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あいつとシェアハウス 46 ~序盤先行公開~

「では次、赤木くん」


「…………」


 気付けば薄暗がりの中にいた。雑多で真っ白な部屋。棚に入りきらなかった資料や書籍が、所狭しと積み重なって空間を圧迫してる。そのせいか、なんだか息苦しい。


「……赤木くん?」


「…………」


 小さく唸る機械の駆動音が、鼓膜を上滑りしている。プロジェクターから放たれた淡い光が時折明滅して、途切れ途切れながら視界が暗闇になる。なんだろう、眩暈みたいだ。雨の日のあの、空がひび割れたような声が響いて――。


「――おい、赤木」


「あ……いって」


 脳天に痛みが走る。誰かに叩かれたらしい。我に返った途端、覗き込んできた坂東先輩の顔つきを見て、瞬時に状況を把握した。慌てて自分の資料をひん掴んだところで、教授の強面がこちらを睨みつける。


「大丈夫かな、赤木くん」


「あ、は、はい」


 声を裏返らせながら立ち上がれば、全員の視線がこちらに集まってきた。心なしか笑いも聞こえる。半笑いで誤魔化すも、居心地の悪さは背筋を撫で回してきて。発表の場に立つと、その違和感は更に強みを増して。


「では、よろしく」


 教授の合図で、俺は資料を開く。教授は相変わらずよく分からない表情だったが、坂東先輩はどこか険しい眼差しでこちらを見据えていた。


「えーと、それでは……」


 たどたどしくも口を開く。薄暗がりの中、淡い光で目が眩んでいく。資料を捲る度、言葉を発す度、視界が歪んでいく。やがて誰の顔も見えなくなって、ただひとり世界に取り残されていく。


「そんで……あの」


 段々と、脳裏にある言葉も尽きてきて。懸命に絞り出そうにも、どうしても狼の声が思考回路を遮ってくる。去っていく夏が、残り香を捨てていったあの日。騒がしい雨足の、疎らな駅前の広場で、俺の耳を劈いたあの声が……今も、まだ。


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 先行公開はここまでとなります。

 全編については後日の投稿をお待ちください。


 ※全編では先行公開と描写の差異がある可能性があります。

  あらかじめご了承ください。

あいつとシェアハウス 46 ~序盤先行公開~

Comments

46話先行公開お疲れ様です。 大智くんは善ちゃんへの気持ちの中で一番重要な「一緒に居たい」という気持ちをあれこれと理由を付けて見て見ぬふりをしていると思うんです。前々回の梓馬の言葉を受けて、大智くんが自分はどういう感情を善ちゃんへ抱いているかが今回でわかると思うので、それを楽しみに更新を待とうと思います。 最後に、最近寒くなってきましたので日永さんもお体に気を付けてお過ごしください。


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