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月刊くじら 1月号

かわいそうに。


おおかわいそうに。


 ここでこれを見ている君たちが1月に最も多用される挨拶を聞くことはないよ。なぜならみんなが使いすぎてしまったためにわたしの分が残っていなかったからです。で、もう無くなっているはずなのに、2月あたりにスーパーの処分セールのワゴンの上に「在庫入れ替えのため」という但し書きとともに、件の挨拶が乱雑に、値引きシールを何度も貼られて毎年売られているんだ。だから今年はそのときにそれを買ってあげようと思う。話は変わるが、値引きシールの上にさらにもっと安い値引きシールが貼られているの、あれもう商品がすごくひどい怪我をしているみたいで本当にかわいそう。


 ちなみに時期的に動画編集体制に入ってしまい、脳のスイッチが切りかわった結果、創作のアイデアとか降りてこない一か月だったので、落書きはほぼないです。


〈目次〉

・酒店で歌った夜

・寄生生物モルノフォノ

・何かの絵

・おまけ


・酒店で歌った夜

 ちょっと前の話(実はニコ生で軽く触れたが)。


 心を休めたくていつものように銭湯に行った。

 帰りの道すがら酒店に寄った。そこでは店内で買った酒を飲めるシステムになっていて、それを「角打ち」というらしい。初めて見たので、「せっかくだから飲んで帰るか」と思って自分もお邪魔させていただくことにした。


 日本酒を大きい徳利でひとつ、熱燗、あと貝の缶詰。それらを空想上のキャリーケースに詰め込んで夢新幹線で酒駅まで向かった。


 車両内の空気は主に地域に住むおっちゃんたちによって占有されており、しかし隅のほうでは、普段の生活では決してかかわることのないであろう、陽の雰囲気をまとった子連れ夫婦がいて、わたしは小さな子ども(ジュース)と乾杯してお酒をのんだ。母親が「お兄さんの飲んでいる熱燗っていうのがすごく私の気に入っているお酒なの」と子どもに教えていて、わたしも「いつか飲む日が来るかもねえ」とその子に話した。


 その時点ではまったくもってゆるやかな時間が過ぎていった。熱燗は冷え切ったわたしをいい具合に温めてくれたし、赤貝はもうものすごく日本酒ととろけあってよかった。けれども夫婦が帰ってしまうと、おっちゃんたちと自分だけになり、必然的にその興味はあきらかに初顔の自分に向いた。


お「お兄ちゃん何やってるの?」


ǂ「あ、あの。作家くずれです(なんとかごまかして場を流せないだろうか)」


お「へえ、どんなの?」


ǂ「え、あ、アノ歌とかをね、その。」


 やってしまった。場の流れで白状してしまった。それからはもう、なし崩し的にギターを持つことになってしまい、むかしの歌を弾き語るはめになったわけです。ちょうど自分も久しぶりに歌うのでワクワクしてしまったのがまずかった。後悔とか空恐ろしい気持ちは、いつだってそういう高揚の一層分内側にあるので気が付けない。あとになって「ああなんてことをしてしまったんだ」という、過剰に人と話した日の翌日みたいな気分をせおうことになる。


 そしてオウオウオウと歌った。彼らの好みに合いそうな曲を「わざわざ選択してしまった」という事実が、媚びてしまったようでまた後悔のキャンプファイアにくべられた。それが悔しくって、ちゃんと自分のものを、自分だと思うものを見てもらいたくて、わたしのようつべのアカウントを教えてしまった。


 またたくまに「それをみんなで見よう」という話になってしまった。

 車両内の巨大なテレビから自分の動画が流れ出す。ああ恐ろしい夜が始まってしまった・・・。この時をもって、酒駅行き新幹線がゲドゲド泥酔駅に行先を変更することが決まったわけだ。


 まあそれからのことを想像するのはたやすい。主にジェネレーション的な差異からくる感想は「やっぱり機械の声だね。きみが歌えばいいのに。」に収束した。


「ちがうんですってェ・・・そういうんじゃないんですよ、あの子たちが歌うからこそ、あの曲は・・・」なんてとても言えず、わたしはこっ恥ずかしさであんまりにもいたたまれない気分のまま、所定の時間にゲドゲド泥酔駅で車両を降りた。後ろを振り向くと、巨大なテレビからまだ自分の曲が流れていた。


