*今期アニメ終了時期なので、しばらく予定を変えて今期放送アニメSSを優先的にアップさせて頂きます
SS ゆるキャン△ 各務原なでしこ 進路相談
グビ姉こと鳥羽美波は生徒たちの進路相談を受け持つことになった。いきなり大勢の生徒を受け持つのは難しいだろうということで、学校の計らいによりとりあえず野クルメンバーの生徒たちを対象に疑似的に行ってみることになった。
最初の指導相手は各務原なでしこだった。まともな回答を期待した美波だったが、残念ながらその切なる想いが叶うことはなかった。
「各務原さんの希望進路は……『リンちゃんのお嫁さん』一択、なのでしょうか?」
なでしこは3つまで書ける希望進路を一つしか書いて来なかった。進学や就職ではなく家庭に入る。それも、人物が特定されていた。
「リンちゃんのお嫁さんになることが私の人生の夢であり必ず叶えないといけない目標でもあるんです」
なでしこは普段通りに明るい表情だったが、その声はいつになく意気込んでいた。
「ええと……就職や進学に関してはどう考えているのかしら?」
「リンちゃんのお嫁さんになれるのなら、大学に行くのも働くのもどちらでも良いです」
「どちらでも良いと言われても……」
美波の額から冷や汗が流れ落ちた。
高校の進路相談といえば、なでしこの言うどちらでも良いに纏わることがほぼ100%なのだから。
「高校在学中にリンちゃんのところにお嫁入りするのが人生の最大の目標です。お嫁入りした後で、リンちゃんが大学進学を希望するなら私も同じところを目指します。就職するなら、就職先の地の近くでアルバイトでも探します。リンちゃんが望むのなら専業主婦もアリです」
「…………志摩さん、責任重大ね……」
笑いながら希望の未来を語ってみせるなでしこに美波は汗が止まらない。もしメガネを掛けていたらバリーンしてしまいそうだった。
「あっ、でも、リンちゃんは子供好きなので……お嫁入りしたら、すぐにこのお腹にリンちゃんの娘が宿っちゃう気がするんです♪」
「在学中に娘が産まれたら……授業中は先生に赤ちゃんのお世話をお願いしますね♪」
「えっと、それは……ご実家の協力を仰がれた方が良いかと……」
美波は上手く受け答えできているのか自分がとても不安になってしまった。
「ええと……基本的な確認なんですけど……」
「はい、どうぞ」
満面の笑顔を浮かべるなでしこに美波は冷や汗を垂らしながら尋ねた。
「志摩さんのところにお嫁入りするのが目標ということは……志摩さんとはもう婚約を果たしている。結婚を前提とした恋人同士としてお付き合いをしている理解で良いんですよね?」
美波の前提確認に対してなでしこは笑顔のまま首を横に振ってみせた。
「私は何度もお嫁入りを訴えているんですけど、照れ屋のリンちゃんはなかなか首を縦に振ってくれなくて。でも、リンちゃんとは一緒に温泉に入って同じテントでお泊りする仲なので、プロポーズし続ければ、いつかはお嫁に貰ってもらえると思うんです♪」
「ええと……志摩さんは女性なので、女同士でお風呂に入っても、お泊りしても、男性に責任を取って結婚してもらう的な展開にはならないかと……」
「リンちゃんはこの学校で一番のイケメンなので大丈夫です♪」
なでしこはキラキラした瞳で断言してみせた。
「確かに……志摩さんがこの学校の関係者の中で一番のイケメンであることは間違いないと思いますが……」
「イケメンリンちゃんならきっと一緒にお風呂に入って寝た責任を取ってくれると思うんです♪ だから私は明日、ううん、今日にでもお嫁入りを果たしてみせますっ!」
なでしこは力強く断言してみせたのだった。
「…………そう、ですか。頑張って、くださいね……」
美波は呆然としながら肯定するしかなかった。
「早速、リンちゃんにお嫁に貰ってもらえるようにアプローチを仕掛けてきます♪ それじゃあ、失礼しますっ♡」
なでしこは元気よく進路指導室を出て行った。明るく希望に満ちた表情を浮かべていた。
「……生徒の進路の相談を受けるって、難しい……」
室内に一人残った美波は呆然としながら呟いたのだった。