甘い吐息に溶ける時2
Added 2019-07-29 15:14:48 +0000 UTC「……ここだな……」 巨大な屋敷を見上げながら、俺は小さく呟いた。 北の森の奥深くにある、大きな屋敷。 ここには、魔女が住んでいる。 その噂は多種多様で、ある者は目が合っただけで相手を殺す程の凄まじい力を持っていると言い、またある者は全ての男を魅了する魔性の女とも言っている。 というのも、魔女の屋敷から帰って来る冒険者達は皆屋敷での記憶を失っており、覚えていても朧気なものでしかないからだ。 ただ、唯一皆が口を揃えて言う確証がある。 それは……獣人族は絶対に行ってはいけない。 と、言うのも、魔女の屋敷内には状態異常を催させる霧のようなものが充満しているらしい。 甘いニオイを嗅いだ、という証言も多数あることから、魔女が嗅覚を利用して相手を惑わせる術のようなものを使っているのだろう。 獣人族というのは人間に獣が半分混ざったような種族で、基本的に五感が人族よりも格段に敏感なのである。 そんな獣人族がこの屋敷に入れば、状態異常緩和の魔法を掛けても意味が無い程に、一瞬でやられてしまうとの噂だ。 というわけで、魔女討伐の依頼の紙には、獣人族の冒険者が間違って屋敷に入らないようにと、デカデカと『獣人族不可』という注意喚起を記してある。 ……で、つい三日前に、その注意喚起を獣人族差別と勘違いした馬鹿な獣人族が屋敷に向かって帰って来てないんだよなー。 ってか、ぶっちゃけ獣人族で冒険者やってるのなんて、アイツくらいなんだよなー。 俺は腕を組んで屋敷を見上げながら、「ははは……」と乾いた苦笑を漏らした。 ラニア。 一年前に突如現れ、猛躍進であっという間にSランク冒険者となった獣人族の犬耳女。 獣人族差別にやけに敏感で、ちょっとでも獣人族を馬鹿にされるとすぐに人を蹴り飛ばす乱暴女だ。 で、俺はその乱暴女に冒険者で初めて蹴り飛ばされた、記念すべき一人目というわけだ。 はっはー、自慢にもなんねぇ。 ……確かに、あれからは顔を合わせてもニコリともしねぇ冷たい奴だし、ちょっとでも獣人族を馬鹿にしたらすぐに人を蹴る短気な奴だ。 正直、助ける理由なんて無い。 でも……俺にだって、男の意地ってものがある。 アイツが屋敷に向かった時、俺は止められる距離にいた。 それなのに、止められなかった。……激怒するアイツを見て、怯んじまった。 ……アイツなら大丈夫だと、心のどこかで思っていたんだと思う。 でも、結果はどうだ? アイツは三日も帰ってきていないじゃないか。 ……俺のせいだ。 俺が、もっとしっかりとアイツの腕を掴めていたなら……こんな結果にはならなかった。 だから、これは俺の意地だ。 絶対にアイツを連れて帰ってやる。 パーティのメンバーは置いて来た。ラニアを連れ戻すだけなら、一人の方が、小回りが利いて良いと思ったから。 その代わり、ヒーラーのマルクに、状態異常無効化の魔法を掛けてもらっている。 必ず助け出すと心に決め、俺は屋敷の扉を開いた。 「……ッぐ……」 扉を開いた瞬間、甘ったるい匂いがした。 今の俺には効かないと分かっていても、予想の何十倍も濃い匂いに、その場で足を止めそうになる。 しかし、今は前に進むしかないと判断し、数歩程足を進めたところで……背後にある扉が、勝手に閉まった。 「何ッ……!?」 俺はすぐに振り返り扉を開けようとするが、ガチャガチャと金属音を立てるだけで、扉は開くすら見せない。 ……閉じ込められた? 一体……誰に……? バクバクと心臓が音を立て、冷や汗が頬を伝う。 マルクの魔法があるため、霧自体に害は無いと分かっていても、逃げ道を塞がれたのはかなりきつい。 こうなったら、ラニアを助け出すまでは、止まれない。 そう判断した俺は、腰に提げた鞘から剣を抜き、改めて屋敷内に踏み入った。 