まずは、ごめんなさい。
更新が滞り、書くと言っていた月刊くじらの筆が止まっていたのは、何としてもボカコレに間に合わせるためでした。そして今回こそ間に合った。遅刻だけど!!!!!!!
というわけで、シニカリティの完成までの話をちょっとしていこうかなと思う。
・「シニカリティ」ができるまで(楽曲編)
[初期]
もともと思いついたのがこれ。
合成音声楽曲のサビで税金が云々言ってたらちょっと楽しいだろうな〜なんて思って作ってみたのがこれ。あとは「特売日だ!」の部分で最高音を迎えるところとか(どんなに強い感情も、結局は生活にのまれていっている感じがいいね)。それから最後に「トホホ」で閉めるところも、この時点で決まっていた。
ドラムはUNICORNのすばらしい日々みたいな、淡々と刻んでいく感じがいいな〜と思ってた。むしろ最初の最初は、ドラムだけオマージュの気持ちで打ち込んでたくらい。
そして、この状態でしばらく寝かせることになる。そうすると、あとで聞いた時には曲がひとりでに発酵していて、独特の香りや味を持ち始める。そうなるまで待つ。あえて具体的にいうんなら、「主観のみで書いた曲(の一部)に対して、ある程度距離を取れるようになってはじめて、客観的に曲から滲み出る情緒を観測できる」みたいな感じかな。
まあとにかくこれをこの状態で寝かせていたのだけど、7月10日だったか?まあ、そのくらいのタイミングで、妹とボカコレ(合成音声楽曲を色んな人とか生物が投稿する催し)に出ることを決めた(その前にも出ようとは思っていたが、結局なあなあになっていた)。そして、寝かせていたこの曲のたねを調理台の上に移動させることになった。
これはその辺の時期のデモ。
ほぼ大枠は決まっていたんだけど一部構成が違う。使用している楽器とジャンルも違う。
最初作っていたときはなんとなくバンドっぽい音でやってたんだけど、聞いていて分かる通り非常に起伏が少ない。ドラムもずっと同じだし、通しで聞いた時にすごく冗長な感じがある。
打ち込みの場合、生楽器の同じフレーズを延々と繰り返すのって割と退屈になっちゃうから、思い切ってここからエレクトロニカっぽく方向転換することにした。この時点で残り4週間あるかないかであり、何度も何度も音を塗り重ねながら曲を作るタイプの自分にはだいぶ厳しい残り時間だった。くわえて、歌詞もできていない。こういうのは歌詞で難航することがかなりある。
結局、動画コンテの制作や素材なんかは主に妹がやってくれる運びになり、おかげで自分は曲のことだけに時間を多く割くことができるようになった。
[後期]
エレクトロニカに方向転換してからは、主に音ネタの収集と、Serum(いいシンセ)の習得に力を割いた。
転換後の音源の雛形がこれ。
今回はドラムの音とかも、いつも使ってるやつから総入れ替えした。この「ポスッ」て感じのスネアとかは多分はじめて使ったかも。あと、ベースの音はかなりいい感じに仕上がった気がしていて、これはSerumで作成した。ボカロの人たちのアドバイスも聞きつつ、アナログみのある、だけどデジタルのパキパキした要素も含んだ音色にした。
こんな感じで、効果音を今回はふんだんに入れた。毎日こういうのを探しながら、時短になるように打ち込んだドラムと合わせていく。
↑こんなふうに。そして完成したのがこれ↓。
そうやってギリギリまでトラックを完成に進めつつ、並行して動画の案を妹と共有していった。
・「シニカリティ」ができるまで(動画編)
最初に出した動画案がこれ。最終的にできたものと違って色々膨らましているし、あかねちゃんもいる。
・ラフ1
この頃の設定は「たびたびおかしいことが起こるようになった世界で、今度は『魚がおしゃべりするようになり、食べないと魚になる』現象が起こっていて、そんな中であおいちゃんが魚を食べることを選ぶ(=世界で生きていくことを受け入れる)」という感じだった。長すぎるし混沌としているけど、間引いて間引いて削っていった結果、完成品はそこそこに理解できるラインまで落とし込めたんでないかな、と思う。
