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スライム娘の混ざり合い 2

「あ、ちょっと待っててね。機械の操作まだ途中だった……ちゃんとしないと、変身した後に戻れなくなるから」 「ちょっとあんた何言ってんの⁈」 私は思わず大声をあげた、頭が混乱しているのかもしれない。 それでも目の前で機械をいじり始める瑞樹は、きょとんとしたまま、 「や、だから、元に戻れなくなると困るから、きちんと元に戻れるように……」 「そこじゃない! いやそこもだけど! スライム⁈ スライムになるの私⁈」 「うん」 うんって…… 簡単に言ってくれるな。 「意味が分かんないんだけど! え、何、どういうこと⁈」 混乱の極致にいた私に、瑞樹はへらへらと笑いながら、 「大丈夫、意味が分からなくても体はちゃんと変化してくれるから、少しずつ溶けていくだろうから、体で覚えれば大丈夫だよ」 「だから、そういうことじゃなくて……ああ……」 呆れた。今に始まったことじゃないが、この瑞樹という友人には、いつも予想を飛び越えられてばかりだ。 こんな訳の分からない人間なのに天才で、そのうえなぜか私になついていることが本当に理解に苦しむ。 胸もおっきいし、見た目も童顔でモテるし……それに比べて私と言ったら、勉強こそ頑張ってきたけど、見た目も中身も所詮凡才、これといってとりえもなく、どうせこれからも……こほん、やめやめ。 落ち着いてきたのはよかったけど、嫉妬している場合じゃない。 「ねえ秋ちゃん。体に変化はない? 痛くない?」 瑞樹が心配そうに聞いてくる。心配するならそもそもこんな、人体じみたことをしないでほしいのだが、しかし状況が状況だ。 何かあった場合、この状況を打破できるのは瑞樹しかいない、こんな危ない実験だ、少々の異変も見逃せない。 「今のところ大丈夫だけど……うっ……!」 「秋ちゃん⁈」 唐突に体が熱くなってきた。どうやら変化が始まったらしい。明らかに感じたことのない種類の暑さが、私のおなかあたりから全身に広がってゆく。 「な、に、これっ……!」 声を出すこともおぼつかない。痛みこそないが、代わりに体がむずむずするというか、身体の構成が別のものに変わっていくような、えも知られぬ感覚を覚える。 どうにかしようと無意識に腕を伸ばした瞬間……その腕が、どろりと溶け落ちた。 「ひっ……! なにこれっ!」 思わず悲鳴を上げる私。当たり前だ。腕が溶けてまっとうな思考が保てるものか。 しかし、直後に瑞樹の能天気な声が聞こえてきた。 「あ、よかったよかった、ちゃんと作動してる!」 そういう問題じゃない! 「瑞樹、やめ、助け……!」 実際今までで経験のない感覚で、そして、頭がおかしくなるほどの恐怖に見舞われた私は、必死に瑞樹に助けを求めようとした。 しかし、最後まで言い終わることはできなかった。体の変化が起こりすぎて、声さえ出すことが叶わなくなったのだ。 「~~~~~!」 服から体が溶け落ちていく。緑色の粘液のような体として、ずるずると落ちていく私は、もはや人間のそれでは絶対になく。 (手が、声がっ! 嫌っ、嫌あッ!) 瑞樹のようにかわいらしさはないけれど、それでも女性として積み上げてきた、努力してきたスタイル、衣装。姿かたちが、あっという間にどろりと溶けて、失われていって。 最早恐怖で思考もまとまらず、悲鳴をあげようにも声すら出せず、ただただ緑色のスライムとして、どろりと溶けるほかにはなくて。怖ろしくも、不思議なまでに痛みはなく、若干気持ちよく感じてさえしまっていて。 そして、最後には……目も口も、身体のすべての部位が消え失せて、衣服だけを残し。私を証明する者のすべてを消し去って、あとには緑色の液体だけが、小刻みに震えていた。


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