「ガウッ!」 「……ッ!?」 直後、突然何かが襲い掛かって来た。 俺は咄嗟に剣を振ってカウンターを喰らわせようとしたが、襲い掛かってきたソレは器用に空中で身を翻して剣を躱し──俺の鳩尾を蹴りぬいた。 「ガハッ……!?」 口から空気が零れるのを感じながら、俺の体は後ろに吹き飛ぶ。 直後、背中に強い衝撃を感じた。 壁にぶつかったのだと判断した時には、体中の至る所からミシミシと軋むような音がした。 「かはぁッ……」 掠れた声を漏らしながら、俺は前のめりに倒れる。 剣はとっくに手を離れ、かなり離れた場所に転がっている。 拾いに行かないと、とは考えるのだが体が言うことを聞かず、俺はその場に突っ伏した。 ……どういうことだ……? たったの一撃。 鳩尾に喰らった攻撃は、なぜか──やけに、慣れ親しんだ攻撃だった。 だが、初対面の時の牽制や、たまにやってくるじゃれ合い程度の軽い蹴りとも違う。 本気の……敵に対する攻撃。 そもそも……なんでお前が、ここで、俺に攻撃すんだよ……? 俺は腹を押さえながら、ゆっくりと顔を上げ、目の前に立つ“ソイツ”に視線を向けた。 「……ラ……ニア……?」 掠れた声で呟き、俺は意識を失った。 最後に見たのは、全裸でこちらを見下ろすラニアの……暗く淀んだ双眼だった。 --- 「……」 重たい瞼を、ゆっくりと開いて行く。 まるで、長い間沼に沈んでいたような……そこから這いずり出てきたような、そんな感覚だった。 寝起きで覚め切っていない脳を内心で叱咤しつつ、俺は顔を上げた。 ここは一体……? 「あら、目を覚ましたみたいね」 顔を上げた先に……ソイツはいた。 俺と対面になる形で優雅に座る、一人の女。 黒い長髪に同じ色の目をした、胸のデカい女。 コイツが……魔女……? 一瞬そんな風に考えた俺の思考は、女が座っている物を見て遮られた。 「らッ……ラニアッ!?」 「……あら? この子を知っているの?」 女はそう言いながら、自分の腰の下にいるラニアの頭を撫でた。 栗色のショートヘアに同色の犬耳が生えた、俺と同い年くらいの少女。 いつも強気で負けず嫌いな彼女は今……魔女の椅子と化していた。 一糸纏わぬ裸体を晒し、首には赤い首輪をつけ、四つん這いで魔女の体重を支えている。 その姿に、俺の焦燥は、一気に駆け巡った。 「おいッ! ラニアッ! 何やってんだよッ!」 「無駄よ。この子はもう、私のペットになったの。そうよねぇ? ラニア?」 言いながら、女はラニアの頭を撫でる。 その手付きは、人間にするような丁寧なものではなく、動物にするような雑なものだった。 ラニアの髪が乱れることも構わない、自分の欲求を満たすだけの乱暴な手つき。 しかし、ラニアは尻尾をパタパタと振りながら、「ワンッ!♡」と嬉しそうに鳴いた。 ……何してんだよ……ラニア……? ペットって……お前が一番嫌ってる言葉じゃないかッ! 「獣人族は人族のペット」と馬鹿にしてきた冒険者に怒り狂って半殺しにしたのは誰だよ? 我を忘れる程にブチ切れて、冒険者ギルドが半壊する程の騒ぎを起こしたのは誰だよ? それなのに、なんで、そんなに嬉しそうにするんだ……? 「……ラニアに何をしやがった……魔女……」 俺はそう言いながら、魔女を睨む。 普通、たった三日でここまで性格が変わるものではない。 三日の間であそこまで変貌した理由など……この魔女以外考えられない。 俺の言葉に、魔女はしばしラニアの頭を撫でていたが、やがてクスッと小さく笑った。 「原因が私だって気付くなんて……馬鹿な子だと思っていたけど、意外と勘が良いのね?」 「……俺はそんな言葉が聞きたいんじゃ……」 「獣人族なのに一人でこの屋敷に来たこの子とは大違い」 そう言いながら、魔女はラニアの犬耳を摘まむ。 すると、ラニアの体がビクリと震えた。 