。」 ジュン「は…はい…。」 祐美「辛かったら、辛いって言ってもいいんだよ。」 ジュン「いえ、大丈夫です!」 祐美「じゃあ行っておいで。女の子には負けないんだってところ、見せてよ。君は男子バレー部なんだから。」 (ごめんね北山君…) 祐美は心の中で呟いた。 彼女は今のジュンでは、彩乃や葵のいる女子チームに勝てない事はわかっていた。でもあえて心を鬼にして彼に発破をかけを送り出したのだ。 (センスは悪くない。もっと強くなって貰わないと…。) 祐美はジュンの事を評価していた。ただしそれはバレー選手としてではなく、女子バレー部の練習台としてだった。成長した彼をいずれゆかりや祥子のいい練習道具として扱うのが彼女の中でのジュンの育成プランだ。 彼女自身、強豪体育大学の女子バレー部出身であり、数多くの男子チームと試合を重ねた過去がある。彼らは技術的・精神的には未熟な存在であったが、身長や筋力では優れていたため、いい練習台になった。 祐美はそんな男子選手たちを踏み台としてきたからこそ強くなれたと思うのと同時に、もっと優秀な男子がいればさらに強くなれたのにとの思いもあった。 優秀で従順な男子の育成…。それが彼女の目指すものだった。 (さあ成長しておいで…。強くなれたら、うちの女子エースたちのエサにしてあげるから。) 祐美は絶望的な戦いに臨むジュンを見つめながらそう思った。