「八幡くん、私たちは今の関係にもっと危機感を持つべきだと思うの」
10月のとある土曜日の午後。雪乃のマンションにお家デートに向かうと雪乃は何故かスーツ姿で俺を待っていた。そして、訳の分からないことを述べたのだった。
「ええと……危機感って何のことだ?」
「私たちの関係がいつまでも安泰としていられると思ったら大きな間違いということよ」
「どういうことだ?」
雪乃は勿体ぶるばかりで彼女の言葉は要領を得ない。でも、彼女は真剣だった。
「社会人になったら、私は突然アラスカ支社行きを命じられるかもしれないわ」
「何故アラスカ?」
雪ノ下建設はそんな手広く商売をやっているのだろうか?
スーツ姿なのも社会人という単語に熱を篭めたかったからなんだろう。
でも、そこが問題じゃなかった。
「まあ、アラスカ行きはないでしょうけど」
「だよなあ……」
「私たちは学生結婚する予定なのだから。私は貴方の赴任先がどこであろうと付いて行くだけだわ」
雪乃はちょっとドヤ顔を浮かべながら照れ笑いを浮かべてみせた。
「色々とツッコミたい部分はあるが……俺は一体どこに飛ばされるんだろうか?」
雪ノ下家関連企業に入社したら、とんでもないところに飛ばされそうな。そんな予感がした。せめて日本のアニメがストリーミングできる環境であってほしい……
「でも、雪ノ下はとてもえげつない家よ。私と貴方を引き離す為に私に突然留学を命じてくる可能性はあるわ。例えばアラスカとかっ!」
「だから何故にアラスカ?」
涼宮ハルヒで朝倉涼子がカナダに転校しましたと先生が生徒たちに告げたぐらいに唐突で意味が分からない展開だ。
「とにかく、私たちはいつ強引に引き裂かれるか分からない不安定な環境の中で愛を育んでいるということが問題なのよ」
「最初からそう言ってもらった方が分かり易かったんだが……」
千葉県一の才女の考えることは凡人にはちょっと分かり辛い。
「2人が理不尽に離されない為には絶対に離れずに済む関係。すなわち、今すぐにでも結婚するしかないのよっ!」
「…………なるほど。結婚、か」
雪乃が何を言いたいのかようやく分かった。だが、分かったところで解けない謎はある。
「ええと……学生結婚というか社会的、経済的基盤ができるまでは籍を入れないと言っていたのは雪乃の方だったと思うんだが……」
Free!婚の世の中で高校生夫婦なんて珍しくない。JS妻だって普通にいる。結婚への敷居が下った世の中だが、根が真面目な彼女は結婚というものにちゃんとした形と土台を求めてきた。正式な結婚は俺が社会人になってから。そう言ってきた。けれど、今日の彼女はこれまでと話を変えてきた。
「本城寺莉香さん(CV:早見沙織)の事例が私に教えてくれたのよ。結婚という体裁を取らないと守れない生活、幸せというものがあると」
「その言い方だとなんだか、愛のない結婚みたいに聞こえるんだが?」
「本城寺さんの血痕のお相手は、フルネームも年齢もよく知らない男性だから愛を育むのは婚約発表してからということになるわね」
雪乃は澄んだ瞳で堂々と語ってみせた。
「結婚は数年後と思っていたけれど、考えを改めたわ。私は今すぐにでも貴方と結婚して比企谷雪乃になる。そして、アラスカ行きを阻止するのよ」
「いや、だから何故にアラスカ……」
言葉の意味はよく分からんが、雪乃は本城寺という社会人との出会いを通じて今すぐにでも結婚することの重要性に気付いたらしい。
俺としては雪乃と結婚するのは決まりだ。ただ──
「雪乃のことは嫁にもらうことは心に決めている」
「そう言ってもらえると嬉しいわ♡」
雪乃が満面の笑みを浮かべて、俺としては心苦しくなった。
「けど、前の雪乃が言っていた通りに俺が社会人になってからの方が……」
遠回しに結婚は数年後。そう述べると雪乃はあからさまに膨れてみせた。
「高校生夫婦になれば平塚先生の逆鱗に触れて2人とも退学処分にされるかもしれない。でも、大丈夫。雪ノ下家の関連企業で貴方はいつでも受けいれてもらえるわ♡」
「社長令嬢の夫、だからな……」
無理やり雪ノ下グループの関連企業に入社させられる俺。爆弾を押し付けられて鬱陶しがる勤め先。針の筵の毎日なのはあまりにも容易に想像できる……
「でも、そうやって雪乃のご両親の力で入社してしまうと……俺たち、ご両親の言いなりになるしかないんじゃ?」
会社内で居場所はなく、家(雪ノ下邸)に戻ればもっと居場所がない。俺の胃袋、大変なことにしかならないだろう。
「そうね。あの2人のことだから、私たちから反抗の牙を抜く為にアラスカ行きを命じるぐらいはするでしょうね」
「やっぱりアラスカなのか……」
「でも、大丈夫♡」
雪乃は微笑んでみせた。両親に逆らってアラスカ入りしないで済む方法でもあるのだろうか?
「住めば都という諺があるわ。私は、貴方と一緒なら極寒の地でも天国よ♡」
雪乃の覚悟の決まり方はとんでもないものだった。
でも、それに流されてはならない。俺と雪乃の幸せな結婚の為には好ましくないルートなのだから。
「八幡くんは今日の入籍に反対の様ね」
俺の不服が顔に出ていたらしい。にしてもだ。今日の入籍って、話が更に進んでいる。絶対に受け入れるわけにはいかない。
「仕方ないわね。貴方には何としてでも私との結婚を認めさせてやるわっ!」
雪乃はスーツを大胆に脱ぎ捨てた。その下から出てきたのは……セーラー服だった。
「そっ、そのセーラー服は……疑似ハーレムの七倉凛(CV:早見沙織)か」
一人で幾つものキャラを使い分けて大好きな先輩の気を惹いた七倉凛。同じ声仲間の雪乃は当然その能力もコピーしていた。
「その通りだよ……八幡お兄ちゃん。雪乃と今すぐ結婚して♡」
雪乃は甘えんぼちゃんになりきってみせて俺におねだりしてきた。
シスコンである俺は妹キャラに弱い。小町もけーちゃんも大好きだ。
でも、雪乃の妹キャラは別格だ。元々本当に妹だしな。
欲情を止める術なんて俺は持っていなかった。
「甘えんぼゆきのんちゃん……可愛いぞぉおおおおおおおおぉっ!!」
雪乃をお姫さま抱っこして彼女の寝室へと運ぶ。そっとベッドに寝かせるとセーラー服を荒っぽく脱がしていく。そして──
「今日のお兄ちゃん……いつもより激しいよぉおおおおおおおおおおぉっ♡♡」
甘えんぼちゃんツインテールゆきのんの柔肉を心ゆくまで堪能させてもらったのだった。
「こんなにいっぱい出しちゃって♡ 赤ちゃんデキちゃったら、絶対に結婚してもらうんだからね。お兄ちゃん♡♡」
アソコから精液をいっぱいに垂れ流しながら微笑んでみせる雪乃。
俺と雪乃の結婚はいつになるか分からない。明日かもしれないし、数年後かもしれない。
それが本日の結論だった。