魔女はそれを気にせずに、手の中で栗色の犬耳を弄ぶ。 それに、俺は叫んだ。 「良いから話せよッ! 早くッ!」 「……私、煩い子は嫌い」 魔女が冷たくそう言い放つと同時に、首に何やら、植物の蔦のようなものが絡みついた。 そこで初めて、自分が裸になっていることに気付く。 着ていたはずの服は全て引きはがされ、その代わりと云わんばかりに、植物の蔦がいたる所に絡みついている。 それだけでなく、蔦から生えた茨が体中に突き刺さっていた。 「うわッ……!?」 小さく声を漏らし、咄嗟に身を縮こませそうになる。 しかし、この茨のせいだろうか……首から下が、全く動かなかった。 まるで石になってしまったかのように、どれだけ動かそうとしてもビクともせず、逃げるどころか藻掻くことも出来ない。 その現状に、サーッと血の気が引いて行くのを感じる。 黙り込んだ俺を見て魔女は微笑み、ゆっくりと続けた。 「何をした、も何も……ちょっと遊んであげただけよ。でも、ホラ……獣人族の子って、私の術が効きやすいし……凄く可愛い見た目をしているでしょう? 私、可愛い女の子が大好きなの。だから、ペットにしてあげたってわけ」 そう言いながら、魔女はラニアの耳を揉み込むように弄ぶ。 ラニアはそれに恍惚とした表情を浮かべ、舌を出して息を荒くしていた。 彼女の反応から、魔女の言うことは正しいのだろう。 込み上げてくる怒りさえ我慢すれば、そこまでは理解出来るのだが……一つだけ、気になったことがあった。 俺は小さく深呼吸をして、口を開いた。 「可愛い女の子が好きなら、なんで……俺を捕まえたんだ?」 「……どういう意味?」 「だって、今までお前の討伐に行った冒険者は、皆帰ってきていた。……冒険者は男が多いし、お前の趣味を考えたら、討伐に来た冒険者に何もせずに帰すのは理解出来る」 「……ふぅん……?」 「じゃあ……なんで俺を捕まえてんだよ? こうして服剥いたんなら、俺が男なのも、分かってんだろ?」 俺の言葉に、魔女はしばらくその切れ長の目を丸くしていたが、やがてその目を細め、「へぇ……?」と呟いた。 確かに、彼女がラニアをペットにしたってところまでは……百歩譲って、理解出来る。 だが、そうなると……俺を捕まえた理由が分からない。 「お前がレズビアンなら……俺を捕まえる理由が、無いじゃないか……」 俺がそう言い終えると、魔女はしばらく吟味するような間を置いてから、クスッと小さく笑った。 それから足を組み、口を開く。 「確かに、貴方の言うことは筋が通っているわね。……私が今まで他の冒険者に手を出さなかったのは、他の冒険者が皆、タイプじゃなかったのよ」 「……タイプ……?」 「皆、良い年した筋肉ムキムキのゴツイ男ばかりだもの。……そんなの、私のタイプじゃないわ」 「……だから、何もせずに帰した?」 俺の言葉に、魔女は嬉しそうに微笑んで「そういうこと」と言った。 じゃあなんで俺を……と思っていると、魔女はラニアの背中から立ち上がり、ゆっくりと俺の前まで歩いて来た。 「なッ……」 「それに比べて、貴方は男の子にしては、可愛い顔をしているわ」 そう言いながら、魔女は俺の頬に手を添え、真っ直ぐに見つめて来る。 今まで同年代の女子としか関わって来なかったから、ここまで接近されると、こんな状況でも動揺してしまう。 体も動かせないので固まっていると、魔女は「年もラニアちゃんと同い年くらいみたいだし」と言いながら、俺の顔から手を離し、腹をツツーと指でなぞった。 動かせはしないものの、それ以外の感覚は残っているらしく、なぞられるとくすぐったい感触がした。 それに「んぅッ……」と小さく声を漏らしていると、魔女はクスクスと悪戯っぽく笑い、続けた。 「怪我も充分治ってるみたいね。