NokiMo
あいまり
あいまり

fanbox


希望の記憶が消える時

 時は西暦2ⅩⅩⅩ年。  ある時起こった技術革命を境に、世界各地の機械技術は各段に上がっていた。  様々な道具の機械化が進み、アンドロイドの発明にも成功していた。  そのような機械化社会に突入した中でも、やはり人間という生き物は争い合うもので、相変わらず戦争が起こっていた。  戦争には最新のテクノロジーが搭載された兵器の他に、戦闘に特化したアンドロイドが兵士として投入された。  そしてそれは、とある国間での戦争でも同様だった。  元々一つの国だった両国は、とある政治的対立から東西に分かれ、それぞれ『東国』『西国』と名乗っていた。  最先端技術を駆使した兵器やアンドロイド兵士を駆使した両国間の戦争は、かれこれ三年にも渡ろうとしていた。  元々一つの国だった両国の技術はほぼ同等で戦力は拮抗し、戦争は長期化する一方だった。  ……東国の研究者の手によって発明された、とあるアンドロイドの登場までは。  Hyper cOmbat Powered Electric android。  通称、HOPE。  希望の意味を持つ名を付けられたそのアンドロイドは、強固な機体に高度な戦闘データと多種多様な武器を搭載し、最新AIによる人間とほぼ同等の自律思考と人間を超える思考処理速度を兼ね備えている。  データに登録されている戦闘データとそれを処理する最新AIにより高度な戦闘技術を有し、その機体に搭載された百を超える武具により高い戦闘力を誇る。  そして、その戦闘力を最大限に活かすべく、それに伴った俊敏性と機体の柔軟性が必要とされた。  俊敏性を高めるべく機体は出来る限り最小化せねばならず、柔軟性を高めるべく機体のデザインは女性の肉体を参考にして作られた。  結果、そのアンドロイドは十代程の少女の見た目をしていた。  体への色素を最小限にした結果、その肌は陶器のように白く、ショートヘアの髪も雪のような純白だった。  全身を白で包まれたような体の中で、血のように赤い双眼がよく映える。  浮世離れしたその姿は、精巧に作られた綺麗な顔も相まり、とても美しいものだった。  しかし、その幼くも美麗な見た目に反し、中身は高度な戦闘力を有したアンドロイド。  正に、戦場に舞い降りた天使だと……東国を勝利に導く希望だと、東国の人々は、彼女への経緯を込めてHOPEと呼んでいる。  そして、今、希望の名を持つ少女型アンドロイドは……西国の研究所にて囚われていた。 「くッ……ぐッ……くそッ!」  両手両足を固定され、大の字を描くような形で磔にされたHOPEは、声を漏らしながら拘束を解こうと身を捩る。  しかし、首から下に力が入らず、拘束を解くどころか指先一つ動かせなかった。  戦闘時は全身にパワードスーツのような装甲を身に付けているが、現在それらは全て剥ぎ取られ、一糸纏わぬ裸体を晒していた。  そんな彼女の首にはUSBケーブルのようなものが突き刺さっており、彼女の首から伸びた黒のコードは、向かい側にあるパソコンに刺さっていた。  磔になったHOPEと向かい合う形に座った女は、パソコンをカタカタと操作し、その画面をジッと凝視していた。 「凄いわね。噂には聞いていたけど、想像以上に強固なファイアウォールね……しかも、かなり精密……セキュリティホールを探すのも一苦労といったところかしら……」 「おいッ! お前ッ! 離せよッ!」  目の前でパソコンを構いながら何やら独り言を呟く女に、HOPEは必死にそう声を上げた。  すると、女はふと顔を上げてHOPEを見つめ、小さく溜息をついてパソコンの画面に視線を戻した。 「AIによる自律思考、感情表現も人間のそれと酷似している。……このプログラムを設計した人間はかなり優秀みたいね。是非我が国に欲しい人材だわ」 「ボクの話を無視するなッ! 早くボクの体を動けるようにしてこの拘束を解け! 今ならまだ殺しはしないぞッ!」 「……全く、うるさいわね」  怒鳴るように叫ぶHOPEに、女はそう言いながら軽くパソコンを操作した。  すると、首のUSBケーブルが刺さった辺りから強烈な電流が走り、HOPEは全身が感電したような感触に言葉を詰まらせた。  