・ラフ2
姉妹は以前「鳥を食べないと鳥になっちゃう現象」にも遭遇していて、その時はギリギリまで食べられなかったからあかねちゃんはかなり鳥になってしまい、あおいちゃんは腕に羽が生えてしまった(だから包帯で隠している)。だからこそ今回は本当に後がなくて、魚を食べる以外の選択肢が残されていない。
…なんて設定もあった。これは割と途中の段階までMVに反映させるか悩んでいたけど、難解になりそうなので、シンプルにするために削ぎ落とした。その関係であかねちゃんが今回は出てこない(まあ自分の作品は前後に文脈があると判断されがちだから、あかねちゃんの不在に意味を見出すものは多そうだけど、それはそれでいいと思う。自由な解釈でやってくれ)。
多分この辺の設定の名残は結構動画に反映されてるんじゃないかな。
・ラフ3
あおいちゃんの目の中がドロドロになっていくっていうのは初期の頃から構想していた。
ちなみにキャラクター設定として、この段階では
・きりたん
特に何にも思ってない。強い。末っ子ならではの、ませた感じ。多分魚屋さんでも花屋さんでも鳥さばき屋さんでも、力強く生きていくことだろう。
・初音ミク
月にくくりつけられながら、やたらめったらに半狂乱のままタクトを振り回しまくっている。そのたびに世界に変なことが起こる。
・可不
続くことを受け入れているので、おかしなことが起こっても割り切って「仕方ない」と自分を宥めて生きている。
・ストピくん
割り切れないし、変にお人好しなので世界に置いていかれる。だから魚になってしまう。
・あおいちゃん
ストピくんに近いけど、もう後がないので割り切って受け入れることを選んだ。「シニカリティ」は、あおいちゃんが個人的な閉じた世界を諦め、開いた世界の住民になるまでのお話とも言える。(そういう意味では、もう一度閉じた世界に墜落する暮しガスメータよりも前の話なのかもしれない。「がらくたになった友達=失った感性(魚のことを思って悲しんだりすること)」と捉えることもできるね。)
・あかねちゃん
おうちであおいちゃんの帰りを待っている。動けない。どちらかというと自然の摂理として起こったことを受け入れるし、受け入れがたい場合もあおいちゃんが受け入れた場合、その決定を尊重して自分も従う。
・さかな
意識もあるし心もあるように見えるけど、感情の真似事をしているのかもしれず、定かではない。
という感じになっており、MVに実際に反映する部分を取捨選択した結果、一部の設定が断片的に生き残った。上の記載においては、太字の部分が主に薄まったりなくなったりしている。
実際この構想の段階で既に7月も下旬に突入しており、細かく設定を練る時間がなかったので、ライブ感でなんとか最後までストーリーをつなげた。その過程で、魚が喋って、それを食べなくちゃいけない(=普段食べてるお魚が喋り出したらどうする?)という部分をお話のメインに据え、背景設定(食べなくちゃ魚になるとか、世界のしくみとか、あかねちゃんのこととか)を後退させることで、意図的にある程度歯抜けの部分を作って、解釈を委ねる形になった。
・「シニカリティ」ができるまで(仕上げ編)
そして7月の末から、温めてもらっていた動画のアイデアと、70%くらい完成したオケを合わせていく段階に移行した。この時点で
・音源自体はほぼ完成、コーラスは何も入れていない
・妹考案の「おぼんの上に街が乗っているイントロ素材」「Aメロの背景」「Bメロ、月のミクからカメラが引いて街を映すカット」「夢になって〜の部分の文字PV」「サビのルーレット素材」の素材
などが出揃っており、タイミングを合わせながら配置していく形になった。
これはもらった素材(背景は清書までお願いした)
この辺のカメラワークは動画を組みながら出来上がった。あの辺の画面遷移はとても好みだ。