……ラニアちゃんったら、殺さなければ良いとは言っておいたけど、あそこまでやらなくても良かったのにね」 「……何を……」 「それじゃあ、次に行きましょうか」 魔女はそう言うと、俺の体に絡みついた蔦に触れた。 何をするつもりだ……? と一瞬考えたその時、蔦から何か熱い物が流れ込んでくるのを感じた。 直後、体が一気に熱くなるのを感じた。 「がッ……!? はッ……!?」 「確かに貴方は、男の子にしては可愛い顔をしている。……でも、私が好きなのは女の子なの」 小さく声を漏らす俺を無視して、魔女は再びラニアに腰かける。 彼女の言葉を考える余裕など、今の俺には無かった。 体が燃えるように熱い。バクバクと心臓が激しく音を立て、血流が物凄い勢いで流れていく。 というか、血液が熱い。まるで血管をマグマが流れているかのような熱さが、俺の体内を駆け巡る。 「だから……女の子になって?」 魔女のそんな言葉が聴こえた時……体に異変が起こった。 ドクンッ! と一際強い鼓動の音がしたかと思えば、体が縮んでいくのを感じた。 骨や筋肉が溶けていくような……上手く言い表せないが、体が内側から作り替えられていくような感覚。 体中に感じる熱さからか涙が零れ、視界が霞む。 その間にも、俺の体が変わっていくのを感じる。 「はーッ……はーッ……」 しばらくして、体を支配していた熱気は消えた。 俺の体はとっくの昔に汗だくになり、まるでバケツの水でも被ったんじゃないかと思う程にびしょ濡れになっていた。 肩で息をしていた時、体を覆っていた蔦が外されていくのを感じた。 「……何だよ……これ……」 蔦が消え去った自分の体を見下ろして、俺はそう呟いた。 そこにあったのは……女の体だった。 ずっと冒険者として戦ってきたおかげで筋肉が付き引き締まっていた体は、しなやかな細身な体に変わっていた。 腰の少し上の方は細くくびれ、平らで固かった胸は膨らんで豊満な双丘を作る。 体も全体的に丸っこくなって……って、髪邪魔だなッ! そう思って前髪を掻き上げた俺は、自分の髪が伸びていることに気付く。 動きやすさを重視して短く切りそろえていた髪は長く伸び、背中まであった。 前髪もかなり長く、手を離したら顔を隠してしまいそうだった。 そして、何よりも……性器が無くなっている。 男の象徴とも言えるソレがあった場所は何も無く、むしろくぼんでいるようにも思えた。 呆然と自分の体を観察していると、魔女がクスクスと笑った。 「どう? 女の子の体になった感想は?」 「……テメェ……ッ!」 殴りかかろうと咄嗟に立ち上がるが、すぐに俺の体は転倒する。 なんていうか……何とも言えない倦怠感が、まるで纏わりつくように俺の体を覆っていた。 床に突っ伏していると、魔女がクスクスと笑いながら、こちらに歩いて来るのを感じた。 「まだ女の子の体になったばかりで慣れて無いのに……無理に動くからよ」 「……テメェ……よくも、こんなこと……」 「ラニア。この子を起こしてあげて?」 魔女の言葉に、ラニアは「ワンッ」と元気よく答えると、四つん這いのまま器用に俺の元まで駆け寄って来た。 彼女は俺の傍まで駆け寄って来ると、倒れた俺の体を抱き起こした。 そのまま、まるで背凭れになるように、俺の体を抱く。 「ラニア……やめろ……こんなこと……」 「フフッ。良い子ね、ラニア」 「ワンッ♡」 魔女に褒められ、ラニアは嬉しそうに答える。 ラニアの体は、決して大きい方ではない。……むしろ、小柄な方だ。 男だった時はラニアの背丈なんて、俺の胸程しか無かった。 だと言うのに、この体だと、一回り程度しか変わらない程の差となっていた。 俺はラニアに抱かれたまま、魔女を睨むことしか出来なかった。 「何を……するつもりだ……」 「さぁ……とりあえず、その生意気な口をそろそろ黙らせてあげようかしら」 「何だと……──ッ!?」 