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男の娘を作ってみよう ①

「んああああっ、こ、こらっ、どこを触って……あんっ、な、なにこれっ……やっ、やああっ……」 「フフッ、いいでしょう。僕の体も気持ちいいんですよ。例えば……これはどうです?」 「あ、やんっ、だめっ! そんなふうにしごかないでっ」 「ダメですよセンパイ。僕の体はこうやって先っぽのところを刺激して……」 「ひゃああああっ! あっ、ひゃあああっ、それ、だめっ、び、敏感だからっ、それ、ダメっ……ああああっ、やめてええっ!」 放課後の教室では、二人の女子が人目をはばからず絡み合っている。制服の上からお互いの体を触りあい、そして二人して甘い声を上げていた。 ただ、一つ訂正があるのは、片方の女子。それも、甘い声を積極的に出しながら悶えている側……彼女の股間には、女子ならまず生えていないものがあった。 男子に生えているはずのおちんちん……つまるところ、男性器である。 女装男子がそれなりに多いとされる富岳学園。 そこに在籍する夕と紅葉は、同じ部活に所属する先輩と後輩。 見た目はどこからどう見ても女性同士で、しっかり者の先輩夕と、面白いことが好きな後輩の紅葉。 だが、この学校の校風にももれず、後輩の紅葉は、どう考えても女の子なのに、女の子にしか見えないのに、その性別は男だった。 つまるところ、男の娘である。 夕よりも小柄。顔も大人っぽい優斗は違って少女のようにかわいらしく。この二人が並んで歩く姿は、それはそれは目の保養になっていて。 紅葉があちらこちらで暴れまわって、それを夕がいさめるといった関係も、最早この学園の名物のように思われており。 実際、正反対とすら思えるこの二人は、相性面で見ても、何一つ問題のない完璧な組み合わせだった。 「あ、そうだ先輩。僕、面白いもの手に入れたんです」 「……面白いもの?」 その日も紅葉は、廊下を歩きながら夕の周りをぐるぐると回りつつ、「そうでーす」と、笑いながら告げる。 「……」 いやな予感が夕の頭をめぐる。当然といえば当然だ。 学園屈指のトラブルメーカー。そんな紅葉が面白いものとして持ってくるもの。 どう考えてもろくなものじゃない。 「せっかくだから今回は、無差別に学校中を巻き込んで遊んでみたいなーと思ってるんです。この学園はみんなのものなんですから、みんなのものってことは僕のおもちゃってことですよねっ」 危険極まりないことを告げる紅葉。 「そういう危ないことを言うのはやめなさい。ああもう……」 分かっている。 このまま紅葉を暴走させれば、学校中に迷惑がかかる。 紅葉の監督役として、それだけは阻止せねばならない。 だから、夕は小さくため息をついて、 「……とりあえず、私のいる場所で、一人で試してみなさいな」 周りの生徒が被害にあわないように、今日も人知れず軌道修正に乗り込む。 だが、 「でも、一人じゃできないんですっ、一人でやっても効果がないというか……ん? でもセンパイがいるなら大丈夫か……」 「……え?」 突如、背筋がぞくりとする夕。 だが、最早気持ちよくしゃべりだした紅葉を止めることなど不可能であった。 「それじゃあ先輩! 今日の放課後、部室に集合してくださいっ……僕らオカルト研究会の新作……人格転移グミを試すときですっ!」 「なにそれ……うちはそもそも文学部だし……」 しかし、聞こえていないのは、はたまた聞く気がそもそもないのか、一切の迷いなく走り出す紅葉は、 「じゃあセンパイ、ちゃんと放課後来てくださいね! もし来なかったらその時は、センパイの代わりになりそうな実験体を適当に見繕って、無造作にグミを放り込んであんなことやこんなことをしちゃいますから!」 「……グミに何かがあるのはわかったわ。とりあえずちゃんと行くから、周りの人に迷惑をかけるのはやめなさい」 はーいっ、と、声だけは元気なものを返して、そのまま走り去っていく紅葉。 それを見ながら夕は、深い深いため息をついたのであった。


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