やはり血が繋がっていることもあり、この辺の世界観の共有がノータイムで行われるのはすごくありがたかった。ちょっと不思議な気分でもあった。
ここからいくらかのイメージボードを手渡して、引き続き背景などの担当を頼み、自分は主にキャラクターを描きつつ、音源のミックスを進めていった。(これ記憶を辿るだけで当時のスケジュールのキツさが蘇ってきて胃が痛い、妹も本当によく頑張ってくれたものだ…)
以下イメージボード。
ここのカメラワークは友人にも手伝ってもらった。自分だけでやったらずっと下にカメラが動くだけだったが、左右の動きをつけてもらったことで、動きがよく出て面白い画面になった。
ここは最後のシーン。ここが完成したのは確か5日の夜。思い出すだけでお腹が痛い。
Aメロのラフ。
Aメロのラフを提出して、返ってきたラフ。
さらにブラッシュアップされた状態。これ8月4日の時点でまだきりたんがラフの段階なの恐ろしすぎる。この辺の記憶が曖昧だ。最終的に友人の助言もあり、ドアが自動ドアになり、色味も変わり、魚の値札などがついた。
ストピくんが人魚になったら可愛いよね、って言うアイデアは妹の発案。「お勤め品の〜」の部分は自分が一気に作った。だいぶ気に入っているパート。写真は6月頃に奥多摩に行ったときに撮った。いい写真だよね、あれ。
ここのコンロのカットもお気に入り。作った時期がバラバラだから、写真の順番もごっちゃになっちゃった。
杖のデザイン。アニメーション、あれすごいよね…初めてあの素材が来たとき、出来が良すぎて本当にびっくりした。
そしてこれらを清書して、あるいは清書済みのもらった背景と組み合わせて、最終的にあの動画になる。…なんて簡単に言っているけど、もうこの辺の時期には完全に焦りでおかしくなっていて、茫然自失の状態になっている時間もかなり多かった。周りの叱咤激励を受けつつ何とか手を動かしたり、手を貸してもらって完成した。
ちなみにこの辺をいくらか任せながら、絵を描きながら、自分はコーラスパートのミックスに苦慮していた。なんたって、まだサビ以外どこもできてない!!!脳を焼きながらかろうじてフレーズを全部打ち込んだはいいものの、可不ちゃんの声がパキッとしていたり、ミクがおとなしかったり、ものすごく大変だった。でも「ラララ…」の部分はみんなで歌っている大団円感を出したかったので、どうしてもこのメンバーで歌い切ってもらいたかった。すでに街で暮らしているものたちが、あおいちゃんを迎え入れていくような、そういう雰囲気の大きなコーラス。
そして仕上がった音源をにじみさん(色々いつもミックスを見てもらっている方)に見てもらい、助言をたくさんいただきながら最終的に聞けるレベルに磨いた。
いつもは自分が音源に対して客観的な評価を下せるようになるまで寝かしてから仕上げをするのだが、この時点でボカコレの投稿期間は始まってしまっており、そんな余裕もなかったので、客観視部分を完全にお願いした形になる。自分の作っているものがいいのか悪いのか、そもそも聞けるレベルなのかどうなのか、それもわからない状態はかなり恐怖だったので、非常に非常に助かった。
そんなこんなで出来上がったシニカリティだけど、こうして完成までの道のりを書けば書くほど、周りのものたちの協力がなければ出来上がらなかったなァと思う。そもそも「ボカコレに間に合わせよう」と言う話が出た時点で、いつもなら絶対に間に合わないスケジュールだったので、無理に無理に無理を重ねて、何とかどうにかこうにか任せたりできる部分を分業してようやく完成できたようなもので、感謝は尽きない。本当に協力してくれた皆にはありがとうという気持ちしかないね…
そしてこの場においては、曲の完成まで記事の投稿が滞ってしまい本当に申し訳ない。待っていてくれてありがとう、本当にありがとう。
さて、次回はシニカリティのオケのお気に入りポイントをつらつらと書いていこうと思うので、もしよければチャンネルはそのままで、見てっていただければ。
以上