魔女の言葉に反論しようとした次の瞬間……彼女の口によって、俺の口は塞がれる。 まるで俺の口に蓋をするように、呼吸を漏らす隙間も無い程に、べったりと。 そして……──息が吹き込まれる。 「んん──ッ!? んーッ!?」 突然のことに驚き、俺は咄嗟に後ずさろうとする。 しかし、まだ性別が変わったばかりの俺の体は上手く動かず、精々ラニアの腕の中で藻掻くことしか出来ない。 その間にも魔女の吐息は俺の口に吹き込まれ、気管を通って肺へと送り込まれていく。 口から鼻に抜けたそれは甘ったるい匂いがして、気を抜くと意識を持っていかれそうになる。 そこで、屋敷の中に充満していた霧のことを思い出す。 もしかして……魔女の使う術っていうのは、奴の吐息のことだったのか!? そうだとしたら……この状況では、マルクが掛けてくれた補助魔法も、意味が無いじゃないか。 こうしてギリギリ意識を保てているのは魔法の恩恵かもしれないが、それでも、いつまで耐えることが出来るかも分からない。 今の俺には、咄嗟に魔女の服を握り締めることで、何とか意識を保つことしか出来なかった。 しかし、甘ったるい匂いは肺から全身に巡り、ジワジワと俺の脳を犯していく。 魔女が息継ぎをして俺の口の中に息を吹き込む度に意識が眩み、すぐにでも意識が飛んでしまいそうになる。 何とか抜け出そうとするも、後ろからラニアに抱きしめられているため、後ずさることすら……──。 「ぁむ」 「ん──ッ!?」 俺の思考を遮るように……ラニアが、俺の耳を咥えてきた。 唇が俺の耳を挟み、優しく愛撫を始める。 柔らかな肉が耳を刺激し、湿った何かが溶かすように俺の耳を這いずり回る。 たまに漏れる吐息が、ゾクゾクとした感覚を俺の背筋に走らせる。 「んんッ!? んッ! ん──ッ!♡」 魔女の吐息とラニアの愛撫。 前後双方から与えられる甘い刺激に、俺は耐えられなかった。 ギリギリで保っていた意識はラニアによる愛撫で乱れ、その隙を埋めるように甘いニオイが意識を持って行く。 一度快楽に流された意識は、後はもう、流れに身を任せることしか出来ない。 「……ぷはぁっ……」 どれくらい、二人からの愛撫を受け続けていただろうか。 魔女の口が離れ、俺は「ぁ……」と小さく声を漏らしつつ、背後にいたラニアに身を委ねる。 彼女は未だに俺に愛撫を続けており、すっかり蕩けた俺の耳を、未だに丁寧に舐め続けている。 すると、魔女がラニアの頭を撫でたのが、視界の隅に見えた。 「ラニア、もう大丈夫よ。……手伝ってくれてありがとうね」 「……ワンッ♡」 魔女に褒められたのが嬉しかったのか、ラニアは嬉しそうに鳴き、俺の耳から口を離した。 ようやく二人の愛撫から逃れられたものの、俺の体はすっかり脱力しきっていた。 口からは甘い吐息が漏れ、呼吸に合わせて胸が上下する。 ラニアに抱きしめられる形で荒い呼吸を繰り返していると、魔女が俺の顎に指を当て、クイッと上げた。 「それじゃあ……貴方のお名前はなぁに?」 「……りんと……」 聞かれて、咄嗟に俺はそう答える。 なぜだか答えちゃいけないような感覚がしたけど、今の俺には、細かいことまで考える余裕は無かった。 荒い呼吸を繰り返しながら放心していると、魔女はクスッと笑った。 「違うでしょ? 貴方はそんな男みたいな名前じゃないわ。貴方はリンちゃん。……そうでしょう?」 「ちが……おれは……」 「繰り返しなさい。私の名前はリンです」 「……おれの……」 「私」 「おれ……わたしの、なまえは……りん……です……」 言われた通りに繰り返すと、魔女は満足そうに頷いた。 「あとは……リンは可愛い女の子だから、自分のことはリンって呼ぶの。良い?」 「……じぶんのこと……りんって……よぶ……」 「ちゃんと覚えられるまで、何回も復唱しなさい? リンの名前はリンです。