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クールスパイの甘い鳴き声 ②

スパイという職業は、こういう時にめっぽう弱い。 そりゃそうだ。 うちの従業員がスパイに潜ったら手違いでアシカになっちゃったんです。元に戻したいから水槽の向こうに入れてください。 なんていえやしないし。 「……とりあえず、現状の確認だ。俺は客として入る。運転手。お前はいざというときのために、準備をしておいてくれ。つっても、奪い返すのは最後の手段だ。強硬手段に出るときは通達するから、お前も何かあったら伝えろ」 「分かりました」 そういうと、側近と二人、急いでチケットを購入し中へ。他の動物たちには目もくれず、向かう先にはアシカのいる水槽。 人生で一番アシカを見るのは間違いなく今日だ。子供のころのアシカショーでもここまで本気になったことはない。 手分けをしていた側近から入る電話にワンコールで出る。 「社長、午後からアシカショーがあるみたいです。いまの時間帯は左奥の水槽にいるとか……あ、見つけました!」 「どこだ!」 間のいい部下に惜しみない賞賛を送るも、続いた言葉に血の気が引いた。 「多分あれです……あ、オスのアシカに迫られてる……」 「総員、強硬突破っ!」 俺は何の躊躇もなく、隠し持っていたけむりだまを叩きつけた。 水族館を停電させるのは、大勢の魚を死なせる恐れがあるので、さすがの俺にもできない。 あのままフィンがオスのアシカに襲われてしまっては、セクハラどころの騒ぎじゃない。フィンの、自分の部下の体と心に、一生残る傷を残しかねない。 だから、いかにも古臭い手ではあるが、煙球を使ったのだ。 「オウーンっ……」 社内にプールを用意するなんて、いくら金持ちでもそうそう考えないことだが、仕方がない。 「わ、悪かったって……すぐに元に戻すから、そんな目で見ないでくれよ……」 アシカの姿になっているというのに、その目線からは、普段のフィンの見せる冷徹さがある。 「オウーンっ///」 「……なあ、悪いけど何言ってるか分からないし、おねがいだから、あまり怒らないでほしいというか……」 しどろもどろな俺に、助け船は突如現れた。 「社長、フィンさんはきっと、真っ裸の自分の体を凝視していることにお怒りなのかと」 「……」 「……」 どうやら俺は、空気の一つも読めないタイプとのことだ。 研究部門の科学者をすぐに連れてくると、そいつはむかつくほどの優秀さを発揮し、そして無慈悲に告げた。 「ええとですね、ああ、フィンさんね、少なくとも二匹以上のアシカから行為をされてますね、はい。妊娠はしていませんので、その辺を踏まえて処置をしていこうかと思います」 「あおおおんっ……」 「……」 終わった、と、俺は思った。研究者は続ける。 「となりますと、薬は徐々に使うのがいいでしょう、万一にも妊娠などしないように、獣の姿から、獣人の姿をはさんで、元に戻るのがよろしいかと」 「ああ、わかった……ありがとう、研究に戻ってくれ」 あとは俺が何とかする。そういって、科学者含めて人を払う。周りもこれから何をするのかは分かっているので、そこのところの空気は読んでくれた。 応急処置とはいえ、他人に見せるわけにもいかない。女性社員にやらせようにも間が悪く、みんなではらっているのがつらかった。 「ごめんな、すぐに終わるから……ほんと、ちょっとだけ待って」 社内のプールに横たわる一人のアシカ。中身が人間の女性だからだろうか、その一挙手一投足はほかのアシカには見られないほどになまめかしい。まあ、足も手もあってないようなものだけど。 俺がフィンの体に触れると、ビクンと震える。これからどうなるのか分かっているからだろう。 俺はアシカの秘所に指を突っ込むと、なるべく精液をかきだすように動かした。 「アオオオンッ! オオンッ!」 バタバタと暴れるが、逃がすわけにもいかない。 アシカの下半身を何とか抑えて、そのまま指でかき回し続ける。指に乗った薬で、妊娠を防ぐ効果も期待できるからだ。 「オオオオオンっ⁉ オオオオンッツ♡」 しかし、逃げ場を失ったまま、獣の姿で膣内をかき回されるというのは、女性からしたらたまったものでもないだろう。フィンだって、本来の姿であれば顔を真っ赤にして、泣きながら声をあげているのかもしれない。普段ではあげないような獣の雄たけびを上げながら、必死に快楽から逃れようと身をよじる。しかし慣れないアシカの姿に、 「アオオオオンッツ…… オオオオンッ……」 慣れない体ゆえに組み敷かれ、当然されるがまま。 バタバタとしていた下半身はへたりと大人しくなり、ただただビクンビクンと震えるばかり。 その顔はちらちらとこちらを見ては、またそっぽを向き、声が大きくなると一時的にこちらを見てはまた背けるの繰り返し。 これはもしや…… 「……気持ちよくて、恥ずかしいのか……?」 「ッ、ウオオオオンッツ/// オオオン……」 あ、やべ、地雷ふんだ。『言わないで……』とでも言っているのは明白だった。 と、とにかく、さっさと薬を塗り終わろう。 「オウウうんっ⁉ おうっ⁉ おううううんっ!」 俺はさっさと薬を塗りたくった。フィンの恥ずかしそうな声に関しては、聞こえないふりをした。快楽に悶えながら、助けを求めるようにこちらを見られる。どう反応していいか分からないのだ。 それでも、 「オオンッ⁉ オウウうんっ……」 時折こちらを見る視線が、『もうやめて……』と言っているように見えて、ひどく謎の感情に支配されていて。 「オウーン……ッ、オオオオンッ‼」 俺が完全に薬を塗り終えたころには、力ないフィンがそこにいた。


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