 悔しかったけど、あとから俯瞰してみるとなんだか面白かった思い出。ちなみにみんなすごくいいひとだった。ごちそうさまでした。くやしい・・・今度、もしも、もしもまた会うことがあったら、その時は胸を張って、もっとひょうひょうとしていたいものなのだけれど。あと、合成音声の良さについてちゃんと人間の前で話したりできるような度胸も持とうね。



・寄生生物モルノフォノ


 ニコニコ生放送で生まれた生物の話。まずコンセプトとして、「たいていグロテスクなものとして描かれる寄生生物を、なるべくポップでかわいくしたい」というものがあった。

 こういうやつ。単体ではとても弱いので、他の生き物の神経系に尾の先を接続して、その生き物の体を「一時的に借りる」という形で寄生する。それはエネルギーリソースとしてでもあり、同時に道具としてでもある。基本的に相手を積極的に殺したりはしないが、個体によっては吸い取るエネルギーの量が調節できずに、生命維持に必要な分さえ吸い取ってしまうこともある。


 また見た目が愛らしいのであまり嫌われておらず、中にはあえてモルノフォノを庇護下に置いて、エネルギー自分から分け与えるような、いわゆる”奇特”とされる人間も結構いる。そーした人々がSNSとかで小さなコミュニティを形成していたりするかも(#モルちゃんと暮らす、みたいなハッシュタグをつけたりして)。

(ツイッターにも上げたが。モルノフォノが好きな子が、エネルギーを吸われ過ぎてしまった図。これからどうなるんだろうね・・・)


 世間ではわりと猫みたいな感じに普通にモルノフォノがたくさんいて、高校の廊下なんかでたまに寄生されている人もいて、「離れろよ~!」と引きはがしたり、あるいは恍惚として操り人形になる子がいたりする。午後の帰り道では弱ったモルノフォノがアスファルトの上を這いずり回り、業者がそれを一定数間引く目的で回収して回る。そのあわれさを歌にするものもいるだろう。


 ニュースではたまにモルノフォノによる死亡事故とかが流れるが、寄生生物が跋扈している以上、命の重さというやつも若干軽視されているので、みんな何とも思わない。


 ・・・身近にかわいい寄生生物がいる世界、ちょっとだけ良くない?


・何かの絵

 今月は落書きがないので、と思ったけど。

 自分のことを前に友人が擬人化してくれて、それがすごくいいデザインだったのでたまに描いていた。それをあげます。



 とてもいい。かわいい。この魔法帽ふつうにほしい。

 これだけいいデザインを貰ってしまった以上、各所で使いたくなる。今までストピくんに代役をしてもらっていたけど、ストピくんは完全にUTAUとして独立させて、この子に代役をやってもらってもいいのかもしれない。まあでもストピくんも気に入っているのでおそらく両方描くと思う。


・おまけ


 最近ミックスと動画と色々云々やっていたので体力がもう持たなくなっていたのだが、新年だしなんかちょっとしたものを息抜きに作ろうと思ったので本当にしょぼいけど自分が落ち着くためだけに作った曲を。(2ループ)


kibun


 さて一月号はこれで終わりです。おそらく数日後には新しい曲の動画が出るでしょう。そうしたらまた、それに関するちょっとした解説やらなんやらを支援者記事で出そうと思うので、もしお暇でしたら見ていってください。


 全然話は変わるんですけど、自分は奥多摩(東京の片田舎の山)が好きで、それゆえ奥多摩の銘酒である「澤乃井」を良く飲んでいるのですが、その際にちゃんと澤乃井のおちょこを買って、それに酒を注ぐことにしているのです。それが蟹のマークが描いてあって、とてもかわいい。もしよかったら調べてみてください。今これを書いているときも飲んでいるので、あとでちゃんと校正しなきゃいけないですね。


 校正が終わったので一月号をこれで結びとします。

今年もよろしく。がんばるぞ。


 毎月の挨拶にはなりますが、支援していただいている皆、本当にありがとうございます。本当に助かっております。どうかご無理のない範囲で。


 それでは。



                              m(_ _)m

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