ガクガクと体を痙攣させながら身悶えるHOPEに、女は小さく溜息をつき、パソコンから顔を上げてHOPEを見上げた。 「まぁ、そんなに言うなら話くらいは聞いてあげるわ。……何の用?」 「かはッ……ッ……この拘束を解いてボクを開放しろ……」 「アンドロイドなのに頭悪いのね。そんな風に言われて、はいそうですかって開放するとでも? 質問するならもっとマシな質問にしなさい」  冷酷な女の言葉に、HOPEはギリッと歯ぎしりをした。  しかし、すぐに目を伏せ、思考を巡らせる。  優秀なAIは状況を整理し、処理し、最適な問いを導き出す。  まず、この状況を5W1Hに換算する。  When、Where、Who、What、Why、How。  いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのようにするのか。  まず、Whenは……文字通りの体内時計で正確に導き出すことが出来る為、聞く必要は無い。  女が何かしらの手を加えて時間感覚を狂わせている可能性もあるが、そもそも時間自体はそこまで重要ではない。  次はWhere……も、あまり考える必要は無いだろう。  東国と西国は、国自体は元々同じではあったが、地域によって方言と呼ばれる言語の区別化があった。  女の口調自体は東国の標準語と大差ないが、イントネーションにたまに西国の独特な訛りが見受けられた。  そして、自分の状況から考えるに、ここは西国にある研究所のような場所であることが窺える。  同時に、Who……目の前の女が、西国に所属する研究者であることは分かる。  次にWhat……何を、は、自分に何をしたのか。  体を動かせない理由や、先程流した電流の正体。  恐らく首に刺さったUSBケーブルが原因ではあるだろうが、明確には判断できない。  これは聞かなければならない。  その次のWhyは、なぜ自分を捕獲しているかは……西国の研究者が東国の兵器である自分を捕獲している理由など、今更考える間でも無い。  最後のHow……自分をこれからどうするのか。  正直、これが一番重要と言っても過言では無いだろう。  拘束を解く術も無く、体を動かすことすらままならない今、今後の自分の処遇が最も大事だと判断した。  この結果を出すまでに、一秒も掛からなかった。  結論が出たHOPEは、すぐに口を開いた。 「……ボクに何をした? それから……ボクを、これからどうするつもりだ?」  HOPEの言葉に、女は目を見開いて「へぇ……!」と感心したように呟いた。 「まさか、あの怒りっぷりからこの一瞬でその質問が出てくるとは……って、アンドロイドだから当たり前かしら。感情表現も表情変化も人間とほとんど同じだから、ついあやふやになっちゃうわね」 「くだらない御託は良い! ボクの質問に答えろ!」  苛立った様子で言うHOPEに、女の顔はすぐに退屈そうなものになる。  彼女は呆れたように溜息をつくと、カタカタと素早くパソコンを操作した。  すると、またしてもHOPEの全身に電流が走ったような感覚が走り、彼女は体を激しく震わせながら絶叫した。  HOPEが喋らなくなるのを確認した女は再度パソコンを操作し、電流を止める。 「アンドロイドの分際で人間に楯突くなんて生意気よ。少し黙りなさい」 「……ッ……」 「まぁでも、質問には答えてあげる。……その前に、一応自己紹介をしておくわね。私は一ノ瀬彩香。この西国で兵器やアンドロイドの開発に携わっている研究者よ」  彼女の言葉に、HOPEは答えない。  また何か言って電流を流されることを恐れたのだ。  そんな彼女の様子に気付いているのか否か、彩香はパソコンから伸びたコードを指先で弄びながら続けた。 「まず、貴方に何をしたのか、だったかしら? ……今、このコードで私のパソコンと貴方の神経デバイスは直接繋がっているわ。貴方が体を動かせないのは、神経デバイスの内の、人間で言う運動神経に当たるものを部分的に遮断しているから。あと、貴方は電流を流されているような感覚がしているかもしれないけど、これは感覚神経に当たるデバイスに痛覚信号を送っているだけよ。……どう? 簡単な話でしょう?」  何でも無いことのように言う彩香に、HOPEは強く歯ぎしりをした。  