【限定公開版】脳の髄まで染められて
Added 2019-07-14 14:31:13 +0000 UTC※限定公開版は主に後日談と登場人物のプロフィールになっています。ネタバレになるのと多分ここだけ読んでもわけがわからないと思うので、こちらを読む際は先に先行公開版またはpixivに上がっている本編を読んでからにしてください。本当はこっちにも本編も加えたものを掲載しようと思っていたのですが、文字数が足りなかったため元々付け足す予定だったオプションのみになっております。読みにくくて申し訳ございません。ご了承お願い致します。もしも要望があれば、本編+後日談やプロフィールのみ等読みやすさを重視したものも同じ値段のプランで上げますので、読みにくい方は遠慮なく言って下さい。 体を洗われたスピアは、裸のまま来客用の寝室に案内された。 洗脳装置によって気を失ったスピアは、そのままベッドの上で眠った。 眠っている間に、彼女に念入りに施された洗脳が脳に定着していく。 全ての洗脳が定着し、消えない鎖として彼女の身も心も縛りつけた時……ようやく、彼女は目を覚ました。 「……ここは……?」 辺りを見渡した時、ほんの一瞬、頭が痛んだ。 一瞬……自分がいる場所が、“見覚えの無い場所”のように感じたのだ。 しかし、すぐに頭痛は治まり、今いる場所が自分の部屋であることを思い出す。 「……」 寝起きだからかズキズキと痛む頭を押さえつつ、スピアは、自分がなぜここで眠っているのかを思い出す。 確か……エスピオン王国に長期の潜入捜査に行っており、久々に帰って来てレーナを見た瞬間、気が抜けてそのまま気を失ったように眠ってしまったのだ。 でも、なぜ自分は裸なのだろう……? と疑問に思っていた時、部屋の扉が開いた。 「……スピア、目を覚ましたのね」 聞き覚えのある声に、スピアはハッとした表情で体を起こし、入ってきた人に顔を向ける。 それからその人の顔を見て、表情を緩めた。 「……レーナ……」 「……フフッ、成功みたいね」 自分を見て安心するスピアを見て、レーナは小さくほくそ笑みながら小さく呟いた。 スピアの目は暗く淀み、どこか焦点の合っていないような、虚ろな目をしていた。 しかし、その目はレーナだけを見つめ、柔らかく緩んでいる。 レーナの言葉に疑問を持たないスピアは、続けて口を開く。 「昨日はすまなかった。……急に気を失ってしまって……迷惑を掛けてしまったな」 「そんなことないわよ。執事達に運んでもらったから、私は何もしていないわ」 「しかし、折角久しぶりの再会だったというのに、まともに会話も出来なくて……んッ」 謝るスピアの唇を、レーナは奪う。 唇が触れ合う程度の、簡単なキス──だけでは終わらない。 レーナは“いつも通り”スピアの口内に舌を入れ、“いつものように”接吻する。 スピアもそれに、“いつも通り”応じる。 二人は舌を絡ませ合い、淫靡な水音を響かせながら、“いつものように”濃厚な口付けを交わす。 「ぷはぁっ……」 二人の唇が離れ、唾液の橋が出来る。 濃厚な接吻によりすっかり蕩けたスピアは、その唾液の橋を、どこか名残惜しそうに見つめた。 「……謝らなくても良いわ。時間は山ほどあるんだもの。これから、たくさん話をすれば良いわ」 そう言いながら、レーナはスピアの頬に手を添え、口の端から垂れる涎をソッと親指で拭った。 それに、スピアは淀んだ目をトロンとさせながら、「あぁ……そうだな」と、どこか淫靡な笑みを浮かべながら答える。 すると、レーナは「そうだ」と言って、懐から通信機のようなものを取り出した。 「先に、エスピオン王国の方に連絡しておきなさい。収穫は無かった、長期的な捜査に切り替える……って」 「……あぁ。分かった」 レーナの言葉にスピアは頷き、通信機を受け取る。 スピアは、本来はフェアラート王国のスパイだが、敵対国であるエスピオン王国にも諜報員として潜り込んでいる。 云わば二重スパイのような形で、エスピオン王国とフェアラート王国を行き来している。 “なぜか”エスピオン王国の姫に好かれ、恋人関係を結んでいることになっているが……スピア本人は、情報収集に関する有用性を考慮し、仕方なく付き合っている。 『スピア? 何かあったのかい?』 通信機から聴こえて来るエスピオン王国国王の声に、スピアの表情が僅かに曇る。 エスピオンの人間は嫌いだ。エスピオンはフェアラートの敵対国だから、エスピオンの王族は、レーナの敵ということになる。 姫と恋人関係にあれば信用されて情報収集しやすくなるからと、仕方なく付き合ってはいるが、正直に言えば今すぐにでも別れたい程だ。 