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幼女の皮 前編

闇のマーケットには、普通の商品はあまり並ぶことはない。 なにせ、そんなものは表で売ればいい。需要があまりない以上必要最低限でいいのだ。 こちらに運ばれてくるのは、いづれも汎用性には欠けるものばかり。 しかし、だからこそ。ニッチな需要を求める客が大金片手にやってくる。 それだけ、それだけで十分だ。 それだけで、私の財布は十分潤う。 「この、幼女の皮。本当に使えるのかね。」 「おやお客様。私が信用できませんか?」 いつものようにあちらこちらから仕掛けた新商品。運かはたまた実力か、情報を一番に聞きつけた乗客がふらりとこの隠れた名店を訪れる。 たいていここまでくるお客となると常軌を逸した狂人であったり、裏社会の大物であったり、犯罪者のなかでもえりすぐりの何かしら出会ったりとさまざまであるが、それは何も客に限った話ではない。 「お客様、私の商品ですよ?私の商品の使い勝手はあなた様もよくご存じではないのですか?」 私だって商売人。裏の商売人は表とは違う。客になめられてはいけないのだ。 特に今回の相手はお得意様だ。これくらいは強気に行くべきであると即決する。 「いやいや、すまない。そこそこの付き合いだからな。君は。しかし幼女の皮とは、私も見たことがなくてね。もしこれが本物なら、私の仕事もずいぶん楽になる。いや、本当に、今度の仕事はおろか、これは私の業界を一気に覆しかねないなあ」 客人は、一見するとナイスミドル。紳士的な男だ。表の世界なら渋い役者としても通じそうな雰囲気がある。 その雰囲気は間違ってはおらず、その実、裏の世界ではそこそこ有名な殺し屋として名が通っていた。 裏社会の中では真っ当な人間ではあるが、殺し屋の威圧感だ。正直言って怖い。 殺し屋さんはできる限り穏やかな表情で、 「最近は私にもオーラというものが出てきてしまっていてね。殺し屋としては困っていたのだよ。弟子に抜かれてしまうのもしゃくだし、使えるなら言い値で買いたいところだ。」 曰く、殺し屋にとって、オーラがあるのは問題だとか。 気配がないのが一流の殺し屋で、昔は無名なまま数多くの仕事をこなしたらしい。 何度も自慢を聞いたのだ。知っている。 こういう人なのだ。 しかし、仕事を一つ一つこなしていくと、殺し屋としてのスキルと同時に、一流の、修羅場を乗り越えた雰囲気というものが出てきてしまう。 これはなにも殺し屋に限らず、一つの仕事を続けていれば、誰だって陥る状況だ。 そして、これもまた、知っていたことだ。 「分かっているね。私は自分の目で見たことしか信用しない。この商品が使えるというのなら、今ここで証明してもらいたい。」 本物なら、言い値の倍払わせてもらうから、と、男が微笑みかける。 確かにその瞳には、その筋の人間には恐ろしいだけの気迫があった。 そして、その言葉を受けた私は、 「かしこまりました。」 即答する。 それは確かに、並の人間には解決できない難問だろう。 解決する方法も、ましてやそれを簡単に叶える商品など、並の連中には考え付かない。 だが、問題はない。 なにせ、私は並の商売人ではないし、私の扱う商品は、すべてが一級品なのだから。 「おお・・・!これがわたしか!素晴らしい。さすがにここまでとは思わなかったぞ!君の商品はやはり素晴らしいな」 「おほめに預かり恐悦至極でございます。」 姿見を前に少女がくるりと一周する。 最後に決めポーズをとることも忘れない。余念のない少女だ。 まあ、その辺は、熟練のなせる業ともいえるだろう。 なにせ、この少女は、先ほどまでのナイスミドルなのだから。 皮は人を形作り、質量を変えてかぶったものの姿を変える。 闇社会の常識だが、それでも幼女とナイスミドルとなればあまりにも姿が違いすぎる。 さしものこの男も疑ってかかったわけだが、そこは私の商品。 この結果で、この成果を出している。 フリフリのワンピースを着て、何の恥じらいもなく鏡の前でいいポーズを探る幼女。 別に遊んでいるわけではない。 「こうやって、標的に愛くるしく近づけられれば上出来だ。威圧感まで完璧に消してしまえるのもいいな。今夜弟子にドッキリ仕掛けよう。」 「殺しちゃダメですよ。」 「おお、そうだな。」 おどける幼女。本当にやりかねないからこの人は危険だ。 「では、購入していただけますね。」 「ああ、だが最後に一つだけ。…いいかい?」 「…分かりました。」 長い付き合いだ。分かっている。 幼女に化けた殺し屋、幼女に化ける理由は、勿論威圧感のなさもあるだろう。 だが、 「…どうも、今度の標的がロリコンみたいでね。いざというときに私が冷静でいられなくなっては困るのだ。」 余裕しゃくしゃくな雰囲気と、幼女の姿がいまいちミスマッチ。いや、これはこれでギャップがあるというべきか。 「どうか、この姿の私に、経験のない幼女に、性の手ほどきを、と思ってね。」 ・・・うむ、若干のテレが入ったような、しかしやはり余裕そうな雰囲気で、そのうえで愛らしくおねだりされた。 商売人として、断る理由はない。 「はいはい。わかりました。」 こうして私は、幼女の服を脱がすことになった。


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