歪んだ戯曲を紡ぐ時 間話
Added 2019-09-23 15:01:13 +0000 UTC「ふぅ……」 仕事を終えた私は息をつき、壁に掛けた時計を見た。 時間はもう夜八時。外は大分暗くなっており、劇場の周りに人気は無かった。 新入団員が入ったり、新しい公演が決まったりで、ここ最近は仕事がかなり多かった。 それでも今日でようやくひと段落ついたので、明日はゆっくり休める。 明日は劇団もオフの日だから、ちょうど良いタイミングだ。 「……そういえば、明日は……」 私はそう呟きながら、スマホを起動してスケジュールを確認する。 明日は、そうか……あの日か……。 まぁ、この話はまた家に帰ってから彼女にすれば良い。 私はスマホの電源を切り、荷物を纏めてクリノスの劇場を後にした。 クリノスから歩いて五分の場所に、私の住むマンションはあった。 マンションのエレベーターで五階まで上がり、突き当りまで行ったところにある自宅の扉に鍵をさし、私はゆっくりと扉を開いた。 「おかえりなさいませ、ミチル様」 そこには、裸にエプロンのみを身につけたシノブが立っていた。 私はそれに、後ろ手に扉を閉めながら「ただいま」と答えた。 すると、彼女は小さく微笑を浮かべながら続けた。 「お仕事お疲れ様です。ご飯にしますか? お風呂にしますか?」 「先にご飯にするよ。今日の夕食は?」 「肉じゃがです。……すぐに用意しますね」 シノブはそう言うと、台所に向かって歩いて行った。 私はそれを見送りつつ、靴を脱いで家に上がった。 彼女がこうして私の家に住み始めたのは、彼女を堕として一ヶ月程した頃だった。 そもそも彼女の全てを掌握した今、わざわざ別で住んで給料を払う意味が無いと判断した。 どうせ今のシノブには私が全てなのだから、生活費以外で金を使うことも特に無く、給料を払うだけ無駄だと気付いたのだ。 だから、彼女には住んでいた家を売り払わせ、必要最低限の物を持たせて私の家に住まわせた。 戯曲の執筆に必要そうな本は、クリノスの執筆部屋に本棚を増やしてそこに入れさせて、それ以外は全て売り払うか捨てさせた。 彼女にとって大切な物もあったかもしれないが、知ったことではない。 今の彼女にとっては私に従うことが全てなので、私が引っ越せと言えば二つ返事で了承し、私が捨てろと言えば平然とした顔で捨てた。褒めれば恍惚としていた。 荷物を自室に置いて、洗面所に行って先に化粧を落とす。 それからダイニングに行くと、すでに食事が用意されていた。 今日の夕食は肉じゃがに米、味噌汁にほうれん草のおひたしというメニューだった。 家事は全てシノブに任せているのだが、彼女の作る食事は美味しくて、初めて食べた時は驚いた。 基本どの家事も上手くこなしているし、顔も良くて戯曲の才能もあって、天は二物を与えずという言葉は嘘だなぁと毎度思う。 「あぁー……」 そして、そんな彼女は今、私の隣に座って虚ろな目で口を開けている。 ここに彼女が住むようになってから追加した暗示の一つ、『この家にいる間はミチル様に食事を食べさせてもらうのが当たり前』が発動している証拠だ。 まぁ、毎日食べさせるのも疲れるので、気が乗らない時には暗示を解除したりもするのだけれど。 私は早速肉じゃがの肉を箸で摘まみ、息で冷まして米と一緒に箸で持って、彼女の口の中に運んでいく。 すると、彼女はそれを唇で挟み込んで咥えるので、すぐに箸を抜く。 モキュモキュと美味しそうに咀嚼した彼女は、ゴクッとゆっくり飲み込んで、恍惚とした笑みを浮かべた。 暗示の一つで、『ミチル様に食べさせて貰った物は他の何よりも美味しく感じる』の影響だろう。 私はそれに笑いつつ、ほうれん草のおひたしを箸で摘まんで自分の口に運ぶ。 表舞台では若き鬼才などともてはやされている彼女も、今となっては自分で食事をすることも出来ない可愛らしい私の傀儡だ。 最近また雑誌の取材の依頼も入っており、世間から見れば、二十歳という若さで『クリノス』という劇団を支える天才戯曲家というわけだ。 「それが、裏では裸で過ごして、自分で食事もとれない傀儡になっているなんて、誰も思わないでしょうねぇ」 私はそう言いながら、ほうれん草のおひたしを美味しそうに頬張るシノブの頭を優しく撫でる。 すると、彼女はキョトンとした表情で顔を上げ、「……?」と首を傾げた。 その顔が可愛かったので額にキスを落とすと、途端にその目はトロンと蕩け、うっとりした顏で私を見つめた。 そんなこんなで食事を終えると、シノブはそそくさと食器を片付け始めた。 皿洗い機があるので、食器さえセットすれば皿洗いはすぐに終わる。 「シノブ、他に残っている家事はある?」 