はい」 「はい……りんの、なまえは……りん、です……りんのなまえは……りんです……りんのなまえは、りんです……りんの……──」 言われた通りに、リンは何回も魔女の言葉を繰り返す。 繰り返していくと、その言葉がスーッと心の中に沈んでいくのを感じた。 リンの名前は……リン……リンの名前は……リン……。 「そろそろ覚えたかしら……じゃあ、もう復唱はやめても良いわよ」 「りんの……はい……やめます……」 止められたから、リンは復唱を止めた。 すると、魔女はリンの太腿に手を添え、口を開く。 「それじゃあ……リンの性別は何かしら?」 「リンのせいべつは……おとk」 「女の子、でしょ?」 ツー……と、太腿が優しく撫でられる。 突然のことに、リンはビクッと体を震わせ、小さく嬌声を上げてしまう。 すると、魔女は悪戯っぽく笑い、その手をリンの太腿の内側へと持って行った。 「ホラ、こんな風に触られて、凄く気持ちよさそうな顔してる……貴方は女の子なの」 「……り……りんは……」 「男の子なら、ここにおちんちんがあるはずじゃない?」 そう言いながら、魔女はリンの股間部を優しく撫でた。 撫でられた途端、まるで電流でも走ったかのように、背筋に凄まじい何かが走った。 体が勝手にビクビクと震え、頭の中が真っ白になる。 リンは嬌声を上げながら、その感覚に酔いしれる。 しばらくして徐々にその感覚が引いていくと、それに釣られて力も抜け、リンは背後にいるラニアに体を預ける形で脱力した。 そんなリンを見て、魔女はクスクスと笑った。 「ここをちょっと触られただけでそんなに気持ち良くなっちゃって……リンはエッチなことが大好きな女の子なのよ」 「りんは……えっちなことが、だいすきな……おんな、のこ……?」 「だから、ここに指を入れられただけで……」 言いながら、魔女はリンの股間部に指をあてがい……ヌチュッという水音と共に、挿入した。 指が入って来た途端、ビクビクッと、またもや体が勝手に痙攣する。 すると、魔女がクスッと小さく笑い、「気持ち良いでしょ?」と言う。 「ぁぁ……りん……は……」 咄嗟に反論しようとした時、股間部からグヂュッと鈍い水音がした。 刹那、強烈な何かが背筋を走り、頭の中が真っ白になる。 リンはビクビクと体を震わせながら、口から奇怪な嬌声を上げる。 そんなリンを見て、魔女はクスクスと、どこか楽しそうに笑った。 「ホラ、繰り返して? リンはエッチなことが大好きな女の子です……はい」 「り、りんは……えっちなことが、だいすきな……おんなのこ、ですぅッ!?」 復唱を終える寸前に、股間部の中がグチュグチュと水音を響かせながらかき乱される。 それに、言い終えると同時にビクンビクンと体を震わせ、リンの頭の中は真っ白になる。 体の痙攣が収まるより前に、魔女は続ける。 「リンはおまんこを指で弄られただけでイッちゃういやらしい女の子です。はい」 「りんはぁッ……ぁぁッ……おま……んこ……をぉ……ゆびで、いじられた、だけでぇ……いっちゃうぅ……いやらしい、おんなの、こで、すぅ……んぁぁあッ!?♡」 言い終えると、またもやおまんこをグチュグチュと弄ばれ、リンはイッてしまう。 イくというのが良く分からないけど、多分、こうやって気持ち良くなって頭の中が真っ白になることを言うのだろう。 嬌声を上げながら気持ち良くなっていると、魔女は続けた。 「リンは気持ち良いことをしてくれるご主人様のことが大好きです。はい」 「りんはぁぁッ!♡ ぁぁぁッ♡ きもちッいいことぉッ!♡ してくれ、るぅッ♡ ごしゅッ、ごしゅじんさまのぉッ! ことがぁッ! だいしゅきれしゅぅぅぅッ!♡ ああああッ!♡」 「リンはご主人様のモノです」 「りんはぁぁッ!♡ ごしゅじんさまのぉッ♡ ものれすぅッ!♡ あぁぁッ!♡」 「フフッ……良い子。