最近の先生はどこか怖い。痛みのある技を執拗にしかけて俺を弄んでいるかの様だ。 今日も寝技の稽古で皆がいる中、俺を指名して集中的にやられた。まだ教わってもいないしされたこともない腕拉ぎ十字固め。プロレスでも見ることがあるメジャーな関節技。これを何度も何度もかけてくる。 「ああっぐわぁ!」 道場に俺の悲鳴。先輩達も乱取りをとめて固唾を飲んでいる。ジンジンする痛みが腕を支配する。 「も、もうやめて先生…」 「珍しく弱音を吐いたな皆本。お前が必死に取り組む姿を見て先生が人肌脱いでやってるんだ。もう少し付き合ってやる」 「腕が…腕が痛いんです…苦しいんです。おねがいしま…」 言い終える前に今までよりも強烈な痛み。周囲の部員にも聞こえそうな「ゴリっ」という感触。 「うがぁっ!!」 「柔道はな、技を受けて強くなるんだ。弱音を吐いてる暇があったらどうやって抜けるか頭を使え。体を動かせ!」 「う、うえぇ…えぇ…、はぃ…」 また頬を涙がながれる。涙だけでなく股間に温かい感触。どうやら痛みで失禁をしてしまった。恥ずかしいというよりもなんか悔しくて泣いていると先輩方が起こしてくれて、畳の小便を掃除してくれている。 「大丈夫か?」 「は、ふぁい、らいじょうぶれす…」 嗚咽するほど泣いてしまっている俺の柔道着を脱がせて洗濯機へ入れてくれる。丸裸で立ちすくんでる俺の背中を先輩が撫でながら 「俺もやられた事ある。先生の時代はああやって技を体得してた世代なんだとよ。でも手加減なしでやってくれてるんだ。がんばれよ」 「…」 いつの間にか腕の痛みも鎮まり、嗚咽もおさまっている。裸のまま先生に一礼、なんか明日も頑張ろうという思いが湧いてきた。
noda-kun
2020-05-09 08:35:21 +0000 UTC