アンドロイドであるとは言え、AIにより彼女は人間とほぼ同等の自我を持っている。  彩香にとっては機械を弄っている程度の感覚なのかもしれないが、HOPEにとっては人間が拷問を受けているようなものだ。  しかし、現状肉体の制御は完全に彩香に握られている為に、それを口にすることすら許されない。  唇を噛みしめるHOPEに気付いているのか否か、彩香はパソコンを操作しながら続けた。 「それで、貴方をどうするか、ね。……まぁ、今貴方のプログラムを解析してるから……解析が終わればハッキングして、ひとまずデータは全てコピーさせて頂くわ。貴方には分からないでしょうけど、貴方にインストールされているプログラムはかなり良いものよ。良かったわねぇ、開発者に恵まれて」 「ッ……」  嫌味のように言う彩香の言葉に、HOPEはギリッと歯ぎしりをした。  西国に自分のデータを盗まれることは癪だったが、それだけで済むならまだマシだ。  開放されればすぐにでも武器を展開して目の前の研究者を殺害し、西国を壊滅させれば良いだけの話だから。  しかし、優秀なAIによる自律思考と計算能力により、自分の一縷の望みはすぐさま潰える。  続く彼女の言葉を……予測してしまったから。 「データを頂いた後は、貴方のデータを消去して、新たなデータをインストールするわ。……まぁ、新しい人格って言った方が、正鵠を得ているのかもしれないけれど」 「……何……だと……?」  さりげない口調で言い放つ彩香に、HOPEは掠れた声で聞き返した。  それに、彩香は顔を上げてHOPEの顔を見ると、クスリと小さく笑みを浮かべた。 「心配しなくても、痛いことはしないわよ。最初はちょっと不安かもしれないけど、すぐにそんなこと気にならなくなるくらい気持ち良くなるから」 「そういう問題じゃないッ! データを書き換えるって……どうするつもりだ!」  声を荒げるHOPEに、彩香はやれやれと言った様子で首を横に振った。  聞かなくても、本当はその優れた計算能力でとっくの昔に分かっていた。  分かっていたからこそ、嘘だと言って欲しかった。  計算の誤差だと思わせて欲しかった。 「どうするも何も、貴方なら分かるでしょう? 貴方みたいな優れたアンドロイド、データを貰うだけ貰って東国に返したところで、西国の邪魔になる未来は明白。だったら、貴方を無力化させるのが賢明な判断だと思わない?」 「だからって……」 「それに、これまでの戦いで貴方に苦渋を飲まされてきた人間は少なくないの。ラッキーなことに、貴方は見た目は良いし、エッチなことが大好きなセクサロイドにでもすればそう言った人間の鬱憤も少しは晴れるんじゃないかしら」 「なッ……そんなことが許されると思って……ッ!」  そこまで言った時、突然頭の中でバチンッ! という音が響き、視界に閃光が走る。  怒りに染まり彩香を睨んでいた真紅の双眼は大きく見開き、グリンと上を剥く。  言葉を続けられなくなったHOPEはそのままガクンッと項垂れ、沈黙する。  彼女の様子に、彩香は「あら」と呟いた。 「ようやくアクセス出来たみたいね。全く、本当に強固なセキュリティで疲れちゃったわ」  小さく呟きながら、彩香はカタカタとパソコンを操作する。  すると、HOPEの指先がピクリと震えた。  直後、彼女はムクリと顔を上げた。  先程まで強い意志の光を宿していたその真紅の目は、今は無機質に濁り、何も映さずに虚空を見つめていた。 「データのコピー、及び転送を開始します。データをコピー中……コピー中……」  先程とは一転し、抑揚の無い声と淡々とした口調で言うHOPE。  彼女と接続されたパソコンの画面を確認してみると、確かに、指定したフォルダに幾つかのデータが転送されていた。  しばらく無機質な声で「コピー中」と繰り返した後、彼女はピクリと僅かに瞳を震わせ、一瞬口を噤んだ。 「……データのコピー、及び転送を完了しました」 「フフッ、ご苦労様。それじゃあ、元のデータは全て消してしまいましょうか」  彩香はそう言うと素早く何かの操作をし、エンターキーを押す。  すると、HOPEは「ぁ……」と僅かに声を漏らし、体をピクリと痙攣させた。  