じゃあ、もう復唱は良いから……いっぱいイッて」 ご主人様はそう言うと、リンの唇を奪い、息を吹き込んで来た。 それに驚いたのも一瞬のことで、すぐにおまんこがグヂュグヂュと弄られ、一気に頭の中が真っ白になる。 脳を犯す甘い吐息が真っ白に染まった頭の中を綯い交ぜにして、水音が響く度にそれがかき乱されていく。 リンの体はまるで壊れたようにビクンビクンッ! と痙攣し、それをラニアに抱きしめられる形で押さえ込まれる。 押さえられることで快楽を外に逃がすことが出来ず、むしろ、余計にリンの体は強く跳ねた。 口が塞がれていることで嬌声を上げることすら出来ず、リンはくぐもった呻き声のような声を上げながら、快楽を享受する。 「ぷはぁっ……」 無限にも続くかと思われた快楽は、気付けば終わりを迎えていた。 ご主人様の唇が離れ、口内を充満していた甘い香りが僅かに薄らぐ。 彼女はリンから顔を離すと、肩に手を置き、ゆっくりとおまんこから指を引き抜いた。 その際に内側を擦られ、リンの体はビクビクと反応してしまう。 そんなリンを見て、ご主人様はクスッと笑った。 「私ね、犬の次は猫が欲しいと思っていたの」 言いながら、部屋の中にある棚の引き出しを開け、ゴソゴソと中身を漁る。 リンはそれを、ラニアに体を預け、ビクビクと勝手に痙攣を続ける体で聞いていた。 すると、ご主人様は目的のモノを見つけたみたいで、それら一式を持ってこちらに歩いて来た。 「ラニア、椅子になって」 「ワンッ♡」 ご主人様の命令に、ラニアは元気に鳴くと、リンを放ってご主人様の元に駆けて行く。 支えを失ったリンの体は、重力に従って床に倒れる。 倒れた状態でぼんやりと見ていると、ラニアが四つん這いになり、その上にご主人様が腰かけているのが見えた。 良いなぁ……ご主人様に座ってもらえるなんて、最高のご褒美じゃないか……。 もしもあれが自分だったら、と想像するだけで、ゾクゾクした感覚が背筋を走る。 「リン。こっちに来なさい」 ご主人様の命令だ! それだけで嬉しくなり、リンはすぐに起き上がって、ご主人様の元に向かった。 さっきいっぱいイッたばかりだから、四つん這いで這うような感じになったけど、今はどうでもいい。 すぐにご主人様の前まで言って、ペタンと腰を下ろして次の命令を待機する。 ご主人様はそれにクスッと笑って、続けて口を開いた。 「こっちにお尻を向ける形で、四つん這いになりなさい」 「はいッ♡」 ご主人様の命令に従い、リンは言われた通りの姿勢になる。 すると、リンのお尻をご主人様が撫でているのが感触で分かった。 「ぁぁッ♡」 「……あら? もしかして、お尻を撫でられるだけで感じちゃってるの?」 くすぐったいような不思議な感覚に腰を震わせていると、ご主人様がそう言ってくるのが聴こえた。 それに、リンは「はぃ♡」と素直に答える。 「リンはぁ、エッチなことが大好きな女の子だからぁ♡ ご主人様に触られるだけで、エッチな気分になっちゃいますぅ♡」 「あら、そうなの? じゃあ、めいっぱい気持ち良くしてあげなくちゃね」 楽しそうな口調で言いながら、ご主人様は……おしっこを出す穴の方に、指を入れてきた。 予想だにしていなかった出来事に、リンはビクッと肩を震わせながら、「ぇぁッ!?」と声を上げた。 「ごッ、ごしゅじん、さまッ……なにをッ……ぁあッ!?♡」 何をしているのか聞こうとしたリンの声は、ご主人様がおしっこの穴の中で指を動かし始めた為に遮られる。 さっきたくさんイッたばかりのリンの体は敏感になっていて、おまんこじゃなくても気持ち良くなってしまう程になっていた。 「ホラ、もっとこっちに腰を突き出して……解しにくいわ」 「んぁぁッ♡ はいぃ……♡」 ご主人様の命令のままに、リンは精一杯腰を突き出した。 