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バレンタインを平等に! ①

「……ええと、だから、どういうこと?」 僕は、クラスメイトのみんなにかこまれて、びくびくしながらも、そう聞き返しました。 周りを見通すと、僕と同じように取り囲まれている人がいる様子。 ええと、浜辺君、古谷君、佐々木君……うん。 「あ、あのう……僕以外みんなイケメンの子たちばっかりだけど……あ、あの……」 僕以外は背も高いし、イケメン君だと思うよ。 びくびくしていると、取り囲んでいた人たちは、ちょっぴりだけ申し訳なさそうな顔をしました。 「いや、すまん。別に吉野を怖がらせるつもりはなかったんだ」 「ああ、吉野はあいつらとは違う」 「まったくだ。あいつらとお前は確かに同じ理由で集められたが、吉野に関して言えば、俺たちは敵視するというより、崇めなきゃならないんだから」 ええ……? どういうことなのか、さっぱりわかりません。 僕の名前は吉野亜紀。この男子校二年4組の、学級委員長をしています。 思ったことをそのまま語るので、ですます調だったりときどき砕けた言葉になるのは許してください。 さて、彼らと比較して、僕のステータスはというと。 背も低いし、顔も童顔で、確かに同じく取り囲まれた彼らとも違うんだけど…… 「あ、あの、どういうことなの?」 教えてほしいなあとお願いしてみると、とんでもない事実が明らかになりました。 「俺たちは思ったんだ。もうすぐバレンタインだ、と」 「う、うん……そうだね。バレンタインだね」 まあ、あと一週間ちょっとでバレンタインだ。 「俺たちは、なにがなんでもチョコが欲しい! 自分で買ったやつじゃない、女の子からのチョコだ!」 「……うん、そうだね、ほしいね。……でもうちは男子校だよ」 学級委員長として真実を告げる僕。しかし、当日ショックを受ける前に、伝えておかねばならない。 「他校に彼女がいるならともかく、そうでない人はあきらめるしかないよ。……誰のでもいいなら、僕が作ってあげてもいいけど」 男のチョコなんて欲しがるかなあ……いや、去年せがまれて作った時は不思議なほど売れたっけ。 しかし、それでは僕らを取り囲んだ理由が分かりません。 バレンタインデー前に発狂するのは男子高校のお決まりネタだけど、今目の前にいる彼らの目は、絶望というより、妙案を思いついた悪い顔に見えました。 「……そろそろ教えてくれないかな。僕と、あの、うちのクラスのイケメン四人は、一体どういう組み合わせで……?」 「去年のバレンタイン、最も多くチョコをもらったベストスリーと、みんなからの推薦一人が吉野だな。合計四人だ」 ……え? 「いやいやいやいや。推薦って……え、ちょっと待って、どうしてみんなそんな、いつくしむような眼で僕を見るの⁉ え、まって、凄く嫌な予感が……」 その予感は案外正しかったようでした。 周りを見ると、四人のイケメンが縄で縛られていて、彼らの周りには謎のお香がたかれていて。 「ええと、じゃあ。一応説明しとくぞ。モテないバレンタインは嫌だ。何が嫌って、モテる奴らは勝手に他校からチョコ貰って、俺たちは何も手に入らないのが無茶苦茶嫌だ。……そんな時だ。このお香をもらったのは、なあ?」 「ああ、そうだったな。女体化香と言ってな。文字通り肉体を女性のそれにするんだとよ。ただ、うちの野生児どもを片っ端から女体化させても、美少女なんて生まれやしないだろ? だから、去年のバレンタイン成績上位者。それから俺たちの投票で、吉野に女体化してもらうことになった」 「はあ⁉」 「あいつらはむかつくが女体化すれば絶対美形だし……あと、吉野が女の子になったらいいなあって、うちのクラスはみんな思ってたわけで……」 「思わないで⁉ ねえ、待って、みんな! 教室の鍵を閉めないでっ、あっ、こらっ!」 いつの間にか教室から抜け出していた彼らは、僕らが逃げさせないように、外側から必死にドアを閉めている。くっ、非力な僕にはどうにもできない、これ…… 教室に残された僕らはというと、 「ふざけんな! チョコが欲しいんなら買えばいいだろ!」 「そんなことしてるからモテないんだよ!」 「くそっ、なにが悲しくて女体化しないといけないんだ……うっ!」 悪態をついた佐々木君が最初に呻きだしました。お香を吸いすぎて、身体が変化を始めたようです。 その長身はそのまま、しかし、短めだった髪の毛はぐんぐんと伸びていき、野球部で鍛えた上半身は徐々に小さく、腰のあたりはどんどん細くなっていきます。対して胸とおしりの方はどんどんと大きくなっていき、それに合わせて、顔もどんどん可愛らしいものに変わっていきます。 「んあっ、な、なんだこれっ……体、熱い……っ」 呻く声も、徐々に甲高く、女の子のそれへと変わっていきます。 「い、嫌だぁッ……体、変わって……っ!」 「な、なんだこれっ、あ、あそこが、お、おれ、身体が、ああっ!」 古谷君や浜辺君も似たようなもので、同じように変化しています。ただ、バリエーションが若干違いました。 まず、古谷君ですが、クラスでも上位の長身はどこへやら、すでに身長は僕より低いのではないでしょうか。 まるで小学生のような幼女体系へと、姿を変えていきます。 幼くなったその顔には涙が浮かんでいて、年相応の表情に見えました。 一方、浜辺君の場合は、その逆です。 身長も平均的で、部活も吹奏楽部、普通にモテるタイプだった彼は、どういうわけか、もっとムチムチな体へと変化していきます。 「は、はああっ……な、なんでっ、お、おれだけ、っ、身体の変化……お、おかしいよう……っなああっ⁉ ああっ!」 この面々で一番の巨乳ではないでしょうか、少なくとも、普通の女子高生の姿ではありません。 例えるならそう、二十代の、肉の良く着いた、男子が好きそうな体つきというか…… ……まあ、若返りと成長の二種類を見ている僕だって、余裕はほとんどありませんでした。


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