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年明けは大掃除から! 中編

(ん、んっ、むぐっ、むごおっ、ん、んーっ、) ウインウインと、口に近付いたほこりや小さなごみを吸い取っていく掃除機、もといアヤノ。 「今更なんだが、大丈夫か?」 (むぐっ、ほ、ほんとに今更ですね…ん、むぐうっ) いくら何でも自分の後輩に、しかも女子に自分の部屋で出たごみを吸わせているという事実は、良太をして罪悪感を覚える。 「いや、これで二回目だから感覚的にとっとと始めちゃったけど…よく考えたら俺、やべえ奴じゃん。」 (んっ、センパイが、やべえやつじゃなかったことなんて、むうっ、いままで、ありました…?) その瞬間、掃除機のボタンが弱から強に変わった。 (むぐううっ!せんぱいっ、だめっ、ひゃああっ!?) 「そうかそうか、そうだよなあ。とことんおれはやべえやつだもんな。だったらこうしてお前を掃除機として扱ったっていいよな」 (ご、ごめんなさ…ひぎいっ、むごっ、むぐうっ、せんぱいっ、だめっ、むぐううっ!) 「…まったく」 ゴミを体にため込むなんて、普通の女子が真っ青になって逃げだすことを平然と引き受けてくれると思えば、こんな風に普通の女の子みたいな反応も見せるアヤノ。 ほんと、奇特な女子だなあと。呆れ半分感謝半分の感情を向ける良太。 (せんぱいっ、だめっ、棚の下はっ…!ほこり、たくさんあってっ、いやぁ・・・!) 「そうか、ほこりまみれか。いくぞっ!」 (やああっ、せんぱいっ、だめぇぇっ) なんだかセックスをしているような興奮を覚えるが、やっていることはただの大掃除である。ただ、脳内にエロい声が響いてくるだけで。 それが楽しくて、掃除のできない良太が長続きしているというのも、二人の知らない事実である。 「ほらほら、ここのゴミ、すえてないぞ。ほら、もっとしっかり掃除しろ!」 (センパイにだけは言われたくないです!もっと角に合わせて…!くふぃいいっ!このごみ、おっきいっ、だめっ、掃除機で吸えないサイズは、ちゃんと捨ててくださいっ!ひぎいいっ!) 「ん、そうか、これ、そうそう入らないか。…ホントに入らないか?」 そこで良太は掃除機の吸い込み口にぐいぐいとゴミを押し付けてみる。 (はああっ、ひぐっ、む、むりですよぉっ、せんぱいっ、はいらないっ、はいらないです、からあっ) 「そうか、そりゃ残念。」 そんなこんなで掃除が続いていった。 (んっ、もうだめ、もう、からだ、ぱんぱんっ!せんぱっ、わたしのなか、ごみ、いっぱいっ、もう、やめてぇっ…!) 「ん、いや、まだまだ入りそうだぞ。ほら、ゴミはまだまだ残ってるしな。」 (んあああっ、やああっ、せんぱいっ、せんぱいいっ、私の容量、だめぇぇっ・・・!) 「容量ってなんだよ」 そんなことも知らないのか、と、アヤノは内心で毒づく。 勿論その感情も良太には筒抜けなので、 (はあああっ、だめっ、くるしいっ、せん、ぱいっ・・・ゴミ袋、掃除機の中の袋、とりかえて…!) そんなこんなで時に苦しみ、時に悶え、時にいちゃつくこと30分。 「ふー。きれいになったな。」 (はーっ、はーっ、あっ、ううっ…は、やく、元に…いや、やっぱり中の袋だけ私から出して、それから戻して、ください・・・っ) 大掃除といえる水準であったかどうかは別として、一応小ぎれいといえる水準まで、きれいに掃除機は仕事をしたのだった。 「センパイ!センパイはもっと電化製品を大切に扱うべきです!あんな乱暴な使い方して!電化製品がかわいそうです。もっとあの子たちの気持ちになってください!」 電化製品に愛着がわいたアヤノは、せめて今ある電化製品たちの地位向上を願う。 「とはいえ、あまり使わないからなあ。」 「あるでしょう!冷蔵庫とか‼電子レンジとか!」 一度お札をはがし、元の姿に戻ったアヤノ。電化製品の気持ちを代弁するがごとく、ここぞとばかりに良太に物申す。 「でも、アヤノもなんだかんだ言って協力してくれるじゃん。ついつい、な。変な声出しながらも協力してくれるのがうれしくて、俺もついつい強引に扱っちゃうんだよ。」 「セ、センパイ…」 一人てれてれするアヤノの背中にこっそりとお札が貼られた。 (こ、今度は、洗濯機ですか…?前回も思いましたけど、なんか、太ったみたいで、すごい、ていこうあります・・・っ) 身体が動かないことは掃除機も洗濯機も同じではある。しかし何だろうか。重量感というものがアヤノの体に伝わってくるのだ。 「そういうもんかな。まあいいや、だって、やってくれるって言ってたじゃん。」 (せめて少しでも休ませてほしかったですっ!) 「まあまあ、せめて口を汚したなら口をすすいだ方がいいかなって。」 (でも、せんぱいのあせくさい服やタオルでしょう!?) 「そ、それは、まあ…はじめるぞ」 (ちょっと!?せんぱい!にげた!むしですか!?ああっ、洗濯物、こんなにっ…) そして、本日最後の仕事が始まる。


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