SS かぐや様 白銀圭 難題
選挙で圧倒的勝利し、藤原萌葉と和解を果たした白銀圭は秀知院学園中等部生徒会長に就任した。
圭は元々人の上に立つのは得意ではなかった。だが、白銀家の経済状態を鑑みて奨学金を受け取る必要がある。その為には生徒会長に就任して更なる実績を挙げるしかなかった。だが、その道のりは圭が思っていた以上に茨の道だった。
「圭が就任して早々に悪いんだけどさ。今から何か対外生徒会行事を企画したとしても、それが実際に行われるのはどんなに急いでも次の生徒会長選挙後になるわよ」
「へっ?」
副会長に就任した萌葉の一言は圭の目を点にするものだった。
「だって、そうでしょ。まず、学校側に企画を認めさせないといけない。でも、生徒会からのイベント提案の是非を巡る職員会議なんて1、2か月に1度しか開かれない。それも1度でオーケーが出る可能性なんて低いからそれだけで何か月も掛かるわよ」
「緊急会議を開いて一度で決めてもらうとか……」
「生徒会提案の新イベントなんて緊急性は皆無でしょ。逆に秀知院の格に相応しいイベントなのか細かい審査、というか、保守的な先生方は新規イベントなんて認めたがらないから時間は物凄い掛かるわよ」
「漫画や小説みたいに新規イベント開催に学校側が積極的なんてないか……」
「秀知院学園だもの。それに、外との打ち合わせも時間がもの凄く掛かるわよ。例えば、地域密着型イベントでどこかの町会とコラボすれば、向こうの1、2か月に1度の頻度の集会に何度も出席する必要もあるだろうし。結局来年の話になるんじゃないかしらね」
萌葉の説明は、半年という非常に短い期間で対外イベント実績を挙げろというのが如何に無謀な要求であるか示すものだった。
「高校生徒会ならある程度の自由裁量権があるから小規模な対外行事も短期間に実施できるかもしれないけど……中等部ではまず無理ね。権限が元からないもの」
「じゃあ、実績を挙げることはできない……奨学金が受け取れなくなったらこの学校ともサヨウナラ、かあ……」
圭は目に見えて落ち込んでいた。そんな彼女を見て萌葉は助け舟を出すことにした。
「生徒会が企画する新規イベント開催が無理だって言っているだけで、実績を挙げることができないなんて言ってないわよ」
「どういうこと?」
「人様のイベントに便乗しちゃえば良いってことよ」
萌葉はウィンクしてみせた。
「誰かが企画しているイベントに秀知院学園中等部生徒会として招かれる。そこで、ただのゲストに留まらない活躍を見せれば秀知院の名を広めたとして奨学金受給の要件も満たすことになるでしょ」
「なるほど」
圭は大きく頷いて見せた。そして改めて考えてみた。
「どんなイベントでどんな活躍を見せれば良いの?」
萌葉の提案には具体的な部分が存在していないことに気が付いた。だが、具体化しなかったことにはそれなりの事情があった。
「そこは圭が考えて、売り込んで、実行していくしかないでしょ。中学の生徒会が招かれて、それも実績と呼べるような何かを得られるイベントなんて私にも分からないもの」
「…………だよねえ」
圭は唸り声を上げてみせた。
結局、生徒会がイベントを起こすにしても、誰かのイベントに乗るにしても圭がデザインしてフットワーク軽く動いて決めて行かないといけない。自分から積極的に動くことが苦手な彼女にとっては何にせよ難題だった。
***
「それで、圭ちゃんはどうしたら良いのか悩んでいるわけだ」
「あああっ♡ そう。考えが全然浮かんで来なくって……ああああああっ♡」
帰宅後、圭は実は血が繋がっていなかった兄夫とセックスしながら生徒会室内での出来事を話していた。帰宅してもアイディアは何も出ないままだった。
「ゲストとして招かれる云々は後にして、まずは中学生でも参加できるイベントにどんなものがあるかリサーチだな。その中で学校の名を挙げるのにプラスになるものが何なのか絞り込んでいくんだ」
「そうだよね。あああああああっ♡ 私や萌葉が参加できるイベントを絞り込んでいかないと絵に描いたモチにしかならないもんね」
圭はアルバイトを決める大変さを思い出しながら首をコクンと縦に振ってみせた。
中学生である圭は年齢制限で一般的なアルバイトはできない。新聞配達を限定的に行っている訳だが、そこに辿り着くまでには様々な紆余曲折が存在した。
アルバイトに限った話ではない。まだ義務教育の中学生という身分には様々な制約が課せられている。何かに参加を望んでも、願った展開には何事もなり難い。圭はそれを嫌という程によく知っていた。
「俺も手伝うからさ。圭ちゃんもいっぱいアンテナを張り巡らせて最善のイベントってヤツを見つけて行こうぜ」
「…………うん♡ ふぁああああああああああああああぁっ♡」
話し合いがひと段落し、安心した圭は激しくイってみせたのだった。
萌葉、御行との会話を経て、圭は秀知院学園中等部生徒会として参加できるイベントを探し始めたのだった。