「いいえ、今日はミチル様がご帰宅なされるまでに全ての家事を終えたので、もう家事は残っておりません」 私の問いに、シノブは微笑を浮かべながらそう答えた。 それに私は「そう」と返しつつ立ち上がり、彼女に視線を向けた。 「それじゃあ、お風呂にしましょうか」 「っ……♡ はいっ♡ ミチル様っ♡」 私の言葉に、シノブは頬を紅潮させ、嬉しそうな声でそう言った。 それから二人で脱衣所に行くと、すぐに彼女は私の服を脱がせ始めた。 今となってはその手つきも手慣れたもので、あっという間に私は一糸纏わぬ裸体となる。 シノブの方はエプロンしか身につけていないので、それを脱げばすぐに裸だ。 私は彼女の腰を抱き、浴室へと入った。 浴室に入ると、シノブはペタンと床に腰を下ろし、立ったままの私を見上げてきた。 元々一人暮らしだった私の浴室は、まぁまぁ良いマンションではあるので広さは申し分無い。 強いて言えば、椅子が一つしか無いが……まぁ、今のシノブには必要あるまい。 私はたった一つの椅子に腰掛けると、シャワーを持って水道を捻り、お湯を出す。 体を濡らし終えると、私は早速自分の髪をシャンプーとリンスで洗った。 私が髪を洗っている間、シノブは床にへたり込んだまま動かず、虚ろな目で私が頭を洗っている様子を見つめていた。 自分の髪を洗い終えた私は、シャンプーを手の中で泡立て、その手をシノブに差し出した。 「それじゃあ、頭洗ってあげるから、目瞑って」 「はい、シノブ様♡」 嬉しそうな声で言うと、シノブはキュッと目を瞑って、私に頭を差し出した。 早速泡立った手で彼女の髪に指を立ててやると、「んッ♡ んぅッ♡」と小さく声を漏らし始めた。 『浴室では床に座るのは当たり前』 『私の体は爪の先から髪の毛一本に至るまで全てミチル様の物なので、ミチル様に洗ってもらうのは当然のこと』 『私はミチル様に体を洗ってもらうと性的に興奮する』 今のところ発動している暗示だと、こんなものだろうか。 三つ目に至っては、軽いジョークのつもりで入れた暗示だったが、現在進行形で目の前で実行されている。 以前少し催眠術について調べてみたところ、どうやら小説家などの字書きは、被催眠性が高いらしい。 それにしても限度があるだろうとは思うが、シノブは元々被暗示性が高いのだろう。 「はぁ……♡ はぁ……♡」 シャンプーもリンスも終える頃には、シノブはすっかり発情しており、床にへたり込んだまま呼吸を荒くしていた。 ひとまずシャワーで彼女の頭を洗い流してやると、私は彼女の顔をペシペシと軽く叩いて、なんとか意識を取り戻させる。 「ホラ、シノブ。体洗うわよ」 「はぁ……♡ はぃ……♡」 私の言葉に、シノブはうっとりした表情のままそう答えた。 まぁ、これはいつものことだし、別に良いか。 ひとまずある程度はちゃんと意識があるみたいだし、大丈夫だろう。 私はボディソープを手に取ると、シノブと自分の体にそれぞれ掛けた。 「ホラ、シノブ。来て?」 言いながら手を広げて見せると、彼女はハッと顔を上げ、すぐにフラフラと立ち上がって私に抱きついてくる。 互いの胸がぶつかり合い、潰れるように形を変える。 しかし、彼女はそれを気にすることも無く、自分の体をスポンジにするように体を上下して互いの体を洗い始める。 「ミチル様ぁ……♡ はぁっ……♡ ミチル様ぁ……!♡」 「フフッ……本当に、可愛い子♡」 私はそう言いながら彼女の腰に腕を回し、抱きしめる形で自分の体を押し付けた。 すると、それだけでシノブは嬌声を上げ、あっという間に達してしまう。 しかし、本来の目的は彼女を絶頂させることではなく、体を洗うこと。 故に、私はグッタリと脱力し絶頂の余韻に浸ろうとするシノブの体を抱きしめ、スポンジのように動かして自分の体を洗う。 「あぁぁッ!?♡ あぁッ!♡ ミチル様ぁぁぁぁッ!♡」 すると、彼女はこれまた嬉しそうに嬌声を上げながら、私の名前を呼ぶ。 まだ余裕がありそうだな……。 そう判断した私は、嬌声を上げ続ける彼女の体を一度床に下ろし、椅子の上で自分の体を回転させて背中を向けた。 「背中、洗ってくれる?」 「はぁ……♡ はぁ……♡ はいぃ……♡」 私の言葉に、シノブは恍惚とした声でそう言うと、フラフラと立ち上がる。 ひとまず長い髪を肩に掛ける形でどかすと、彼女はしな垂れかかるように私の背中に抱きつき、ゆっくりと体を上下させ始めた。 「はぁ……♡ はぁ……♡ んぁぁ……♡」 耳元で、彼女の甘い吐息と声が聴こえる。 乳首が勃起しているのか、体が上下する度に背中を固い二つの突起が上下しているのが分かる。 