SS かぐや様 柏木渚 良い雰囲気の作り方
「柏木さんは普段、どうやって恋人と良い雰囲気に持っていってるんですか?」
ある初夏の放課後の生徒会室近くの廊下。四宮かぐやからの質問に柏木渚は首を捻るしかなかった。
「そういうこと、あまり考えたことがないかなあ……」
渚には思い当たる節がなかった。
恋人である田沼翼とは気がつけばイチャイチャしていた。そこに特定のプロセスがあると考えたことがなかった。
「誰にも邪魔されないシチュエーションかなって合意が得られたら。後は自然な成り行きでキスしたりとか……」
渚は途中で口を噤んだ。
校内でキス以上の淫行に及んだことがある事実を、それも複数回ある事実を生徒会副会長の前で堂々と述べるわけにはいかなかった。
「なるほど。デフォルトの状態がいやらしい雰囲気に既になっていて。TPOがリミッターとして働いているわけね」
かぐやは失礼にして的確な分析をしてみせた。
「別にそんな、翼くんはいつも下半身だけで生きてるわけじゃ……」
渚は喋りながら昨日の恋人の言動を思い出してみた。
放課後、勉強会と称して彼の部屋を訪れた。勉強したのは保健体育の子どもの作り方の実技だけだった。
『…………渚、中に出すよっ!』
『…………うん』
渚は本当は外に出して欲しかった。可能性は低いとはいえ妊娠の可能性は捨てきれない。けれど、流され易い彼女は恋人の願いを断ることができなかった。
『あぁああああああああああああああああぁっ♡♡』
膣内にいっぱいに精液を浴びながら、満足げな恋人の顔を見て、これで良いのかなと思ってしまう。まだ高校生であることから避妊に強く意識を傾けなければならないことは明白。けれど、それを強く主張することができない。恋人の満足を優先させてしまう。
翼は、セックスしていない時は避妊に対する意識がとても高い。代々医者の家系だけあって知識も豊富。けれど、実際にセックスに突入してしまうと豹変してしまう。コンドームを装着するだけの余裕を持てない。気持ち良さに負けて膣内射精を敢行してしまう。
そんな意志薄弱な彼の行動を渚は容認していた。
『……将来やりたいことがあるわけでもないし。大きな病院の院長の奥さんの地位なら十分すぎるよね……』
射精を終えた翼が賢者タイムを迎える横で、子宮内が熱くなっているのを感じながら渚は自分を納得させようとしていた。
そして、これで終わらないのが渚という少女の真骨頂、或いは似た者同士という点だった。
『……膣内射精、されちゃったんだし。一度も二度も変わらないよね』
渚は満足げな表情で眠りに就こうとしている恋人の腰の上に跨ってみせた。
『火が、点いちゃったの……今度は、私が翼くんを満足させてあげるから♡』
渚は慣れた手つきでペニスを握って誘導し、膣内へと収めていった。亀頭が子宮口に届いたのを感触で確認するとリズミカルに動き始めた。
『ああっ♡ あああっ♡ 翼くんのおちんちん……気持ち良いよぉ~♡』
渚は翼の腰の上で上下動を繰り返しながら快楽に浸っていた。
彼女は翼よりも性欲が遥かに強かった。誘うのは翼からの方が多い。けれど、性欲と愛情が燃え上がってしまい、セックスを続ける選択肢を打ち出すのはいつも渚の方だった。
渚は自分を“オンナ”にしたペニスの感触に没頭していた。肉襞を擦られる度に生み出される快楽に酔い痴れていた。
興奮の最中にいる渚から激しく与えられる快楽に翼が抗えるわけもない。二度目の射精もすぐにその時がやって来た。
『渚……もう……』
『今日はもうお腹の中に出しちゃったんだし。今更避妊なんて遅いって♪』
今度は渚が気にしない番だった。
腰を振る渚の勢いは衰えることなく、翼は引き抜くこともできないまま渚の体内に本日2度目の射精を放った。
そして、2度のセックスを終えても渚はまだ満足しなかった。
『翼くん……私が、元気にしてあげるね』
渚は翼のペニスを両手に持って擦ったり揉んだりした。
翼は性欲が強い方ではない。2度が限度な筈の少年だった。けれど、愛する恋人の手に文字通り掛かればその限界は突破される。
数分後、翼のイチモツは硬さと太さを取り戻していた。
『翼くんに……もっと、サービスしちゃうね♡』
渚はペニスを咥え込むと再びダイナミックに腰を振り出した。
結局昨日は、4度の膣内射精で“勉強会”は終了したのだった。
「……愛しい人とは自然と愛情を交わしたい雰囲気になるって私は思うのよ」
セックスしかしなかった昨日の放課後を思い出しながら渚は適当に話を締めることにした。上手い口上を考えられそうになかった。
「ハァ。そういうものですか……」
「かぐやさんは頭で考え過ぎちゃうからなかなか動けないのよ……それじゃあ、私は用があるのでこれで」
生徒会室を前にして渚は踵を返した。
「あっ、はい。ごきげんよう……」
見送るかぐやと別れて特に行く当てもない歩行を続ける。
「翼くんは今日委員会だし。これからどうしようかなあ?」
翼に会えないから生徒会室でかぐやとお茶をしながら時間を潰す予定だった。けれど、かぐやの話が敏感な問題に切り込んでくるものだったのでそれも回避した。
自分一人になってしまうとどうにも間が保たない。積極的にやりたいことが何も思い浮かばない。
翼とセックスに非常に強い執着を抱きつつも主体性に欠ける少女。それが、柏木渚というかぐやの数少ない友人の一人だった。