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アツアツのフライパン 中編

(あっ、やんッ、そこっ、握らないでっ……!) 「声は可愛いよなあ。お前」 (か、顔もかわいいって言いなさいよっ……ひゃああああああんっ) 「今はその顔もないんだけどな……そういういじらしいところは、案外嫌いじゃないよ」 (んッ、そ、そんな風にさわられながら言われてもっ、なんとも・・・・・っ!) 「そうか。まあ、いろいろやってやるよ」 (んあっ、あっ、あんっ、ダメ、それ、っ) 「んー?」 試しにデコピンの要領で、フライパンの底に軽く指をぶつけてみる。 パチン、と。 (ぴぎいっ⁈) 「ははっ、ぴぎいだって、流石にはじめて聞いたよ」 (ちょっと! いい加減にやめ……ぴぎいっ! ぴぎいいっ⁈) どうやら相当敏感な場所だったらしく、悲鳴に似た声が上がる。 しかしどうやら、苦痛を感じているわけではないらしく…… (んひいいっ! ひゃめつ、やめなさいっ、ひゃめてえええっ! ぴぎいいっ!) 「やめてくださいって、おねがいしてみてみ?」 (だれがそんなことっ、ひゃ、んッ……ひゃあああっ! そこ、ばかり、いじるなああっ……!) 悶える彼女の反応を楽しむ颯斗。 これでフライパンじゃなければなあと苦笑するが、これはこれで十分楽しかった。 「どこばかりなのかわかんないからなあ。実際声で判断するしかないんだわ。それなりに感じてるみたいだし、もうちょい強めに行っとくか?」 (待ってっ、やっ、やめ……んああああっ、はあっ、あああっ! はやと、だめ、っ、ダメええっ……!) プルプルと震えるフライパンは、まるで意識が宿っているかのように、痙攣を続ける。 「まあ、ほんとに宿ってるわけだからなあ……いや、ほんと。よくこんなもの土産屋で売ってたな。さっきの発言は撤回する。これは確かに面白いよ」 (んああああんっ! こんこんしながらいうなああっ) 「そんなに悶得ながら言われてもな。まあいいや。苦しいだろうし、そろそろ一度イカせてやるよ」 そういうと、指先でコツンコツンと、高い音が鳴るようにフライパンをつつく。 フライパンと化した美優は、自分が何をされるのかとっさに理解したが、遅かった。 (ま、待ってっ、これ以上されたらっ、ああっ、あんっ、あんっあああんっ! ま、まってはやとっ、あんっ、ああっ!) 「待たないっての。ほらほらっ」 (や、やめへえっ、こ、これ以上されたら、おかしくなるっ、モノ扱いされてモノにされちゃうっ、ふぁああっ、だめっ、やあああっ!) 人間体でも挙げたことのないような喘ぎ声に、しかし、颯斗は笑って、 「安心しろ。説明書は読んだ思考増も理解した。あとできちんと戻してやるから……今はただ、俺のフライパンとして悶えてろ」 そして、パンパンと、フライパンの表面を軽く手でたたき、 「ほら、はしたなく絶頂しとけ」 (ん、やっ……ふぁああああああっ⁈) びくん、と、まるで反り返るような反応を見せたフライパンは、くたっと、床に倒れこむようにして、それからしばらく動かなくなった。 そして、そんなフライパンを颯斗は、優しくいたわるように、しばらく撫で続けた。 (ハアッ、ハアッ……は、颯斗おおっ……ああんっ、颯斗っ……) 「よしよし、普段からこれくらいかわいげあれば文句ないんだけどな。とりあえずおとなしくしとこうなー」 器用に自身にすり寄るフライパンをなだめながら、颯斗はもう一度、説明書を確認する。 「ええとなになに、無機物と入れ替わってしまった時の対処は……ほう」 そして、説明書をきっちりと読み込んだ颯斗は、 「美優、まだ体うずくか?」 (うんっ、熱いのっ、からだうずくのおっ……) それは、普段の美優ではまず見せないような、でれでれに甘えた状態で。 それを受けた颯斗は、ちょっぴり苦笑して、 「よしよし、じゃあ大丈夫。元に戻してやるからなー」 徐々に熱をおびてきたフライパンに、軽く触れてみた。


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