すると、ご主人様の指がさらに奥まで入って来る。 あッ♡ これきもちいい……♡ 「フフッ、良い子良い子。その体勢をキープしていてねぇ」 「んぁぁッ♡ あぁぁッ♡ あーッ♡」 ご主人様の指が、リンのお尻の中で縦横無尽に這いずり回る。 何とも言えない感覚が気持ち良くて、リンはされるがままに喘いでしまう。 ビクビクと腰が震えるのを感じるが、ご主人様の言葉に従い、必死に四つん這いで腰を突き出した体勢を維持する。 少しすると一本ずつ指も増えていき、それによってさらに気持ち良くなる。 「あぁぁッ♡ あんッ♡ あぁッ♡」 「……そろそろ良いかしら?」 ご主人様はそう言うと、お尻から指を引き抜く。 抜かれると、なんだかお尻の穴が広がって、スースーしたような感覚がした。 それに物寂しさを覚えていた時、お尻に何かがあてがわれるのを感じた。 「……? ……ぁぁああッ♡」 何だろう……と疑問に思ったのは、一瞬のことだった。 突然何か固いものが入ってくるのを感じ、私は喘いでしまう。 何これ……♡ 指とは違う、なんか不思議な感覚……♡ でも、きもちぃ……♡ 「よし……リン、見てみて?」 「……?♡」 ご主人様の言葉に、リンは後ろの方に振り向く。 すると、リンのお尻からは、猫の尻尾が生えていた。 「ぁ……♡」 「腰振ってみて?」 言われるがままに、リンは腰を軽く振ってみる。 すると、尻尾の付け根らしき何かが中で擦れ、敏感になったリンの尿道を刺激した。 「ぁぁッ……♡」 「気持ち良い?」 「はぃ……♡ きもちいい……です……♡」 正直に答えて見せると、ご主人様は嬉しそうに笑って、「良かった」と答えた。 あぁ……♡ ご主人様嬉しそう……♡ 嬉しいッ♡ 「じゃあ、他にも貴方にあげるものがあるから、こっち向いて?」 「はい♡」 ご主人様からのプレゼント♡ ご主人様から何かが貰えるという事実だけで嬉しくなり、リンはすぐにご主人様の方に向く。 すると、ご主人様は優しく微笑んで、持っていたものの内カチューシャのようなものを手に取った。 けど、それはただのカチューシャではなくて、黒い猫耳が付いたものだった。 「……?♡」 「リンは今日から、私の飼い猫になるの。……たくさん可愛がってあげる」 その言葉に、一気に嬉しい気持ちが湧き上がってきた。 ご主人様の飼い猫♡ ペットになれる♡ ペットになれるってことは、ラニアみたいにたくさん可愛がってもらえる♡ 今のラニアみたいに、椅子になることも出来るし、言うこと聞いたら頭を撫でて褒めてもらえる♡ 「ぁ……♡ うれしいです、ごしゅじんさまぁ……♡」 「フフッ……じゃあ、ジッとしていてね」 ご主人様はそう言うと……リンの頭に、猫耳のカチューシャを付けた。 自分の姿は見えないけど、ご主人様が選んでくれたものだし、きっと似合っているはずだ。 キュンキュンと胸が高鳴るのを感じていると、ご主人様はリンの顎に指を当て、クイッと上げさせた。 「はい、そのままジッとしててね」 「ぇぁ……?♡」 ご主人様の意図が分からずに、少しだけ不思議に思っていた時、首に何かが巻きつけられるのを感じた。 少しして、カチャッ……と、何かがはめ込まれるような感触がする。 見なくても分かる。……首輪だ。 「ぁ……♡」 「フフッ……良く似合ってるわよ、リン」 ご主人様はそう言って微笑みながら、リンの頭を撫でた。 ぁ……♡ うれしい……♡ 頭を撫でられただけで、なんだかボーッとして、すごく気持ち良くなる。 恍惚としていると、ご主人様はリンの頭を撫でるのを止め、右足を上げてこちらに向けて来た。 「それじゃあ、リン? ペットになった記念に、私の足を舐めても良いわよ」 「……ッ♡ はぃ♡ ご主人様っ♡」 ご主人様の命令に従い、リンはすぐにご主人様の足に舌を這わせた。 少しでもご主人様に喜んでもらえるように、丁寧に。