*モザイク処理で非公開措置になったので、該当イラストを修正して再アップします
SS かぐや様 ラブ探偵チカ
2学期が始まってまだ間もないある日の放課後の秀知院学園生徒会室での出来事。
「クンクンクン。この部屋、何か変な臭いがしますねえ」
生徒会書記の藤原千花が鼻をひくひくさせながら室内を嗅ぎ回り始めた。
「この臭い、ちょっと尋常じゃありませんね」
千花は目を瞑って嗅覚を研ぎ澄ませながら結論を下した。
彼女の反応に白銀御行、かぐや夫婦。石上優、伊井野ミコカップルは大きく顔を背けた。
4人には思い当たる節があったが、口には出せなかった。
「この臭い、ラブコメ臭に似ていますが、違います。この臭いが何なのか。その謎をラブ探偵チカが解き明かしてみせますよ♪」
千花は赤いベレー帽を被って、巷で噂のラブ探偵チカとなってみせた。
ラブ探偵の瞳は謎を前にして輝いていた。
一方で御行たちは全く彼女を見ようとはしなかった。
「まず、私が嗅いだことがないこの臭いがどこから発せられているのか。発生源を確かめてみることにしましょう♪」
ラブ探偵は四つん這いになって犬の様に鼻をクンクンと音を鳴らしながら臭いが強く放たれている場所を探し始めた。
残りの4名はラブ探偵の行動を全身をガタガタと震わせながら見守っていた。
「どうやら、このソファが発生源の一つで間違いありませんね。この臭い……イカ? スルメみたいな臭いが漂ってきますよっ!」
臭いの発生源の一つを確かめたラブ探偵はドヤ顔を浮かべていた。
場所を特定されて、石上とミコのカップルが180度身体ごとチカから背けた。
「あそこって……私たちが昨日、えっちした場所だよね?」
「ああ。昨日の放課後に、ミコにパイズリフェラしてもらった場所だね」
「優のおちんちんが喉の奥にまで入り込んじゃって。涙が出て大変だったよぉ」
ソファは昨日の放課後に、石上とミコがセックスした場所だった。
普段はやらないソファに寝た姿勢でのパイズリとフェラチオの合わせサービス。ミコは優に少しでも気持ち良くなって欲しい一心だった。
けれど、体勢的に無理があった。優が口の中に吐き出した精液が鼻の奥まで入ってしまい、ミコは全てを吐き出してしまった。
その結果、石上が出した精液はソファに撒き散らかってしまった。石上たちは精液がもろにソファを汚してしまったことに気が付いていた。だが、セックスの続きに夢中になってしまい、掃除はきちんとはなされなかった。ソファに張り付いた精液は、2人が愛し合った愛液やその他体液が合わさることで更に強烈な臭いとなってしまった。
生徒会メンバーで唯一男女交際の経験がないラブ探偵。彼女は臭いの発生源は突き止められても、その臭いが何なのかまでは分からなかった。
「クンクン。もう一か所、これと同じ臭いを放っているところがありますね。クンクン」
ラブ探偵はまた鼻をかき鳴らしながらまた動き出した。そして今度は御行が普段使っている生徒会長の机のところへとやって来た。
「クンクン。この机の上から先ほどと同じ臭いがしますね。クンクン。間違いありません」
ラブ探偵は机の上を指差してみせた。
今度は白銀夫婦が完全にそっぽを向く番だった。
「御行さん……あそこは……」
「今日の昼休みに、俺たちが愛し合った場所だな」
白銀夫婦は俯いてしまった。
夫婦のこそこそ話の通りに、生徒会長机は3時間ほど前に白銀夫婦が愛し合っていた場所だった。
高校生夫婦は昼休みの時間いっぱい愛し合うことに熱中していた。そのせいで後片付けが半端に終わってしまい、ラブ探偵に嗅ぎ付けられてしまったのだった。
「クンクン。発生源は分かりましたけど、臭い自体が何なのかまでは分かりませんね。科学班を呼んで……ううん、警察を呼んでこの臭いを分析してもらいましょう♪」
ラブ探偵は、メガネを掛けた探偵少年を頭に思い描きながら警察の鑑識を呼ぶ展開を妄想していた。
事件性がなければちょっとした異臭ぐらいで警察が来るわけがない。だが、そんな単純なことを後ろめたい4人は失念してしまっていた。
「警察を呼ばれてしまったら私たち、どうなるんでしょうか?」
「刑事事件にはならないだろうが……学校内での不純異性交遊、というか性交渉がバレれば無期停学。いや、自主退学に追い込まれるのは間違いないだろうな。生徒会役員だしな」
「優と高校生活を送れるのも今日で終わりなんだね……」
「学生でなくなっても僕はミコと一緒にいるから。いや、これを契機に僕たちも関係をちゃんとしよう」
4人は既に学校を去る方向で自分たちの明日を思い描いていた。
「では、この臭いの正体は何なのか。そして、誰が付けたのか調べる為に警察を……」
「フッ。それには及ばないわ」
ラブ探偵が警察に電話を掛けようとした直前に生徒会室の扉が開いた。1人の女生徒がゆっくりと歩いて中へと入ってきた。女子生徒は目元を隠すマスクを付けていた。
「かっ、柏木、さんっ!?」
かぐやは驚きながら呟いた。正体はバレバレだった。
「なっ、何者なんですか、あなたはっ!?」
ラブ探偵は驚愕の表情を浮かべていた。少女の正体についてまるで分からないでいた。
「私の名前は。そうね……ラブファントムとでも名乗っておきましょう」
ラブファントムは挑発的な表情を浮かべながらラブ探偵に名乗ってみせた。
「ラブファントムっ!? 名前からして明らかにラブ探偵のライバルの怪盗なんですね!」
ラブ探偵は瞳を輝かせた。
「ライバル? あなたに、その実力があればそうなるかもしれないわね」
ラブファントムは含みを篭めた笑みを発してみせた。
突然のライバル怪盗の登場にラブ探偵は楽しくて仕方がない。そして、あることに気が付いて驚愕の表情を浮かべた。
「私の捜査の最中にあなたが現れたということは……この臭いは、まさかっ!」
「そうよ。私が、あなたへの挑戦状の代わりにこの部屋に付けておいたラブファントムスメルよっ!」
ラブファントムは、一連の臭いの犯人が自分であることを認めてみせた。
「やっぱり、そうだったんですねっ!」
ラブ探偵は犯人に辿り着いて最高にキラキラ輝いてみせた。
「えっと……この茶番は一体、何なのでしょうか?」
「よく分からんが、柏木が俺たちに助け舟を出してくれたんじゃないか?」
真犯人の4人は戸惑っていた。だが、ラブファントムが罪を被ってラブ探偵の気を惹いてくれていることだけは理解していたので邪魔はしなかった。
「挨拶は済んだので、私はこれで失礼するわ。ごきげんよう、自称私のライバルさん」
ラブファントムは生徒会室を出て扉を閉めて行った。
ラブ探偵は彼女を追わずに天井を見上げて自分に浸っていた。
「探偵モノと言えばライバルの存在が不可欠。ついに、私にもライバル怪盗が現れたんですよ~♡♡」
異臭騒ぎとか警察を呼ぶとかどうでも良くなっていた。
両手を握り締めて喜びを噛み締めていた。
「さて、生徒会室の掃除をするか」
「そうですね」
「セックスに没頭しても、後片付けを忘れたら駄目ですね」
「えっちする前にバケツとモップと布巾と準備しておかないと駄目だね」
4人は掃除を始めてラブファントムスメルを消して回ったのだった。
秀知院学園生徒会は今日も平和だった。
了