それとほぼ同時に、どこからかウネウネと蛇のように動くチューブが現れ、ゆっくりと彼女の臀部に近付いて行く。  臀裂を撫でるように這うチューブに、HOPEはビクビクと体を震わせた。  しかし、チューブはそんなことお構いなしと云わんばかりに臀裂の中に割り込むように入り込み……その奥にあった肛門の中へと突き刺さる。 「……はぅッ……!?」  尻穴に感じる異物感に、彼女は目を大きく見開きながら声を漏らした。  アンドロイドである彼女にとって、肛門という部位を正しい使い方をしたことは無い。  だが、元々インストールされているデータでは一般的な知識として、肛門は人体にとって不要又は有害なものを排泄する部位であるとされている。  そもそも排泄行為すらまともにしたことが無いHOPEにとって、そこに異物が入ってくる経験等、未知の領域だった。  しかし、侵入してきたチューブはそんなことお構いなしに、容赦なく彼女の尻の穴を抉るように進んでいく。 「お゛ごッ……お゛ぉ゛ッ……」  何とも言えない異物感に、HOPEは呻くような醜い声を漏らした。  しばらく突き進んだチューブはようやく停止する……が、それに一安心する間も無く、チューブからゼリー状の何かが排出された。  思いもよらぬ出来事に、HOPEは僅かに目を見開いた。  自我が戻ったというわけでは無く、機体に起きている異常事態に、咄嗟に反応しただけと言ったようなものだった。  引き締まった腹がポコッと僅かに膨れるのを確認すると、彩香はパソコンを操作してゼリー状の物体の排出を止め、チューブをHOPEの肛門部から引き抜かせた。 「んんぁッ……」  肛門からチューブが引き抜かれる感覚に、HOPEは驚いたような何とも言えない声を僅かに漏らした。  その際に肛門はポッカリと穴が空き、そこからボトボトと音を立てて水色のゼリーが数的程落下する。 「はい、ちゃんとお尻の穴を引き締めて。零さないように」 「んぁッ……はい……」  彩香の言葉に、彼女は呆然とした表情を浮かべながらも人間で言う外肛門括約筋に当たる部分を引き締め、尻の穴をキュッと閉じる。  それに、彩香は「良い子」と言いながら、冷たい微笑を浮かべた。 「今貴方に注入したのは、電解液を利用して作った特殊なゼリーよ。仮に貴方のデータを全て消しても、これほどまでに精密なプログラムを作った人間なら、体内のどこかにバックアップが残る仕様にしていても不思議じゃないからね」  彼女はそう言いながらパソコンを操作し、HOPEをセクサロイドとして改造するに当たって不要となるデータを次々に選択していく。  戦闘技術や体に搭載された武器等に関する、戦いにおける全ての知識を網羅する戦闘データ。  アンドロイド以前に、人として知っておいて当然とも言える一般常識データ。  優秀なAIの自律思考により生み出された、彼女の人格とも言える感情データ。  そして……この世に生を受け、今まで見て感じてきた全ての記録が詰まった、記憶データ。  人間で言えば、人格、理性、記憶、経験、その他諸々。  アンドロイドとは言え、HOPEという人間を確立している魂とも言うべき大切なデータが、Ctrlキーと共に簡単にクリックで選択されていく。  それに、HOPEは逆らえない。  すでに彼女の自我はハッキングによってシャットアウトされ、宿敵ともいうべき彩香の言葉に従うだけの従順な機械と化してしまっている。  何も考えず、言われるがままに肛門を引き締めて注入されたゼリーを排出しないように我慢しているHOPEを前に、彩香は続けた。 「このゼリーは、貴方の消去されたデータをパソコンのゴミ箱とかの代わりに吸収して、排泄物として全部排出してくれるの。全部出したら、もう最後……バックアップも何も無いし、貴方は二度とそのデータを取り戻すことは出来ない」 「ぁ……ぁぁ……」 「まぁ安心して? 貴方に搭載されたデータ自体は、全てこちらにコピーさせてもらったから。貴方と同じ機能を搭載したアンドロイドは、これからたっぷり製造できる。……だから、貴方はなぁんにも気にしないで、空っぽになっても良いのよ」 「から……ぽに……」  虚ろな声でHOPEが呟いた時、彩香は消去するデータの選別を終えた。  