流石に絶頂したばかりの体には重労働だったのか、その動きは緩慢なものだった。 まぁ、背中はもう十分に洗えているみたいだし、合格点としてやろう。 私は一度その動きを止めさせると、体を彼女に向け、手を広げて口を開いた。 「じゃあ、次は私が背中を洗ってあげるから、こっちに背中向けて」 「……♡ はい……♡」 私の言葉に、シノブはうっとりした表情でそう答えると、私に背中を向けて膝の上に乗った。 早速胸を押し付けて背中を擦ってやると、絶頂直後で体が敏感になっていたのか、途端に彼女はビクビクと体を震わせながら嬌声を上げた。 背中は弓なりに反り、少し体を擦ってやるだけで喘ぐ。 抱き合っている状態と違って掴むものが無いからか、両手が何かを探すように宙を彷徨う。 しかし、少し強く抱きしめてさらに体を押し付けてやると、途端にその手は強張り口から嬌声が漏れる。 ……達したみたいだ。 流石にこれ以上はやり過ぎだと思い、私は背中を洗うのを止め、先に腕と足を洗ってやることにした。 それでも、腕を洗っている最中に一度、足を洗っている間に二度程達してしまったので、彼女の体を洗うのはさっさと済ませて自分の体も洗い終え、シャワーで互いの体を洗い流した。 その頃には彼女はすっかり疲弊した様子で、壁に凭れ掛かってただ荒い呼吸を繰り返していた。 今の彼女は自分一人の力で立ち上がることは不可能だと思い、私は彼女の体を支え、共に湯船に踏み入れた。 「んぅ……」 湯船に張った湯に足を入れた途端、シノブは僅かに声を漏らした。 私は先に湯船の中に腰を下ろし、彼女を私に凭れ掛からせる体勢でゆっくりと座らせた。 それに、彼女は全く抵抗を示さず、成すがままになっていた。 「シノブってば、ここ最近ずっとこんな感じよね」 「……ごめんなさい……迷惑を掛けてしまって……」 「別に責めてないわよ。ただ、可愛いなと思っただけ」 申し訳なさそうに言うシノブにそう言いながら、私は彼女の湿った髪を撫でる。 すると、彼女は「えへへ……♡」と嬉しそうに笑いながら、私に体を委ねる。 ふと、彼女は何を思ったのか身を捩り、私と向き合う形で体を向けて来た。 それから身を乗り出し── 「んっ♡」 「んッ」 ──軽く、唇を触れ合わせてくる。 ほんの短いキスの上に、自分からやったにも関わらず、それだけで彼女の顔は幸せそうに蕩けた。 「ミチル様ぁ……♡ 好きぃ……♡」 「知ってるわよ。私も好きよ」 そう言いながら、私は彼女の髪を耳に掛けさせ、その流れで後頭部に手を添え、少し強引に顔を近付けさせて唇を奪う。 次は、先程の子供騙しのキスなどではなく、舌を入れた濃厚な接吻。 もう数えきれないほどに繰り返してきたこの接吻に、彼女もすっかり慣れてきた様子で、舌を入れるとすぐに自分の舌を絡ませてきた。 舌が絡み合い、互いの唾液が混ざり合う淫靡な水音が、浴室の壁に反響する。 息継ぎの度に漏れる甘い声が、舌を絡ませる度に跳ねるシノブの体によって波打つお湯の音が、浴室内で反響して淫猥なハーモニーを奏でる。 しかし、本番はこれから寝室で行うのだから、今はまだ早すぎる。 私はまだキスをしたそうにするシノブの体を軽く押し、唇を離させる。 ツー……と伝う唾液の橋が重力によって崩れ、湯船のお湯の中に溶けていくのを眺めながら、私はまだ物足りなさそうにするシノブの頭を撫でた。 「大丈夫、後でもっと気持ち良くしてあげるから……今は少し休みましょう?」 「……はい……」 少し不満そうにしながらも、彼女は従順に頷き、私の首筋に顔を埋めた。 そんな彼女が愛おしくて頭を撫でてやると、ピクピクと肩や腰が震えるのが伝わってきて面白かった。 そこで、私は明日のことを思い出し、「そういえば」と口を開いた。 「明日だったっけ。前に言ってた、『ロードン』の……」 「んぅ……♡ あぁ、そうですよ……♡ 明日です……♡」 私の言葉に、シノブはすっかり蕩けた様子の声でそう答えた。 それに私は「そう」と答える。 「じゃあ、例のアレも、明日お願いね。……成功したら、ご褒美あげるから」 「ッ……!♡ はい!♡ 頑張ります!♡」 私の言葉に、シノブは嬉しそうに答えた。 それに私は笑い返し、彼女の頬にキスをしてあげた。 すると、彼女はそれだけで顔を蕩けさせ、私の体を抱きしめてきた。 明日頑張れるように、今日は少し手加減をしてあげないとなぁ。 だって、気持ち良くし過ぎたら、ご褒美の特別感が無いもの。 そんなことを考えながら、私はシノブの頭を撫で、ほくそ笑む。 こうして、今日も夜は更けていく。
Comments
良い👋😆🎶✨続き気になります
masami_yuri7
2019-09-24 20:50:15 +0000 UTC