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クールスパイの甘い鳴き声 ④(終)

「足、いや、尻尾かな、バタバタしてるけど、どうなんだこれ?」 「やっ、触らないで……っ!」 「大丈夫、どんな声出しても、誰にも聞こえやしないから」 なにしろ、もともと人間にはないのだ。ここは。 「ここのおかげでおれが蹴飛ばされることもないし、人魚みたいでかわいいよ」 「っ、ひゃあっ、あっ……」 尻尾の部分は相変わらずバタバタと、己の快楽を表すかのように地面にたたきつけているが、変わることなど何もない。 「さっき指でかき回した時も可愛かったよ。だから今度は、フィンの言葉で、直接聞きたいな」 「ま、まって、あっ、ふぁあっ、やっ、あっ、あああっ!」 ゆっくりと腰を動かし始めた俺に、フィンも本格的に飲まれ始めた。 「あひゃっ、ああんっ、あっ、しゃちょうっ、だめっ、もうやめてっ、ふぁああっ!」 「どう? さっきの姿でおマンコいじられてるのと、どっちが気持ちいい?」 「そ、それは……ふぃいんっ、ふぁっ、ああっ……」 「教えて」 一度動きを止めてでも、ここは聞かなければならない。もしあまりこっちの評判が悪いのなら、今一度手を変え品を変えが必要だし。 しかし、帰ってきた言葉には、正直心臓をつかまれそうになった。 「……か、快楽は、どっちも……でも、言葉が通じるのが……あなたに愛されてるって実感がわくのが……すごく……んああっ……」 やばい。めっちゃ可愛い。 アシカの姿も気持ちよくて、でも言葉が届かなくて不安で、いまは気持ちがつながってるからいいって。なにそれ。模範解答にも限度があるだろ。 普段大人しくて無表情なのに。いまだってできるだけ表情を崩さないようにしていて。でも、それでもこらえきれずに顔をとろけさせてくれて。 「発情してるから、だけじゃないよ。俺たち、いまほんとに愛し合ってる。だからこんなに求めてるんだよ、多分」 「はああっ、あんっ! んっ、ふぁあっ、そ、それはあっ、で、でも……はああんっ!」 「素直な声聞かせてくれて、すごくうれしい。大好きだぞ」 「んっ、ふぁああっ、社長っ、お、お慕い申して……ひいいんっ……あっ、わ、私、もうっ……」 慣れない体だ、無理もない。発情もしていることだし、この結論は当然だろう。 「俺も出すよ。大丈夫。俺はアシカじゃない。きちんと責任取るから」 「あ、ああっ♡ い、イクっ、わ、わたしっ、あっ、ふぁあああっ!」 急激に締まるフィンの身体。それと同時に、俺の精液が流し込まれる。 妊娠させないための薬も、なんか効かないであろう予感がして、 「ふぁあっ……わ、私の中に……っ」 「ああ、いまのフィン、無茶苦茶可愛いよ」 なおも身動きの取れないフィンの唇を、俺は余裕をもって奪った。 「というわけで、これをもって、私のスパイ業務は終了とさせてください」 「分かりました。では、今までありがとうございました」 俺の社長室で、フィンと側近が話し合っている。 スパイの仕事はもうこりごりとのことだ。そりゃそうだ。 アシカになって裸をさらされ、アシカになってオスのアシカに襲われ、アシカになったまま俺にまさぐられ。獣人になった後は……こほん。 「では、私はこの後の業務がありますので、フィンさん。あとは……」 「はい、私はもう、仕事がありませんので」 フィンの顔が、以前より柔らかくなった、などと、最近噂になっているが……勘の鋭いやつらが多いのは、うちの数少ない美点だろう。 さて。 「……こうして君と、素直に抱き合う日が来るとはな」 「ええ、私もそう思います」 「……いまさら言うことじゃなけど本来の姿は、思ったより華奢なんだな」 ―抱きしめてみると、それを強く感じるよ。 「……それは、褒められているのでしょうか。んッ……あっ……」 若干拗ねたようなフィンの体を抱き寄せて、そのまま口づけを果たす。 獣人の時と何ら変わらない、あの口づけだ。 以前より小柄になったその体つきを、肌で感じるように強く強く抱き寄せ、 「じゃ、じゃあ……いいよな。人間として、君本来の姿として」 「ええ……お慕い申しています」 俺は、ベッドにフィンを押し倒し、そのまま胸を、体中をまさぐる。 「……あっ」 「こえ、我慢しないで。誰もいないから、誰にも聞かせやしないから」 そして、愛撫を続け、キスを続け、挿入を続ける。 「あっ……ああっ!」 「好き……」 唇を奪うと、そこにはもう、物静かさは消えていて、 「アンッ、ふぁあっ、そ、そこはっ、あっ、アンッ!」 「大好きだぞ、ずっと」 「ああんっ、わ、わたしもっ、ずっとっ、ずっとっ! んああっ、わたしもうっ、ふぁあああっ!」 びくびくと震える癖は、どの姿でも変わらないらしい。スーツをびしっと決めていても、その様子では可愛さが勝るばかり。 せいぜい、足をバタバタできるかどうか、そのくらいの差なんだ。 「ああんっ、わたしっ、あっ、イクっ、イッチャうっ、んああああっ!」 「フィンっ、好きっ、大好きだっ!」 だから、俺が好きなのはアシカでも、獣人でも、人間でもなく。 「ああっ……わ、わたしもっ……んああああっ!」 きっと、フィンなのだろう。


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