込み上げて来る不快感を抑えつつ、スピアは続けた。 「一日フェアラート王国の調査をしてみましたが、これと言った収穫はありませんでした。だから、長期的な調査に切り替えたいと思います」 『そうか……あまり無理はしないように、な。危険だと判断したら、すぐにでも撤退するように』 「了解しました」 『あぁ、そうだ。今近くにフィーリアがいるから、少し代わろうか?』 「いえ、これからまたすぐに調査に向かいますので、遠慮しておきます。……フィーリアに、よろしく言っといてください」 『……分かったよ。じゃあ、また何かあったら連絡するように』 「分かりました」 そう言って、スピアは通信を切る。 すると、レーナはじゃれつくように、スピアの腕に抱きついた。 「向こうの王様、何だって?」 「特に何も。……私がフェアラート王国のスパイであることも知らずに、無理するな……だってさ」 「フフッ、流石は私のスピア。……それじゃあ、しばらくは一緒にいられるのね」 「そうだな」 嬉しそうにするレーナの言葉に、スピアはうっとりとその表情を緩めながら言う。 それにレーナは笑い返し、再度スピアの唇を奪う。 スピアはそれを当然のように受け入れ、レーナの肩を抱いた。 それから数か月後。 降伏させた各国による同盟と、スピアによる情報により、フェアラートはエスピオンを滅ぼすことになるのだが……それはまた、別のお話。 --- 名前:スピア 年齢:16歳 見た目:銀色のショートヘアに、赤い目をしている。中性的で、普段はあまり感情を露わにしない。フィーリアと話している時か、彼女が絡むこととなると表情豊かになる。スパイ活動の際に着る服は上下黒一色で、上着の中に幾つものスパイ道具を隠し持っている。仕事の邪魔になるため調査の際はサラシを巻いている。胸は大きい方。 その他:エスピオン王国にて諜報員として所属する女スパイ。元来の才能により、年齢にそぐわないスパイ技術を持っている。両親に捨てられて彷徨う孤児だったが、巡回中だった兵士に保護され、城で育てられる。フィーリア達の役に立ちたいと考え、幼少期から独学でスパイになるための知識と技術を学び、十歳になる頃には世界でも有数の敏腕スパイになっていた。この国の姫であるフィーリアと付き合っており、彼女のことは他の何よりも大切にしている。フィーリアの為なら死んでも構わないし、フィーリアを傷つける者は例えどんな手段を用いても排除する。本当は彼女を直接守る騎士になりたかったが、剣術の才能がまるで無かったために断念。恋愛には奥手で、キス等はいつもフィーリアから。ちなみにスピアという名前はフィーリアの両親から貰ったもので、由来は「信念という槍を胸に抱き、その命が尽きる時まで貫いて欲しい」。 名前:フィーリア 年齢:16歳 見た目:ウェーブが掛かった長い金髪に、青く澄んだ目をしている。人形のように整った可愛らしい顔立ちをしている。目は大きく垂れ目がち。背は低い方で、スピアより頭一つ分程低い。 その他:エスピオン王国の姫でありスピアの恋人。心優しく、お淑やかで大人びた性格をしている。しかしスピアが絡むと幼くなり、年相応な感じになる。スピアのことは妹のように思っていたが、年を取っていくにつれて女として意識するようになり、交際する。スピアのことを愛しており、一番大切に思っている。スピアの為なら自分が命を落とすことになっても構わない。キス等はいつも自分からなので、たまにはスピアからも来て欲しいと思っている。 名前:レーナ 年齢:14歳 見た目:黒くて艶やかな長髪に、スピアの目よりも少し暗い色の赤色の目。どこか勝気そうな印象を受ける顔をしており、目はどちらかと言うとツリ目。 その他:フェアラート王国の王女。ワガママで自分勝手な性格で、自分の思い通りに物事が進まないと気が済まない。欲しいと思ったものは何が何でも手に入れるし、人が大切にしている物程自分の物にしたがる。元々は相手のことを思いやれる心優しい性格だったが、幼い頃に両親がエスピオンの国の人間に殺されて以来、少しずつ心が歪んでいった。幼い身で国を率いていかなければならず、他国の王族からは子供だからと馬鹿にされ、そのストレスや両親を失った悲しみ等が混ざり合い彼女の性格を歪めた。子供だと知られると馬鹿にされるので正体を隠し、表舞台には立たず、裏から国を牛耳った。戦争が始まると研究者に命令し、洗脳装置を作らせる。洗脳装置を使って他国の王を洗脳し、自分の言うことを聞くようにして、戦争を勝ち残り、後に歴史に名を残す名将となる。両親を殺した人間の出身地であるエスピオンを敵視しており、両親に大切にされて育ったフィーリアのことを憎らしく思っている。