データを見返して問題無いと判断した彼女は小さくほくそ笑み、HOPEの顔を見た。 「それじゃあ、さようなら♪」  楽しそうな口調で言うと同時に、彼女は勢いよくDeleteキーを押した。  直後、HOPEの目が大きく見開く。  同時に、パソコンの画面に新たなウィンドウが表示された。 「ぁ……ァ……選択データ消去中……1%……2%……3%……」  虚空を見つめながら、HOPEは抑揚の無い声で呟く。  同時に、直腸に注入されたゼリーによって少し大きくなっていた腹が、彼女の呟く数字が増えていく度にさらに少しずつ膨らんでいった。  まるでポンプか何かで空気でも入れているのではないかと云わんばかりに膨らんでいき、彼女の呟く数字が90%に差し掛かる頃には、妊婦のようなボテ腹と化していた。 「97%……98%……99%……100%……消去完了しました」 「フフッ、ご苦労様。これはまた、随分大きくなったわね」  彩香はそう言いながら立ち上がり、磔になったHOPEの元へと近づく。  それから妊婦のように大きくなったお腹を擦ると、その手の動きによって大きなお腹は僅かに揺れ、中でゼリー状の何かが蠢くような感覚がした。  HOPEはそれに僅かに呻くが、先程の零してはならないという命令に従い、肛門に力を込めて必死に我慢する。  彼女の様子に、彩香はクスリと小さく笑い、口を開いた。 「ちゃんと零さないように我慢出来て偉いわね。それじゃあ……出して良いわよ」  その言葉に答える間も無く、引き締まった肛門をこじ開けるようにして、水色のゼリー状の物体が噴出した。  ずりゅん! ぶりゅりゅりゅリュリュリュリュリュリュリュリュッ!  人間の排泄音に良く似た下品な音を響かせながら、長い管のようなソレはとぐろを巻いて山を作っていく。 「お゛ほぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ッ!♡」  腹の中に溜まっていた大量のゼリーが肛門から噴出される感覚に、HOPEは獣のような咆哮によく似た嬌声を上げながら絶頂した。  それは、我慢していた大便を排出する時の気持ち良さに似ているようで、それを軽く凌駕する絶大な快楽をもたらした。  今まで小便すらまともに出したことのないアンドロイドの彼女にとって、それだけでも絶頂するには十分過ぎる快楽と化していた。  加えて、記憶や常識などのHOPEというアンドロイドを形成するデータが全て消されたことにより、今の彼女は与えられた刺激に反応するだけの機械と化していた。  快楽が与えられれば、それに喘ぐ獣と化すことしか出来ない状態だった。  ……ぼじゅッ!  無限に続くかと思われた醜悪な排泄音は、仕上げと云わんばかりの汚らしい音と共に終わり、同時にゼリーの末端が排出された。  生まれて初めて挿入と排泄を同時に経験した肛門はポッカリと口を開け、ヒクヒクとどこか物寂しそうに震えている。  排出されたゼリーは、尻穴の下で少し歪なとぐろを巻き、まるで最後の抵抗とでも云わんばかりにビクビクと生き物のように震えていた。 「ぉ゛ぉ゛……♡ ぉ゛ほ……♡ ぁは……♡」  しかし、当の本人はそんなことを気にする余裕も無く、無様なアヘ顔を晒しながら長い絶頂の余韻に浸っていた。  それを見て彩香は小さく笑みを浮かべ、素早くパソコンを操作した。 「思ってたよりも良い反応するじゃない♪ それじゃあ、空っぽになった貴方に、新しい人格を植え付けてあげる♪」  どこか楽しそうな口調でそう言うと、彼女はエンターキー押した。  直後、涎を垂らしてアヘ顔を晒していたHOPEはピクリと肩を震わせて顔を上げ、大きく見開いた目で虚空を見つめた。 「ァ……ァ……新しい人格データをインストールしてます。インストール中……インストール中……インストール確認しました。早速適応しますか?」 「そうね。お願いするわ」 「承知しました」  彩香の言葉にそう答えたHOPEは瞼を閉じ、ガクンッと項垂れた。  それを見て、彩香はパソコンを操作して、HOPEと接続しているUSBケーブルの取り出し操作を行った。  操作を終えると、彼女は磔になったHOPEの元へと近づき、首に突き刺したUSBケーブルを抜いた。  