「お前らってさー、なんでそんな一緒にいんの」
高校時代の、どうでもいいような昼下がりのひと時。つるんでた同級生の一人が尋ねてきた質問に、俺は面食らう。
「なんで、って……」
意図が汲めず、縋るように振り向くも、当の猫は弁当後の昼寝の最中だった。いつもそうだ。お前みたいに授業中寝たくないから、と戒められてしまったのを覚えている。
「いやだって俺ら……幼馴染だし」
「つってもさぁ、そんなに仲良いのも変じゃん」
「えっ」
「だよなー、普通はそこまで関わんねーわ」
へらへらと笑いながら、周囲の奴らは口々に俺たちの奇怪さを論っていく。幼馴染であっても、親友であっても、そんなにべったりなのはおかしいと。高校生にもなって、男同士登下校まで連れ立ってるのは度が過ぎてると。
なんだか嫌になってきて、俺は「だよなー」と笑った。訳が分からなかった。この生温い空気も、面白がっている奴らも、何もかも。
だって、俺は知らない。この猫の隣以外の生き方を。気付いたら俺たちは隣り合わせで、それが当たり前で、ごく自然なことだった。
周りの常識とか知らない。知ってても、どうだっていい。俺たちの関係に、名前なんかなくたって構わない。誰かが名前を付けたがってるんなら、好きにすればいい。
真昼の、少し浮ついた教室。寝惚けた脳内のような緩慢の中で、静かに俺のシャツを引っ張った猫の手の微熱だけが確かに背中に焼き付いて。
……遠い昔、いつかの秋のことだった。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
先行公開はここまでとなります。
全編については後日の投稿をお待ちください。
※全編では先行公開と描写の差異がある可能性があります。
あらかじめご了承ください。