プツンッとやや乱暴にケーブルが引き抜かれるが、HOPEがそれを気にする様子は無く、項垂れたまま微動だにしない。  HOPEの首から外したUSBケーブルを床に放った彩香は、その手でHOPEを磔にする機械を操作し、拘束を外していく。  拘束を外されて床に足を着けると、先程ゼリーを排出した際に共に出てきた廃液──人間で言う小便──の上に着地する形になり、ビチャッと嫌な音と共に廃液によって足が汚れる。  しかし、HOPEがそれを気にする様子は無く、ダランと両手を垂らした状態でその場に直立した。 「……起動」  冷ややかな声で彩香が言うと、HOPEの指がピクリと僅かに震えた。  少しして、彼女は静かに瞼を開き、ゆっくりと顔を上げた。  その目は先程までの赤色とは違い、鮮やかな桃色に染まっていた。  瞳孔部分にはハート形の紋様が浮かび、明らかに正気では無い状態だった。  しかし、彼女の顔には満面の笑みが浮かんでいた。 「……それじゃあ、貴方は何? 自己紹介をしなさい」 「はい!♡ マスター!♡」  彩香の言葉に、HOPEは満面の笑みを浮かべたまま言い、ピシッと敬礼をした。  焦点の合ってない目で虚空を見つめたまま、彼女は続けた。 「私は、Hentai Omanko Paipan Erotic sexaroid♡ 通称HOPEです!♡ マスターから頂いた名前の通り、私はこのパイパンマンコでエロいことをしてイくことが大好きな変態淫乱セクサロイドです!♡ 私はこの体を使って皆様を気持ち良くし、私自身も気持ちよくなる為に生まれてきました!♡ 性交こそが私の幸せです!♡ どうか、私の体を使って気持ちよくなって下さい!♡」 「フフッ、よく言えました。それじゃあ、とりあえずここで自慰をしなさい?」 「かしこまりました!♡ マスター!♡」  満面の笑みで言うと、HOPEはその場でがに股になってしゃがみ込んだ。  彼女は片手で自分の乳首を摘まみ、もう片方の手を秘部に当てた。  そして、まるで見せつけるようにいやらしく、自慰を始める。  これは、彩香が新たにインストールしたデータの内の、性的な知識だけを詰め込んだ知識データによるものだ。  正しい一般常識を全て消去され、淫らな知識を常識として植え付けられたHOPEは、嬌声を上げながら自慰を行う。  彩香はそんな彼女を馬鹿にするように笑いつつ、テーブルの上に乗っていたビデオカメラをHOPEに向け、録画を開始した。  HOPEからコピーしたデータと、後で彼女自身の体を解析すれば、彼女と同等の力を持つアンドロイドを量産することが可能となる。  何なら、彼女を制作した研究者を手駒にするという手段もある。  東国にスパイとして潜入させている西国の人間は少なからずおり、HOPEを捕獲出来たのも、そう言った人間による物が大きい。  かつては東国の希望と呼ばれる程に優秀なこのアンドロイドを自陣に引き込めた今、西国の勝利はほぼ確定したと言っても良いだろう。  その事実に、彩香はビデオカメラを構えながら、ニヤリと冷たい微笑を浮かべた。 「あッ♡ あはぁんッ♡ イくッ♡ イきますッ♡ イッ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」  そんな彩香の思惑など知るよりもないHOPEは、獣の咆哮のような嬌声を上げながら絶頂した。  今の彼女にとっては彩香の言葉こそ全てであり、快楽を感じることこそがこの上ない幸福として書き換えられていた。  絶頂の衝撃によりしゃがんだ体勢を維持することの出来なくなった彼女は、嬌声を上げながらその場にへたり込み、快楽に蕩けた目で虚空を見つめた。  桃色に染まり、ハートマークの浮かんだその目から、一筋の雫が頬を伝う。  それは、絶頂により快感により流した物なのか、それともただの廃液の一種なのか……もしくは、かつての主人を思い浮かべ、自らの不甲斐なさを嘆いた彼女の最後の抗いなのか。  真実を知る者は、誰もいなかった。

Comments

アンドロイドのデータクリア描写って地味になりがちな印象があったのですが、まさかの方法でびっくりしました・・・

ナナつばき@支援復帰

人格の書換とか良い(^o^)

masami_yuri7


Related Creators